報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の自宅」

2019-11-13 19:19:10 | 私立探偵 愛原学シリーズ
 ※冗談抜きで、今度の御講で、「信仰と異性問題について」を講中で議論したくなってきた。恐らくタブーに切り込むこととなるので、開催の承認は降りないだろう。

[11月3日20:13.天候:晴 東京都墨田区江東橋 都営バス錦糸町駅前停留所→錦11系統車内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日はリサと斉藤絵恋さんとで、外で夕食を食べて来た。
 リサが1番、肉をバクバク食っていたな。
 私はどちらかというと、飲む方だ。

 愛原:「いやー、食った食った。御馳走さん」
 斉藤絵恋:「先生、御馳走様でした」
 愛原:「いやいや、いいよ。むしろ、それを言うのは俺の方だ。キミが持って来た食事代の中から払ったんだから。実質的にね」

 絵恋さんはたかだか今日一泊するだけだというのに、何と家から10万円も持って来た。
 どこの高級ホテルに泊まる気だ。
 もっとも、これが“おぼっちゃまくん”の主人公なら、10億円くらい持ってきそうなものだから、まだ現実的な額か?
 いや、違う。
 くそ、このコといると金銭感覚が狂う。
 それとも、飲み放題で飲み過ぎたせいか?
 駅ビルを出た私達は、再び都営バスに乗り込んだ。
 今度は始発から乗ったので着席できた。
 私は1人席に座り、JC2人はすぐ後ろの2人席に座った。
 因みに絵恋さんは家に来た時は学校の制服を着ていたが(リサを真似したらしい)、焼肉をするということで、私服に着替えていた。

〔発車致します。お掴まり下さい〕

 発車時間になり、バスが走り出した。
 それにしても、ノンステップバスの前扉に採用されているグライドスライドドア。
 折り戸と違って内側にスペースを必要とするわけでもなく、かといって引き戸のように戸袋が必要というわけでもない。
 これを最初に考えた人は大したものだと思う。
 欠点は密閉性の悪い折り戸より更に密閉性が悪くなること。
 車種によっては、閉扉しているにも関わらず隙間が見えるほどである。
 だから間違っても、長距離・高速走行し、気密性や静粛性も求められる観光バスや高速バスには採用されなかった。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは菊川駅前、浜町中の橋、茅場町経由、築地駅前行きです。次は錦糸堀、錦糸堀でございます〕

 愛原:「なあ、絵恋さん?」

 私は後ろを振り向いて言った。

 絵恋:「何ですか、先生?」
 愛原:「高橋はいつ解放してくれるんだ?」
 絵恋:「明日には解放しますよ。私が帰る頃にはね」

 絵恋さんはドSな笑みを浮かべた。

 愛原:「頼むから手荒なマネはしないでくれよ?」
 絵恋:「あのお兄さんがおとなしくしてくれれば、大丈夫ですよ?」

 するわけがない。
 きっと高橋は何度も監禁場所から脱走しようとするはずだ。
 しかし、現実には脱出ゲーのように失敗しても何度もコンティニューできるわけではないからな。
 恐らく彼は今、高級ホテルという名の薄暗い地下室に鎖で繋がれていることだろう。
 彼には申し訳ないが、これが人間社会というものだ。
 持てない人間は持てる人間に従わざるを得ない。
 これが人間社会というものだ。
 だからこそ、持てる人間が何かのきっかけで全てを失った時、持てない人間から嘲笑の嵐が舞い起こるのだろう(例、台風19号における武蔵小杉のタワマン)。

 絵恋:「ここでは愛原先生が1番だということは、お兄さんも御存知だったはず。その言う事を聞かないで反抗するから、あんな目に遭うんですよ」
 リサ:「先生の言う事は絶対だと言ってたのに……」
 絵恋:「ねー?」

 まあ、そこは高橋にも自業自得的な部分はあるが……。
 ま、とにかく力を持っている人間には逆らうなってことだな。
 何度も言うが、これが人間社会の現実というものである。

[同日20:45.天候:晴 墨田区菊川 愛原のマンション]

 乗ったバス停と同じバス停でバスを降りた私達。
 途中のコンビニで明日の朝食を買うことにした。
 確か高橋が、食パンなどを切らしていたとか言っていたから、ここで買うことにする。
 買い物を済ませて、ようやく私達は帰宅した。

 愛原:「さあ、着いた着いた」
 リサ:「再び、ただいま」
 絵恋:「再び、お邪魔しまーす」
 愛原:「まあ、寛いでくれ。ゲームやるならやってもいいし……あ、その前に宿題を……」
 リサ:「あ、それもうやった」
 愛原:「ん、そうか?」
 絵恋:「難しい数学の宿題でしたが、リサさんに教えてもらいました。リサさん、頭いいんですね」
 愛原:「まあな……」

 何しろ監禁されてた研究所が、クイズに答えないとドアの開錠ができないような場所だったからな。

 リサ:「お風呂、もうすぐ沸く?」
 愛原:「ああ、そうだ。タイマーで21時にセットしていたんだっけ。もし良かったら、キミ達先に入っていいよ」
 絵恋:「いいんですか?」
 愛原:「ああ。俺はまだ事務仕事が残ってるから。あ、そうそう。リサの服を洗濯してくれた礼に、キミの服も洗濯しておこう」
 絵恋:「え?いや、いいですよ。この服、洗濯機で洗えない生地ですし……」
 リサ:「それじゃ、サイトー。持って来たパジャマとかを洗ってもらう。パジャマは洗濯できるでしょ?」
 絵恋:「え、だからいいって……」

 だが、リサは目を赤く光らせ、牙を剝いた。

 リサ:「先生の言う事は絶対……!」
 絵恋:「は、はい!」

 S女王の絵恋さんも、リサの前ではドMに早変わりか……。

 愛原:「それじゃ、脱いだ服は脱衣カゴに入れといてね」
 リサ:「はーい」
 絵恋:「……はい」

 私は自分の部屋に入った。
 もちろん、高橋は高橋で自業自得だろう。
 私の指示に従っていれば、監禁されることはなかった。
 確かにその通りだが、絵恋さんにもやり過ぎる部分はある。
 こんなアラフォー中年オヤジに自分の服や下着を洗ってもらうなんて気持ち悪いと思うだろうが、これが私からのワガママセレブ嬢に対する戒めである。
 もちろん、リサが私の肩を持つことは想定内だ。
 高橋が監禁されなければ、そんな気持ち悪いことも起こらなかったと反省してもらいたい。
 どうしてかって?
 もし私が高橋のいる前であんなことを言ったら、やっぱり高橋は反対したと思うのだ。
 つまり、結果論だな。
 世の中、過程よりも結果が評価される。
 そういう世の中についても早く学べた時、社会への競争力も早くつくというものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“私立探偵 愛原学” 「探偵とBOWと御嬢様と」

2019-11-13 10:21:58 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[11月3日17:05.天候:晴 東京都墨田区菊川 都営バス菊川一丁目停留所→都営バス錦11系統車内]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は埼玉の斉藤絵恋さんの家に泊まりに行ったリサが帰って来たのだが、今度は斉藤さんが泊まりに来た。
 そして大富豪の圧力を使ってそれに猛反対する高橋を黙らせ、私もそれに同意せざるを得なかったのである。
 食事当番の強制的な休場により、私達は外食に出ざるを得なかった。
 私が1人で探偵をやっていた頃は、常に外食専門だったし。

 愛原:「しかし一体、高橋をどこに連れて行ったんだ?」
 斉藤:「高級ホテル一泊の旅に御招待ですわ」
 愛原:「どこかのビルの薄暗い地下室に、鎖で繋がれたままじゃないだろうな?」
 斉藤:「そ、そんなことありませんわ」Σ(゚Д゚)

 まあ、斉藤さんのことだから、ちゃんと無傷で解放してくれるとは思うが、問題は高橋がどれだけ抵抗するかだな。
 あんまり激しく抵抗すると、それこそケガの1つや2つ、させられるかもしれない。

 リサ:「! バス来た」
 愛原:「ああ、そうかい」

 錦糸町駅まで行く都営バスがやってきた。
 結局この周辺ではなく、この近くのターミナル駅の所まで行くことにした。

 斉藤:「言って下されば、私が新庄に頼んで車を出してもらいましたのに……」
 愛原:「それは申し訳ない。……大人3人」
 運転手:「はい」

 私は3人分の運賃をSuicaで支払うと、バスに乗り込んだ。
 吊り革に掴まると、バスが発車した。

〔発車します。お掴まりください〕

 愛原:「そんなに長い距離じゃないから、ちょっと我慢してね」
 斉藤:「はい。リサさんと手を繋げるのでいいです」

 そういうことか!

〔ピンポーン♪ 次は菊川駅前、菊川駅前でございます。都営地下鉄新宿線をご利用のお客様は、お乗り換えください。次は、菊川駅前でございます〕

 しかし、リサはリサで私の手を掴んでいる。
 リサの面倒が私では看切れないと判断された場合、リサは今度はどこに連れて行かれるのだろう?
 再びどこかの研究所か、或いは最悪殺処分か……。
 リサもそれを薄々気づいているということか。

[同日17:15.天候:晴 墨田区江東橋 都営バス錦糸町駅前停留所→テルミナ]

〔「ご乗車ありがとうございました。まもなく終点、錦糸町駅前、錦糸町駅前です。お忘れ物、落し物の無いよう、ご注意願います」〕

 私達を乗せたバスは無事に錦糸町駅の南口に到着した。

 愛原:「錦糸町に来るのも久しぶりだなぁ」
 リサ:「先生、どこに連れて行ってくれるの?」
 愛原:「何か食べたいものはある?」
 リサ:「肉!(できれば先生の)」
 斉藤:「わ、私も同じく……」
 愛原:「うん、分かった。だからリサ、俺を見て舌を出さないように」
 リサ:「ごめんなさい」
 愛原:「取りあえず、駅ビルに入ろうか。確か、中に焼肉できる所があったはずだ」

 私が先に立って歩くと、後ろから少女達の囁き声が聞こえた。

 斉藤:「ちょっと、リサさん!人間の肉は私のだけ食べてって言ったでしょ!?」
 リサ:「先生はメイン。サイトーはデザート」
 斉藤:「わ、私がデザート?(ということはスイーツ!?)……も、萌えぇぇぇぇっ!!」
 リサ:「うん、スイーツスイーツ(笑)」

 全然、ヒソヒソ話じゃねぇ。
 リサのヤツ、斉藤さんに正体ばらしたな。
 それで昨夜、BSAA極東支部日本地区本部が騒いで出動し掛かったというわけだ。
 あの様子では斉藤さん、怖がるどころか、むしろ違った意味で悶絶したことだろう。
 リサは私や斉藤さんを食い殺したい(食いながら死なせるのか、或いは殺してから食うのかは不明)らしいが、斉藤さんはその前に萌え殺されそうだ。

 愛原:「ここでいいか」

 テルミナという駅ビルの中に焼肉屋があったので、そこに入った。
 まだ時間帯も早いせいか、店内は空いていた。

 愛原:「遠慮しないで好きなもん頼んでいいぞ」
 リサ:「おー!」

 リサはメニューに並ぶ肉の写真を見て、目を輝かせた。
 人間の肉から取りあえず目が逸れたようで良かった。

 リサ:「食べ放題!食べほーだーい!」
 愛原:「その方がいいな。飲み放題も付けよう」

 私は早速、食べ放題と飲み放題を注文した。
 もちろん、私はビールだ。
 まずは飲み物が届き、それで乾杯だ。
 と、そこへ斉藤さんのスマホに着信があった。

 斉藤:「ちょっとごめんなさーい……。何よ?……はあ?脱走未遂!?だったら、催眠ガスでも噴射して眠らせておやり!……そうよ!」

 斉藤さんは電話を切った。

 愛原:「さ、斉藤さん、もしかして、今の……?」
 斉藤:「何でもありませんわ。お肉が届きましたのね?早く焼いて食べましょう」
 愛原:「……あ、はい」

 恐らく高橋は監禁場所から脱出しようとしたのだろう。
 しかし失敗して再び捕まったというわけか。

 リサ:「サイトー、私は生っぽい方がいい」
 斉藤:「レアね。任せて」
 リサ:「ていうか、生でいい」
 斉藤:「ブルー!?」
 愛原:「リサ、それじゃ焼肉の意味が無いだろ。レアでいいから、ちゃんと焼いて食べなさい」
 リサ:「はーい」
 愛原:「どうしても生で食べたいというのなら……」

 私は店員を呼んだ。

 店員:「はい、お伺い致します」
 愛原:「ユッケ2つ」
 店員:「ユッケ2つですね。かしこまりました」
 斉藤:「今、ユッケって食べられるんですか?」
 愛原:「多分、馬肉だろうね。馬の体温は牛よりも高いので、肉の内部に細菌が繁殖しにくいんだそうだ」

 私の子供の頃にはあった牛刺しは狂牛病の影響で無くなったが、馬刺しは未だに残っている。
 牛の肉と馬の肉とでは細菌の繁殖性が違うということだな。
 そこでふと気づいたことがある。
 リサの体温は明らかに普通の人間よりも高い。
 そしてこれは善場氏から聞いたのだが、多くのBOWがそうなんだそうだ。
 免疫力が異常なまでに高まるものの、それをもってしても生物兵器としてのウィルスを駆逐することはできない。
 しかし、他のウィルスは完全に駆逐することができる。
 旧アンブレラから押収された研究資料の中に、『リサ・トレヴァー』にインフルエンザウィルスを投与するという実験が行われたものがあったという。
 その中に、いま目の前にいるリサも含まれているそうだが、多くの場合、インフルエンザに感染しても、全く発症しなかったとのこと。
 これは異常までに高まった免疫力のせいだろうとされている。

 店員:「お待たせしました。ユッケ2つでございます」
 愛原:「ほら、生肉」
 リサ:「おー!」
 愛原:「こうやって、卵黄を絡めて、チシャに包んで……って、おい!」
 リサ:「はーむっ!」

 私が食べ方を教えるまでも無く、リサは皿を手に取ると、一気に一口で食べてしまった。

 リサ:「生肉美味しい」
 斉藤:「リサさん、超ワイルドぉ〜
 愛原:「今度はちゃんとセオリー通りの食べ方で食べような?ここではリサは、人間として生きてるんだから」
 リサ:「はーい」
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする