お昼ごろ、いつものヒヨドリの鳴き声ではない、何となく中途半端な、鋭さのない、短くて声を張っていない声が聞こえていました。
私はボンヤリしてたのか、何とも思ってなかったけれど、妻は「あれは、ヒヨドリのヒナの声だ。ほら、違うでしょ。」と言っていました。
ああ、そうなんだ、とは思ったものの、そんなに近くではないし、巣立ちをした子どもが、うちのまわりをヨタヨタ飛んでいるのだろうと思っていました。それは、お昼のことでした。
それから、たいしたこともしないうちに夕方になって、その時は珍しく、以前に伐り落としていた梅の枝を小さくしていました。もっともっと細かくして、燃えるゴミで出す算段をしていたんですけど、すべてやりきることはできなくて、とりあえず、大きな枝をみんな短くして、葉っぱのところは別にして、枝の部分だけをかためているところでした。
いつもながら、ヒマなことしているでしょ! 梅の実もいくつか、うちの木からもらったんですけど、うちの木は、枝ぶりがイマイチで、上の方にばかり伸びようとしていて、もう少し上の方のサンパツもしなきゃいけなかった。でも、そこまではできなくて、とりあえず、伐った枝の整理をしていました。
そうしたら、一羽のヒヨドリがやってきて、うちの木のまわりを叫びながら、飛び回っていました。
なわばりを主張するのではなく、敵対するトリを追い払うのではなく、ずっと誰かを探しているようでした。鳴き声が悲痛だし、ずっとずっと鳴いています。ヘビと戦うのか? そんなことはないよね。
でも、どこにも応える声はなくて、けたたましさだけが残ります。時々は静かになって耳を澄ましているようですが、反応はどこからも聞こえない。
もう、一時間ほど鳴き続け、今はもう暗くなってきたので、どこかへ行ってしまいました。ヒヨドリの子どもは、どこに消えたのだろう。
野良犬なんかいない。野良猫もいない。いるのはイタチと、近所の山のような公園にヘビがいるのと、あとはカラスくらいかな。
ヒナドリはお母さんといるんだろうか。鳴いてるのはお父さんなんだろうか。
わからないけれど、マンガのネタにはなるかな。親子が出会えたらいいな。明日に期待しようか。親子はどこで夜を過ごすんだろう。いつも寝ているところはどこなんだろう。今は、もう出会えたかな。