[2月6日23:00.天候:晴 商船三井フェリー“さんふらわあ さっぽろ”船内Cデッキ客室エリア]
敷島は部屋に戻ると、エミリーからマッサージを受けた。
といっても、性的な意味ではない。
エミリーは求められればそれも行うつもりでいたが、さすがにアリスが同室しているとあらば、それはできなかった。
そんなアリスも、今は酒が入ったのと疲労で熟睡している。
シンディもマスターが眠っているので、充電コンセントを繋ぎ、スリープモードに入っていた。
萌はシンディの枕のすぐ隣に横になっている。
エミリー:「この辺……この辺なんですけどね、鼠径リンパという大きなリンパ節があるので、こちらの方刺激していきますね」
敷島:「うう……効く……」
しかもマルチタイプは耳かきもできる。
右目のサーチライトをしぼめて、耳の穴だけを明るく照らすように調整する。
左目のカメラでズームやアウトをしながら、耳穴の耳垢を取ることができるのである。
で、その映像は彼女を監視している端末のモニタに出てくるのだが、今は見ることができない。
端末が黒いロボット達に壊されてしまったからだ。
エミリーとしては自分を縛る端末が無くなったのだから、ここぞとばかりに敷島達の命令を無視して暴走することも可能なのだが、それをしなかった。
エミリーにとってそんなことをするメリットが無ければ、後で捕まって破壊処分されるというデメリットの方が大きいことを自覚しているからだ。
少なくとも敷島をアンドロイドマスターと認め、一生仕えて行く覚悟を見せるのが最高の選択であると彼女のAIは計算したのだ。
敷島はエミリーに膝枕をされている。
感触は人間の女性の足並みに柔らかい。
どんな材質を使っているのだろうか。
以前に聞いたことがあるのだが、難しい用語だったので忘れてしまった。
エミリー:「それでは反対向きになってください」
敷島の左耳が終わり、今度は右耳を行う。
敷島がくるんと回ると、エミリーの体の方を向く形になる。
ロングスカートとはいえ、深いスリットの間から覗く白い太ももが人間の女性並みに精巧に造られているので、とても艶めかしい。
エミリー:「耳垢は少し残してあります」
敷島:「全部取らないのか?」
エミリー:「はい。全部取ってしまうと、却って耳に悪いので」
敷島:「シンディは全部取ってくれたんだがな」
エミリー:「そこがシンディの詰めの甘さなのですよ」
敷島:「ふーん……」
エミリー:「私を使って下さると決めて頂いたからには、シンディ以上の働きをご覧に入れます」
敷島:「分かったよ」
とはいえ、もうシンディを使う機会が無くなるのかと言えばそうとも限らない。
彼女らも所詮は精密機械だ。
調子が悪くなることもあるだろう。
あと、定期的なオーバーホールもある。
エミリーが休止中の間、再びシンディが敷島の為に働くことも十分に考えられる。
それに、シンディのユーザー登録が解除されたわけではない。
正式にはシンディのユーザーは、未だに敷島のままであり、エミリーのユーザーは平賀のままなのである。
敷島:「気持ち良かったよ」
エミリー:「では、最後に肩もみをします」
耳かきと耳ツボ押しをした後、エミリーは敷島をベッドに座らせ、自分はその後ろに回って敷島の肩を揉んだ。
敷島:「……うん。気持ち良かったよ。ありがとう」
エミリー:「お役に立てて何よりです」
敷島:「じゃあ、俺はそろそろ寝るよ。明日は7時に起こしてくれないか?」
エミリー:「かしこまりました。お休みなさいませ」
敷島は上段に上がると、早速ベッドに潜り込んだ。
[2月7日?時刻不明 天候:不明 敷島達の部屋]
ロイドは充電が完了しても、セットされたタイマーの時刻になるまではスリープモードに入っている。
しかし何か異常が発生すれば、即座に起動する。
例えば……。
エミリー:「ん……?」
エミリーはすぐ横に何かの感触がしてスリープモードが解除された。
目を開けると、すぐ横にいたのは……。
敷島:「シッ」
エミリー:「敷島さん?どうかなさったのですか?」
敷島:「どうもこうも無ェよ。浴衣脱げよ。セクサロイドになってもらうぞ」
エミリー:「だっ、ダメですよ……こんなところで……」
敷島:「俺の命令なら何でも聞くんだろ?青姦くらいできなきゃ、アンドロイドマスターに使われるロイドじゃないぞ」
エミリー:「そ、そんな……」
敷島:「お前は50億円のダッチワイフだ!」
エミリー:「いやです!そんなこと言わないでください!……あんっ❤」
翌朝……。
シンディ:「社長、朝ですよ。起きてください。……あれ?いないし。……んんっ?」
シンディは下段のカーテンを開けた。
シンディ:「なっ……なっ……何やってんのーっ!?」
アリス:「とうとうやってくれたわね……!エミリーやシンディをダッチワイフ代わりに使っていいのは、単身赴任中の時だけって言ったでしょ!」
敷島:「ち、違う!これはほんの……あ、アレだ!だ、抱き枕だよ!エミリーに抱き枕代わりになるように頼んだんだ!な、エミリー!?」
エミリー:「私はロボット三原則第3条に基づいて拒否したのですが、社長が『言う事聞かないと廃棄処分だ!』と無理やり……」
敷島:「違うだろ!?」
シンディ:「社長、姉さんをレイプなんてサイテー……!」
アリス:「シンディ!タカオを海の中に放り込んでおやり!」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「わぁっ!?何をするんだ!?やめろ!真冬の太平洋に飛び込んだら死ぬぞ!」
敷島、抵抗する間もなくシンディに捕まり、海に放り込まれた。
[2月7日07:00.天候:晴 敷島達の客室内]
敷島:「わあーっ!」
敷島は飛び起きた。
エミリー:「社長!?大丈夫ですか?」
アリス:「なに朝から騒いでんの?うー……頭痛て……。昨夜飲み過ぎた……」
敷島:「あ、あれ……?!」
シンディ:「悪い夢でもご覧になったのですか?」
敷島:「そ、そうか。夢だったのか……。いや〜、助かった……!」
萌:「あの戦いから間もないですもんね。人間は大変ですね」
エミリー:「そうだな。社長、ご気分は大丈夫ですか?」
敷島:「ああ。シンディに海に投げ込まれて死ぬところだった」
シンディ:「えっ!?」
萌:「シンディが暴走したのが、そんなにトラウマだったんですか、社長さん?」
シンディ:「最初のうちは本当にマークに遠隔操作されていたんですが、その後は操作されたフリをしていただけで……」
エミリー:「シンディ。お前、やり過ぎた感があるぞ?」
シンディ:「そんな……!」
敷島:「あ、いや、シンディのせいじゃない。シンディ、お前は何も気にしなくていい」
アリス:「いいから、早く着替えてレストランに行こう」
敷島:「お前、二日酔いで具合悪いんじゃないのか?」
エミリー:「萌、そこの洗面台を空けろ。社長がお使いになるぞ」
萌:「えー?せっかく朝風呂入ろうと思ったのにぃ!」
シンディ:「いいからどきな。その後で社長達、朝食を取りに行かれるんだから、その時に入ればいいじゃない」
萌:「はーい……」
敷島はベッドから出ると、洗面台に向かった。
敷島:(夢で良かった……)
敷島は部屋に戻ると、エミリーからマッサージを受けた。
といっても、性的な意味ではない。
エミリーは求められればそれも行うつもりでいたが、さすがにアリスが同室しているとあらば、それはできなかった。
そんなアリスも、今は酒が入ったのと疲労で熟睡している。
シンディもマスターが眠っているので、充電コンセントを繋ぎ、スリープモードに入っていた。
萌はシンディの枕のすぐ隣に横になっている。
エミリー:「この辺……この辺なんですけどね、鼠径リンパという大きなリンパ節があるので、こちらの方刺激していきますね」
敷島:「うう……効く……」
しかもマルチタイプは耳かきもできる。
右目のサーチライトをしぼめて、耳の穴だけを明るく照らすように調整する。
左目のカメラでズームやアウトをしながら、耳穴の耳垢を取ることができるのである。
で、その映像は彼女を監視している端末のモニタに出てくるのだが、今は見ることができない。
端末が黒いロボット達に壊されてしまったからだ。
エミリーとしては自分を縛る端末が無くなったのだから、ここぞとばかりに敷島達の命令を無視して暴走することも可能なのだが、それをしなかった。
エミリーにとってそんなことをするメリットが無ければ、後で捕まって破壊処分されるというデメリットの方が大きいことを自覚しているからだ。
少なくとも敷島をアンドロイドマスターと認め、一生仕えて行く覚悟を見せるのが最高の選択であると彼女のAIは計算したのだ。
敷島はエミリーに膝枕をされている。
感触は人間の女性の足並みに柔らかい。
どんな材質を使っているのだろうか。
以前に聞いたことがあるのだが、難しい用語だったので忘れてしまった。
エミリー:「それでは反対向きになってください」
敷島の左耳が終わり、今度は右耳を行う。
敷島がくるんと回ると、エミリーの体の方を向く形になる。
ロングスカートとはいえ、深いスリットの間から覗く白い太ももが人間の女性並みに精巧に造られているので、とても艶めかしい。
エミリー:「耳垢は少し残してあります」
敷島:「全部取らないのか?」
エミリー:「はい。全部取ってしまうと、却って耳に悪いので」
敷島:「シンディは全部取ってくれたんだがな」
エミリー:「そこがシンディの詰めの甘さなのですよ」
敷島:「ふーん……」
エミリー:「私を使って下さると決めて頂いたからには、シンディ以上の働きをご覧に入れます」
敷島:「分かったよ」
とはいえ、もうシンディを使う機会が無くなるのかと言えばそうとも限らない。
彼女らも所詮は精密機械だ。
調子が悪くなることもあるだろう。
あと、定期的なオーバーホールもある。
エミリーが休止中の間、再びシンディが敷島の為に働くことも十分に考えられる。
それに、シンディのユーザー登録が解除されたわけではない。
正式にはシンディのユーザーは、未だに敷島のままであり、エミリーのユーザーは平賀のままなのである。
敷島:「気持ち良かったよ」
エミリー:「では、最後に肩もみをします」
耳かきと耳ツボ押しをした後、エミリーは敷島をベッドに座らせ、自分はその後ろに回って敷島の肩を揉んだ。
敷島:「……うん。気持ち良かったよ。ありがとう」
エミリー:「お役に立てて何よりです」
敷島:「じゃあ、俺はそろそろ寝るよ。明日は7時に起こしてくれないか?」
エミリー:「かしこまりました。お休みなさいませ」
敷島は上段に上がると、早速ベッドに潜り込んだ。
[2月7日?時刻不明 天候:不明 敷島達の部屋]
ロイドは充電が完了しても、セットされたタイマーの時刻になるまではスリープモードに入っている。
しかし何か異常が発生すれば、即座に起動する。
例えば……。
エミリー:「ん……?」
エミリーはすぐ横に何かの感触がしてスリープモードが解除された。
目を開けると、すぐ横にいたのは……。
敷島:「シッ」
エミリー:「敷島さん?どうかなさったのですか?」
敷島:「どうもこうも無ェよ。浴衣脱げよ。セクサロイドになってもらうぞ」
エミリー:「だっ、ダメですよ……こんなところで……」
敷島:「俺の命令なら何でも聞くんだろ?青姦くらいできなきゃ、アンドロイドマスターに使われるロイドじゃないぞ」
エミリー:「そ、そんな……」
敷島:「お前は50億円のダッチワイフだ!」
エミリー:「いやです!そんなこと言わないでください!……あんっ❤」
翌朝……。
シンディ:「社長、朝ですよ。起きてください。……あれ?いないし。……んんっ?」
シンディは下段のカーテンを開けた。
シンディ:「なっ……なっ……何やってんのーっ!?」
アリス:「とうとうやってくれたわね……!エミリーやシンディをダッチワイフ代わりに使っていいのは、単身赴任中の時だけって言ったでしょ!」
敷島:「ち、違う!これはほんの……あ、アレだ!だ、抱き枕だよ!エミリーに抱き枕代わりになるように頼んだんだ!な、エミリー!?」
エミリー:「私はロボット三原則第3条に基づいて拒否したのですが、社長が『言う事聞かないと廃棄処分だ!』と無理やり……」
敷島:「違うだろ!?」
シンディ:「社長、姉さんをレイプなんてサイテー……!」
アリス:「シンディ!タカオを海の中に放り込んでおやり!」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「わぁっ!?何をするんだ!?やめろ!真冬の太平洋に飛び込んだら死ぬぞ!」
敷島、抵抗する間もなくシンディに捕まり、海に放り込まれた。
[2月7日07:00.天候:晴 敷島達の客室内]
敷島:「わあーっ!」
敷島は飛び起きた。
エミリー:「社長!?大丈夫ですか?」
アリス:「なに朝から騒いでんの?うー……頭痛て……。昨夜飲み過ぎた……」
敷島:「あ、あれ……?!」
シンディ:「悪い夢でもご覧になったのですか?」
敷島:「そ、そうか。夢だったのか……。いや〜、助かった……!」
萌:「あの戦いから間もないですもんね。人間は大変ですね」
エミリー:「そうだな。社長、ご気分は大丈夫ですか?」
敷島:「ああ。シンディに海に投げ込まれて死ぬところだった」
シンディ:「えっ!?」
萌:「シンディが暴走したのが、そんなにトラウマだったんですか、社長さん?」
シンディ:「最初のうちは本当にマークに遠隔操作されていたんですが、その後は操作されたフリをしていただけで……」
エミリー:「シンディ。お前、やり過ぎた感があるぞ?」
シンディ:「そんな……!」
敷島:「あ、いや、シンディのせいじゃない。シンディ、お前は何も気にしなくていい」
アリス:「いいから、早く着替えてレストランに行こう」
敷島:「お前、二日酔いで具合悪いんじゃないのか?」
エミリー:「萌、そこの洗面台を空けろ。社長がお使いになるぞ」
萌:「えー?せっかく朝風呂入ろうと思ったのにぃ!」
シンディ:「いいからどきな。その後で社長達、朝食を取りに行かれるんだから、その時に入ればいいじゃない」
萌:「はーい……」
敷島はベッドから出ると、洗面台に向かった。
敷島:(夢で良かった……)