甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

バクまくら 犀星句集より

2022年11月12日 12時09分30秒 | 一詩一日 できれば毎日?

 岩波文庫の新刊「室生犀星俳句集」(2022年10月)は、1904年の犀星さん15歳から1961年の73歳までの俳句が順番に並べられています。バカ正直に私は最初から見ています。1908年の19歳のところまでたどり着きました。あと50年以上の時間があります。簡単にひとりの人の人生を通り過ぎることはできないから、少しずつ進むしかないですね。

 ほとんど私の脳みそに何も引っかからなくて、漠然とページが進んでいきます。さすがに犀星さんとはいえ、俳句はアカンのかなと思ってたら、こんな作品に出会いました。私はこんなのが好きみたいです。

  秋ぢゃもの別れぢゃものを虫が鳴く

 これは何でしょう。秋はどちらかというと、出会いの季節ではなくて別れの季節でしたか。確かにいくつかの別れがあったのかもしれない。恋に関する別れは、私はたまたま経験したことがなくて、ひとりで片思いを諦めたことがありましたけど、まあ、そんなことはどうでもいいことですが、「秋風が吹く」というと、男女の関係が冷たくなる、そういう意味でした。そういうことを詠んだのでしょうか。

 犀星さんは生まれてすぐに両親から離されて、お寺の室生さんのところにもらわれたそうです。育ての親のハツさんには二人の子がいて、義兄が裁判所にお勤めしているので13歳から給仕として働き、15歳で俳句を習い始めた。そして、18歳で「秋ぢゃもの」でした。

 どんな別れがあったのかはわかりません。とにかくあったのです。恋なのか、友だちなのか、仕事なのか、生死なのか、実父は9歳の時に亡くなっていて、生母はその後失踪したそうです。「別れ」に関しては、つい色恋を思ってしまうけれど、そうではない可能性がありそうですし、人にはそれぞれの別れがあるでしょう。

 秋の夜、ふと落ち着いて耳を澄ますと、虫たちの声がする。何だかあれこれと生きてきたけれども、私どもの悩み苦しみも、分かっているのか、知らないのか、すべてはそんなものなのか、虫たちが鳴いて慰めてくれているのか。


 もう一つありましたよ。

  この胸の憂愁を喰へ獏枕(ばくまくら)

 夢を食べるという生き物のバク、この生き物の力を信じて、私たちのいろんな苦しみを吸い取ってくれないか、食べてくれないか、そういう祈りの作品でした。

 現実は、そんな甘いものではありませんけれど、そう思わずにいられないのが私たちの人生でした。……とか何とか、分かったようなこと書いてるけど、あなたの悩みはどうなの?

 はい、私は何も考えないで、ボンヤリと日々を過ごしていて、さしあたっては悩みはないのです。悩みというと、寝ている時に呼吸が止まっていることと何度も夜中に目が覚めることと、寝ている時の悩みはあります。もっとものすごく疲れたら、ぐっすり眠れるのかな。せいぜいぐっすり眠りたいんだけどなあ。

 そういう私のつまらない事情なんか、どうでもいいことでした。みんないろんな悩みがあって、夢にうなされてたりするんでしょう。私は何か不安なことを突き付けられて、「えっ、それは」と弁明する理由を考えてるうちに目が覚めることがあります。

 そんなつまらない不安、食べてもらえたら、もう少し安らかに眠れるかなあ。いや、人は何かにつけて悩みを抱えないと生きていけないものかもしれない。……また、分かったようなことを書いてます。それでは、お粗末さまでした。失礼いたします。

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