甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

春をさがして 奈良公園やみくも歩き

2014年04月07日 21時10分30秒 | 大和路を歩く
 春の18キップのしめくくりは、奈良公園の散歩になりました。もっと遠いところに行きたかったけれど、それは今度の機会にすることにして、とにかく奈良に決めたのでした。

 聖徳太子の本を読んでますから、視線は聖徳太子的になってしまって、新今宮で大和路快速に座ることができたら、大阪湾から大和へ入っていく太子の目で、遠くの山々と大和川を見てしまいます。大和川は昔はもっと大きな川で、大阪市内を水浸しにするような大河でした。だから、そこを船がさかのぼって、朝鮮半島の文物や瀬戸内海のいろんな船も直接大和をめざしたことでしょう。今なら大阪湾で足止めされてしまうのに、そのまま内陸までどんどん入れたら、なかなか楽しい船旅ができそうです。でも、船を漕いだのか、帆掛け船にしたのか、それが気になってずっと川面を見ていました。

 聖徳太子も、叔母さんの推古天皇も、蘇我馬子も、みんな朝鮮半島系の蘇我氏の出で、この一族は河内から二上山・大和という竹内街道沿いに勢力を張っていたといいます。大阪には太子町という、まるで聖徳太子のお膝元のような町が今でもあって、私はそこを訪ねたことはないのですが、この辺りに住んで、大阪の柏原から王寺に抜ける細い谷で管理して、実力をつけたということでした。昔も今も、進んだ文化を取り入れた者たちが国を牛耳っていくということらしいのです。

 そんなことで大和川を見つめていましたが、大和盆地に出たら、ウトウトし始めました。けれども、奈良駅に着く頃には、雨が激しくなっていて、何だか不安な感じです。ところが、奈良駅の外に出たら、雨は気にならないし、どんどん三条通を東へ行くことにしました。市内循環のバスにも乗るつもりだったのですが、外国の観光客のみなさんが歩いていくような気配であったので、つられてそちらに向かっていました。いつもと同じのいきあたりバッタリです。


 奈良の町を歩くということは、お寺の観光か、奈良町を歩くのか、それとも古本やめぐりかしかありません。でも今は、花粉症のシーズンなので、落ち着いて古本めぐりをする気持ちにはなれませんでした。お寺はお会いしたい仏様がいなくて今日はパスで、国立博物館で鎌倉の仏像を見る気にもなれませんでした。とにかく、奈良公園を歩きたいだけ、それが目標でした。

 ただ、最近書道を始めた妻から、「コメリではいい筆がなかったから、2500円くらいの、初心者用で楷書で書く、茶色の筆を買ってきて!」という使命を与えられ、これだけは絶対に達成しなくてはいけないと、心に誓いました。そうなると、全く気にならないような墨屋さん、筆屋さんが気になって、興福寺にたどり着くまでの二三軒は、まず下見状態でチェックしました。ただ、入りにくいお店もあって、ここはもう1度チャンスがあったら入ろうと、最初はスルーして、興福寺の三重の塔に行きました。全く知らなかったけれど、そこにもしだれ桜がこじんまり咲いていて、なかなかステキと思い、カップルで写真撮ってる人たちがのいてくれたら、写真撮ろうと、待っていると、この人たちは韓国の若きカップルでした。



 南円堂と馬酔木も写真に撮り、これで妻さえいてくれたら、堀辰雄の「大和路・信濃路」になるのになと思ったりしました。内容は忘れたけれど、夫婦で馬酔木の花を見つける話でしたね。


 興福寺を抜けて、国立博物館を横目に見て、ふと左手に鳥居の右左に桜が飛び出ている神社を見つけ、普段なら素通りしていた、気にもとめなかった神社が気になって、そちらに向かい、狛犬マニアの私は、赤い前掛けをしている狛犬さんと桜もいいねえと写真を撮ったのでした。何がやりたいんだか……。


 大仏前信号までたどりつくと、二月堂から春日大社に向かう道筋に墨屋さんがあるのは知っていたので、あそこだったら筆もあるかと、とにかく大仏殿には向かわず山側を歩いていきました。広大な東大寺の伽藍のあとの公園を、桜を見ながら歩き、三月堂、四月堂、二月堂と歩いて、二月堂はただで回れるから反時計回りで回りました。西の空はいつものおだやかな奈良の町が見えて、しかも桜の季節なので、訪れる人みんなが心弾んで歩いていて、日本人だけではなくて、イスラム系のインドネシアの女性たち、立派な体格のヨーロッパの女性たち、中国の家族連れ、オセアニアの元気な若者集団など、国際都市の中を私もその一員となって歩きました。

 これは昔とは違う感覚ですね。昔なら、すべてが日本の家族連れで、東大寺を拝み、若草山でくつろぎ、猿沢の池から興福寺を望む写真を撮り、鹿とたわむれる、そういう典型的な奈良観光がありました。今は、そうした観光はすたれてしまいました。家族連れは奈良市内にはあまり来なくなったようです。代わりに若い女性たちとオッサン連が写真を撮るためにやってくる町になったのかもしれません。そして、好奇心のある外国の人たちがやってきます。


 二月堂へ上る坂道では、ウェディングドレスの女性が二人、モーニングだか、タキシードだかの女性をエスコートする男性、注文をつける遊び人風の男、お化粧など担当の女性という集団がいました。映画の撮影かと一瞬思ったけれど、カメラの男があれこれ注文をつけている中国語が耳に入り、彼らは異国の地・日本で結婚記念の写真を撮っているのだなと理解しました。以前テレビで見たような記憶がありました。だから、半袖は寒いだろうに、きれいな中国女性は、何だか頼りない男の人を見つめて、じっと座ったままいろんな表情を見せていました。

 とてもかわいくかれんなものこそ、実は力と意志があって、自分の決めたことを着実にやり遂げていくのです。男はその前後をドタドタ何の役に立っているのかわからん動きをして、かえって女の人をハラハラさせるけれども、女性の力によって少しずつステップアップすることができる。

 頼りなさそうに見える男の子よ、君も自分の国に帰ったら、自分の道を頑張るんだね、とか思いつつ二月堂です。まるで奈良観光じゃなくて、公園の中であれこれしている人を見に来たようなものでした。

 二月堂から下を見下ろすと、そうではありません。回廊の上から顔を出した桜たち、これは何ともキレイで、みんなが見とれています。私も、もう少しじっと眺めればいいものを、とにかく写真撮らなきゃとオタオタしてしまいます。


 目的の墨屋さんは? 何だか敷居が高くて入れませんでした。そのためにここまで歩いてきたというのに、「まあ、外から見たら筆はなさそうだ」と言い訳して、もう気持ち的には三条通のお店で何とかしようという気持ちに変わってしまいました。


 もちい殿商店街には筆屋さんはありませんでした。それでは、行きではスルーしたお店に入ってみようと、だれもお店の人がいない雰囲気だから、勇気を出せて入ってみると、おじいさんが中から出てきてくれて、こちらのわけのわからない注文をサラリと聞いてくれて、「こちらから好きなのを選んでください」と、すべてまかせてくれて(押し売り的でなくて、あまり商売っ気がなかったんです)、おかげさまで筆をエイヤッと決めて買って帰ったのでした。妻の感触は上々で、すべてを筆を買うために費やしたような1日は終わったのでした。


1 桜咲く奈良の三条筆選び

2 若草山持ち上げかねぬロシア女性(ああ、無季だぁ!)

3 桜舞う奈良公園の若夫婦

4 花は舞い集団撮影ボンネットバス


5 学舎の両手に桜を配す道


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。