今朝、いつものようにFMで「きらクラ」聴いてました。最終回でした。悲しかったけど、リスナーのみなさんのお便りを聞かせてもらって、みんなが仕方ないから、お二人の今後の活躍を楽しみにしています、と励ましておられたから、私も、気持ちを切り替えられそうな気がしました。
その中で、チラッと「さよならだけが人生だ」というフレーズを聞かせてもらって、そういえば、そういうのもあった! と思い出して、貼り付けてみました。
井伏鱒二さんの「厄除け詩集」という本の中の詩です。
干武陵(う・ぶりょう)という詩人さんの詩を訳しておられました。
勧酒(かんしゅ) 干武陵(う・ぶりょう)
勧君金屈巵(きんくつし)
君(きみ)に勧(すす)む 金(きん)屈(くつ)巵(し)
さあ、この杯の酒を飲んでくれ。一緒に飲もう!
満酌(まんしゃく)不須辞
満酌(まんしゃく) 辞(じ)するを須(もち)いず
盃に満たされた酒は全部飲んでもらわないといけないのです。
花発多風雨
花(はな)発(ひら)いて 風(ふう)雨(う)多(おお)し
花が咲いたら、その一番いい時に、雨や風がやって来ることがあるものです。
人生足別離
人生別離(べつり)足る
人が生きていくということは、そこに何度も別れがあるし、その代わりに出会いもあるのかもしれないけど、とにかく、この瞬間の別れにおいては、君と酒を飲まないではいられないのです。
私はくどくどと訳してみましたけど、井伏さんはそんなムダなことはしません。
バッサリいってしまうんだから!
コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
それは見事です。本物よりも見事かもしれない。こんなふうにバサッと表現できるのは、日ごろの鍛錬なんだろうな。私はオッチャンですし、だらだら生きてるから、今さら井伏さんになれないし、そんな大それたことは考えていません。
ただ、短い言葉で、サッと人の心をつかみたいだけです。また、明日からも何か私の中からすごいことばが出るのを祈りつつ、今日はもう寝ますか……。