※冗談抜きで、今度の御講で、「信仰と異性問題について」を講中で議論したくなってきた。恐らくタブーに切り込むこととなるので、開催の承認は降りないだろう。
[11月3日20:13.天候:晴 東京都墨田区江東橋 都営バス錦糸町駅前停留所→錦11系統車内]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日はリサと斉藤絵恋さんとで、外で夕食を食べて来た。
リサが1番、肉をバクバク食っていたな。
私はどちらかというと、飲む方だ。
愛原:「いやー、食った食った。御馳走さん」
斉藤絵恋:「先生、御馳走様でした」
愛原:「いやいや、いいよ。むしろ、それを言うのは俺の方だ。キミが持って来た食事代の中から払ったんだから。実質的にね」
絵恋さんはたかだか今日一泊するだけだというのに、何と家から10万円も持って来た。
どこの高級ホテルに泊まる気だ。
もっとも、これが“おぼっちゃまくん”の主人公なら、10億円くらい持ってきそうなものだから、まだ現実的な額か?
いや、違う。
くそ、このコといると金銭感覚が狂う。
それとも、飲み放題で飲み過ぎたせいか?
駅ビルを出た私達は、再び都営バスに乗り込んだ。
今度は始発から乗ったので着席できた。
私は1人席に座り、JC2人はすぐ後ろの2人席に座った。
因みに絵恋さんは家に来た時は学校の制服を着ていたが(リサを真似したらしい)、焼肉をするということで、私服に着替えていた。
〔発車致します。お掴まり下さい〕
発車時間になり、バスが走り出した。
それにしても、ノンステップバスの前扉に採用されているグライドスライドドア。
折り戸と違って内側にスペースを必要とするわけでもなく、かといって引き戸のように戸袋が必要というわけでもない。
これを最初に考えた人は大したものだと思う。
欠点は密閉性の悪い折り戸より更に密閉性が悪くなること。
車種によっては、閉扉しているにも関わらず隙間が見えるほどである。
だから間違っても、長距離・高速走行し、気密性や静粛性も求められる観光バスや高速バスには採用されなかった。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは菊川駅前、浜町中の橋、茅場町経由、築地駅前行きです。次は錦糸堀、錦糸堀でございます〕
愛原:「なあ、絵恋さん?」
私は後ろを振り向いて言った。
絵恋:「何ですか、先生?」
愛原:「高橋はいつ解放してくれるんだ?」
絵恋:「明日には解放しますよ。私が帰る頃にはね」
絵恋さんはドSな笑みを浮かべた。
愛原:「頼むから手荒なマネはしないでくれよ?」
絵恋:「あのお兄さんがおとなしくしてくれれば、大丈夫ですよ?」
するわけがない。
きっと高橋は何度も監禁場所から脱走しようとするはずだ。
しかし、現実には脱出ゲーのように失敗しても何度もコンティニューできるわけではないからな。
恐らく彼は今、高級ホテルという名の薄暗い地下室に鎖で繋がれていることだろう。
彼には申し訳ないが、これが人間社会というものだ。
持てない人間は持てる人間に従わざるを得ない。
これが人間社会というものだ。
だからこそ、持てる人間が何かのきっかけで全てを失った時、持てない人間から嘲笑の嵐が舞い起こるのだろう(例、台風19号における武蔵小杉のタワマン)。
絵恋:「ここでは愛原先生が1番だということは、お兄さんも御存知だったはず。その言う事を聞かないで反抗するから、あんな目に遭うんですよ」
リサ:「先生の言う事は絶対だと言ってたのに……」
絵恋:「ねー?」
まあ、そこは高橋にも自業自得的な部分はあるが……。
ま、とにかく力を持っている人間には逆らうなってことだな。
何度も言うが、これが人間社会の現実というものである。
[同日20:45.天候:晴 墨田区菊川 愛原のマンション]
乗ったバス停と同じバス停でバスを降りた私達。
途中のコンビニで明日の朝食を買うことにした。
確か高橋が、食パンなどを切らしていたとか言っていたから、ここで買うことにする。
買い物を済ませて、ようやく私達は帰宅した。
愛原:「さあ、着いた着いた」
リサ:「再び、ただいま」
絵恋:「再び、お邪魔しまーす」
愛原:「まあ、寛いでくれ。ゲームやるならやってもいいし……あ、その前に宿題を……」
リサ:「あ、それもうやった」
愛原:「ん、そうか?」
絵恋:「難しい数学の宿題でしたが、リサさんに教えてもらいました。リサさん、頭いいんですね」
愛原:「まあな……」
何しろ監禁されてた研究所が、クイズに答えないとドアの開錠ができないような場所だったからな。
リサ:「お風呂、もうすぐ沸く?」
愛原:「ああ、そうだ。タイマーで21時にセットしていたんだっけ。もし良かったら、キミ達先に入っていいよ」
絵恋:「いいんですか?」
愛原:「ああ。俺はまだ事務仕事が残ってるから。あ、そうそう。リサの服を洗濯してくれた礼に、キミの服も洗濯しておこう」
絵恋:「え?いや、いいですよ。この服、洗濯機で洗えない生地ですし……」
リサ:「それじゃ、サイトー。持って来たパジャマとかを洗ってもらう。パジャマは洗濯できるでしょ?」
絵恋:「え、だからいいって……」
だが、リサは目を赤く光らせ、牙を剝いた。
リサ:「先生の言う事は絶対……!」
絵恋:「は、はい!」
S女王の絵恋さんも、リサの前ではドMに早変わりか……。
愛原:「それじゃ、脱いだ服は脱衣カゴに入れといてね」
リサ:「はーい」
絵恋:「……はい」
私は自分の部屋に入った。
もちろん、高橋は高橋で自業自得だろう。
私の指示に従っていれば、監禁されることはなかった。
確かにその通りだが、絵恋さんにもやり過ぎる部分はある。
こんなアラフォー中年オヤジに自分の服や下着を洗ってもらうなんて気持ち悪いと思うだろうが、これが私からのワガママセレブ嬢に対する戒めである。
もちろん、リサが私の肩を持つことは想定内だ。
高橋が監禁されなければ、そんな気持ち悪いことも起こらなかったと反省してもらいたい。
どうしてかって?
もし私が高橋のいる前であんなことを言ったら、やっぱり高橋は反対したと思うのだ。
つまり、結果論だな。
世の中、過程よりも結果が評価される。
そういう世の中についても早く学べた時、社会への競争力も早くつくというものだ。
[11月3日20:13.天候:晴 東京都墨田区江東橋 都営バス錦糸町駅前停留所→錦11系統車内]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
今日はリサと斉藤絵恋さんとで、外で夕食を食べて来た。
リサが1番、肉をバクバク食っていたな。
私はどちらかというと、飲む方だ。
愛原:「いやー、食った食った。御馳走さん」
斉藤絵恋:「先生、御馳走様でした」
愛原:「いやいや、いいよ。むしろ、それを言うのは俺の方だ。キミが持って来た食事代の中から払ったんだから。実質的にね」
絵恋さんはたかだか今日一泊するだけだというのに、何と家から10万円も持って来た。
どこの高級ホテルに泊まる気だ。
もっとも、これが“おぼっちゃまくん”の主人公なら、10億円くらい持ってきそうなものだから、まだ現実的な額か?
いや、違う。
くそ、このコといると金銭感覚が狂う。
それとも、飲み放題で飲み過ぎたせいか?
駅ビルを出た私達は、再び都営バスに乗り込んだ。
今度は始発から乗ったので着席できた。
私は1人席に座り、JC2人はすぐ後ろの2人席に座った。
因みに絵恋さんは家に来た時は学校の制服を着ていたが(リサを真似したらしい)、焼肉をするということで、私服に着替えていた。
〔発車致します。お掴まり下さい〕
発車時間になり、バスが走り出した。
それにしても、ノンステップバスの前扉に採用されているグライドスライドドア。
折り戸と違って内側にスペースを必要とするわけでもなく、かといって引き戸のように戸袋が必要というわけでもない。
これを最初に考えた人は大したものだと思う。
欠点は密閉性の悪い折り戸より更に密閉性が悪くなること。
車種によっては、閉扉しているにも関わらず隙間が見えるほどである。
だから間違っても、長距離・高速走行し、気密性や静粛性も求められる観光バスや高速バスには採用されなかった。
〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂きまして、ありがとうございます。この都営バスは菊川駅前、浜町中の橋、茅場町経由、築地駅前行きです。次は錦糸堀、錦糸堀でございます〕
愛原:「なあ、絵恋さん?」
私は後ろを振り向いて言った。
絵恋:「何ですか、先生?」
愛原:「高橋はいつ解放してくれるんだ?」
絵恋:「明日には解放しますよ。私が帰る頃にはね」
絵恋さんはドSな笑みを浮かべた。
愛原:「頼むから手荒なマネはしないでくれよ?」
絵恋:「あのお兄さんがおとなしくしてくれれば、大丈夫ですよ?」
するわけがない。
きっと高橋は何度も監禁場所から脱走しようとするはずだ。
しかし、現実には脱出ゲーのように失敗しても何度もコンティニューできるわけではないからな。
恐らく彼は今、高級ホテルという名の薄暗い地下室に鎖で繋がれていることだろう。
彼には申し訳ないが、これが人間社会というものだ。
持てない人間は持てる人間に従わざるを得ない。
これが人間社会というものだ。
だからこそ、持てる人間が何かのきっかけで全てを失った時、持てない人間から嘲笑の嵐が舞い起こるのだろう(例、台風19号における武蔵小杉のタワマン)。
絵恋:「ここでは愛原先生が1番だということは、お兄さんも御存知だったはず。その言う事を聞かないで反抗するから、あんな目に遭うんですよ」
リサ:「先生の言う事は絶対だと言ってたのに……」
絵恋:「ねー?」
まあ、そこは高橋にも自業自得的な部分はあるが……。
ま、とにかく力を持っている人間には逆らうなってことだな。
何度も言うが、これが人間社会の現実というものである。
[同日20:45.天候:晴 墨田区菊川 愛原のマンション]
乗ったバス停と同じバス停でバスを降りた私達。
途中のコンビニで明日の朝食を買うことにした。
確か高橋が、食パンなどを切らしていたとか言っていたから、ここで買うことにする。
買い物を済ませて、ようやく私達は帰宅した。
愛原:「さあ、着いた着いた」
リサ:「再び、ただいま」
絵恋:「再び、お邪魔しまーす」
愛原:「まあ、寛いでくれ。ゲームやるならやってもいいし……あ、その前に宿題を……」
リサ:「あ、それもうやった」
愛原:「ん、そうか?」
絵恋:「難しい数学の宿題でしたが、リサさんに教えてもらいました。リサさん、頭いいんですね」
愛原:「まあな……」
何しろ監禁されてた研究所が、クイズに答えないとドアの開錠ができないような場所だったからな。
リサ:「お風呂、もうすぐ沸く?」
愛原:「ああ、そうだ。タイマーで21時にセットしていたんだっけ。もし良かったら、キミ達先に入っていいよ」
絵恋:「いいんですか?」
愛原:「ああ。俺はまだ事務仕事が残ってるから。あ、そうそう。リサの服を洗濯してくれた礼に、キミの服も洗濯しておこう」
絵恋:「え?いや、いいですよ。この服、洗濯機で洗えない生地ですし……」
リサ:「それじゃ、サイトー。持って来たパジャマとかを洗ってもらう。パジャマは洗濯できるでしょ?」
絵恋:「え、だからいいって……」
だが、リサは目を赤く光らせ、牙を剝いた。
リサ:「先生の言う事は絶対……!」
絵恋:「は、はい!」
S女王の絵恋さんも、リサの前ではドMに早変わりか……。
愛原:「それじゃ、脱いだ服は脱衣カゴに入れといてね」
リサ:「はーい」
絵恋:「……はい」
私は自分の部屋に入った。
もちろん、高橋は高橋で自業自得だろう。
私の指示に従っていれば、監禁されることはなかった。
確かにその通りだが、絵恋さんにもやり過ぎる部分はある。
こんなアラフォー中年オヤジに自分の服や下着を洗ってもらうなんて気持ち悪いと思うだろうが、これが私からのワガママセレブ嬢に対する戒めである。
もちろん、リサが私の肩を持つことは想定内だ。
高橋が監禁されなければ、そんな気持ち悪いことも起こらなかったと反省してもらいたい。
どうしてかって?
もし私が高橋のいる前であんなことを言ったら、やっぱり高橋は反対したと思うのだ。
つまり、結果論だな。
世の中、過程よりも結果が評価される。
そういう世の中についても早く学べた時、社会への競争力も早くつくというものだ。