今日、帰ってくる時にラジオから、そのニュースの冒頭で、大学院生などに対して出世してからお金を返す奨学金制度を考えている、というのを聞かされました。
さすがNHKのニュースですから、政府からの情報をそのままこれが新しい動きです。そういうふうに世の中は動いていきますよ。というそのままに流しています。
大学院生は、奨学金をもらって大学に通い、それが何になるか、将来どうつながるのか、何もわからないままに個人で借金をさせられるそうです。それがものになったら、出世払いできるのかもしれないけど、ものにならなかったら、それは自己責任だから、しっかり何百万のお金を国に返してくださいね。そうしないと、次の人たちの迷惑になりますよ、と脅すのです。
若い研究者になろうという奇特な人たちに、足枷をはめて、儲かっても儲からなくても、とにかく金だけ払えよ、とすごむのなんて、今の世の中の基本的発想のようです。
得する人はいない。みんなが等分に世の中を支えているのだ、という理屈ですけど、実はそういうシステムの外にいる人たちは、ルールを逆手にとって自分の利益をしっかり確保することでしょう。なんだったら、お金を貸す政府の機構をつくって、そこに天下りしたり、そこを会社化して、ちゃっかり社長になったり、あの人たちの考えることですから、せこいのは確かです。
大学院生の研究なんて、「どうせ、何の役にも立ってないし、好きなことを研究するんだろ、そんなの金にも何にもならない」と、どこまでも卑しさが見えてくるようです。
ただでさえ、大学院を出ようが、研究者の道を続けようが、博士になろうが、日本では食っていけないのです。だから、アメリカや中国に行くしかないのです。
過去には、日本で研究していて何かやれそうな空気もあったでしょうけど、今は一切ありません。残念ながら、世界に発信して、世界で認められるしか道はないようです。
そもそも、国立大学の大学院でお金を取るのが間違っている。そこはすべて国の負担にする。ものにならない若者も、ものになりそうな若者も、とりあえず受け入れて、どんどん淘汰していき、それぞれに自分の人生を考えさせればいいし、もっと研究者の環境を良くしていかないと、日本の沈没は見えています。
いや、今も着実に衰退しているんでしょう。それは、政府も人々も、ムダなものはやめろ! 大学・大学院なんて、ぜいたく人のいくことだ。研究も要らぬ。儲かることをしろ! 目先のことばかり! 私は、半分諦めています。
政府の人たちも、技術でのし上がった日本という国を忘れています。
技術も磨かず、若い人を大事にせず、年寄りだけがお金を貯め込み、全く使わず、教育費は、幼児教育から研究者育成まですべて自己責任・受益者負担でやるのだから、一部のお金持ちだけが、わがままな教育を受けるでしょう。
かくして、ひょんなことから研究の道に入り込んでしまった人たちなんて、いなくなるのです。そして、研究のすそ野は削れていくのです。すべて海に取り込まれ、小さな陸地で波に洗われながらヒーヒーいうのが私たちの未来のこの国なのです。
まあ、仕方がない。そういうダメで、自分のことしか考えない大人たちをしり目に、上手に自分たちの好きなことを研究し、世界の役に立つ人が生まれてくるのを期待しましょう。
基本が大事。つまらない役に立たない読書や遊びが大事。大人のつまらないアイデアは要らない。若者を見ているフリをしているけれど、ヤツらの目には若者は映っていない。
みんな、奨学金は要らないけど、お金を出してみようという、気骨のある大人を探してください。そういう人たちなら、ものにならなくても、違う方法はないの? とか、この人を紹介するよっていうアイデアがあるかもしれないのです。