甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

The Babe 夢を生きた男 1992ユニバーサル

2022年08月17日 16時38分33秒 | だいたい映画、ときどきテレビ

 VHSのテープはうちのどこかにあります。でも、見ていなかった。もちろん映画館でも見たことはありませんでした。

 ジョン・グッドマンというぽってりした顔と体格の俳優さんがベーブ・ルースを演じました。何度かバットを振って打球を飛ばすシーンが映し出されますが、あの弾道・あの角度でホームランになるんだろうか、という映像でした。

 でも、そういう角度の打球がホームランになる、不思議な選手ではあったのかもしれません。何しろ彼の記録も百何年前だし、そういう記録がいまだに話題にされるくらいにすごい選手だったんでしょう。「節制すれば」というのは作中でもまわりの人たちにアドバイスされてたけれど、そんなことをあまり考えない、規格外の選手だったのかもしれません。


 映画は、彼の生涯を忠実に描いていたのだと思われます。

 七歳で少年院(キリスト教の矯正施設)に入れられるところからスタートします。母親はすでになく、父親は子どもが手が付けられないということで、強制的に入所させます。その費用は少し出したんだろうか。キリスト教系だから、子どもたちの養育費は寄付などによってまかなわれていたんでしょうか。

 そんなにそこで苦労するところは描かれず、教育係の先生が一人ずつバットを持たせてスイングさせ、たまたまこの子に回ってきたら、どういうわけか特大のホームランを打つことができた。それからそこでどんな風に頭角を現したのかは省略され、ピッチャーとしてもバッターとしても非凡な才能で、たまたま彼を見に来た人に誘われ、ボルチモア・オリオールズ、そこからボストン・レッドソックスに移籍して、ボストンでピッチャーとしてデビューします。

 映画は、どちらかというと、バッターとしての彼をクローズアップします。

 チームは、貧乏だったらしく、どんどん稼ぐ男のベーブ・ルースを雇っていけず、12万ドルでヤンキースに移籍させます。そこでもピッチャーとして活躍し、今年、大谷くんの活躍で注目された10勝以上10本以上のホームランというのを記録したのだと思われます。


 家族に恵まれなかったルースさんは、お金も体調も管理するということができなくて、あったらどんどん使い、子どもたちには次から次とお菓子や靴や、毎日がサンタクロースの日々として描かれます。

 お酒で失敗したり、監督を侮辱したり、オーナーからはただの人寄せパンダ扱いをされ、誰も彼と真剣に向き合ってくれない。

 ただ一人、レストランで見つけた女の子のヘレン(トリニ・アルバート)だけは、結婚する相手としかキスなんかしないとか、都会はイヤ、動物が好き、農場に住みたい、お酒浸りの毎日なんかイヤ、静かに暮らしたいというのですが、結婚してしまってからも、彼女が穏やかに暮らすことはできないようでした。

 家族を求め、みんなとおもしろおかしく過ごし、ワイワイ騒ぐのが好き、というのは心のどこかに満たされないものがあって、それを満たすためにはバカ騒ぎが必要で、妻をそこに引き入れようとするけれども、ことごとく失敗する。いろんなものをお金で手に入れ、夫婦の間に女の子も養女としてもらい受け、それはそれで幸せだったかもしれないけれど、それでも満足はできなかった。やはり、バカ騒ぎしてお酒飲んで、遅刻し、みんなの統制を乱し、はずれもの・はみ出し者になってしまう。


 ある時、「子どもが重病で、ぜひサインボールをください」というのを聞いて、そういうのにはめっぽう弱いルースさんは、彼の病室に行き、ホームランを2本打つと約束し、すぐにそれを実現してしまう。

 美談ではあるけれど、たまたまそれができたけれど、偶然ではなくて、何かの意志がそこにあったみたいに、伝説はできてしまう。今の世の中では、そういう子がいたとしても、誰も野球選手に「ホームランを打って」と願わないだろうし、野球選手は、みんなの憧れではなくなっています。

 そこが悲しいけれど、ルースさんの時代には、そういうことがあり得ました。

 農場好きの妻とは離婚し、ずっと前から知り合っていたクレア(ケリー・マクギリス)と結婚し、彼女はさばけた人だから、ある程度のムチャクチャも彼女の把握するところでできはしたけれど、もうキャリアの晩年は近づきつつあり、とんでもない事件を起こして、謹慎処分となる。そこから反省して、気持ちも体もリフレッシュして最後の輝きを見せ、もうこの頃には監督になる夢を抱いていたのに、オーナーからは、「自分も管理できない人間に、チームを管理はできない」と切り捨てられ、ワシントン・ブレーブスに放出され、そこでもまともに働けず、最後にホームランを打ってチームを去ることにした。



 そうしたら、ホームランを打ってみせるよと約束した子どもが立派に成長して、ルースさんにことばをかけて、映画は終わります。

 1948.8.16に53歳でルースさんは亡くなります。早すぎる終わりだけれど、たくさんの人々に夢を与え、屈辱と栄光を繰り返しながら、その足跡は今も百年後の世界にも話題となる、それくらいの太くて短い輝きのある人生だったのだというのを知りました。

 映画は、その人生の再現ドラマではあるので、まさか、ということが起こり得ますが、その場にいる人たちは、やはり何か、特別な人がそこにいる、というのを感じられたことでしょう。

 私たちは、再現ドラマ(映画)と記録でしか彼をしのぶしかないけど、そこにいたら、子どもたちは何だか不思議な安心感があったでしょう。そして、彼の妻となった二人の女性は、ずっとハラハラし通しで落ち着かなかったでしょうね。

★ 今日のお昼のNHK-BSで見てしまいました。

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