[10/22 日曜] 小樽の朝です! 昨日、夕ごはんを食べて宿に帰るとき、アラレか何だか、氷みたいなの(雪ではなくて固体でした)が降っていましたけど、今朝の石狩湾には朝焼けが少し。
お宿は小樽の町の小高いところにあるようです。それはわかってたし、雨と風と寒さで昨夜は泣く泣く坂を歩きましたからね。お宿の場所もわからなくて、ずぶぬれになりながらスマホのマップを開いたりしました。
今日はこれから未知の領域の余市、倶知安をめぐります。廃止される函館本線の旅でしたね。新幹線の開通は2030年の予定なんですね。私って現状維持派らしい。あるものをいつまでも残したい。新しいものはそんなに要らないと思っているみたい。まあ、鉄道に関していえば、大抵は役に立たない重厚長大の高速鉄道です。日本と中国とでは規模が違うのだから、中国みたいな立派なものを作ったって、そんなのすぐに使えなくなるものなのに、それでも偉い人たちは欲しいんでしょうね。自分たちのお金ではないから、好きなものが作れますよ。(ホントに困りましたね……)
でも、人間って、新しいものを欲しがり、古いものを捨ててしまう生きものでした。古いものは経済的観点からも切り捨てられるようです。儲かっていない赤字路線は切り捨てだ、なんてね!
嘆いてもしょうがない。私なりに土地へのあいさつしてきます。せっかく行かせてもらうんだから、その土地へのねぎらいや褒めたたえることばを考えたいのです。
それで、札幌から小樽までの1時間ほどの乗車時間でのこと。札幌の街を抜けきると、ずっと海のそばを走ることになります。たしか、昔ここを満員電車でずっと座れず、窓から見える海を見た記憶がよみがえリました。彼女と二人でとにかくあまり注目されていないオタルという町へ行ってみようということでした。
途中にあるゼニバコ、というのは印象的な名前の駅でした。ふーんと感心しただろうか。ドル箱という言葉のイメージが重なってたのでしようか。まさか、オヤジギャグじゃないんだから、言葉の響きがおもしろいと感じたのかな。
海はすぐそばで、グルっと石狩湾を囲んでいました。対岸には巨大な風車がいくつも見えました。
昨日は曇り雨というところでしたから、海はクリーム色のダークグリーンで、サーフィンをする人たち、寄せる波、そういうのをずっと見られた。たぶん、高速道路や新幹線には必要のない風景だったでしょう。
[10/25 水曜]
啄木さんなら、海が眺められる窓から見たと思うんです。
でも、彼はそんなに行ったり来たりはしていないだろうし、車窓から見る海にどれくらいの興味があったのかなあ。
大海(だいかい)の
その片隅につらなれる島々の上に
秋の風吹く
これは観念的な海ですか? 実景じゃないけど、海に浮かぶニッポン?
たひらなる海につかれて
そむけたる
目をかきみだす赤き帯かな
海の風景よりも、赤き帯をつけた人が気になったようです。
ゆゑもなく海が見たくて
海に来ぬ
こころ傷(いた)みてたへがたき日に
本当に海に来たの? ただのポーズじゃないの? 「こころいたみて」なんていうわざとらしさもOKなのかな? ポンと言い放ってみましたね。
波もなき二月の湾に
白塗(しろぬり)の
外国船が低く浮かべり
短歌のスケッチですね。二月の静かな海って、それだったらいいな。いくら寒くても、荒れてなかったら、海のそばにいけそうな気がする。