[10月2日15:00.天候:晴 東京都江東区豊洲 敷島エージェンシー?会議室]
初音ミク:「ええっ!?私達にお芝居ですか?!」
MEIKO:「何を今さら驚いてんのよ。それまでにも映画やドラマに出たことあるじゃん」
鏡音リン:「でも、昔の“悪ノ娘と召使”を思い出すねー」
鏡音レン:「今度は何をやるんですか、プロデューサー?」
井辺:「まだ脚本は出来上がっていません。ですが、古典的なものをやるようです」
KAITO:「それは面白そうですね」
井辺:「ただ、問題が1つ」
ミク:「問題ですか?」
井辺:「社長がゴーサインを出されないのです」
リン:「ええっ、何で何で!?」
井辺:「あなた達は本来、『歌って踊るアンドロイド』です。お芝居は本来、用途外なんです」
MEIKO:「何を今さら……。だったら、歌番組以外のテレビ出演やらラジオ出演やらグラビア撮影やら色々やってきたけど、全部用途外じゃない」
KAITO:「そうだね。何か、他方からクレームでも来たのですか?『ボーカロイドを用途外に使うな』と」
井辺:「いえ。それに関しては、特に……。私は聞いていません」
巡音ルカ:「確かに、“悪ノ娘と召使”はミュージカルだったから、お芝居といっても、歌って踊るのがメインみたいなものだった。その後に続いたシリーズもそうだったし……」
リン:「ルカ姉主演の“円尾坂の仕立て屋”(http://dic.nicovideo.jp/v/sm9032932)も盛り上がったよね!」
ルカ:「ありがとう」
KAITO:「プロデューサー。MEIKOではないですけど、僕達にとってお芝居は何を今さらです。どうして社長は許可なさらないのですか?用途外が理由というのは表向きのような気がしますが……」
井辺:「……実は、あなた達に問題があるわけではないのです。あなた達だけが、あのミュージカルのように行うのであれば、何の問題も無いんです」
ミク:「契約金が少ないとか……ですか?」
井辺:「いえ、そういうわけでもありません。とても高いわけではありませんが、けして悪いお話ではないんです」
MEIKO:「プロデューサー!もういい加減、はっきり言ってよ!」
井辺:「主演を……あなた達以外の方にしてもらいたいという条件に、社長が渋られているんです」
ミク:「わたし達以外?」
レン:「人間の俳優さんってことですか?」
井辺:「違います。エミリーさんとシンディさんですよ」
この場にいたボーカロイド達は一瞬フリーズしてしまった。
MEIKO:「あの鬼軍曹達に演技なんかできんの?」
KAITO:「かなり未知数だねぇ……」
井辺:「しかも完全に用途外です。社長はエミリーさんとシンディさんの出演を、頑なに拒否しておられているのです。このままでは、契約そのものをお断りする方向に……」
ミク:「待ってください!わたし、お芝居やりたいですよ」
リン:「ミュージカルじゃないってとこが、ちょっとアレだけどね」
レン:「それに、平賀博士が仰ってましたけど、『ボーカロイドの可能性にチャレンジする』ということじゃないですか」
MEIKO:「フン。どうせ見た目にほだされただけでしょう。あの2人にお芝居なんてできるもんですか」
KAITO:「それにしてもプロデューサー、とうしてまた急にあの2人に出演依頼が来たんですか?」
井辺:「この前、MEGAbyteのミニライブをDCJ科学館で行いました」
KAITO:「はい、それは知っています」
井辺:「この際、アルエットさんとの掛け合いトークがあったんですが、アルエットさんがアドリブで物真似なんかをやったんです」
MEIKO:「誰の?」
井辺:「あ、えーと……。と、とにかく……その時、この契約を持って来てくださった興行師の方がたまたまそこにいらっしゃいまして、アルエットさんの演技力に大変な関心をお示しになりまして……」
MEIKO:「だったら、アルエットを入れればいいじゃない。1号機、3号機と8号機じゃ、用途が微妙に違うわけでしょ?」
井辺:「それが、その主催者様は元々エミリーさんやシンディさんに関心を持っておられたんですよ。フルモデルチェンジ版とはいえ、同じマルチタイプのアルエットさんが上手いこと演技力を見せて下さったので、このお話を持って来て下さったというわけなんです」
リン:「アルるんは出ないの?」
井辺:「もちろん打診が来ています。ただ、アルエットさんは本来、科学館さんのマスコットガールとしての専属契約ですから、科学館さんとも話をして頂くことになりますので……」
ルカ:「メンバーとしては、面白そうなのにね」
MEIKO:「演劇『東京決戦』だったら、あの2人が参加しても大丈夫だと思うけどね。何しろ、余計な演技力なんて要らない。素でいいんですもの」
KAITO:「プロデューサーはどう思われますか?」
井辺:「私も面白い試みだとは思います。ただ、社長のお気持ちも分かるのです。エミリーさんやシンディさんは本来、演技を行うロイドではありませんので、MEIKOさんの仰る通り、それができるかどうか不安は大きいです」
ルカ:「だったら、実験してみてはどうかしら?実際、マルチタイプの3人に演技してもらって、それでOKかどうか」
リン:「おおっ、ルカ姉!グッドアイディア!」
KAITO:「それは名案だ。プロデューサー、いかがでしょう?」
井辺:「そうですね……。まだ時間もありますし、社長に相談してみましょう」
井辺は会議室を出た。
その足で社長室に向かう。
導線上、共用部のエレベーターホールの前を通ることになる。
井辺:「んっ?」
このフロアに到着するエレベーターがあった。
そこから降りて来たのは……。
井辺:「平賀教授!」
平賀:「あっ、井辺プロデューサー。こんにちは」
井辺:「お疲れさまです」
エミリー:「近くまでお越しになったそうですので、お立ち寄りとのことです」
平賀:「最近、敷島さんの顔を見ていないものでね」
井辺:「ああ、そうでしたか。社長は社長室に御在室です。どうぞ」
平賀:「お邪魔します」
井辺:(……ま、例の件は後ででいいか)
井辺は事務室に戻った。
初音ミク:「ええっ!?私達にお芝居ですか?!」
MEIKO:「何を今さら驚いてんのよ。それまでにも映画やドラマに出たことあるじゃん」
鏡音リン:「でも、昔の“悪ノ娘と召使”を思い出すねー」
鏡音レン:「今度は何をやるんですか、プロデューサー?」
井辺:「まだ脚本は出来上がっていません。ですが、古典的なものをやるようです」
KAITO:「それは面白そうですね」
井辺:「ただ、問題が1つ」
ミク:「問題ですか?」
井辺:「社長がゴーサインを出されないのです」
リン:「ええっ、何で何で!?」
井辺:「あなた達は本来、『歌って踊るアンドロイド』です。お芝居は本来、用途外なんです」
MEIKO:「何を今さら……。だったら、歌番組以外のテレビ出演やらラジオ出演やらグラビア撮影やら色々やってきたけど、全部用途外じゃない」
KAITO:「そうだね。何か、他方からクレームでも来たのですか?『ボーカロイドを用途外に使うな』と」
井辺:「いえ。それに関しては、特に……。私は聞いていません」
巡音ルカ:「確かに、“悪ノ娘と召使”はミュージカルだったから、お芝居といっても、歌って踊るのがメインみたいなものだった。その後に続いたシリーズもそうだったし……」
リン:「ルカ姉主演の“円尾坂の仕立て屋”(http://dic.nicovideo.jp/v/sm9032932)も盛り上がったよね!」
ルカ:「ありがとう」
KAITO:「プロデューサー。MEIKOではないですけど、僕達にとってお芝居は何を今さらです。どうして社長は許可なさらないのですか?用途外が理由というのは表向きのような気がしますが……」
井辺:「……実は、あなた達に問題があるわけではないのです。あなた達だけが、あのミュージカルのように行うのであれば、何の問題も無いんです」
ミク:「契約金が少ないとか……ですか?」
井辺:「いえ、そういうわけでもありません。とても高いわけではありませんが、けして悪いお話ではないんです」
MEIKO:「プロデューサー!もういい加減、はっきり言ってよ!」
井辺:「主演を……あなた達以外の方にしてもらいたいという条件に、社長が渋られているんです」
ミク:「わたし達以外?」
レン:「人間の俳優さんってことですか?」
井辺:「違います。エミリーさんとシンディさんですよ」
この場にいたボーカロイド達は一瞬フリーズしてしまった。
MEIKO:「あの鬼軍曹達に演技なんかできんの?」
KAITO:「かなり未知数だねぇ……」
井辺:「しかも完全に用途外です。社長はエミリーさんとシンディさんの出演を、頑なに拒否しておられているのです。このままでは、契約そのものをお断りする方向に……」
ミク:「待ってください!わたし、お芝居やりたいですよ」
リン:「ミュージカルじゃないってとこが、ちょっとアレだけどね」
レン:「それに、平賀博士が仰ってましたけど、『ボーカロイドの可能性にチャレンジする』ということじゃないですか」
MEIKO:「フン。どうせ見た目にほだされただけでしょう。あの2人にお芝居なんてできるもんですか」
KAITO:「それにしてもプロデューサー、とうしてまた急にあの2人に出演依頼が来たんですか?」
井辺:「この前、MEGAbyteのミニライブをDCJ科学館で行いました」
KAITO:「はい、それは知っています」
井辺:「この際、アルエットさんとの掛け合いトークがあったんですが、アルエットさんがアドリブで物真似なんかをやったんです」
MEIKO:「誰の?」
井辺:「あ、えーと……。と、とにかく……その時、この契約を持って来てくださった興行師の方がたまたまそこにいらっしゃいまして、アルエットさんの演技力に大変な関心をお示しになりまして……」
MEIKO:「だったら、アルエットを入れればいいじゃない。1号機、3号機と8号機じゃ、用途が微妙に違うわけでしょ?」
井辺:「それが、その主催者様は元々エミリーさんやシンディさんに関心を持っておられたんですよ。フルモデルチェンジ版とはいえ、同じマルチタイプのアルエットさんが上手いこと演技力を見せて下さったので、このお話を持って来て下さったというわけなんです」
リン:「アルるんは出ないの?」
井辺:「もちろん打診が来ています。ただ、アルエットさんは本来、科学館さんのマスコットガールとしての専属契約ですから、科学館さんとも話をして頂くことになりますので……」
ルカ:「メンバーとしては、面白そうなのにね」
MEIKO:「演劇『東京決戦』だったら、あの2人が参加しても大丈夫だと思うけどね。何しろ、余計な演技力なんて要らない。素でいいんですもの」
KAITO:「プロデューサーはどう思われますか?」
井辺:「私も面白い試みだとは思います。ただ、社長のお気持ちも分かるのです。エミリーさんやシンディさんは本来、演技を行うロイドではありませんので、MEIKOさんの仰る通り、それができるかどうか不安は大きいです」
ルカ:「だったら、実験してみてはどうかしら?実際、マルチタイプの3人に演技してもらって、それでOKかどうか」
リン:「おおっ、ルカ姉!グッドアイディア!」
KAITO:「それは名案だ。プロデューサー、いかがでしょう?」
井辺:「そうですね……。まだ時間もありますし、社長に相談してみましょう」
井辺は会議室を出た。
その足で社長室に向かう。
導線上、共用部のエレベーターホールの前を通ることになる。
井辺:「んっ?」
このフロアに到着するエレベーターがあった。
そこから降りて来たのは……。
井辺:「平賀教授!」
平賀:「あっ、井辺プロデューサー。こんにちは」
井辺:「お疲れさまです」
エミリー:「近くまでお越しになったそうですので、お立ち寄りとのことです」
平賀:「最近、敷島さんの顔を見ていないものでね」
井辺:「ああ、そうでしたか。社長は社長室に御在室です。どうぞ」
平賀:「お邪魔します」
井辺:(……ま、例の件は後ででいいか)
井辺は事務室に戻った。