報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「事務所に到着」

2025-02-08 22:16:41 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日13時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所]

 東京駅八重洲中央口のタクシー乗り場よりタクシーに乗り換え、そしてようやく事務所に到着した。

 愛原「ただいまァ」
 パール「先生、お帰りなさい」
 リサ「ただいまー」
 パール「リサさんもお帰りなさい」
 愛原「ほら、土産。高崎駅で買って来た、群馬の酒だ。高橋のことで色々と大変だろうが、ストレス解消にな」
 パール「ありがとうございます。これは冷蔵庫で冷やしておきますね」
 愛原「ちょっとこれから色々と事務作業があるから、事務所にいる。何かあったら、事務所にな?」
 パール「かしこまりました」

 私は、まずは荷物の片付けをした。
 リサもリサで、すぐには事務所に入らず、私服に着替えに自分の部屋に向かった。
 私の荷物といっても、使用済みの服やお泊りセットの片付けくらいなんだがな。
 なもんで、事務所に入るのは私が先となる。
 もっとも、パールが既に事務所に入っていて、室内の冷房稼働や、私達の為にコーヒーを淹れてくれていた。

 パール「アイスコーヒーで宜しいですか?」
 愛原「おっ、悪いな」

 パールは冷蔵庫で冷やしてあったアイスコーヒーを淹れてくれた。
 来客用なのであるが、来客が無い日は私達が飲んでいる。

 パール「何か必要な物はありますか?」
 愛原「封筒と切手が欲しいな。普通郵便の」
 パール「マサに手紙を書かれるんですか?」
 愛原「いや、違う。別の人だ。……まあ、この機会に高橋に書いてもいいかな。因みに、どこの警察署に連れて行かれたんだ?」
 パール「墨田警察署です」
 愛原「前と同じ所か……。いや、いい。手紙は高橋と面会に行った時にやろう」
 パール「そうですか」
 愛原「どのみち、今は取り調べが忙しくて面会もままならない状態だろうな」
 パール「この辺りも、弁護士の先生と相談した方が良いですかね」
 愛原「そうだな。その方がいいだろう」

 弁護士なら、いつでも被疑者との面会が許されている。
 こういう時、先に弁護士さんに面会してもらい、状況を確認してもらった上で、今度は私達が行くというのが良いだろう。
 私は自分のPCを立ち上げ、それで沖野献氏に対する手紙を作成した。

 愛原「『前略 突然のお手紙、大変失礼致します。……』」
 リサ「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 愛原「『天高く馬肥ゆる梅雨、いかがお過ごしでしょうか?』」
 リサ「『私はそろそろ人間の血肉を食らいたくなる今日この頃です』」
 愛原「『私は今日、人間の……』って、をい!」
 リサ「にゃははは」

 すると私のPCの前には、私服に着替えたリサがいた。
 ノースリーブの白いTシャツに、赤いバイオハザードのマークが入っている。
 下はデニムのショートパンツを穿いていた。

 愛原「今、仕事してるんだから、邪魔しないの!」
 リサ「ゴメンチャイ!」
 パール「リサさんも、アイスコーヒー淹れましたよ?」
 リサ「どうも~!」

 リサは自分の席(?)に座ると、教科書とノートを開いた。

 リサ「宿題、即行で片付けるもんね!」
 愛原「適当にやるなよ。学生の仕事なんだから」
 リサ「はーい」

 再び私はPCのモニターを見ながら、キーボードを叩いた。

[同日14時30分 天候:曇 同事務所]

 ようやく手紙を書き終わる。
 校閲をパールにしてもらい、特に誤字・脱字や表現におかしい所が無い所を確認してもらうと、それを畳んで封筒の中に入れる。
 そして千葉刑務所の郵便番号と住所を書いた。
 宛先はもちろん、『千葉刑務所 受刑者 沖野献様』とした。
 沖野貢氏の手紙が先に到着していることを前提とし、貢氏の紹介で手紙を出させて頂いたこと、是非とも話を聞きたいので面会させて頂きたい旨を書いておいた。

 愛原「よし、リサ。出してきてくれや」
 リサ「りょーかい!」
 パール「リサさん、菊川一丁目のバス停の近くにあるローソンストア100は知ってますか?」
 リサ「知ってるよ。前のマンションの向かいくらいだったじゃん」
 パール「店内のポストなら、回収時間は15時です」
 リサ「じゃあ、今出せば明日には着くね!」
 愛原「いや、今の普通郵便は遅くなったから、千葉じゃ、今日中に回収されても明後日だろうな」

 もちろん、そんなことは織り込み済みだ。
 沖野献氏を混乱させない為にも、速達で投函した沖野貢氏の手紙より先に着いてはならない。

 リサ「ついでに買い物できるね」
 パール「というわけで、買い物をお願いします」
 リサ「えっ?」
 パール「今日の夕食の材料は既に用意してありますが、明日の朝食分がまだです。ここにメモがありますから、これをお願いします」
 リサ「はーい」
 愛原「ついでにオマエの欲しい物も買っていいから」
 リサ「行ってきまーす!」
 愛原「こら待て!まだ切手を貼っていない!」

 私はリサを捕まえると封筒を奪い返し、封筒に切手を貼った。

 愛原「ほい!それじゃ、よろしく!」
 リサ「はーい!」

 リサは事務所を出ると、1階に下りる階段をバタバタと下りて行った。

 パール「でも先生、宜しいのですか?」
 愛原「何が?」
 パール「リサさんは単独行動が認められていないのでは?」
 愛原「通学の時は例外的にオッケーなんだが、どうせ単独行動できんよ」
 パール「ええっ?」

 すると事務所の前に、BSAAのジープが停車した。

 レイチェル「リサ!脱走は許しませンよ!」
 リサ「脱走じゃないし!」
 パール「あれは?」
 愛原「帰りのタクシーの中でぼんやり聞いたんだが、どうやらレイチェルのヤツ、リサと一緒に宿題やる約束をしたそうなんだ。どのタイミングで来るか不明だったが、今来たようだ」
 リサ「何でこのタイミング!?」
 レイチェル「日本では『今北産業』というそうですネ?」
 リサ「言わないし!それよりジープに乗せてよ、コンビニまで!」

 運転しているのはレイチェルではなく、BSAAの米国人だろうが、リサは臆せず、ジープのリアシートに乗り込んだ。

 リサ「愛原先生からお使い頼まれてるの!」
 レイチェル「最上級BOWをお使いに使うとは、さすがは愛原先生です」
 リサ「でしょ!」
 レイチェル「そういうことなら……。スミス伍長、お願いします!」
 スミス「ま、マジかよ……。BOWのお使いのお手伝いだって?!HQにどう報告するんだ!?」
 リサ「そこはジャパニーズ・ジョークで!」
 レイチェル「Year!Japanese joke!」
 スミス「ど、どうなっても知らんぞ……」

 ようやくジープが走り去って行った。
 まあ、車で行けば、ものの5分と掛からずに着くだろう。

 愛原「後でレイチェルのコーヒーも用意してあげて」
 パール「かしこまりました」

 静かなうちに、私は急いで報告書を作成することにした。
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“私立探偵 愛原学” 「新幹線で帰京へ」

2025-02-07 22:00:59 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日12時01分 天候:晴 群馬県高崎市八島町 JR高崎駅・新幹線ホーム→上越新幹線2410C列車・1号車内]

 

 駅弁とお土産を買い、ホームに上がる。
 上越新幹線“たにがわ”号は、東海道新幹線で言う所の“こだま”号のような列車である。
 東北新幹線で言えば“なすの”号か。
 速達列車の補完的な役割を果たす区間運転の各駅停車であるが、冬はスキー列車という側面も持っていたりする。
 リサが同乗するので、先頭の1号車の辺りで列車を待つ。
 その前に自販機で飲み物を買うのは忘れない。
 私はほうじ茶にしたが、リサは麦茶にした。

〔ピン♪ポン♪パン♪ポン♪ 13番線に、12時4分発、“たにがわ”410号、東京行きが、12両編成で、参ります。この電車は、各駅に止まります。グランクラスは12号車、グリーン車は11号車、自由席は1号車から7号車です。尚、全車両禁煙です。まもなく、13番線に、“たにがわ”410号、東京行きが参ります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 上越新幹線というと、かつてはオール2階建て新幹線Maxで運転されていたこともあったが、今はそれも全廃され、北陸新幹線と同様のE7系で運転されるようになった。

〔「13番線、ご注意ください。上越新幹線上り、“たにがわ”410号、東京行きの到着です。終点、東京までの新幹線各駅に止まります。自由席車両は1号車から7号車です」〕

 眩いヘッドライトと共に、“たにがわ”410号がやってきた。
 予想した通り、車内はあまり乗客がいない。
 むしろ、この駅から賑わう感じだ。

 
(この画像は下り列車で撮影されたもの。故に作中の上り列車とは、座席の向きが逆である)

 先頭車の1号車に乗り込み、2人席に座る。
 リサには窓側に座らせ、私は通路側に座った。

〔「御案内致します。この列車は12時4分発、上越新幹線“たにがわ”410号、東京行きです。終点の東京まで各駅に止まります。自由席は1号車から7号車、指定席は8号車から10号車、グリーン車は11号車、グランクラスは12号車です。発車までご乗車になり、お待ちください。終点の東京には、この列車が先に到着致します」〕

 座席に座ると、テーブルを出して駅弁とお茶を置いた。

 

 私が買ったのは『だるま弁当』。
 高崎駅の名物と言ったらこれだろうな。
 尚、蓋が貯金箱になっているところは昔から変わらない。

 

 リサが買ったのはチャーシュー弁当。
 地元のブランド豚、榛名ポークの豚肉を焼いた物が4枚ご飯の上に載っている。

 愛原「昨夜の夕食で牛肉のステーキを食べたんで、今日は豚肉か」
 リサ「そうそう」

 食べているうちに発車の時間になり、ホームから微かに放送が聞こえてくる。
 乗客がデッキに出入りする度にそこのドアが開くと、大きく聞こえてくる。

〔13番線から、“たにがわ”410号、東京行きが発車致します。次は、本庄早稲田に、止まります。黄色い点字ブロックまで、お下がりください〕

 発車メロディが流れて来た。
 これは布袋寅泰氏のGreat Messengerを発車メロディにアレンジしたものだ。
 下りホームでは、『さらば青春の光』が流れる。
 これは氏が高崎市出身に因んだものだという。
 そして、甲高い客扱い終了合図ブザーと共に、車両のドアが閉まる。
 高崎駅ではホームドアが無い為、車両のドアが閉まると、列車は静かに動き出した。

 リサ「新幹線で帰るなんて、修学旅行みたいだね」
 愛原「ましてやリサは、制服姿だから尚更だな」
 リサ「今回は私服の方が良かったって少し後悔」
 愛原「ああ……まあ、しょうがない」
 リサ「ねぇ、先生」
 愛原「ん?」
 リサ「帰ったら、手紙書くんでしょう?」
 愛原「そうだな。報告書の前に、先に手紙を書いた方がいいかもな」
 リサ「書いたら、わたしが出しに行くよ」
 愛原「そうか?」
 リサ「書いたら教えてね」
 愛原「ああ。でもそれってつまり、事務所にいるってことだろ?」
 リサ「まあね」

 いつもは日曜日の事務所は閉めているのだが、私の事務作業の為に、帰宅したら特別に開けるつもりだ。

 愛原「宿題とかやれよ」
 リサ「事務所でやるよ。事務所の方が集中できる」
 愛原「そうなのか」

 自分の部屋より事務所の方が勉強に集中できる。
 リサは学習塾や予備校などにある自習室での勉強が向いているのかもしれない。

[同日13時00分 天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR上越新幹線2410C列車・1号車内→JR(東日本)東京駅]

 列車はダイヤ通りに走行していた。
 天候は晴れとしたが、東京に来ても、何だか少し曇が多くなってきた。
 もしかしたら、また夕方とか夜とかは雨が降るのかもしれない。
 本当に梅雨だ。
 7月にはなったが、まだ気象庁からは梅雨明け宣言は出されていない。

〔♪♪(車内チャイム)♪♪ まもなく終点、東京です。東海道新幹線、東海道本線、中央線、山手線、京浜東北線、横須賀線、総武快速線、京葉線と地下鉄丸ノ内線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お降りください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 東北新幹線とは違う曲の車内チャイムが流れる。
 秋葉原のトンネル出口からヨドバシAkibaが見えれば、東京駅はもうすぐだ。

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、東京、東京です。21番線の到着、お出口は右側です。お降りの際、お忘れ物、落とし物の無いよう、よくお確かめください。本日もJR東日本、上越新幹線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 愛原「どれ、降りる準備するか」
 リサ「はーい。新幹線だとあっという間だね」
 愛原「しょうがない。何度も言うように、今回は仕事なんだから」
 リサ「まあね」

 仮に夏休みに夏期講習に参加するのか、あるいは合宿に参加するのかは未定だが、その後なら息抜きと称して旅行に行ってもいいかなと思っている。
 列車がホームに停車し、ドアが開くと私達はホームに降り立った。
 その時、太陽が雲に隠れたが、それどもムシムシッとした梅雨の空気であった。
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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅」 2

2025-02-07 15:23:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日11時35分 天候:晴 群馬県高崎市八島町 JR上越線530M電車・先頭車内→JR高崎駅]

 

 私達を乗せた電車は吾妻線から上越線に入った。
 ここから4両編成の電車が賑わいを見せて来る。
 『渋川』とか、『高崎』という表示を見ると、何故か『NHKみんなのうた』に出て来た“北風小僧の寒太郎”を思い出す。
 私が小さい頃の思い出だったが、その歌の背景のアニメは素朴なものだったが、それが却って子供の記憶に残ったものだ。
 雪の中、SL牽引の客車列車が走るシーンがあり(昭和50年代の歌だったから、地方ではまだSLが現役だった路線もあったか)、母親から教えてもらったが、国道の白看板に座る寒太郎のシーンでは、『渋川○×km』『高崎○×△km』という表示があり、あれは国道17号線の事だと。
 ということは、あの汽車ポッポはこの上越線だったのかもしれない。

 リサ「暑いな……」

 寒太郎に出て来た汽車ポッポ、恐らくオハ35系とか、オハ10系とかだったのだろうが、どちらも冷房設備は無い。
 それに対して現在の211系電車は冷房がガンガン入っている。
 また、梅雨晴れの暑い日差しが入って来る為、窓にはブラインドが下ろされていた。
 UVカットガラスが導入され、グリーン車以外はブラインドが省略された最近の車両とは違う。
 それでも暑がりのリサは、ブラウスの第2ボタンも外そうとした。
 リボンは着けておらず、第1ボタンは当たり前のように外している。
 ギャルJKなどは第2ボタンも外して当たり前なのだろうが、そうするとブラも見えてしまう。
 いくらリサの今着けているブラがカルバンクラインだと言っても、さすがに他人に見せるわけにはいかない。
 私は既にリサに第2ボタンを外すことを制している。

 愛原「もうすぐ着くから待ってろ」
 リサ「はーい……」

 どうして盛夏服としてポロシャツが導入されたのかが分かった。
 あれはスケブラやブラスジは出やすいものの、構造上、ボタンを外した所から直接ブラチラすることは滅多に無いからである。

〔「まもなく終点、高崎、高崎です。7番線に到着致します。お出口は、左側です。電車到着の際、ドアは自動で開きます。ドア付近にお立ちのお客様は、開くドアにご注意ください。お降りの際、車内にお忘れ物、落とし物をなさいませんよう、よくお確かめの上、お降りください。スマートホン、Suica、日傘などのお忘れ物が多く出ております。本日もJR東日本をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 自動放送ではなく、車掌の肉声放送が流れる。
 この電車には、自動放送設備が無い。
 いずれはこの吾妻線も、自動放送装置付きのワンマン列車になるのだろうが、やはり昔ながらのテイストは風情がある。
 そして、電車は高崎駅のホームに入線した。
 ドアチャイムなどなく、バッと両開きのドアが開く。
 立っていた乗客を先頭に、ぞろぞろと降りて行く。

 

〔「ご乗車ありがとうございました。高崎、高崎、終点です。お忘れ物の無いよう、ご注意ください。7番線に到着の電車は、折り返し、11時44分発、普通列車、長野原草津口行きとなります」〕

 私達も暑いホームに降りた。
 別にリサは太っているわけではない。
 ……とはいえ、最近は体が成長してきたのか、割かしムッチリしてきた感はある。
 リサの母親とされる斉藤玲子も、上野医師の手記では、14歳の時点で、『お椀のような胸を持っていた』と書かれている。
 チラッと見た限りでは、上野医師との子作り記録映像を撮影した時点で今のリサと同じ17歳くらいだったようだが、かなり体つきがグラマーになっている。
 リサがそんな母親の遺伝子を色濃く継いでいるのなら、彼女の体型もそうなるはずだ。
 ただ、Gウィルスによって成長ホルモンが阻害されている為、成長が遅くなっているだけだ。
 エスカレーターに乗って、コンコースに上がる。
 新幹線乗り場に向かう途中にトイレがあり、そこに立ち寄ることにした。

 愛原「ずっと我慢してたのか?」
 リサ「だって、あの電車のトイレ、和式なんでしょう?」
 愛原「そりゃそうだが……」

 それでさっきからリサ、ずっと黙ってたのか。

 トイレを済ませた後は、その隣にある駅弁屋に立ち寄った。
 約束通り、ここで昼食の駅弁を買うことにする。
 私はせっかく高崎駅に来たのだからと、『だるま弁当』を所望した。
 リサはというと、チャーシュー弁当を選んだ。
 これはブランド豚『榛名ポーク』を使用したチャーシューを4枚弁当に乗っけたものだという。
 肉好きのリサが選びそうなものだと思った。
 飲み物はホームの自販機で買うことにする。
 この暑い中、なるべく飲み物も冷えているうちに飲みたい。
 新幹線コンコースに入る前に、新幹線のキップを買わなければならない。
 改札口の手前に、指定席券売機がある。
 改札外にあるそれと違うのは、まずここまでのキップが回収されることである。
 それから、目的地までのキップを購入することになる。
 東京までは1時間弱だから、自由席のキップを購入した。
 出て来たのは乗車券と特急券が1枚に纏められたキップ。
 『高崎→東京(山手線内)』と書かれていた。
 乗車券は東京駅で新幹線を降りた後、山手線とその内側を走る中央線の駅ならどの駅の改札口を出ても良いというキップである。
 もっとも、東京駅で完全に降りる予定だがね。
 急ぎなので、東京駅からタクシーに乗り換えて事務所に戻るつもりだ。
 2枚出て来たキップのうち、1枚をリサを渡すと、それで新幹線への自動改札口を通過した。

 愛原「12時4分発、上越新幹線“たにがわ”410号に乗ろう。あれは多分、空いている」

 2つ隣の越後湯沢始発であり、冬場なら更にその隣のガーラ湯沢始発となり、スキー客でそれなりに賑わうのだろうが、夏場はそうでもない。
 尚、上毛高原駅は【お察しください】。

 リサ「13番線だって」
 愛原「じゃ、もうホームに上がるか。……っと、その前に!」
 リサ「ん?」

 新幹線コンコース内にある土産物店。
 そこに私は立ち寄った。

 リサ「『お土産なら要らない』って善場さんに言われたんじゃなかったっけ?」
 愛原「違う違う。パールにだよ。あいつには酒がいいだろう」
 リサ「お兄ちゃんには?」
 愛原「残念ながら、酒の差し入れは禁止されている」

 再逮捕されたということは、拘置所から再び警察署の留置場に戻ったということだ。
 今度はどこの警察署にいるのやら。
 帰ったらパールに確認することにしよう。
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“私立探偵 愛原学” 「群馬の旅」

2025-02-05 20:35:45 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日10時33分 天候:晴 群馬県吾妻郡東吾妻町大字原町 JR群馬原町駅→吾妻線530M列車・先頭車内]

 1面1線のホームに4両編成の電車がやってくる。

 

 この路線を走る普通列車は、基本的に4両編成の電車のみである。
 211系と呼ばれる車両であるが、ロングシート車しか無い。
 ボックスシート車も共通運用されている中央本線や長野地区とは対照的だ。
 半自動ドアが採用されている為、乗車の際はドアボタンを押して乗客がドアを開ける必要がある。
 乗り込むと賑やかな冷房装置の音が車内に響いていたが、その分、外よりも涼しい。

 

 空いている座席に腰かける。
 リサはピタッと密着してきた。
 微かに後ろの方から車掌が笛を吹く音が聞こえたかと思うと、プシューッと大きなエアー音を立てて、開いていた一部のドアが閉まった。
 そして、ガクンという揺れと共にインバータの音が響かない電車が動き出す。
 こういうアナログ制御の電車も、今となっては珍しい。

〔「次は中之条、中之条です」〕

 自動放送も無く、車掌の肉声放送のみというのも珍しくなった。
 そもそも、普通列車が1時間に1本の割合でしか運転されないローカル線で、ワンマン運転が実施されていないのも珍しい。

 リサ「あーあ……。せっかく、ダーリンとの熱い夜を過ごしたかったのに……」
 愛原「お前が暴走して襲って来たからだろw あれ、BSAAがいたら集中砲火ものだったぞ?」
 リサ「ロケラン撃ち込まれる?」
 愛原「BSAAならやりかねないだろうな」

 最近、“鬼ころし”を飲んでいなかったからか。

 リサ「でも、あの動画欲しかったなぁ……」
 愛原「実は後で家に送ってもらえることになっている」
 リサ「ほんと!?」
 愛原「あー、でも内容的に、リサは3ヶ月経ってから観てくれな?」
 リサ「どうして?」
 愛原「殆どエロ動画みたいなもんだろうが……」
 リサ「違うよ。お父さんとお母さんのイチャラブ記録動画だよ」
 愛原「あのなぁ……。イチャラブにも程があるっての」

 そもそも、両親による自分の製造工程画像でオナる娘が何を言ってるんだって感じだな。
 もっとも、私もチラッと観ただけだからよくは分からない。
 というのは、上野医師と斉藤玲子の間には、リサを含めて何人もの娘がいたらしく、ここにいる本人をして、自分が長女なのか次女なのかも分からないもよう。
 リサは幼稚園に入る前には既に白井に拉致されていた為、物心はついていたものの、人体改造もされた為に記憶が曖昧なのだ。
 するとそこへ、善場係長からメール着信があった。

 善場「了解しました。ビデオテープの件も含め、まとめて明日報告をお願い致します。千葉刑務所に収容されているという沖野献受刑者についても、こちらで調査致します。とりあえずまずは、気をつけて帰京してください」

 とのことだった。

 愛原「急いで帰らなくちゃいけないというのは、報告書をまとめないといけないという意味だ。今回の旅行、色々あったからな。帰ったからすぐに報告書を書きたいから、在来線でゆっくりというわけにはいかないんだ」
 リサ「分かったよ。新幹線代もデイライトから出してくれるんでしょ?」
 愛原「身も蓋もない話だが、普通車までなら面倒看てくれるらしいぞ」
 リサ「なるほど、そうか」

 リサは頷きつつも……。

 リサ「ダーリンとの熱い夜……。お父さんとお母さんがしてたこと、わたしもしたい……」
 愛原「リサの両親は、アンブレラに追われてたんだろ?……っと、母親の方は上野医師について行っただけのようだが」

 私達は違うからなぁ……。
 強いて言うなら、“コネクション”が私達をどう見ているのかだ。
 いや、そもそもリサはともかく、私は眼中に無いか?
 上野医師は自分でもアンブレラに追われていると自覚して逃亡の旅をしていたようだが、私達はなぁ……。
 もし“コネクション”が私達を狙おうものなら、網を貼っているデイライトさんが真っ先に気づいて警告してくれるだろうし。

 愛原「まあ、いずれは2人旅をしよう。温泉旅行でいいか?」
 リサ「おおっ!」
 愛原「ホテル天長園にも、『貸切風呂』があったな」
 リサ「何で天長園が出てくるの?他にも露天風呂付き客室のホテルとかあるでしょ?」
 愛原「あくまでも一例だよ。まあ、検討しておく」
 リサ「検討だけで終わらないでよ?夏休みとかに連れてってね?」
 愛原「そうは言ったってお前、受験生だろ?過去のやらかしのせいで学校推薦が受けられなくなって、一般入試を受けることになったんだから、尚更勉強しないと」
 リサ「わたしの普段の成績なら大丈夫だと思うけどね」
 愛原「甘いな。例え付属の大学と言えど、1度は停学食らったことのある生徒を入れるのには躊躇すると思うぞ。逆に面接の無い一般入試で良かったかもな。ただ、一般入試でも、相当高得点を取らないと、停学食らったというハンデは返せないかもよ?」

 と、やや私は少し脅し気味に言った。

 リサ「むー……。塾の夏期講習とか行っておく?」
 愛原「そうだな。まあ、そういうのも選択肢に入れておくといいだろう。結局、受験勉強の為に高校3年生は夏休みが少なく、冬休みの宿題に至っては皆無だからな」
 リサ「ミキも夏期講習に参加するって言ってたな……」
 愛原「ミキ?ああ、秋田の太平山美樹か。秋田のどこかの塾にでも通うって?山奥の『鬼の里』から通うの大変だな」
 リサ「いや、何か、『一緒に行こう』って誘われてるんだけど……」
 愛原「どこに?」
 リサ「予備校の合宿?」
 愛原「あー、そういうのもあるなぁ。行きたいか?」
 リサ「どうだろうねぇ……。そこまでして勉強する必要あるかなって思ってる。まあ、ミキは『そこまで勉強しないといけない状態』らしいけど」
 愛原「まあ、それも検討課題にしておこう。美樹にはそう伝えといてくれ」
 リサ「分かった」

 そうか。
 リサも、大学受験の時期か。
 月日が経つのは早いな。
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“私立探偵 愛原学” 「帰りの旅」

2025-02-05 16:12:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月2日10時00分 天候:晴 群馬県吾妻郡東吾妻町大字岩下 ローソン吾妻岩島店]

 私達を乗せた車は、まず国道沿いのローソンに立ち寄った。
 そこで切手を買い、速達郵便の封筒に貼ってもらう。
 ローソンならレジ付近にポストがあるので、そのまま投函できる。
 一応、今日集配があるのかどうか確認しておいた。
 地方だと土曜日や日曜日の集配が無い場合もある為。
 ポストを確認すると、これから回収に来るそうなので、そのままそこに投函してもらった。
 速達であれば、1日で配達されるだろう。
 私の場合は帰宅してから手紙を作成し、普通郵便で送るので2日くらい掛かるだろう。
 菊川から千葉刑務所のある千葉市内でも、普通郵便なら2日掛かる。
 それが遠く離れた群馬からでも、速達なら1日なのだから早い。
 尚、ローソンの向かい側には郵便局もあったりする。
 日曜日だから休みであるが、もしも平日であれば、そのまま窓口で出すという手が使えた。
 再び車に乗って群馬原町駅に向かった。
 本当は岩島駅で降りるはずだったのだが、沖野氏は吾妻警察署に留められているオーナーの迎えに行く為、群馬原町駅まで乗せてくれることになった。
 警察署もその近くにある為。

[同日10時10分 天候:晴 同町大字原町 JR群馬原町駅]

 車は駅北側のロータリーに到着した。
 こちら側には駅舎は無いが、国道で行こうとすると、ここに到着する。
 駅舎にはロータリーに直結している跨線橋で向かう形となる。

 沖野「到着致しました」
 愛原「どうもありがとう。オーナーに宜しくお伝えください。あと……1つ謝っておきたいことが……」
 沖野「何でございましょう?」
 愛原「もしかすると、警察官2名を大浴場にダイブさせるギミックを作動させてしまったの、私かもしれません。だとしたら、オーナーにはとんでもない御迷惑をお掛けしてしまったなぁ……と」
 沖野「そうでしたか。ですが、私はその仕掛けを存じ上げません。愛原様も、その仕掛けが作動した所は直接御覧になっておられないのでしょう?」
 愛原「そ、そうです」
 沖野「でしたら、証拠がありません。御主人様も警察も、設備の不具合によるものと思っておられるようですし。御主人様は公務執行妨害の疑いで連行されてしまいましたが、恐らくそれで立件は難しいでしょう。もしも警察がどうしても御主人様を立件したい場合、あの事故でケガをしたとして、業務上過失致傷罪で捜査することになるのでしょうが、見たところ警察官達はケガはしていませんでしたし、後に診断書が提出されたとしても、弁護士さんを介して示談に持ち込むおつもりかと思われます」
 愛原「なるほど」
 沖野「とはいえ、一応愛原様の御言葉は御主人様にお伝えはさせて頂きます」
 愛原「ありがとう。宜しく」
 沖野「では、また何かありましたら、いつでも御連絡願います」
 愛原「どうもお世話様」

 私達は車を降りて、跨線橋を昇った。
 冷房の効いた車から、梅雨晴れの暑い日差しの中を歩くことになる。
 梅雨晴れとはいえ、やや強い風は吹いており、大気の状態がけして安定しているわけではないことを物語っている。
 天気は晴れているのだが、時折、太陽が雲に隠れたりしているので、快晴というわけではない。

 リサ「おっと!」

 階段を昇っているとピュウッと強い風が吹いて、リサの短いスカートが捲れ上がる。
 リサはパッとスカートの裾を押さえたが、黒いカルバンクラインのショーツが一瞬見えた。

 愛原「あれ?お前、ブルマはどうした?」
 リサ「ん?先生に渡したじゃない」
 愛原「あ……」

 そういえば私の荷物に入っていた。

 愛原「1着しか持って来てないのか?」
 リサ「うん。『使い終わったら』返してよね?欲しかったらあげてもいいけど、その場合、お小遣いw」

 リサは人間形態ながら、少し尖った爪が特徴の手を差し出した。

 愛原「『後で』洗って返すよ」
 リサ「今、ブルマもスパッツも穿いてない状態だから校則違反だね」
 愛原「別に学校に行くわけじゃないからいいよ。これから帰るところだし」
 リサ「そっか」

 跨線橋を渡り切って、駅舎のあるロータリーに辿り着く。

 

 群馬原町駅は無人駅だが、こちら側の方は自販機やバス停、トイレもある。
 かつては有人駅だったが、今では無人駅となっている。
 有人駅だった名残で出札窓口が残っているが、今ではそこは地元の観光案内所の窓口となっており、乗車券の発売は行われていない(地元の路線バスの回数券などは取り扱っているもよう)。
 乗車券はその横に1台だけある自動券売機で購入することになるが、近距離しか発売されておらず、Suicaなどの交通系ICカードにも対応していない。
 まずはこの券売機で、高崎までのキップを購入した。

 愛原「帰りは少し急ぐ必要があるから、高崎から新幹線に乗ろうと思う」
 リサ「そう。新幹線のキップは?」
 愛原「高崎駅で買えばいいさ。取りあえず、リサのキップな」

 私はキップを2枚買うと、1枚をリサに渡した。

 リサ「ありがとう」

 この時、領収証を出すのも忘れない。
 改札口はあるが、有人駅だった頃の名残であり、駅員はいないので、そのままホームに出ても良い。

 愛原「10時33分発、普通列車の高崎行き、これに乗ろう。およそ1時間で高崎に着く」
 リサ「すると、途中でお昼挟むかな?」
 愛原「多分、昼頃の新幹線に乗ることになるだろうな。そこで駅弁でも買って、新幹線の中で食べればいいさ」
 リサ「おー!」

 私はその為、留守番しているパールにはお昼は要らないとLINEをしておいた。
 その後は善場係長にメールを送った。
 音声通話にしようかとも思ったが、日曜日だし、特に今、トラブルに巻き込まれているというわけでもないので。
 パールと違ってすぐには返信は来なかったが、一応これで報告はできた。
コメント
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