報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「夏休み前」

2019-07-26 19:40:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月16日15:30.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 しかし、こう連日雨続きで気分も憂鬱になりそうだ。

 愛原:「善場さん達、やっと帰ったな」
 高橋:「役人共はしつこいですねぇ……」
 愛原:「バイオハザード絡みとなると、しょうがないさ。ましてや俺達は手下のモールデッド達は倒しても、肝心のボスを逃がしてしまったんだからさ」
 高橋:「そんなのBSAAの仕事でしょう?」
 愛原:「か、もしくは新生アンブレラかな?」
 高橋:「霧生市のバイオハザードを引き起こしたのも新生アンブレラですよ?何だか信じられませんねぇ……」
 愛原:「おいおい、別の『新生』だぞ?霧生市にバイオハザードを起こしたのは、『アンブレラ・コーポレーション・ジャパン』だ。それに対してBSAAに協力しているのは、『民間軍事会社アンブレラ』なんだよ」

 前者はバイオハザードの懲りない面々が運営していたが、後者は懺悔団体である。
 つまり、悪の製薬会社アンブレラの悪事を反省し、自らばら撒いた種を回収するのが目的で設立されたという。
 もちろん、いくら口では反省懺悔したと言っているとはいえ、そこはアンブレラのOB達。
 BSAAの中には、懐疑的な者もいるという。
 いくら口では「正義に目覚めた」からと言って、安易に宗門に入れるとトンデモない事態を招き起こす“あっつぁブログ”の面々みたいだよ。

 高橋:「ですけどねぇ……」
 愛原:「まあ、気持ちは分かる。しかし今後、俺達はまたバイオハザード絡みの仕事を受ける日が来るだろう。それはしょうがない」
 高橋:「それはいいですけど、あのアンブレラに協力するのは嫌ですねぇ」
 愛原:「だからそれはBSAAの仕事であって、俺達の仕事じゃないさ」

 何しろ霧生市のバイオハザードを生き抜き、それも上手く避難したのではなく、ゾンビなどのクリーチャーを倒しつつ、更にリサ・トレヴァーという名のBOW(バイオ・オーガニック・ウェポン)を手懐けた探偵なんて世界中探しても私だけということから、バイオハザード絡みの仕事を引き受けることが多くなってしまった。

 高橋:「俺は先生に付いて行きます。地獄までも」
 愛原:「勝手に俺を地獄界行きに認定するな」

 え?正法帰伏?何それ?美味しいの?

 高野:「あら?リサちゃんが帰って来たみたいですよ?」
 高橋:「あいつはまた家に帰らないで、事務所を何だと思ってるんだ!」
 愛原:「俺の個人事務所なんだから、似たようなものだよ」

 しかもリサ1人だけではなかった。

 リサ:「ただいま」
 斉藤絵恋:「お邪魔しまーす」

 リサの唯一の親友、斉藤絵恋さんも一緒である。
 リサにとっては『いずれ食べる獲物』認定であり、斉藤さんにとっては『(色々な意味で)食べられちゃいたい人』なんだそうである。
 まあ、その、何だ。
 そろそろこの2人、危ない関係になりつつあるということだ。

 高野:「いらっしゃい。ちょうど応接室が空いたところよ」
 斉藤:「はい!ありがとうございます!」
 高橋:「アネゴ、さらっとクライアントでもねぇこいつらを応接室に通すなよ」
 高野:「いいじゃない。その方が埃が溜まらなくて済むわ」
 愛原:「ほんと、すいません!」
 高野:「給湯室の冷蔵庫にジュースがあるからね」
 リサ:「うん」
 斉藤:「ありがとうございます!一緒に宿題やらせてもらいまーす!」
 愛原:「ああ、頑張って。因みに、因みにだよ?テストとかは無いの?」
 リサ:「期末テストならもう終わった。私が学年3位。サイトーは30位」
 斉藤:「うう……ごめんなさい。次はもっと頑張りまーす……」(´;ω;`)
 愛原:「いや、ちょっと待て。東京中央学園墨田中学校は、一学年数百人はいるだろ?その中で30位って凄いと思うのに、リサは3位だ!?」
 高橋:「テメ、コラ!カンニングしただろ!?先生!ここは1つ、探偵としてリサのカンニング暴きを!!」
 愛原:「高橋。ちょっと厳しいこと言わせてもらうが、いいか?」
 高橋:「な、何でしょう?」
 愛原:「カンニングすらできずに10代の大半を少年院と少年刑務所で過ごしたヤツが、ちゃんと学校生活送れてるコのカンニングを非難する権利は無いからな?」
 高橋:「!!! も、申し訳ありませんでしたーっ!!」orz
 高野:「2人とも、なにリサちゃんがカンニングした前提で話を進めてるのよ?」
 リサ:「かんにんぐ?」
 高野:「何でも無いのよ。リサちゃん、頭いいものね」
 斉藤:「そうなんですよ!私なんか学習塾に通ってても、30位を超えられないんです」
 高野:「一学年数百人もいる中で30位って凄いと思うけどね。苦手な教科があって、それが足を引っ張っちゃってるのかな?」
 斉藤:「うう……実はそうなんですぅ……。ちょっと数学が……」
 高野:「あー、分かる分かる」
 斉藤:「今回も数学の宿題が多く出て、リサさんに教えてもらおうと思いましてぇ……」
 高野:「いいよ。そこの応接室使って。あ、それともそっちの談話コーナーの方がいいかな?」
 リサ:「応接室だとテーブルが低いから、ちょっと前屈みになって勉強しにくいかも……」
 高野:「それもそうね。それじゃ、そっちの給湯室の方の談話コーナーを使うといいよ」
 リサ:「ありがとう。サイトー、行こ」
 斉藤:「うん」

 リサと斉藤さんは給湯室に隣接する談話コーナーに向かった。
 そこにはダイニングセットを利用したテーブルと椅子がある。
 で、私の方は……。

 愛原:「いいか?俺が1番腹が立つのは、『昔、ちょいワルでした〜』とか言ってるヤツだ。つまり、それを武勇伝にしてるヤツだな。武勇伝にするのは勝手だと思うだろうが、その武勇伝の被害者達にちゃんと謝罪してから言ってるのかと言いたい。特に、『小っちゃな頃から悪ガキで、15で不良と呼ばれた』ヤツが武勇伝を語ることについては……おい、聞いてるのか!」
 高橋:「はい、サーセン……あ、いや、すいません」

 私の高橋に対する説教は小一時間ほど続いた。

 愛原:「不良どものせいで真面目に学校生活を送っているのが迷惑してるんだ!ちゃんと謝罪するべきだ!武勇伝を自慢するんだったら、先に謝罪しろ!」
 高橋:「は、はい。前向きに善処します。はい。可及的速やかに対応します。はい」
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“私立探偵 愛原学” 「事務所へ戻る」

2019-07-26 14:46:50 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月13日12:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 やっと仕事から帰って来れた。
 やはり無事に仕事が終わった時の安心感は半端ない。
 途中のサービスエリアやパーキングエリアで休憩を取りながら戻ってきたものの、やはり徹夜の眠気には勝てず、高橋はダウン。
 しょうがないので、埼玉県内からは私が運転した。
 リサもリアシートで完全に爆睡モードである。
 リサは着替える前はデニムのショートパンツだったが、着替えは同じ素材のスカートだった。
 上半身だけシートに横になって、足を広げて寝るものだから白いショーツが見えてしまっている。
 恥じらいが無いのはBOWだからか、或いはそれだけ私達を信頼しきっているからなのか……。

 愛原:「おーい、着いたぞー」
 高橋:「あ、はい……」
 リサ:「
 愛原:「リサー、起きろー。着いたぞー」
 リサ:「うぅーん……!」
 愛原:「リサ、パンモロしてる。気をつけろ」
 リサ:「ふぁい……」

 リサはパッと足を閉じた。

 高橋:「それじゃメチャクチャにヤられて処女喪失しても文句は言えねーぜ?」
 リサ:「ヤッたヤツがゾンビ化するだけだもん……」

 エイズより怖い性感染症だぁ……。

 リサ:「あ、愛原さんの時は感染しないようにするからね」
 高橋:「テメ、くぉらっ!」
 愛原:「そりゃどうも……。早いとこ荷物降ろしてくれ。あとこの車、返しに行かなくちゃあ」
 高橋:「あ、俺が返しに行って来ます」
 愛原:「大丈夫か?」
 高橋:「はい。少し寝させてもらったんで、もう大丈夫です」
 愛原:「そうか」

 と、言ってるくせに……。

 愛原:「おい、高橋!起きろ!」

 事務所のエレベーターで上がっている最中に、立ち寝しかかる高橋であった。

〔ピンポーン♪ 5階です。ドアが開きます〕

 エレベーターのドアが開いて、斜め前の事務所のガラスドアを見ると、電気が点いていた。
 どうやら高野君が出勤しているらしい。

 愛原:「おーい、開けてくでー」
 高野:「はいはい」

 両手に荷物を持った私達に代わり、中にいた高野君がドアを開けてくれた。

 高野:「先生、お帰りなさい。お疲れ様でした」
 愛原:「ああ、ただいま。取りあえず、ミッション終了だ。報酬はちゃんと契約通りにもらえるぞ」
 高野:「さすが先生です」
 愛原:「ただ、徹夜したもんだから、皆眠くてしょうがない。高野君、俺達が出ている間に何かあったか?」
 高野:「いいえ。異常どころか、依頼もありません」
 愛原:「そうか。いや、だったら1つ頼みがある」
 高野:「何でしょう?」
 高橋:「先生!先生の命令は全部俺が引き受けます!」
 愛原:「エレベーターん中で立ちながら寝落ちし掛かったヤツが何を言う。……いや、外に止めたバネット、レンタカー屋に返して来て欲しいんだ」
 高野:「それならお安い御用です。ちょっと行って来ます。ついでにお昼も買って来ますか?」
 愛原:「ああ……そうだな。駅前のマックでいいだろう。俺はダブルチーズバーガーのセットでサイドメニューはポテト、ドリンクはコーラでいいや」
 高橋:「俺は先生の食べ残しで!」
 愛原:「言っておくが、俺は基本的に出された物は完食する主義だからな?」
 高野:「マサは先生と同じものが食べたいのね。リサちゃんは?」
 リサ:「ビッグマックセット!ポテトとコーラ!」
 高橋:「また先生より高いもの頼みやがって……!」
 愛原:「だからいいって」

 私は財布の中から2000円札を出して高野君に渡した。

 高野:「あら、珍しい」
 愛原:「珍し過ぎて、偽札扱いされて通報されたって話がネットで実しやかに語られていたぞ」
 高野:「何気に私に危ない橋を渡らせますのね?」
 愛原:「偽札扱いされたら、俺に電話くれ。高橋、送り込むから」
 高橋:「先生の2000円札を偽札扱いしやがるクソフザけた店には、マグナム撃ち込んでやりますぜ!」
 高野:「今度は大人用の刑務所にブチ込まれるからやめときなさい」

[同日13:00.天候:晴 同事務所]

 午後から本格的に業務を開始したわけだが、やはり士気が上がらない。
 何しろ私自身もまた眠気との格闘だったからだ。
 高橋は自分の机に突っ伏して寝落ちしてしまった。
 最初は就業時間だからと注意していた私だったが、さすがにもうそれはやめた。

 高野:「先生、あとは私がここにいますから、どうぞお帰りになって休んでください」
 愛原:「いや、そういうわけには……。こういう時に限って、ボスから電話があったりするものだ」

 それにこの時間に寝てしまったら、今度は夜寝られなくなる。
 それではいけない。
 因みにリサは食後、応接室に行って横になって寝ていた。
 今日は来客の予定が無いからいいようなものの、うちみたいな小さな事務所は飛び込みの仕事を受けることが多い。
 それをまとめてうちに紹介してくれるのがボスなのだが、クライアント自身が飛び込んで来ることも稀にある。
 その時はリサを起こして退出させないといけない。

 愛原:「おっ!?」

 その時、事務所の電話が鳴った。

 愛原:「ほらな?言った通りだろ!?ボスからの電話だ!」
 高野:「はあ……」

 高野君が電話に出た。

 高野:「お電話ありがとうございます。愛原学探偵事務所でございます。……あ、善場主任」
 愛原:「ん?」

 善場氏から?

 高野:「いつもお世話になっております。……あ、はい。愛原はもう帰所しております。……はい。少々お待ちください」
 愛原:「善場さんからだって?」
 高野:「そうです」

 私は自分の机の電話機の受話器を取った。

 愛原:「はい、お電話代わりました。愛原です」
 善場:「愛原所長、お疲れ様です。逆女(さかさおんな)峠・妖伏寺(ようぶくじ)トンネル工事現場での御活躍、お聞きしました」
 愛原:「ありがとうございます。いや、何かまたバイオハザード絡みでしたねぇ」
 善場:「BSAAからも報告は受けました。是非とも愛原さんからも直接お話を伺いたいので、お時間頂けないでしょうか?」
 愛原:「いつでもいいですよ。何でしたら今日にでも……」
 善場:「いえ、明後日の月曜日でお願いします」

 いくらエージェントとはいえ、そこはお役所。
 やはり日曜日は休みのようだ。
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