この本は、1976年の6月16日の水曜日に天海堂(大阪・アベノ)で180円で買ったということになっています。定価が260円の本をわざわざ中古で買うなんて、260円というハードルが高かったんだろうか。貧乏高校生だったんでしょうね。
しかも本そのものは、1970年の新潮文庫だから、なんと6年前の本でした。それでも、買おうとしたんだから、何かの情熱があった!
堀田善衛さんという作家さんは知ってたはずです。もっとずっと前から、読もうと思い、買おうと思ってたはずです。「海鳴り」という語感も好きだったし、何かそこにあるとは感じていた。高1の時のクラスの雑誌を作った時にも、タイトルは無理矢理に「海鳴り」にしたんだから、私としては強引なことをしていました。何かこだわりがあったみたいです。
この本が、天草・島原の乱を扱った作品だというのも知っていた。そういうのをテーマに描いているんだから、壮絶な物語であるというのも。
たぶん、しばらくしたら、この670ページほどの本を読んだはずだから、それなりにあれこれ考えたことも確かです。でも、その後に何か感想書いたとか、イメージを絵に描いたとか、みんなに語ったとか、そんなことはしてないから、ずっと私の中で深く沈潜したままだったはずです。
ずっと、今も私の中で、何にもならないモヤモヤしたものが漂い続けているはずです。
そうしたら、昨日、タモリさんが林田さんとの最後の「ブラタモリ」をされてて、島原半島の先の方の原城址を訪れていました。
それを見ながら、少しだけ私の心の中のフタが開いた感じ。でも、モヤモヤしているし、すぐに消えてしまうし、いい加減なものだから、今にも消えそうではあるんですけど、そうか、何かあったのだと、そのきっかけを探そうと思って、書棚から取り出して、旭屋書店のブックカバーをはずして写真を撮って、バタバタしている。
解説の最後にこんなことばも見つけた。
「かくて凄絶(せいぜつ)な敵味方の攻防がつづけられたあげく、原城にたてこもった三万七千の百姓は、ことごとく虐殺されて全滅したのである。一六三八年二月二十八日のことだった。桑原武夫によれば、一定地域内における虐殺の比率は、原爆による広島・長崎の犠牲よりも上まわるものだ、ということである。ここに史上空前の大動乱は終熄(しゅうそく)し、鎖国体制は完了することとなるのである。」(平野謙さん)
ただ書棚から取り出しただけだから、うまくまとまらないですけど、とにかく原城の何かと、その歴史や物語が気になるようです。
もう少しこのモヤモヤに向き合ってみます。今の世の中と何か関連性がある、というのは鈍い私でもわかるんです。たぶん、どこかでつながっている。
林田さん、これから「出世」するんだろうか。ニュースのキャスターになって、結婚して、離婚して、民放に出て、本も書いて、それが出世なんだろうか。
タモリさんも「出世してください」なんて、心にもないことを言っちゃって! 組織に属する人は、とりあえす、その組織の中で、与えられたチャンスを生かそうとするだけなんだから! そんなに彼女に野望とかあるわけないと思うけどな。
むしろ、NHKを辞めて、ピアニストになるとか、そっちに行くんだったら、面白いなと思うけど、それは彼女の人生に対して失礼だし、いろいろ考えて、彼女は自分の人生を築くんだろうな。いい人との出会いを大切にしなきゃ! 変な男と出会うのも、それも彼女の人生の勉強、なのかな。
★ 桑子さんといい、近江さんといい、林田さんといい、みんな、それなりにキャリアを積んでいくと思うんです。そして、NHKの顔になって、それからどうするかですね。紅白の司会をやって、いくつかの番組を持って、それで? 次は?
というところです。いろんな人との出会いは大事にしなくてはいけないし、林田さんの財産になると思われます。きっとこれから、国内のあちらこちらに行っても、ずっと歓待されるでしょう。それで調子に乗って思いあがるか、カン違いするか、いろいろと野望を持つのか、今まで出せていなかった自分らしさを発揮するのか、それはもういろんな形が想像できます。
ぜひ、自分らしい生き方・自分は何をしたくてNHKに入ったのか、これからも災害は続くし、あまりいいことは続かないと思われます。国内で起こることは、どちらかというと、マイナス要素のことばかりです。世界の荒波は西からも、東からも、北からも、南も、いろんなとこから来て、日本はグラグラになることばかりでしょう。
こういう世の中の中で、若い人たちは何をしていくのか、そういうことをひっくるめて、タモリさんは、「頑張ってね」「自分のやりたいこと見つけてね」「あなたのやりたいことは何?」「とりあえず、組織の中で頑張ることかな」
そんな意味で、最後にポツンとコメントしたんですね。
林田さんだけではなくて、若い人みんなに向けてのメッセージだったのかもしれないな。
タモリさんは、とりあえず、ゆったり自分のペースで仕事をしていく。若い人たちを何度も目にしていく。その人たちに、年寄りができるのは、「頑張って」と声かけるくらいしかないんだもんな。
一緒に何かする、というのはなかなかないんだもん。(2020.3.15 18:35pm)