冬を前にして、うちのメダカ鉢には三匹のメダカがいました。外で氷点下の時も、信楽焼の鉢なら、なんとか乗り切れるだろうと、三匹に頑張ってもらうことにしました。なるべく日の当たるところで、目の届くところに置こうと、寒い日の朝なんか、のぞいてみたりしました。あまり動いていないようだけれど、冬はじっと耐えているのだ、ということにしました。
本当なら、家の中で飼ってあげたら、メダカたちもゆったりとした冬が過ごせただろうけど、それはしてあげてなかった。それに、外で飼ってる人たちもいるみたいだし、何とかなるかな、という見切り発車で何年もやって来ています。
メダカの命は三年ほどしかないのだから、その間にいろんなことを経験させてあげたいけど、それは余計なお世話で、メダカはきれいな水と適切な食事と穏やかに過ごせる環境さえあれば、特に不平はなかったんでしょうか。
春になったら、メダカは二匹しかいないようでした。ヒメダカなので、オレンジ色なんですけど、少しだけ黒い斑点のある、動きも特別だった一匹はいなくなっていました。この黒い斑点のメダカは、卵から大人になったメダカだったと思うのですが、私がちゃんと管理してあげなかったから、いなくなってしまっていました。
それから、春から夏にかけて、特に何ということもなく、時折水替えをしたりして、その時だけはメダカと仲良くなれるんですが、すぐにスイレンの茎に藻がついてしまって、中が見えなくなると、ついつい疎遠になってしまっていました。気づいたら、たったの一匹になっていました。
それではかわいそうだからと、10匹ペットショップで買ってきて、一緒に入れてみたら、なんとベテランの一匹がみんなに小突き回されていました。これは大変と、冬や夏まで越して来た一匹を別の鉢に入れました。
でも、残念ながら、その一匹もいなくなってしまいました。ツルッとした安物の鉢は、呼吸ができないのか、わりとメダカたちはいなくなってしまうので、こちらで過ごすことになって、ベテランメダカも命尽きてしまいました。私は、メダカもちゃんと育ててあげられない、とんでもない野郎でした。
ああ、申し訳ないことをした。もう、こちらは水も捨てて、何か他の用途に使おうと思った矢先、突然、一匹の赤ちゃんメダカが生まれていて、他にもいてもよさそうなのに、この一匹だけで、それがこの何日かで大人よりも少し小さい程度くらいに大きくなりました。
だったら、信楽焼の鉢に入れて、仲間たちと仲良くやればいいや、と、そちらに移動させてみたら、よく思わないオトナがいて、いじめられているみたいで、もとの安物鉢にもどしました。ああ、同じ仲間なのに、少し小さいといじめられてしまう。
メダカを責めるわけにはいきません。メダカたちも必死で生きているんでしょう。人間がちゃんと配慮しながら、メダカたちが住みやすいようにしてあげるしかありません。
かくして、結局、移動させ、またもとに戻して、チビメダカが大きくなるのを待つことにします。こんなに暑いけれど、大きくなれるかどうか、大きくなっても、冬はどうするのか、考えていきたいです。