先日も、ポツンと一軒家を何かの拍子で見ました。どこだったかも忘れてしまった。でも、とにかく山奥で、実はここは昔集落だったということでした。おうちの住人は三人だけで、夫婦と27の息子さんとで住んでいるということでした。
そのおうちのすごいのは、捨て猫がどんどん集まってきて、現在では11匹もいるということでした。人間よりもネコたちの方が多かった。そして、ネコたちはおうちに入れてもらえないようでした。そこはちゃんと住み分けているようでした。
最近はネコも人間も一緒くたに暮らすというのが当たり前みたいだけど、そこをピシャッと人と分けている暮らしなのが少し新鮮でした。まあ、ネコたちとしても、別に家の中に入らなくても、みんなでワイワイ暮らせたらそれでいいし、ここはとにかく食べさせてもらえるから、別にどうでもいいもんという感じでした。
あちらこちらにあったおうちがどんどん森の中に取り込まれ、一軒家のご主人が育ったおうちも、もう森に取り込まれているようでした。日本では、放置しておくと、家は草木の中に埋没するようです。
お隣の韓国では、深い森というのか、森が家を食べてしまうみたいなことはない、みたいなのをつい最近読んだけど、本当なんだろうか。
とにかく、ボツンとしたおうち。その裏山を見てみると、なんとご先祖様一人ひとりの墓石があるようで、手入れも行き届いていて、それぞれ土の下で眠っているということでした。昔は土葬だし、ほんとにそのまま石の下で眠っているということでした。
ああ、なんかいいなあ。こんな風にして土の下で眠れる環境、私にはないのかなとか思いました。今のところ、私は将来、カゴシマのお墓のアパートに入らなくてはならないようで、それも何だかなと思ったのです。でも、だったら、対案は? と問われると、それがないのです。少し困ってしまった。
高校生くらいの時、詩を書きました。詩とはいえないものではありますが、本人の中では詩です。
かまの中
子どものころ、
ぼくがまだ、もっ小さかったころ、
お母さんの寝息が聞こえていた。
時計の音がチクチク鳴っていた。
街灯の光が、家の中まで入ってきた。
子どものくせに、ぼくは、
かまの中が怖くて
ひとり泣いていた。
何も言わない静かな人を
かまの中で焼いてしまうなんて、
静かだった人が、
かまの中で苦しんでるみたいで
怖かったから。
とても詩とはいえないもので、ただの気持ちですね。
これは今も同じです。私は土葬にして欲しい。
でも、今の日本では無理だから、もうなるようにしかなりません。
もういいや、あまり考えないことにします。
自分がいなくなった世界、確実に来るんだけど、私は何をしてきたのか?
せいぜい人の中で、ワチャワチャして生きて、楽しいことしなくちゃなと思います。