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夕方、折角伊勢市に来たのだから、ポランに寄ってみようと夕暮れの町をすり抜けて、河崎に行きました。
何となく潮も満ちていて、勢田川も水がいっぱいです。いつも私がここを訪れるときは、水もなくてドロッとした雰囲気で、汚れた川だなというイメージなのに、海から水が押し寄せると、それなりに水際もきれいな感じです。でも、実際はそれなりに汚れているとは思うのですが……。
昔、このあたりでお勤めしていたときは、ここを越えるといよいよ緊張感が増して、さあ、お仕事しなくてはと、締めつけられるような圧迫感があったんですが、今はただの通行人であり、旅人なので、ぼんやりした気分でこの町並みを楽しむことができます。
夕暮れの景色は、ただでさえ古いこの町を、何となく活気があふれるキラキラした町に買えてくれているようで、ウォーキングやランニング、荷車を押す老婆、道行くクルマなど、すべてが秋の夕暮れを楽しんでいる感じです。
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私は、他のことはどうでもいいから、とにかく古本屋のポランさんに行こうとシャカシャカ歩きながら、すぐ写真を撮っては立ち止まりと、何だか不規則な動きをしていたと思います。
……八百屋さんにもお客さんがいて、ここが商売しているなんて、初めて見るような感じ! もっとたくさん歩いている人がいたらいいんだけど……。
さて、ポランさんに到着しました。
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表の3冊100円にいいものはありませんでした。店主の息子さんみたいな若い人がいました。もう夕方だから、店じまいということもあり得ます。本当であれば、次から次とお客さんに来てもらいたいけれど、田舎の観光地の夕方は、もうあっという間です。特に夕方から人がたくさん押し寄せるような観光地ではないので、ポランさんもお店をいつ閉めてもいい感じです。
だから、すべての棚を見るのではなく、岩波文庫・中公文庫・詩人・女性作家の文庫の棚だけを見ることにしました。近ごろ、奥さんは須賀敦子さん、武田百合子さんなど、少し昔の哲学的な、文学関係の本に注目していて、ここに至るにはまたそれなりの筋道があったようなのですが、それに負けないようにと思い、女性作家・哲学者的な人たちの本を見てみました。
須賀敦子さんを見つけました。でも、イタリアでのあれこれみたいで、私は今のところ興味はないので買うのはやめにしました。その代わりになんと野上弥生子さんが新潮文庫で出していた「随筆集 花」(1984)という本を買いました。当然師匠の漱石先生のことも書いておられるし、めずらしいかなと買いました。
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女性作家ではないけれど、若狭や日本海側の埋葬形式の変わっているのを最近知り、いつか山陰にふたたび行ってみようという気持ちになっているので、水上勉さんの「若狭幻想」(1986 福武文庫)を買いました。水上さんの短編にそういうのがすぐ載っているということはないと思いますが、山陰の習俗を少し知りたい気分になっています。
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あとはずっと前に、旅行記ファンだった私が、文庫のカタログをあれこれ見て、岡部伊都子さんという随筆家が主に関西のお寺などを回った記録の「観光バスの行かない……」(1975 新潮文庫)という本を出しているのはずっと前から知っていました。おそらく40年前には知っていたでしょう。でも、手に取ることなくずっと縁がなかったのが、たまたま見つけたし、200円だったので、エイッ! と思って買いました。
……このカバー写真は、室生寺の金堂の屋根らしいです。言われてみれば納得ですが、モノクロで何だか不似合いだなと買ったときには思いましたが、今はすごく納得の表紙です。
かくしてあわててポランさんを出て、行きでは見かけなかったネコの写真を撮り、あまり近づいたら逃げられそうだし、彼のペースを乱したくないから、そのままお別れしてきました。
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夕暮れの河崎のキラキラした風景の中にいる自分に満足して、あとはどんどん暗くなる町をゆっくり帰ってきました。
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1 夕焼けのような町並み古書とネコ
2 時は今 水路に映る秋の暮れ
3 秋のネコ 観光客の引けた街
4 夕焼けや人待ち顔の猫のいて ……最後は奥さんの作品です。ちょっと上手じゃないですか?
★ 俳句は常に奥さんが一歩先を行っています。彼女は「おーいお茶」でも、佳作特別賞を取っちゃいました。もうこうなりゃ、文部大臣賞を取るしかないですね。冬までに百個くらい作らなきゃ!
何となく潮も満ちていて、勢田川も水がいっぱいです。いつも私がここを訪れるときは、水もなくてドロッとした雰囲気で、汚れた川だなというイメージなのに、海から水が押し寄せると、それなりに水際もきれいな感じです。でも、実際はそれなりに汚れているとは思うのですが……。
昔、このあたりでお勤めしていたときは、ここを越えるといよいよ緊張感が増して、さあ、お仕事しなくてはと、締めつけられるような圧迫感があったんですが、今はただの通行人であり、旅人なので、ぼんやりした気分でこの町並みを楽しむことができます。
夕暮れの景色は、ただでさえ古いこの町を、何となく活気があふれるキラキラした町に買えてくれているようで、ウォーキングやランニング、荷車を押す老婆、道行くクルマなど、すべてが秋の夕暮れを楽しんでいる感じです。
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私は、他のことはどうでもいいから、とにかく古本屋のポランさんに行こうとシャカシャカ歩きながら、すぐ写真を撮っては立ち止まりと、何だか不規則な動きをしていたと思います。
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さて、ポランさんに到着しました。
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表の3冊100円にいいものはありませんでした。店主の息子さんみたいな若い人がいました。もう夕方だから、店じまいということもあり得ます。本当であれば、次から次とお客さんに来てもらいたいけれど、田舎の観光地の夕方は、もうあっという間です。特に夕方から人がたくさん押し寄せるような観光地ではないので、ポランさんもお店をいつ閉めてもいい感じです。
だから、すべての棚を見るのではなく、岩波文庫・中公文庫・詩人・女性作家の文庫の棚だけを見ることにしました。近ごろ、奥さんは須賀敦子さん、武田百合子さんなど、少し昔の哲学的な、文学関係の本に注目していて、ここに至るにはまたそれなりの筋道があったようなのですが、それに負けないようにと思い、女性作家・哲学者的な人たちの本を見てみました。
須賀敦子さんを見つけました。でも、イタリアでのあれこれみたいで、私は今のところ興味はないので買うのはやめにしました。その代わりになんと野上弥生子さんが新潮文庫で出していた「随筆集 花」(1984)という本を買いました。当然師匠の漱石先生のことも書いておられるし、めずらしいかなと買いました。
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女性作家ではないけれど、若狭や日本海側の埋葬形式の変わっているのを最近知り、いつか山陰にふたたび行ってみようという気持ちになっているので、水上勉さんの「若狭幻想」(1986 福武文庫)を買いました。水上さんの短編にそういうのがすぐ載っているということはないと思いますが、山陰の習俗を少し知りたい気分になっています。
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あとはずっと前に、旅行記ファンだった私が、文庫のカタログをあれこれ見て、岡部伊都子さんという随筆家が主に関西のお寺などを回った記録の「観光バスの行かない……」(1975 新潮文庫)という本を出しているのはずっと前から知っていました。おそらく40年前には知っていたでしょう。でも、手に取ることなくずっと縁がなかったのが、たまたま見つけたし、200円だったので、エイッ! と思って買いました。
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かくしてあわててポランさんを出て、行きでは見かけなかったネコの写真を撮り、あまり近づいたら逃げられそうだし、彼のペースを乱したくないから、そのままお別れしてきました。
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夕暮れの河崎のキラキラした風景の中にいる自分に満足して、あとはどんどん暗くなる町をゆっくり帰ってきました。
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1 夕焼けのような町並み古書とネコ
2 時は今 水路に映る秋の暮れ
3 秋のネコ 観光客の引けた街
4 夕焼けや人待ち顔の猫のいて ……最後は奥さんの作品です。ちょっと上手じゃないですか?
★ 俳句は常に奥さんが一歩先を行っています。彼女は「おーいお茶」でも、佳作特別賞を取っちゃいました。もうこうなりゃ、文部大臣賞を取るしかないですね。冬までに百個くらい作らなきゃ!