報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「月曜日の夜」

2025-02-11 21:19:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日18時00分 天候:雨 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 

 今日は夕食にステーキ肉が出て来た。
 リサはTシャツの裾を結んでヘソ出ししている。
 リサ曰く、暑いのだそうだ。
 もちろん、室内は冷房を入れている。
 私も自分自身、比較的暑がりな方だと思うし、恐らく冷房は強めに入っているのだと思う。
 しかし、リサはそれでも暑がった。
 今は人間形態ではなく、鬼形態になっている。
 これが今のところ、1番楽な姿。
 人間形態へは、『化けている』だけ。
 早く、人間形態の方が普通の状態になってもらいたいものだ。

 愛原「リサ、飯食ってる時はスマホの操作はやめとけ」
 リサ「はーい……」
 パール「先生、ビールにされます?」
 愛原「それがいい」
 リサ「わたしも」
 愛原「リサは後で、“鬼ころし”飲んでおきなさい。暴走防止の為にも」
 リサ「うへぇ……。あ、そうそう。ミキからLINEがあって、予備校の合宿に行こうって誘われてる」
 愛原「予備校の合宿ぅ?リサは難関大学受けるわけじゃないんだから、別にそこまではしなくていいんじゃないの?」
 リサ「私もそう思ったんだけど、ミキが、『このままの成績じゃ高校卒業できない~!』って泣きながらLINEしてきた」
 愛原「大学受験以前の問題じゃねーか!美樹って不良なのか?」
 リサ「いや、脳筋なだけ」
 愛原「脳筋なの?」
 リサ「秋北学院高校、女子バレー部のキャプテンだってさ」
 愛原「へえ……。でも、それだけで脳筋扱いは……。スポーツ特待生とかは?」
 リサ「ムリ!弱小バレー部だから!」
 愛原「ハッキリ言うなぁ……」
 リサ「多分、東京中央学園のバレー部より弱いよ?うちのバレー部も弱い方だけど」
 愛原「ハッキリ言うなぁ……。でも最近、活躍してるんじゃないの?去年は東京都の大会に出場できたんだろ?さすがに全国大会出場までは行けなかったけど、それでも、手が届きそうな所までは行ってたじゃん」
 リサ「わたしのおかげ」
 愛原「リサ、何かしたか?」

 リサは特定の部活動への所属が禁止されている。
 但し、助っ人として参加することはだけは許されている。
 それでも、リサが女子バレー部に助っ人として参加したという話は聞いたことがない。
 まあ、練習とかの手伝いはしたことがあるようだが。
 女子相撲部や女子レスリング部もだな。
 その縁で、教頭先生のベンツAMGを素手で持ち上げて反転させるという勝負を受けたのだ。

 リサ「先生の為にブルマ復活させたw」
 愛原「えっ?」
 リサ「バレー部も昔はブルマだったからね。見たことない?」

 今の女子バレー選手のユニフォーム、下はスパッツだ。
 学校でブルマが廃止されるのと前後して、女子バレー界でもブルマが廃止された。
 あそこで復活してくれたら、学校の方でも復活できそうな気がするのだが。

 リサ「ほら、証拠w」

 リサは手元に置いたスマホを操作して、私に画像を見せた。
 女子バレー部のユニフォームも、スクールカラーの緑色を基調としたものである。
 スパッツに関しては、学校の体操服のショートパンツと被らないよう、ピッタリしたタイプの物となっているし、体操服が無地なのに対し、バレー用はサイドに太い白いラインが1本入っている。
 それが、リサの画像に映っている女子バレー部員はスパッツではなく、ブルマを穿いていた。
 正面には2本のダーツ線が入り、サイドにはスパッツと同じ白く太いラインが1本入っている。

 愛原「お、オマエなぁ……」
 リサ「でも、ブルマに戻してから強くなったって言われた」
 愛原「そ、そうなのか!?」

 女子陸上部じゃあるまいし……。
 女子陸上選手が露出の高いユニフォームを着ているのは、0.1秒でもタイムを縮める為に、なるべく走りやすく、ユニフォームを軽量化させた結果である。
 また、走り幅跳びや走り高跳び、棒高跳びについても同じ事が言える。
 以前、フェミニストの団体がその露出の高いユニフォームをやめるよう、女子陸上界にクレームを入れたそうだが、先述した通り、実用的な理由でそういうユニフォームを着用しているということもあり、そのクレームを突っぱねたそうだ。
 その為、今でもあのユニフォームを見ることができる。
 しかし、女子バレー界の方はそこまで実用性は無かったらしく、スパッツにしてしまっている。
 あれ?だったら、ビーチバレーの選手は?今や、女子陸上ユニフォームより露出高いで?

 リサ「だからミキの学校でも、ブルマにしてやる」
 愛原「お、おい!他校にまでそれは……」
 リサ「秋北学院のスクールカラーはエンジとか赤みたい。体操服もエンジのジャージとからしくて、昔はエンジのブルマだったらしい」
 愛原「ふーん……」
 リサ「わたしの力で復活てせあげるからね、先生?」
 愛原「い、いや、その……」
 リサ「女子バレー部は赤いスパッツらしい。ということは、昔は赤いブルマだったということ。それに復活させてやる」

 リサはギラリと目を赤く光らせた。

 愛原「お、お手柔らかにしてやれよ?」
 リサ「分かってるよ。ミキのブルマ姿、先生にも見せてあげるねぇ……」

 何だろう?
 リサ本人は私の気を引く為にこんなことをしていると聞いたが、実は本人もノリノリだったりして?

 愛原「それより夏期講習合宿のことだが、ちょっとネットで調べてみたところ、8月の上旬から中旬に掛けて行う所が多いみたいだな」
 リサ「8月かぁ……。じゃあ、7月の間に夏休みの宿題終わらせないとね」
 パール「どのくらいの期間、行われるんですか?」
 愛原「それはもう、塾や予備校によってピンキリだよ。短くて2泊3日、長くて1週間くらいは泊まり込みでやるらしい」
 パール「そうなんですか」
 愛原「そして、塾によっては合宿をやらないところもある。『普段から勉強しているのだから、あえて夏休みだから、冬休みだからといって特別なことをする必要は無い』なんて教育方針の所もあるそうだ」
 パール「なるほど。正論と言えば正論に聞こえますね」
 愛原「リサがそれに当てはまるわけなんだが……」
 パール「興味はあるんだよね……」
 愛原「まあ、善場係長に相談してみるさ。因みに、美樹はどこがいいとか言ってた?」
 リサ「まだ聞いてない。後で聞いとく」
 愛原「そうしてくれ」

 私はそう言ってステーキ肉を頬張ると、ビールで流し込んだ。
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“私立探偵 愛原学” 「月曜日の夕方」

2025-02-10 20:32:30 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日16時00分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所→ 同区菊川3丁目 墨田菊川郵便局]

 パールが買い物から帰って来るまでは、事務所を空にはできない。

 パール「これから郵便局に?それなら、私が行きますよ」
 愛原「いや、いいんだ。パールは暑い中、買い物に行ってくれたし、今度は俺が行くよ」
 リサ「私も行く!」
 パール「そうですか。ということは、これから郵便局に?」
 愛原「そう」

 レターパック2つ分に分ければ送れそうだが、それよりはダンボール1箱に纏めた方が料金も安く済むというもの。
 貴重なVHSテープとDVDということもあり、沖野貢氏は1つずつプチプチで梱包してくれていた。
 今度は私がその意気をデイライトさんに見せる番だ。

 愛原「というわけで、留守番よろしく」
 パール「かしこまりました。……あ、先生」
 愛原「ん?」
 パール「郵便局に行かれるのでしたら、これもお願いできますでしょうか?」

 パールは1通の封筒を私に差し出した。
 それは高橋宛ての手紙であった。
 宛先は東京拘置所から、再逮捕先の本所警察署になっている。
 高橋を再逮捕するのに、本所警察署が動いた理由は不明だ。
 この菊川地区も管轄している警察署で、高橋の現住所はここだからだろうか。

 愛原「分かった。速達にしておこうか?それとも簡易書留?」
 パール「い、いえ。普通郵便で結構です」
 愛原「遠慮しなくていいのに」
 パール「留置場に入っているマサを気遣うだけの内容で、特に急ぎの内容とかは書いてないので」
 愛原「そうか?」

 今日は弁護士の秤田先生が高橋の面会に行ったと思うが、まだその結果は来ていない。

 愛原「まあいいや。とにかく、行って来る」
 パール「行ってらっしゃいませ」
 リサ「行ってきます」

 Tシャツにショートパンツに着替えたリサが、私の腕を取った。

 愛原「お前は来なくてもいいんだぞ?」
 リサ「わたしも途中で買いたい物があるから」
 愛原「何だそりゃ……」

 というわけで、家から徒歩5分くらいの所にある郵便局に向かった。
 空は太陽が雲に隠れ、ジリジリとした照り付けは無いものの、非常にムシムシしている。
 こりゃまた夜は雨でも降ってくるのだろう。
 というか、天気予報ではそうなっていたはずだ。
 曇り方からして、夜とは言わず、もっと早くから降ってくるかもしれない。
 菊川駅前の大きな交差点を渡り、その先の郵便局に入る。

 リサ「先生、ポストに入れないの?」
 愛原「パールはああ言ったけど、今ポストに入れても回収は明日になる。そうなると、届くのは明後日だ。せっかくの愛の手紙、早めに届けてあげたいじゃないか」
 リサ「さすがは先生!」

 郵便局の中は、さすがに冷房が効いて涼しい。
 記帳台に行って、ゆうパックの伝票を書く。
 善場係長は着払いで良いと仰ったので、ここは素直に着払いの伝票に記載する。
 ……え?日頃からお世話になっている大口顧客なのだから、送料サービスにしろって?
 もちろん、相手が民間人または民間企業だったらそうする。
 だが、相手はNPO法人の名を借りた国家公務員の集団だ。
 こういう会計関係もきっちり管理しているのだろう。
 着払いと織り込んでいるのに、勝手に発払いにして書類の書き直しをさせるようなことになったら、逆に迷惑ではないか。

 愛原「すいません、ゆうパックと、この手紙を速達でお願いします」
 局員「かしこまりました。ゆうパックは着払いですね?」
 愛原「そうです」

 時間指定については特に何も言われなかったが、一応、午前中指定にしておいた。
 明日も平日だから、仮に善場係長が不在だったとしても、他の職員が受け取ってくれるはずだ。

 愛原「あと、これを速達で」
 局員「かしこまりました」

 既に切手は貼ってあるので、その差額分を請求される。
 もちろん、ここは私が出してあげることにする。
 ゆうパックと速達の控えをもらうと、私達は郵便局をあとにした。

 愛原「あとは係長に『ゆうパック送りました』とメールするだけ」

 私は伝票の控えをスマホのカメラで撮影すると、それを添付して報告した。
 ちゃんと送ったという証拠になるし、追跡番号も分かるので、係長側からも荷物の行方を調べることができる。
 速達郵便に関してはそういった番号が無いので、明日届くのを期待するだけだ。
 まあ、明日届いてもすぐ本人には渡されず、検閲されてから本人に渡されるシステムだろうが。

[同日16時20分 天候:晴 同区菊川2丁目 ファミリーマート墨田菊川駅前店→愛原学探偵事務所]

 ついでにゆうちょ銀行のATMで自分のポケットマネーを少し下ろしてから、リサに手を引かれて菊川駅前のコンビニに入った。
 ここも冷房がよく効いている。
 リサが買ったのは、おやつはもちろんだが、生理用のナプキンなど、女の子ならではの物だった。
 そういった物ならパールに頼めば買って来てくれるだろうが、パールの行きつけのスーパーだと、なかなか売っていないのだそうだ。
 自分に合うナプキンは、何故かこういうコンビニに売っているとのこと。
 尚、ドラッグストアに行けば、確実に手に入るらしい。
 残念ながら、男でそういう物が不要な私には、話を聞くことだけしかできなかった。
 ドラッグストアには男性向けにも尿漏れパッドが売られているが、それが合う合わないというのに近いのだろうか。
 もちろん、私はそんなものは使っていない。

 リサ「最近、重くて起きられない日もあるからね。これも少し変えた方がいいと思った」
 愛原「そういえばリサ、そういう時もあるな」
 リサ「鬼型BOWというか、鬼の女はやっぱり『軽い』事が普通みたいだよ。ミキもそう言ってたし、ミキの村の鬼の女達もそうだって。半鬼のリンとリコは、『重い日』」もある」
 愛原「ということはお前、人間に戻れているということになるんじゃないか?」
 リサ「でも、そんな自覚無いよ?あー……最近、電撃とか出せなくなってるかも」
 愛原「やっぱり!」
 リサ「寄生虫とかは出せるけどねw」

 リサは口をモゴモゴさせると、舌をペロッと出した。
 その舌の上には、真っ白なイモムシのような物が載っている。

 愛原「いいよ、見せなくて」
 リサ「んん」

 リサは再び口を閉じると、寄生虫を体の中にしまった。
 この寄生虫は、ただの寄生虫ではない。
 リサの思い通りに行動させ、寄生虫が見ている視点をジャックできるスキルを持つ。
 G幼体が更に超小型化したものではと見られているが、関連性は不明である。
 とにかく、リサが体内に有しているGウィルスによるものなのは明らかである。

 愛原「さっさと帰るぞ」
 リサ「はーい」

 残りの事務作業があるし、リサは再びテスト勉強だ。
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“愛原リサの日常” 「旅行翌日の月曜日」

2025-02-10 16:03:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月3日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 学校掲示板に学校新聞が掲示される。
 そこには、毎年恒例の“学校の七不思議特集”が掲示されていた。

 リサ「最近の話題が無いなぁ……」

 七不思議を見てみると、最新の物でも2008年に起こった物とか、怪奇現象全盛期の1990年代の話ばかり。
 それもヒトコワ系ばかりだ。
 結局、幽霊や妖怪が出てくる話の正体は、特異菌による幻覚症状だという真相が分かってしまったからだ。
 それとは無関係のヒトコワ系ばかりが紹介されている。

 淀橋「最近の『学校の怪談』は怖くなくなったね」
 小島「今や、『学校の七不思議』のうち、ほとんどがリサが関わってるものばかりだしね」
 リサ「エッヘン!」

 今や廃れたボクシング部の怖い話は、学校から外れた合宿所内での話だったが、これも結局学園内で特異菌に感染し、その幻覚症状が合宿所内で現れたものとされている。

 淀橋「今回は七不思議の集まりに呼ばれなかったんだ?」
 リサ「どうしてだろうねぇ……」
 小島「魔王様が参加したりして、機嫌を損ねるヤツがいたらバッドエンドになるからじゃない?90年代、バッドエンドになった回とかあったんでしょ?」
 リサ「らしいね。わたしも呼んでくれたら、とびきり怖い話をするのに……」
 小島「存在だけで怖いのに、話までされたらお漏らししちゃいます」
 リサ「いいね!」

 尚、教育資料館に転用されている旧校舎は、未だに再建中とのことで立入禁止のままである。
 これもまた、今回の『学校の七不思議特集』が盛り上がらなかった理由でもある。

 リサ「久しぶりに『血の老廃物』をもらおうかな?ねぇ、2人とも?」

 リサは学校にいる時は基本人間形態なのだが、時折力を解放する時がある。
 ギラッと2人に赤い瞳を見せるリサだった。

 淀橋「御意」
 小島「仰せのままに……」

[同日15時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所2階]

 リサ「ただいまァ!」
 愛原「お帰り。ん?今日は少し早いな?」
 リサ「期末テスト期間中だからね」
 愛原「マジか。勉強してたっけ?」
 リサ「してたよ!昨日、一昨日は仕事だっただけで。てか、昨日帰ってから勉強してたでしょ?」
 愛原「あー、そうだったか。悪い悪い。俺も仕事が忙して気がつかなかったよ」

 愛原は頭をかいて弁明した。

 愛原「で、テストどうだった?」
 リサ「まあまあじゃない。学校のテストなんて、赤点取らなきゃいいんだし」
 愛原「おいおい。受験生でもあるんだから、それは困るよ」
 リサ「東大とか狙うんだったら、先生の言う通り。それこそ、満点狙う勢いじゃないとダメだと思うけど、わたしは違うから」
 愛原「まあな」

 正直、リサの志望校である東京中央学園大はFランク大学に匹敵するような所なので、付属の高校で赤点を取らないで済む学力なら普通に合格できると言われている。
 なので、わざわざ学習塾や予備校に通う必要が無いわけだ。
 そもそもまだ人間に戻れていないリサの進路はほぼほぼ決まったようなもので、本来なら高校など行かなくても、デイライトに入って善場係長の部下として働くことになっている。
 それが高卒でOKに変わっていたのだが、リサの希望で愛原達は大学に行かせることにした。
 元々は高卒でもいいような採用条件なので、大学も学歴フィルターも掛けられることなく、そのまま採用となる。
 BOWのままのエージェントなど世界初となるので、その筋からは注目されている。
 アメリカではBOWと化す直前にワクチンを投与されたことでそれを防げたものの、残ったGウィルスが遺伝子と融合して驚異的な身体能力を残したシェリー・バーキンや、日本では1度BOWになったものの、すぐに人間に戻れた善場優菜の例がある。
 つまり、BOWのままのエージェントはリサが初めてとなる。
 それが大学進学を機に、4年延長となった。

 愛原「それでも、夏期講習には行くか?」
 リサ「ミキが『一緒に行こう』って言うからねぇ……」
 愛原「学校の友達は?『魔王軍』とか……」
 リサ「皆して行きたい大学がバラバラだから、勉強の仕方が違うんだよ」
 愛原「あらま!」
 リサ「まあ、しょうがないね。どうせわたしが卒業したら、『魔王軍』も解散だよ」
 愛原「そんで、大学でまた『仲間』を作るわけか……」
 リサ「そう!」
 愛原「早く人間に戻れるといいなぁ……」
 リサ「ねー!」

 その時、事務所のインターホンが鳴った。

 リサ「はーい!」
 愛原「いいよ、俺が出る」

 因みにパールは夕食の買い出しに行っている。

 愛原「はい、愛原学探偵事務所です」
 配達員「こんにちは!佐川急便です!」
 愛原「はーい、今行きます」

 愛原がハンコを持って1階のエントランスに向かった。

 リサ「わたしが行ってもいいのにぃ……」

 制服姿だからだろうか?
 今は盛夏服のポロシャツと短いスカートを穿いている。

 愛原「やっと届いたよ。あのペンションからの……」
 リサ「それ、なに?」
 愛原「地下の資料庫で見つけた動画のテープとDVDだよ。あれは貴重な資料だから、デイライトさんも確認したいんだってさ」
 リサ「あのエロ動画を?」
 愛原「両親の記録映像をエロ動画って言うなしw」
 リサ「だってエロ動画だもん」
 愛原「……まあ、内容はな。あとは中身を確認して、デイライトさんに送るだけ」
 リサ「中身を確認!?わたしも観る!!」

 リサは鼻息を荒くした。

 愛原「映像は観ないぞ!ちゃんと届いたかどうかって意味だ!」

 私はそう言うと、段ボール箱の中を開けた。
 すると、原本と思われるVHSテープが2つと、それらをDVDに焼いた物が2枚入っていた。
 それから、添え状も。

 愛原「なるほど。それじゃ、早速、デイライトさんに電話だ」

 私は自分のスマホを取り出し、それで善場係長に掛けた。
 リサは、自分の両親による自分の製造工程記録テープをまじまじと見つめていた。

 愛原「愛原です。お疲れ様です。今しがた、ペンション『いたち草』より、例のテープが届きました。……はい。原本と思われるVHSテープと、それを焼き直したと思われるDVDが2枚ですね。……あ、はい。……あ、そうですか。……はいはい。……あー、分かりました。では、後ほど送らせて頂きます。……はい。……はい。失礼致します」

 愛原が電話を切る。

 リサ「何だって?」
 愛原「取りに来られるのかと思ったら、忙しいから取りに来れないから、送って欲しいって」
 リサ「どうするの?」
 愛原「梱包し直して、郵便局に持って行くさ。着払いでいいらしい。さっきのも着払いだったからな」

 愛原が送って欲しいと頼んだのだから、着払いは当然だ。
 そして今回も、善場が送って欲しいと頼んだのだから、着払いでの発送ということだ。

 リサ「ふーん……。また観たかったなぁ……」
 愛原「だからダメだって。それより、早く着替えて来い」
 リサ「はーい……」

 リサは渋々とエレベーターで4階に向かった。
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物語の途中ですが、ここで今年初の大石寺御登山についてレポート致します。

2025-02-09 20:54:18 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 普通の御講であり、支部総登山とか、本山行事などの特別な内容ではない為、比較的完結に述べさせて頂く。

 

 

 出発は東京駅7時27分発、“こだま”705号で。
 春節が終わったからか、中国人の姿が殆ど無くて静かなのは良い。
 私が乗ったのは先頭車両の1号車であったが、いつもより更にガラガラだった。

 

 朝食はこれ。
 弁当を開けた所は撮影していなかったが、肉の量もボリューム感満点だ。
 作中でも、愛原リサがこれを選んでバクバク食べるシーンがある。
 注意して頂きたいのは、どうもタレにアレルギー物質が入っているかもしれないということだ。
 食べた後で口の周りが痒くなった。
 アレルギー体質の無い人が食べる分には問題無いのだろうが、焼肉のタレでアレルギーを起こしたことの無い私が食べてアレルギーを起こすとは?
 以前にも同じ物を食べて、口の周りが痒くなったことがあった。
 何か特別な成分でも入っているのかな?
 味は駅弁の中でも美味と言って良い物だったのだが。
 また食べたい内容だっただけに、アレルギーがちょっと残念だ。

 え?精進潔斎の為に、“深川めし”にしないのかって?
 精進潔斎など、日蓮正宗で指導されたこと無いから問題ナシ!
 車両はJR東海の新型車両N700S。
 名古屋以西では雪の為に遅れているとのことだが、名古屋止まりの“こだま”号に乗ればダイヤ通り。

 

 新富士駅にはダイヤ通りに到着。
 ここからは初めて、8時45分発の富士急静岡バスが運行する登山バスに乗り込む。
 毎月第2日曜日しか運転されない便で、要は私のような大石寺塔中坊に所属する信徒がそこでの御講に参加する為に運行されるバスということだ。
 まあ、分類上は路線バスの臨時便なので、信徒以外も乗れるのだが。
 車種は普通の路線バス。
 2人席を多く配置し、シートベルトを備え付けた『ワンロマ』というものだな。
 首都圏だと貸切兼用車とか、深夜急行バス(ミッドナイトアローなど)に見られるタイプ。
 前乗りで運賃は片道1070円也。
 運用自体は珍しいと思うが、『バスターミナルなブログ』様は興味無いですか?
 車内は満席では無く、富士駅からの乗車客を入れると、私も含めて16名ほど。

 

 途中、自動車専用道路の西富士道路も国道139号線バイパスも渋滞は無く、バスはだいたい時刻表通りに着いた。
 総坊前で降りて、富士山の写真を撮影。
 終点は第2ターミナルだが、既に添書を持参していて、登山事務所に行きたい人は総坊前で降りると良い。
 かつてのバスターミナルで、学会専用のバスが多く発着する映像を観たことがある。
 今はそういった貸切バスの姿は無く、たまにこうした路線バスが発着する程度。
 それでも、ペンペン草は生えてませんぞ?

 

 というわけで、報恩坊に無事到着。
 御講の内容は寂日房御返事だったが、どちらというと開目抄の方が面白かったかも。
 どうして、日蓮正宗では宗祖の尊称を『大聖人』と統一するのか。
 どうして、日蓮宗では、宗祖の尊称がバラバラ、『大菩薩』だったり、『聖人』だったり、『大聖人』だったりするのかという話の方が面白かった。
 因みに、他にも日蓮宗では、『御祖師様』と呼んだりもするようだが、今回の話には無かった。

 御講の後は昼食。
 “なかみせ”さんでカレー。
 安心して食べられる食堂の味ですよ。
 まあ、無料ではあったが、勝手に大盛りにされていたのは【お察しください】。
 あとは土産物屋で自分用の土産を買う。

 それから御開扉。
 中央列の席は、妙観講さんで一杯でしたな。
 “となりの沖田くん”の作者さんは参加されていたのだろうか。

 

 

 御開扉終了。
 帰りもまた下山バスに乗る。
 土日祝日は2便運行されており、第1便は中国製の電気バスでの運行だった。
 ただ、座席数が少なく、乗客の多い第1便では着席が無理だった為、第2便に乗ることにする。
 こちらは往路と同じワンステップバスのワンロマ。
 ……逆の方が良かったんじゃね?
 第2便は空席が出るほどだったので。
 帰りのバスも渋滞に巻き込まれることはなく、ダイヤ通り……というか、所定のダイヤより早く着いたくらいだ。
 運行情報によると、東海道新幹線は今日も雪で遅れている。
 何が起こるのかというと、予定していた列車より、1本早い列車に乗れたということだ。
 名古屋始発の“こだま”730号だったが、それでも往路より賑わっていた。
 まあ、最後尾の1号車まで行けば窓側席空いていたが。
 どうしても“こだま”は後続の“ひかり”や“のぞみ”に抜かれるダイヤなので、それらが遅れると、こっちも遅れるのである。
 で、ここで面白いことが起きた。
 新横浜駅からは後続の“ひかり”や“のぞみ”も各駅停車となるが、“こだま”が上り副線ホームに入ると、後続の“のぞみ”が上り本線ホームに入って来た。
 ん?新横浜なのに、“のぞみ”が先に行くのかと思いきや、こちらの“こだま”は“のぞみ”が停車する前に発車した。
 で、品川駅では上り本線に入り、客扱いしている間に、先ほどの“のぞみ”が副線ホームに入る。
 “のぞみ”が止まり切る前に、“こだま”が発車する。
 このやり方、中央線快速の朝ラッシュ時の新宿駅上りホームじゃね?
 確か、専門用語があったはずだが失念した。
 しかし、朝ラッシュの通勤電車の捌き方を新幹線でも見られるとは……。

 東京駅には7分遅れで到着。
 だが、7分遅れてくれたおかげで、私はこの列車に乗ることができた。
 乗り換え先の京浜東北線は、ダイヤ通り。
 金は掛かったが、たまにはこういうルートも良いのかも。
 というか多分、公共交通機関利用では、正規のルートになんだろうな。
 今までの私のルートが裏ルートだっただけだ。

 というわけで、今年初の大石寺登山参詣は無事に終わりました。
 次回は……いつ御登山できるか分かりませんが、『来臨を企つべし』の御金言に従おうと思います。
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“私立探偵 愛原学” 「事務所に到着」

2025-02-08 22:16:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日13時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 東京駅八重洲中央口のタクシー乗り場よりタクシーに乗り換え、そしてようやく事務所に到着した。

 愛原「ただいまァ」
 パール「先生、お帰りなさい」
 リサ「ただいまー」
 パール「リサさんもお帰りなさい」
 愛原「ほら、土産。高崎駅で買って来た、群馬の酒だ。高橋のことで色々と大変だろうが、ストレス解消にな」
 パール「ありがとうございます。これは冷蔵庫で冷やしておきますね」
 愛原「ちょっとこれから色々と事務作業があるから、事務所にいる。何かあったら、事務所にな?」
 パール「かしこまりました」

 私は、まずは荷物の片付けをした。
 リサもリサで、すぐには事務所に入らず、私服に着替えに自分の部屋に向かった。
 私の荷物といっても、使用済みの服やお泊りセットの片付けくらいなんだがな。
 なもんで、事務所に入るのは私が先となる。
 もっとも、パールが既に事務所に入っていて、室内の冷房稼働や、私達の為にコーヒーを淹れてくれていた。

 パール「アイスコーヒーで宜しいですか?」
 愛原「おっ、悪いな」

 パールは冷蔵庫で冷やしてあったアイスコーヒーを淹れてくれた。
 来客用なのであるが、来客が無い日は私達が飲んでいる。

 パール「何か必要な物はありますか?」
 愛原「封筒と切手が欲しいな。普通郵便の」
 パール「マサに手紙を書かれるんですか?」
 愛原「いや、違う。別の人だ。……まあ、この機会に高橋に書いてもいいかな。因みに、どこの警察署に連れて行かれたんだ?」
 パール「墨田警察署です」
 愛原「前と同じ所か……。いや、いい。手紙は高橋と面会に行った時にやろう」
 パール「そうですか」
 愛原「どのみち、今は取り調べが忙しくて面会もままならない状態だろうな」
 パール「この辺りも、弁護士の先生と相談した方が良いですかね」
 愛原「そうだな。その方がいいだろう」

 弁護士なら、いつでも被疑者との面会が許されている。
 こういう時、先に弁護士さんに面会してもらい、状況を確認してもらった上で、今度は私達が行くというのが良いだろう。
 私は自分のPCを立ち上げ、それで沖野献氏に対する手紙を作成した。

 愛原「『前略 突然のお手紙、大変失礼致します。……』」
 リサ「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 愛原「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 リサ「『私はそろそろ人間の血肉を食らいたくなる今日この頃です』」
 愛原「『私は今日、人間の……』って、をい!」
 リサ「にゃははは」

 すると私のPCの前には、私服に着替えたリサがいた。
 ノースリーブの白いTシャツに、赤いバイオハザードのマークが入っている。
 下はデニムのショートパンツを穿いていた。

 愛原「今、仕事してるんだから、邪魔しないの!」
 リサ「ゴメンチャイ!」
 パール「リサさんも、アイスコーヒー淹れましたよ?」
 リサ「どうも~!」

 リサは自分の席(?)に座ると、教科書とノートを開いた。

 リサ「宿題、即行で片付けるもんね!」
 愛原「適当にやるなよ。学生の仕事なんだから」
 リサ「はーい」

 再び私はPCのモニターを見ながら、キーボードを叩いた。

[同日14時30分 天候:曇 同事務所]

 ようやく手紙を書き終わる。
 校閲をパールにしてもらい、特に誤字・脱字や表現におかしい所が無い所を確認してもらうと、それを畳んで封筒の中に入れる。
 そして千葉刑務所の郵便番号と住所を書いた。
 宛先はもちろん、『千葉刑務所 受刑者 沖野献様』とした。
 沖野貢氏の手紙が先に到着していることを前提とし、貢氏の紹介で手紙を出させて頂いたこと、是非とも話を聞きたいので面会させて頂きたい旨を書いておいた。

 愛原「よし、リサ。出してきてくれや」
 リサ「りょーかい!」
 パール「リサさん、菊川一丁目のバス停の近くにあるローソンストア100は知ってますか?」
 リサ「知ってるよ。前のマンションの向かいくらいだったじゃん」
 パール「店内のポストなら、回収時間は15時です」
 リサ「じゃあ、今出せば明日には着くね!」
 愛原「いや、今の普通郵便は遅くなったから、千葉じゃ、今日中に回収されても明後日だろうな」

 もちろん、そんなことは織り込み済みだ。
 沖野献氏を混乱させない為にも、速達で投函した沖野貢氏の手紙より先に着いてはならない。

 リサ「ついでに買い物できるね」
 パール「というわけで、買い物をお願いします」
 リサ「えっ?」
 パール「今日の夕食の材料は既に用意してありますが、明日の朝食分がまだです。ここにメモがありますから、これをお願いします」
 リサ「はーい」
 愛原「ついでにオマエの欲しい物も買っていいから」
 リサ「行ってきまーす!」
 愛原「こら待て!まだ切手を貼っていない!」

 私はリサを捕まえると封筒を奪い返し、封筒に切手を貼った。

 愛原「ほい!それじゃ、よろしく!」
 リサ「はーい!」

 リサは事務所を出ると、1階に下りる階段をバタバタと下りて行った。

 パール「でも先生、宜しいのですか?」
 愛原「何が?」
 パール「リサさんは単独行動が認められていないのでは?」
 愛原「通学の時は例外的にオッケーなんだが、どうせ単独行動できんよ」
 パール「ええっ?」

 すると事務所の前に、BSAAのジープが停車した。

 レイチェル「リサ!脱走は許しませンよ!」
 リサ「脱走じゃないし!」
 パール「あれは?」
 愛原「帰りのタクシーの中でぼんやり聞いたんだが、どうやらレイチェルのヤツ、リサと一緒に宿題やる約束をしたそうなんだ。どのタイミングで来るか不明だったが、今来たようだ」
 リサ「何でこのタイミング!?」
 レイチェル「日本では『今北産業』というそうですネ?」
 リサ「言わないし!それよりジープに乗せてよ、コンビニまで!」

 運転しているのはレイチェルではなく、BSAAの米国人だろうが、リサは臆せず、ジープのリアシートに乗り込んだ。

 リサ「愛原先生からお使い頼まれてるの!」
 レイチェル「最上級BOWをお使いに使うとは、さすがは愛原先生です」
 リサ「でしょ!」
 レイチェル「そういうことなら……。スミス伍長、お願いします!」
 スミス「ま、マジかよ……。BOWのお使いのお手伝いだって?!HQにどう報告するんだ!?」
 リサ「そこはジャパニーズ・ジョークで!」
 レイチェル「Year!Japanese joke!」
 スミス「ど、どうなっても知らんぞ……」

 ようやくジープが走り去って行った。
 まあ、車で行けば、ものの5分と掛からずに着くだろう。

 愛原「後でレイチェルのコーヒーも用意してあげて」
 パール「かしこまりました」

 静かなうちに、私は急いで報告書を作成することにした。
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