[10月1日14:30.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区→大宮区]
エミリー:「未確認武装ロボット、一定の距離を保ったまま追尾中!」
敷島:「特定はできないのか?」
エミリー:「それが、何度も通信を試みているのですが、向こうが拒否しています」
敷島:「KR団は潰れたはずだし……。一体、何なんだ?」
アリス:「…………」
敷島:「アリーナ横に首都高の入口があったな。そこに入って振り切るか?」
アリス:「ちょっと!トニーもいるんだから、ムチャしないでよね!」
敷島:「分かった分かった。それじゃ、別の振り切る作戦行くか」
敷島の車、八幡通り交差点で赤信号で止まる。
エミリー:「恐らく……5台前後後ろの車に、未確認武装ロボットが乗っているものと思われます」
敷島:「そうかいそうかい。ロボットは車の運転はできないから、その車に最低1人の人間が乗っているということになるな」
敷島は先頭に停車している。
しばらくすると、信号が青に変わる。
が、敷島は車を発進させない。
アリス:「タカオ?」
当然、後ろの車からクラクションが鳴らされる。
それでも敷島は車を発進させない。
ついに痺れを切らした後ろの車が車線変更して追い抜いて行く。
だが、それでも敷島は車を出さない。
敷島:「エミリー、該当の車をスキャンしろ」
エミリー:「はい!」
5台後ろの車は大型の観光バスである。
敷島:「ちっ!」
エミリー:「社長!?」
信号が黄色になった。
と、そこで敷島が車を急発進させた。
直後の観光バスが停車した。
敷島:「狙い撃ちされるぞ!頭伏せろ!」
アリス:「!!!」
対向車線に停車していた黒塗りのミニバンから、マシンガンが掃射された。
敷島、アクセル全開で対向車の横を通り過ぎた。
そして、路肩に急停車する。
敷島:「エミリー!行け!行け!行け!」
エミリー:「はい!」
エミリーは車から飛び出して、ミニバンに走った。
ミニバンは赤信号を無視して、交差点に侵入した。
シンディ:「逃がすもんですか!!」
シンディ、右手を光線銃に変形させて車のタイヤに発砲した。
タイヤがバーストして車はハンドル操作を誤る。
シンディ:「あ゛!」
ミニバン、ハンドル操作を誤って交差点の先頭に止まっていた観光バスと正面衝突した。
エミリー:「バカ!撃つ角度とタイミングが違う!」
シンディ:「ごめんなさい!まだ、光線銃使い慣れてなくて……」
エミリー:「……ってか、お前、何してんの、ここで?」
シンディ:「あっ!……えっと、ですね……それは……」
敷島:「……えっ、このバス回送?良かった良かった。……おい、2人とも!さっさとこっちのテロリスト確保しろ!」
エミリー:「はい!」
シンディ:「了解!」
[同日18:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 浦和西警察署]
敷島:「全く。とんだ休日になっちゃったよ」
村中:「まあまあ。これも宿命だと思って。思わぬお手柄だったじゃないか」
敷島:「何がですか。こっちは危うく死ぬところだったんですよ」
鷲田:「キミが言うと、冗談にしか聞こえんな」
敷島:「鷲田警視まで……。ってか、ここは埼玉県警でしょ?どうして警視庁の公安関係者がこっちにいるんですか?」
鷲田:「それで察しが付かんのか?」
敷島:「KR団の生き残りでした?」
村中:「KR団とは直接関係無くても、奴らが起こした犯罪の数々は計り知れない。それを調べる為なのさ」
鷲田:「ロボットを使った銃撃事件。それを追うのは、私らの仕事だ」
敷島:「で、どうだったんです?」
村中:「テロ関係者からしてみれば、キミの存在は警察以上に目の上のタンコブなんだよ。KR団を潰されて、その後押しを受けていた零細組織も悉く資金難で潰れたか、或いは我々に検挙されたかしたからね。その恨みつらみが、ああして爆発したみたいだ」
鷲田:「今後もこういうことは起り得る。キミもそれを想定して、あの化け物ロボット2人を護衛に置いたのだろうが、まだまだだということだ」
村中:「見た目はモデル並みの美人さん達だけどね」
鷲田:「見た目だけだよ」
敷島:「…………」
鷲田:「ま、とにかく犯人は捕まえたから、後で感謝状くらいは届けるよ」
シンディの不始末は不問だったらしい。
バスには運転手が1人しかおらず、しかも怪我は全く無かったので。
エミリー:「社長、どうでした?」
敷島:「後で感謝状くれるってさ」
エミリー:「車を防弾ガラス仕様にしておいて良かったですね」
敷島:「対KR団用だったけど、まだ必要だったか……。車はどうした?」
エミリー:「取りあえず奥様が運転して、お帰りになりました。明日、車を修理に出すそうです」
敷島:「ああ、分かった。帰りはバスだな」
エミリー:「シンディが夕食をご用意しておりますので……」
敷島:「結局、シンディは何であんな所にいたんだ?」
エミリー:「くだらない理由ですよ」
敷島:「ん?」
[同日18:15.天候:晴 さいたま市中央区 浦和西警察署入口バス停→国際興業バス新都01系統車内]
敷島:「何だ、そんなことか。会長も下らない思いつきをするもんだ」
エミリー:「お坊ちゃまの為に動いて下さるというのは、とても光栄なことですが……」
敷島:「全く……」
そこへバスがやってくる。
敷島:「バスに乗ったら、シンディに通信しておいてくれ」
エミリー:「かしこまりました」
敷島はバスに乗り込んだ。
空いている1人席に座り、エミリーはその横に立った。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
ドアが閉まり、バスは夕闇が迫る中を走り出す。
〔♪♪♪♪。次は彩の国さいたま芸術劇場入口、彩の国さいたま芸術劇場入口でございます〕
エミリー:「社長。劇場と言えば……ですが」
敷島:「あいつらに来た例の話か?……あれは1度断っただろ」
エミリー:「明日、また来社する予定になっています。今一度、お話があるものと思われます」
敷島:「いくら人間には『飽き』があるとはいえ、ボーカロイドをそう簡単に飽きられちゃ困るってんだよ。『歌って踊る』基本コンセプトを無視した売り方は、俺の性に合わねぇ」
エミリー:「…………」
エミリー:「未確認武装ロボット、一定の距離を保ったまま追尾中!」
敷島:「特定はできないのか?」
エミリー:「それが、何度も通信を試みているのですが、向こうが拒否しています」
敷島:「KR団は潰れたはずだし……。一体、何なんだ?」
アリス:「…………」
敷島:「アリーナ横に首都高の入口があったな。そこに入って振り切るか?」
アリス:「ちょっと!トニーもいるんだから、ムチャしないでよね!」
敷島:「分かった分かった。それじゃ、別の振り切る作戦行くか」
敷島の車、八幡通り交差点で赤信号で止まる。
エミリー:「恐らく……5台前後後ろの車に、未確認武装ロボットが乗っているものと思われます」
敷島:「そうかいそうかい。ロボットは車の運転はできないから、その車に最低1人の人間が乗っているということになるな」
敷島は先頭に停車している。
しばらくすると、信号が青に変わる。
が、敷島は車を発進させない。
アリス:「タカオ?」
当然、後ろの車からクラクションが鳴らされる。
それでも敷島は車を発進させない。
ついに痺れを切らした後ろの車が車線変更して追い抜いて行く。
だが、それでも敷島は車を出さない。
敷島:「エミリー、該当の車をスキャンしろ」
エミリー:「はい!」
5台後ろの車は大型の観光バスである。
敷島:「ちっ!」
エミリー:「社長!?」
信号が黄色になった。
と、そこで敷島が車を急発進させた。
直後の観光バスが停車した。
敷島:「狙い撃ちされるぞ!頭伏せろ!」
アリス:「!!!」
対向車線に停車していた黒塗りのミニバンから、マシンガンが掃射された。
敷島、アクセル全開で対向車の横を通り過ぎた。
そして、路肩に急停車する。
敷島:「エミリー!行け!行け!行け!」
エミリー:「はい!」
エミリーは車から飛び出して、ミニバンに走った。
ミニバンは赤信号を無視して、交差点に侵入した。
シンディ:「逃がすもんですか!!」
シンディ、右手を光線銃に変形させて車のタイヤに発砲した。
タイヤがバーストして車はハンドル操作を誤る。
シンディ:「あ゛!」
ミニバン、ハンドル操作を誤って交差点の先頭に止まっていた観光バスと正面衝突した。
エミリー:「バカ!撃つ角度とタイミングが違う!」
シンディ:「ごめんなさい!まだ、光線銃使い慣れてなくて……」
エミリー:「……ってか、お前、何してんの、ここで?」
シンディ:「あっ!……えっと、ですね……それは……」
敷島:「……えっ、このバス回送?良かった良かった。……おい、2人とも!さっさとこっちのテロリスト確保しろ!」
エミリー:「はい!」
シンディ:「了解!」
[同日18:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 浦和西警察署]
敷島:「全く。とんだ休日になっちゃったよ」
村中:「まあまあ。これも宿命だと思って。思わぬお手柄だったじゃないか」
敷島:「何がですか。こっちは危うく死ぬところだったんですよ」
鷲田:「キミが言うと、冗談にしか聞こえんな」
敷島:「鷲田警視まで……。ってか、ここは埼玉県警でしょ?どうして警視庁の公安関係者がこっちにいるんですか?」
鷲田:「それで察しが付かんのか?」
敷島:「KR団の生き残りでした?」
村中:「KR団とは直接関係無くても、奴らが起こした犯罪の数々は計り知れない。それを調べる為なのさ」
鷲田:「ロボットを使った銃撃事件。それを追うのは、私らの仕事だ」
敷島:「で、どうだったんです?」
村中:「テロ関係者からしてみれば、キミの存在は警察以上に目の上のタンコブなんだよ。KR団を潰されて、その後押しを受けていた零細組織も悉く資金難で潰れたか、或いは我々に検挙されたかしたからね。その恨みつらみが、ああして爆発したみたいだ」
鷲田:「今後もこういうことは起り得る。キミもそれを想定して、あの化け物ロボット2人を護衛に置いたのだろうが、まだまだだということだ」
村中:「見た目はモデル並みの美人さん達だけどね」
鷲田:「見た目だけだよ」
敷島:「…………」
鷲田:「ま、とにかく犯人は捕まえたから、後で感謝状くらいは届けるよ」
シンディの不始末は不問だったらしい。
バスには運転手が1人しかおらず、しかも怪我は全く無かったので。
エミリー:「社長、どうでした?」
敷島:「後で感謝状くれるってさ」
エミリー:「車を防弾ガラス仕様にしておいて良かったですね」
敷島:「対KR団用だったけど、まだ必要だったか……。車はどうした?」
エミリー:「取りあえず奥様が運転して、お帰りになりました。明日、車を修理に出すそうです」
敷島:「ああ、分かった。帰りはバスだな」
エミリー:「シンディが夕食をご用意しておりますので……」
敷島:「結局、シンディは何であんな所にいたんだ?」
エミリー:「くだらない理由ですよ」
敷島:「ん?」
[同日18:15.天候:晴 さいたま市中央区 浦和西警察署入口バス停→国際興業バス新都01系統車内]
敷島:「何だ、そんなことか。会長も下らない思いつきをするもんだ」
エミリー:「お坊ちゃまの為に動いて下さるというのは、とても光栄なことですが……」
敷島:「全く……」
そこへバスがやってくる。
敷島:「バスに乗ったら、シンディに通信しておいてくれ」
エミリー:「かしこまりました」
敷島はバスに乗り込んだ。
空いている1人席に座り、エミリーはその横に立った。
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
ドアが閉まり、バスは夕闇が迫る中を走り出す。
〔♪♪♪♪。次は彩の国さいたま芸術劇場入口、彩の国さいたま芸術劇場入口でございます〕
エミリー:「社長。劇場と言えば……ですが」
敷島:「あいつらに来た例の話か?……あれは1度断っただろ」
エミリー:「明日、また来社する予定になっています。今一度、お話があるものと思われます」
敷島:「いくら人間には『飽き』があるとはいえ、ボーカロイドをそう簡単に飽きられちゃ困るってんだよ。『歌って踊る』基本コンセプトを無視した売り方は、俺の性に合わねぇ」
エミリー:「…………」