夜行列車の臨時快速「ムーンライトながら」が廃止されるそうです。乗車券だけで乗れる夜行列車はこうしてなくなっていくようです。残念ではありますが、普段から乗れていない私は、廃止しないで! という権利を失っている。
それに、東京に夜行列車で行くなんて、体力的にも無理かもしれない。それだったら、出雲とか、高松から寝台特急でめざすくらいでしよう。でも、それもたぶん無理です。チャンスがありません。
夜の闇を抜けて、少しずつ外が明るくなっていき、そのとっかかりの時間に駅の外に飛び出たこと、たぶん、ものすごく昔に、愛知県の蒲郡というところで、飛び出たことがありました。
海が見えるだろうし、竹島という陸につながった島を見に行こうと、それだけの理由で駅の南側を真っすぐ海に向かって歩き出していきました。
夏の朝の五時前だったのか(もう少し早かったかな?)、スズメたちは電線の上でものすごくおしゃべりをしていて、それだけで騒がしいくらいの、大きなうなり声になっていて、すごいこともあるものだと感心したものでした。初めてスズメたちの大群を見た!
ですから、その後、竹島をどんなふうに見たのか。写真は撮らなくて、ただ見ただけでしたけど、スズメの大合唱しか覚えてなくて、そこから名鉄で名古屋駅に向かって、それから近鉄で大阪の実家に帰ったんだと思われますが、何も憶えていません。
鉄道は、大抵は平地を走るので、山がちな日本であれば、レールは海のそばになってしまいます。海が荒れて、レールが潮に濡れるような、そんなすぐそばを走る鉄道というのもありますが、少しだけ海から離れている場合など、チラッと見える海にドキッとしたりしたものでした。
どうして、車両の中から海が見えると、あんなにときめくのか、あの解放感って、不思議なんです。光があふれていたりしたら、しばらく見とれてしまう。海をめざして来たわけではないのに、改めて海がそこにある町に来て、そこで自分は何かをしなきゃいけないんだ、と覚悟するみたいな、解放感と使命感みたいなのを感じることができたんですね。
海を見つけた。しばらくそこで遊んだ。そうしたら、お城のある町に行き、最後は家に帰る。当然のことだけど、その手順を踏まなくてはならない。
鉄道で、遠くに移送されるわけではなくて、あくまでも家に帰るために遠出してみただけのことでした。
昔、自分の意思に反して強制的に移送された出来事が、よその国ではあったみたいですが、もう、そういうことは許されません。今でも、そんなふうにして人権を抑圧して平気の国もあるということですが、私みたいな何にもできないヤツでも、心を痛めています。何かチャンスがあれば、そういうことを止めさせたいけど、どうしたらいいのかなあ。
そして、私を降ろした列車は次の駅に行きます。
私は家に帰りますし、列車も目的地まで着いたら、回送されて、お役御免になるんでしょう。
朝が来たら、少しだけ前夜の旅の疲れを抱えながら、とりあえずその日の日課をしていくのかな。
冬の朝の今は、静かに雨が降っています。そんなに寒くありません。コタツを出して、ゴハンでも食べるかな。久しぶりにコーヒーでも淹れなくちゃ!