今はわりと穏やかだけど、今朝まではずっと殺人者になったかもしれないと不安な気持ちでした。
まあカエル殺しはしょっちゅうやっていて、本当に申し訳ない、神様ごめんなさいと思っています。カエルをよけたら、今度はこっちがそのまま対向車線をはみ出して正面衝突してしまいそうで、雨の日は本当に恐ろしいと思っています。
たぶん、何匹ものカエルさんを踏みつぶしているはずです。申し訳ありません。
今日は、数匹の鹿の集団を見ました。昨日は、大きな牡鹿と、母子鹿を見て、冬の前にたくさんの鹿たちが里に下りてきているんだなと思ったものですが、昨日はてっきり殺人の集団に加担したのではないかと、少し怖い気持ちがしていた。
昨日、帰りは少し遅かったんです。少し焦りつつ帰っていた。もう私なんか放っておいて、勝手にゴハンを食べていてくれればいいものを、家族のみなさんは待っているということでした。
だったら、ぶっ飛ばして帰ろうという、変なスケベー心も少し湧いてしまった。
といっても、それなりに慎重に、タヌキやシカやサルをひかないようとポイントを押さえて走っていたつもりでした。
下りのカーブがあって、そこは自然とスピードがゆるくなるし、ちゃんとブレーキを踏んでカーブを下りていきました。
カーブの底に何か見えた、と思ったら、もう乗り上げていて、ガタンガタンといいました。
なんだろう。白っぽく見えたけれど、柔らかい動物を踏んだわけではなさそうでした。
タヌキやシカなんかが、地面に倒れていたとしても、道路の幅の3メートルくらいに広がるということはなさそうです。大きなシカだろうか。だったらイヤだなと思いつつ、狭い山道だから、そのままずんずん走りました。
平坦な道について、ここでユーターンするという選択もあるよな。と思いはしたものの、結局そのまま進んでいきました。
街中に下りてきて、コンビニの駐車場に入り、クルマを止め、クルマのまわりをクルッと回ってみました。
パンクはなさそうです。けものの血みたいなのもありません。いつものお掃除していないうちのクルマのまんまです。
特に変わったところはありません。何かに乗り上げたのは確かだけれど、かなり固かったけれど、ガスンガスンしたけれど、あれは何だったのか。
かけらもヒントはありません。仕方がない。引き返すのも夜は遅いし、明日になったら、なんとかなるだろうととそのまま帰ってしまいました。
家族に話すと、どうしてそこで引き返してみなかったのかと問責されました。
確かにその通り。しかし、私は戻らなかった。もどっても何もわからないさ、とかなんとか言い訳しながら、そのままお酒なんか飲んで、知らないふりをしました。
多少は気になるけれど、家族に話したら、そんなにたいしたことではないという気分になって、すぐに忘れてしまいます。
そして、今朝ふたたびそこを通ることになりました。
現場を見ると、カーブの底には土砂が流れた後があり、道の脇に大きな石がよけてありました。この道を通る知り合いに訊いてみると、その人も昨夜石を踏み越えてガクガクしたということでした。
私だけではなかった。
もしかして倒れている細長い人の端っこを踏んだのではないかと心配するというわけでもないのだけれど、とにかく後味が悪くてモヤモヤしていたのに、太陽の下で現場を見たら、ただの石ころであったのだと安心したのでした。
幽霊の正体見たり枯れ尾花
そういう句があるけれど、それと同じで、何か倒れた生物か何かだと思っていたものは、実は崩れた石ころだった。
石ころを踏んでひき逃げした気分
そうですね。カエルの時は、もうひき逃げの常習犯で申し訳ない気持ちを抱え、どうにもできていなかった。
今度、どこかでお祈りするチャンスがあったら、家族と世界の平和ばかり祈らないで、カエルくんたちの供養もお願いしなくてはなと考えました。
ぜひ、そうします。