[2月6日18:45.天候:晴 商船三井フェリー“さんふらわあ さっぽろ”号船内Cデッキ]
敷島達が入室したのは4人部屋のスタンダードルームである。
洋室と和室タイプがあるのだが、敷島達が入ったのは洋室タイプ。
これは2段ベッドが2つ、縦列に配置されていて、壁側にソファとテーブルと椅子、そしてテレビが置かれている。
敷島:「これで落ち着いたな」
シンディ:「社長、私達に構わず、2人部屋を予約されても良かったのですよ?」
敷島:「スイートとデラックスのことか?試しに空室照会してみたが、しっかり塞がってたよ。ま、一塊になった方がお前達も護衛しやすいだろう?」
シンディ:「それはそうですが……」
エミリー:「それより、もう既にレストランでは夕食の営業時間のようです。お食事なさってきてはいかがでしょうか?」
敷島:「それもそうだな。アリス、行こう」
アリス:「ええ」
萌:「ボクは留守番してます」
敷島:「そうか?」
萌:「はい」
萌、室内にある洗面台にお湯を溜めている。
どうやら、これから入浴するつもりらしい。
敷島:「お前もよく頑張ったもんな。ま、ゆっくり浸かってくれ」
敷島は萌の頭を指で撫でた。
萌:「えへへへ……」
敷島:「じゃ、行こうか。鍵、持ってってくれよ」
エミリー:「ご安心ください」
敷島達は部屋を出てレストランへ向かった。
[同日19:00.天候:晴 さんふらわあ さっぽろ号Aデッキ・レストラン]
エレベーターを降りて展望スペースを通ると、レストランがある。
尚、レストランでは全てビュッフェスタイルのバイキングである。
アリス:「♪」
敷島:「アリス、盛り過ぎ!予想してたけど!」
アリスは皿に料理を山盛りにしていた。
アリス:「ローストポーク、美味しそう!」
敷島:「そりゃ良かったな。……酒、行くか?」
アリス:「行く行く!」
シンディ:「私がお持ちしますよ」
敷島:「おっ、そうか。じゃ、俺はシーフードグラタン持ってきてくれ」
エミリー:「シンディはアリス博士のをお持ちして」
シンディ:「はいはい」
で、アリスが頼んだのは……。
敷島:「お前だけワインかよ。北海道なんだから、サッポロビールだろ」
アリス:「いいじゃない、別に」
エミリー:「シンディ、社長にご飯とお味噌汁を」
シンディ:「はい」
ここでのマルチタイプ姉妹は敷島夫妻のメイドロイドであるようだ。
因みに本物のメイドロイドからは、どちらも『メイド長』と呼ばれる立場なのだが。
[同日20:00.天候:晴 同船内Aデッキレストラン→Cデッキ自室→Bデッキ大浴場]
アリス:「あー、美味しかった。ごちそうさま!」
シンディ:「マスター、食後のコーヒーです」
アリス:「ありがとう」
エミリー:「社長も」
敷島:「ああ、悪いな。だけど、もう営業時間終了じゃないか?客がだいぶ捌けて来たぞ?」
アリス:「タカオ、部屋にはシャワーが無かったけど、どこかにシャワールームでもあるの?」
敷島:「ああ。この下のフロアに大浴場があるみたいだな。日本の船らしいだろ?外国船籍のヤツだとプールでもあるんだろうがな」
アリス:「じゃあ、お風呂入りたい」
敷島:「分かった。コーヒー飲んだら、部屋に戻ってタオル取ってこよう」
敷島達は夕食を済ませると、部屋に戻った。
萌:「あ、お帰りなさい」
萌は既に洗面台のお湯に浸かって体の汚れを落としたようである。
背中の大きく開いたタンクトップにショートパンツ姿である。
背中が大きく開いているのは、そこから妖精の羽を出す為だ。
敷島:「ああ、ただいま。今度は俺達が風呂入って来る」
萌:「行ってらっしゃい」
因みに個室には人数分の浴衣が備えてある。
アリス:「おー、浴衣がある」
敷島:「さっき見ただろ」
アリス:「……着方が分からない」
敷島:「ウソだろ?ホテルのヤツと同じだぞ?」
アリス:「着替えさせて〜」
アリスはそう言って敷島に抱きつく。
敷島:「酔っぱらってんだろ、アリス?ワイン何杯飲んだ?」
シンディ:「社長、着替えさせてあげてくださいよ」
エミリー:「何日分もお預けのようで」
敷島:「お前らなぁ……」
で、何とかアリスを浴衣に着替えさせる。
敷島:「さっさと行くぞ」
アリス:「あン、待って〜」
シンディ:「マスターが心配なので、私も御一緒しますね」
敷島:「そうしてくれ。男湯までは来なくていいから。エミリーもアリス達と一緒に入ってこい」
エミリー:「社長がそう仰るのでしたら……」
敷島は1人で男湯に向かった。
敷島:「お、サウナまであるのか。いいねぇ、いいねぇ」
敷島は大浴場に入った。
そしてサッと体を洗った後、向かうはサウナ。
敷島:「くーっ!この暑さだな、やっぱ!」
乗客:「全くですな」
敷島:「おっ、こりゃ失礼。ちょっと独り言を……」
乗客:「いえいえ。それよりあなた、どこかで見たことがあると思ったら、敷島孝夫さんじゃありませんか?あのボーカロイド専門の芸能プロダクションを経営なさっておられる……」
敷島:「ええ、まあ、そうです」
乗客:「私は日本未来科学研究財団に所属している研究者で、秋葉と申します」
敷島:「日本未来科学財団。JARA財団が崩壊して、しばらく経ってから設立された新団体ですね」
秋葉:「そうなんです。まだまだ新しい団体で、そんなに名前は知られてませんけどね」
敷島:「どこかの大学で教鞭を取られているんですか?」
秋葉:「東京都心大学です」
敷島:「平賀先生が客員教授として所属している所ですね」
秋葉:「敷島さんは平賀先生と旧知の仲でいらっしゃるそうで」
敷島:「南里研究所時代からの知り合いです。私はその時から、専ら営業関係の仕事でしたからね。平賀先生が研究・開発者で」
秋葉:「素晴らしいことです」
敷島:「秋葉先生も、何かロボットかロイドでも?」
秋葉:「いや、大したものはまだ造れていません。できれば鉄腕アトムみたいなものを造りたいのですが……」
敷島:「おおっ、日本のロボット研究者の最終目的の1つですね。こっちは女性版ロックマンみたいなのしかいなくて、扱いに苦労してますよ」
秋葉:「ヘタに自我を持たせると、人間以上に躾が大変ですもんねぇ……」
尚、この時、女湯にいるエミリーとシンディが何故かくしゃみしていたという。
アリスは笑いながら、設計外の行動をしていると言っていた。
設計外の行動をするということは、それは大騒ぎするほどのものであるはずなのだが……。
敷島達が入室したのは4人部屋のスタンダードルームである。
洋室と和室タイプがあるのだが、敷島達が入ったのは洋室タイプ。
これは2段ベッドが2つ、縦列に配置されていて、壁側にソファとテーブルと椅子、そしてテレビが置かれている。
敷島:「これで落ち着いたな」
シンディ:「社長、私達に構わず、2人部屋を予約されても良かったのですよ?」
敷島:「スイートとデラックスのことか?試しに空室照会してみたが、しっかり塞がってたよ。ま、一塊になった方がお前達も護衛しやすいだろう?」
シンディ:「それはそうですが……」
エミリー:「それより、もう既にレストランでは夕食の営業時間のようです。お食事なさってきてはいかがでしょうか?」
敷島:「それもそうだな。アリス、行こう」
アリス:「ええ」
萌:「ボクは留守番してます」
敷島:「そうか?」
萌:「はい」
萌、室内にある洗面台にお湯を溜めている。
どうやら、これから入浴するつもりらしい。
敷島:「お前もよく頑張ったもんな。ま、ゆっくり浸かってくれ」
敷島は萌の頭を指で撫でた。
萌:「えへへへ……」
敷島:「じゃ、行こうか。鍵、持ってってくれよ」
エミリー:「ご安心ください」
敷島達は部屋を出てレストランへ向かった。
[同日19:00.天候:晴 さんふらわあ さっぽろ号Aデッキ・レストラン]
エレベーターを降りて展望スペースを通ると、レストランがある。
尚、レストランでは全てビュッフェスタイルのバイキングである。
アリス:「♪」
敷島:「アリス、盛り過ぎ!予想してたけど!」
アリスは皿に料理を山盛りにしていた。
アリス:「ローストポーク、美味しそう!」
敷島:「そりゃ良かったな。……酒、行くか?」
アリス:「行く行く!」
シンディ:「私がお持ちしますよ」
敷島:「おっ、そうか。じゃ、俺はシーフードグラタン持ってきてくれ」
エミリー:「シンディはアリス博士のをお持ちして」
シンディ:「はいはい」
で、アリスが頼んだのは……。
敷島:「お前だけワインかよ。北海道なんだから、サッポロビールだろ」
アリス:「いいじゃない、別に」
エミリー:「シンディ、社長にご飯とお味噌汁を」
シンディ:「はい」
ここでのマルチタイプ姉妹は敷島夫妻のメイドロイドであるようだ。
因みに本物のメイドロイドからは、どちらも『メイド長』と呼ばれる立場なのだが。
[同日20:00.天候:晴 同船内Aデッキレストラン→Cデッキ自室→Bデッキ大浴場]
アリス:「あー、美味しかった。ごちそうさま!」
シンディ:「マスター、食後のコーヒーです」
アリス:「ありがとう」
エミリー:「社長も」
敷島:「ああ、悪いな。だけど、もう営業時間終了じゃないか?客がだいぶ捌けて来たぞ?」
アリス:「タカオ、部屋にはシャワーが無かったけど、どこかにシャワールームでもあるの?」
敷島:「ああ。この下のフロアに大浴場があるみたいだな。日本の船らしいだろ?外国船籍のヤツだとプールでもあるんだろうがな」
アリス:「じゃあ、お風呂入りたい」
敷島:「分かった。コーヒー飲んだら、部屋に戻ってタオル取ってこよう」
敷島達は夕食を済ませると、部屋に戻った。
萌:「あ、お帰りなさい」
萌は既に洗面台のお湯に浸かって体の汚れを落としたようである。
背中の大きく開いたタンクトップにショートパンツ姿である。
背中が大きく開いているのは、そこから妖精の羽を出す為だ。
敷島:「ああ、ただいま。今度は俺達が風呂入って来る」
萌:「行ってらっしゃい」
因みに個室には人数分の浴衣が備えてある。
アリス:「おー、浴衣がある」
敷島:「さっき見ただろ」
アリス:「……着方が分からない」
敷島:「ウソだろ?ホテルのヤツと同じだぞ?」
アリス:「着替えさせて〜」
アリスはそう言って敷島に抱きつく。
敷島:「酔っぱらってんだろ、アリス?ワイン何杯飲んだ?」
シンディ:「社長、着替えさせてあげてくださいよ」
エミリー:「何日分もお預けのようで」
敷島:「お前らなぁ……」
で、何とかアリスを浴衣に着替えさせる。
敷島:「さっさと行くぞ」
アリス:「あン、待って〜」
シンディ:「マスターが心配なので、私も御一緒しますね」
敷島:「そうしてくれ。男湯までは来なくていいから。エミリーもアリス達と一緒に入ってこい」
エミリー:「社長がそう仰るのでしたら……」
敷島は1人で男湯に向かった。
敷島:「お、サウナまであるのか。いいねぇ、いいねぇ」
敷島は大浴場に入った。
そしてサッと体を洗った後、向かうはサウナ。
敷島:「くーっ!この暑さだな、やっぱ!」
乗客:「全くですな」
敷島:「おっ、こりゃ失礼。ちょっと独り言を……」
乗客:「いえいえ。それよりあなた、どこかで見たことがあると思ったら、敷島孝夫さんじゃありませんか?あのボーカロイド専門の芸能プロダクションを経営なさっておられる……」
敷島:「ええ、まあ、そうです」
乗客:「私は日本未来科学研究財団に所属している研究者で、秋葉と申します」
敷島:「日本未来科学財団。JARA財団が崩壊して、しばらく経ってから設立された新団体ですね」
秋葉:「そうなんです。まだまだ新しい団体で、そんなに名前は知られてませんけどね」
敷島:「どこかの大学で教鞭を取られているんですか?」
秋葉:「東京都心大学です」
敷島:「平賀先生が客員教授として所属している所ですね」
秋葉:「敷島さんは平賀先生と旧知の仲でいらっしゃるそうで」
敷島:「南里研究所時代からの知り合いです。私はその時から、専ら営業関係の仕事でしたからね。平賀先生が研究・開発者で」
秋葉:「素晴らしいことです」
敷島:「秋葉先生も、何かロボットかロイドでも?」
秋葉:「いや、大したものはまだ造れていません。できれば鉄腕アトムみたいなものを造りたいのですが……」
敷島:「おおっ、日本のロボット研究者の最終目的の1つですね。こっちは女性版ロックマンみたいなのしかいなくて、扱いに苦労してますよ」
秋葉:「ヘタに自我を持たせると、人間以上に躾が大変ですもんねぇ……」
尚、この時、女湯にいるエミリーとシンディが何故かくしゃみしていたという。
アリスは笑いながら、設計外の行動をしていると言っていた。
設計外の行動をするということは、それは大騒ぎするほどのものであるはずなのだが……。