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俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

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聞くままにこれ行わんか? 中思34

2018年10月05日 22時05分12秒 | 中国の思想家のことば

 「論語」の先進の22番目のことばです。とりあえず、書き下し文と口語訳をしてみます。

 子路(しろ)問う、聞くままにこれ行わんか。

 先生、与えられた指示をその通りに行うことって、よろしいのでしょうか。

 あれ、ヤンチャな子路さん、不思議な質問をしましたね。政治家・執政官として、上の指示をどのように実施していくべきか、聞きたかったんでしょうか。そりゃ、行動力のある子路さんだから、「どんどんやりなさい」という先生のおことばが欲しかったのかもしれない。

 それに、政治家にとって行動することって、大事です。行動しないで、人事とか、派閥工作とか、ゴルフとか、すり寄って来るヤツらと一緒に過ごすことばかりの政治家って、そんなの私は要らない。まあ、国民の皆さんがそれでいいと思っているから、日本はさらに三等国、四等国になっていくんでしょう。せいぜい治安だけはなんとかしなくちゃね。

 またボヤいてますよ、どうせ無理なんだから、やめておいた方がいいですね。



 子曰く、父兄(ふぼ)在す(います)有り、如何ぞ(いかんぞ)、それ聞くままにこれ行わんや。

 君はご両親も健在でしょ。そのご両親のおそばに控える必要がありますよ。勝手にホイホイと動くべきではありません。どんなことがあったとしても、あなたは上の人の指示や命令に従って、直線的に行動するべきではないのです。

 君は、一歩踏みとどまって、ご両親のことを考えるべきなんですよ。

 あっ、孔子先生は、子路さんにブレーキをかけた。まあ、ブレーキをかけたって、子路さんが行くぞと決めたら、それはもう突進していくはずですけど、それでも、先生としてはこのように助言しなくてはいけなかった。

 子路さんは突き進んでいく弟子だ。でも、そのブレーキとして、私は彼にことばを提供し続けねばならない。それが師弟関係にある私たちの宿命でもあるのだ。

 だから、本人がふてくされようとも、本人が納得しない風でも、彼にことばとしては差し出してあげなくては!

 先生の愛なんですね。私は、今までに励まされはしたけれど、ブレーキをもらっただろうか……。振り返ると、中学の時にもらったかな。高校は、あまりに勉強をしなさすぎて、「頑張れ」ばかりをもらってましたっけ。

 でも、ことばのブレーキって、ただ「……やめなさい」「……してはいけない」でもダメですよ。若い人は反発してしまうでしょう。やはりそこには先生の愛から出たことばが必要だな。

 これは大人の子弟だから、お互いのめざすところも高いレベルにあるんでしよう。

 大人になってもブレーキを与えてくれるって、現代の私たちにはそんなお方いないですね。だから、現代の大人はあれこれと組織や団体・結社・グループを求めているところはありますね。ブレーキが欲しいんでしょう。



 冉有(ぜんゆう)問う、聞くままにこれ行わんか。

 冉有さんというお弟子さんも質問をしました。彼も政治家としてどうあるべきか、上の人が要望を出し、部下としてはそのリクエストに応えないと、自分の地位があぶないのです。

 採用してくれた上司のいうことをそのまま行動に移すべきなんでしょうか?

 子曰く、聞くままにこれ行え。

 先生はおっしゃいました。それはもう、ぜひ、行動しなさい。それがあなたに求められていることですよ。

 公西華(こうせいか)曰く、由が聞くままにこれ行わんかと問えるとき、子は父兄在す有りと曰えり(のたまえり)。求が聞くままにこれ行わんかと問えるとき、子は聞くままにこれ行えと曰う。

 そのやり取りを聞いていたお弟子さんがいました。公西華さんという人で、子路さん(由)の時には、ご両親がおられるから、やめなさいと先生はおっしゃいました。

 冉有さん(求)がお訊ねした時には、先生は「やりなさい」とおっしゃいました。まさにその通りでした。

 赤(せき)や惑う。敢えて問う。

 公西華さん(赤)は混乱しています。上からの命令は絶対ではないのか? それとも是々非々で判断して行動するということなのか? 先生はそんなことを言われているのか? もう、分からなくなりました。

 そういうふうに質問しています。

 先生は、この公西華さんには、人の持ち味によってあたえることばは変えなくてはいけない、というのを教えなくてはなりませんでした。

 子曰く、求や退く、故にこれを進む。由や人を兼ねんとす、故にこれを退く。

 先生はおっしゃいました。「求という弟子は、消極的なところがあるんだよ。だから、彼の場合は背中を押してあげなくてはならない。放っておくと彼は行動しないんだ。だから、何でも飛び込ませなくてはならないんだ。

 一方、由という弟子はね、他人を押しのけてしまうところがあるんだよ。だから、彼には踏みとどまることを助言として与えておきたかったんだよ。私がそうしておいても、彼は突進するときはあるかもしれない。

 それでも、彼の師としては、彼に一歩退くことをことばとして伝えたかった、そういうわけなんだよ。」

 先生は、人それぞれの持っているものを推し量り、適切なことばを与えておられたのか……。

 先生の宇宙を感じてしまう一コマでした。

 私も年なんだから、そういう助言ができるオッサンになりたいなあ。まあ、無理かもしれない。


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