[4月26日01:00.天候:晴 東京都江東区森下 ワンスターホテル1F オーナーの居住区]
イリーナ:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。……」
イリーナはオーナーに回復魔法を掛けた。
意識がある場合はポーションなどを使うが、イリーナが駆け付けた時、オーナーは意識が無かった為。
オーナー:「うう……」
イリーナ:「これでもう大丈夫」
エレーナ:「ありがとうございます、先生!」
イリーナ:「変な気配がして目が覚めたと思ったら、変な奴がいたからね。下りてみたら、案の定だったよ」
エレーナ:「変なヤツとは?」
イリーナ:「“魔の者”の手先かもしれないねぇ……」
オーナー:「ここは……?私の部屋か……」
イリーナ:「オーナー、大丈夫ですか!?」
オーナー:「ああ……」
イリーナ:「回復魔法を掛けておきました。これで大丈夫でしょう」
オーナー:「そうでしたか。ありがとうございます」
イリーナ:「第1発見者はエレーナですよ。それより、何があったのか教えてもらえませんか?」
オーナー:「私もよく分からないんです。突然、外で強い風が吹いたかと思うと、エントランスのドアが勝手に開いて……。そこから黒い影のような物が入って来たんです。呆気に取られていたら、目の前が暗くなって……。で、気が付いたら、このザマです」
エレーナ:「防犯カメラに映ってるかもですね。ちょっと巻き戻してみましょう」
エレーナは隣の事務室に行くと、ホテルの内外を映している防犯カメラの映像を記録している所に向かった。
その中にエントランスを映しているカメラと、ロビー全体を映しているカメラがある。
オーナーが倒れたと思われる時間帯に巻き戻してみた。
それはエレーナが鈴木の部屋に向かった直後に起きたようだ。
オーナーの証言通り、エントランスのドアが自動で開いた。
しかしそこから入って来る人間はおらず、黒いもやのようなものが入って来た。
そして、オーナーに向かって行き、そこでオーナーはフロントの下に倒れる。
もやはしばらくフロントの中やロビーを浮遊していたが、宿泊客Bが入って来ると同時にホテルから出て行った。
急な強風に襲われた宿泊客Bも呆気に取られていたが、すぐに気を取り直し、フロントに向かっている。
イリーナ:「時々、人の形をするね、こいつ」
エレーナ:「そうなんですか」
イリーナ:「ええ。私達が身を隠すような恰好をするじゃない?……ほら、ここ。まるで、黒いローブを羽織って、フードを深く被っているような姿」
エレーナ:「ああ……。てことは、魔道士の誰か?」
イリーナ:「というより、フィクサーじゃないかしら」
エレーナ:「フィクサー?」
イリーナ:「あなたは覚えが無い?ニューヨークのマフィアを倒しに行った時、あれと似たようなヤツが見えたって言うじゃない」
エレーナ:「ああっ、思い出した!そうなんですよ!今のヤツの何十倍もの数が私の邪魔をしてきやがりましてね!……てことは、“魔の者”の手先?」
イリーナ:「可能性はあるわ。でも、まだ何とも言えないの」
エレーナ:「と、言いますと?」
イリーナ:「“魔の者”の眷属と戦った時、フィクサーが向こうの邪魔をして私が勝ったこともあるわ」
エレーナ:「何すか、それ!?」
イリーナ:「だから一概に“魔の者”の手先とは言えないの。だから私はフィクサーと呼んでる。私達の裏もかくし、もしかしたら“魔の者”の裏もかいているかもしれないという意味で」
エレーナ:「奴らの目的は?」
イリーナ:「それも分からない。もしかしたら、ダンテ先生が知ってるかもしれないけど、何も教えてくれないの」
エレーナ:「……少なくとも、私達を翻弄する存在だってことは確信が持てました。あの時は“魔の者”が私達の邪魔をする為の何かだったと思っていましたが」
イリーナ:「そうね。警戒するに越したことはないわ。……私は部屋に戻るわね」
エレーナ:「あ、はい。ありがとうございました」
2人が事務所が出ると、フロントにオーナーがいた。
オーナー:「イリーナ先生、ありがとうございました」
エレーナ:「オーナー、もういいんですか?」
オーナー:「ああ。少し休んだら、良くなったよ。先生の回復魔法も効いたしね」
エレーナ:「オーナー、もし良かったらポーションもありますんで。ミドルポーションもハイポーションも」
イリーナ:「どれだけ隠し持ってるのよ……」
しかし、エリクサーやメガポーションだけは融通しないエレーナw
[同日08:00.天候:晴 東京都江東区森下 レストラン“マジックスター”]
翌朝、ホテルに併設されたレストランで朝食を取る稲生達。
そこでイリーナから昨夜ホテルで起きた事件について、初めて聞かされた。
稲生:「ええっ!?そんなことがあったんですか!?」
マリア:「師匠、言ってくれれば私が……」
稲生:「あら?私が起きた時、あなたは部屋にいなかったわよ?」
マリア:「そ、それは……」
イリーナ:「私が勇太君の部屋の前を通り過ぎた時、あなたの『高い声』が漏れていたから気をつけてね」
マリア:「あ、あの……それは……」
マリア、一気に顔を赤らめた。
ウェイトレス:「お待たせ致しました。和定食2つと洋定食1つになります」
イリーナ:「さて、頂くとしましょう」
いつもはバイキング形式の朝食だが、宿泊客減に伴い、定食形式になった。
稲生:「そ、その……フィクサーというのは、今までも現れたんですか?」
イリーナ:「ヨーロッパとアメリカにね。日本には現れてなかったわよ。だから今回のは不思議なんだよね」
稲生:「逆に、どうして日本には現れていなかったのか、ですね」
イリーナ:「“魔の者”は直接日本には乗り込めない。だから代わりに眷属を送り込んだりしていたわけだけど、戦法を変えたのかもしれないわね。私達が悉く眷属を撃退していたわけだから」
もちろん、余裕で勝っていたわけではない。
イギリスを拠点にしているベイカー組が来日した際、眷属達からの銃撃を受け、弟子を2人亡くしている。
マリア:「魔界に行って、理由が分かるといいですね」
イリーナ:「そうね」
朝食を終えた後、この3人はホテルをチェックアウトし、魔界に向かうことになる。
イリーナ:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。……」
イリーナはオーナーに回復魔法を掛けた。
意識がある場合はポーションなどを使うが、イリーナが駆け付けた時、オーナーは意識が無かった為。
オーナー:「うう……」
イリーナ:「これでもう大丈夫」
エレーナ:「ありがとうございます、先生!」
イリーナ:「変な気配がして目が覚めたと思ったら、変な奴がいたからね。下りてみたら、案の定だったよ」
エレーナ:「変なヤツとは?」
イリーナ:「“魔の者”の手先かもしれないねぇ……」
オーナー:「ここは……?私の部屋か……」
イリーナ:「オーナー、大丈夫ですか!?」
オーナー:「ああ……」
イリーナ:「回復魔法を掛けておきました。これで大丈夫でしょう」
オーナー:「そうでしたか。ありがとうございます」
イリーナ:「第1発見者はエレーナですよ。それより、何があったのか教えてもらえませんか?」
オーナー:「私もよく分からないんです。突然、外で強い風が吹いたかと思うと、エントランスのドアが勝手に開いて……。そこから黒い影のような物が入って来たんです。呆気に取られていたら、目の前が暗くなって……。で、気が付いたら、このザマです」
エレーナ:「防犯カメラに映ってるかもですね。ちょっと巻き戻してみましょう」
エレーナは隣の事務室に行くと、ホテルの内外を映している防犯カメラの映像を記録している所に向かった。
その中にエントランスを映しているカメラと、ロビー全体を映しているカメラがある。
オーナーが倒れたと思われる時間帯に巻き戻してみた。
それはエレーナが鈴木の部屋に向かった直後に起きたようだ。
オーナーの証言通り、エントランスのドアが自動で開いた。
しかしそこから入って来る人間はおらず、黒いもやのようなものが入って来た。
そして、オーナーに向かって行き、そこでオーナーはフロントの下に倒れる。
もやはしばらくフロントの中やロビーを浮遊していたが、宿泊客Bが入って来ると同時にホテルから出て行った。
急な強風に襲われた宿泊客Bも呆気に取られていたが、すぐに気を取り直し、フロントに向かっている。
イリーナ:「時々、人の形をするね、こいつ」
エレーナ:「そうなんですか」
イリーナ:「ええ。私達が身を隠すような恰好をするじゃない?……ほら、ここ。まるで、黒いローブを羽織って、フードを深く被っているような姿」
エレーナ:「ああ……。てことは、魔道士の誰か?」
イリーナ:「というより、フィクサーじゃないかしら」
エレーナ:「フィクサー?」
イリーナ:「あなたは覚えが無い?ニューヨークのマフィアを倒しに行った時、あれと似たようなヤツが見えたって言うじゃない」
エレーナ:「ああっ、思い出した!そうなんですよ!今のヤツの何十倍もの数が私の邪魔をしてきやがりましてね!……てことは、“魔の者”の手先?」
イリーナ:「可能性はあるわ。でも、まだ何とも言えないの」
エレーナ:「と、言いますと?」
イリーナ:「“魔の者”の眷属と戦った時、フィクサーが向こうの邪魔をして私が勝ったこともあるわ」
エレーナ:「何すか、それ!?」
イリーナ:「だから一概に“魔の者”の手先とは言えないの。だから私はフィクサーと呼んでる。私達の裏もかくし、もしかしたら“魔の者”の裏もかいているかもしれないという意味で」
エレーナ:「奴らの目的は?」
イリーナ:「それも分からない。もしかしたら、ダンテ先生が知ってるかもしれないけど、何も教えてくれないの」
エレーナ:「……少なくとも、私達を翻弄する存在だってことは確信が持てました。あの時は“魔の者”が私達の邪魔をする為の何かだったと思っていましたが」
イリーナ:「そうね。警戒するに越したことはないわ。……私は部屋に戻るわね」
エレーナ:「あ、はい。ありがとうございました」
2人が事務所が出ると、フロントにオーナーがいた。
オーナー:「イリーナ先生、ありがとうございました」
エレーナ:「オーナー、もういいんですか?」
オーナー:「ああ。少し休んだら、良くなったよ。先生の回復魔法も効いたしね」
エレーナ:「オーナー、もし良かったらポーションもありますんで。ミドルポーションもハイポーションも」
イリーナ:「どれだけ隠し持ってるのよ……」
しかし、エリクサーやメガポーションだけは融通しないエレーナw
[同日08:00.天候:晴 東京都江東区森下 レストラン“マジックスター”]
翌朝、ホテルに併設されたレストランで朝食を取る稲生達。
そこでイリーナから昨夜ホテルで起きた事件について、初めて聞かされた。
稲生:「ええっ!?そんなことがあったんですか!?」
マリア:「師匠、言ってくれれば私が……」
稲生:「あら?私が起きた時、あなたは部屋にいなかったわよ?」
マリア:「そ、それは……」
イリーナ:「私が勇太君の部屋の前を通り過ぎた時、あなたの『高い声』が漏れていたから気をつけてね」
マリア:「あ、あの……それは……」
マリア、一気に顔を赤らめた。
ウェイトレス:「お待たせ致しました。和定食2つと洋定食1つになります」
イリーナ:「さて、頂くとしましょう」
いつもはバイキング形式の朝食だが、宿泊客減に伴い、定食形式になった。
稲生:「そ、その……フィクサーというのは、今までも現れたんですか?」
イリーナ:「ヨーロッパとアメリカにね。日本には現れてなかったわよ。だから今回のは不思議なんだよね」
稲生:「逆に、どうして日本には現れていなかったのか、ですね」
イリーナ:「“魔の者”は直接日本には乗り込めない。だから代わりに眷属を送り込んだりしていたわけだけど、戦法を変えたのかもしれないわね。私達が悉く眷属を撃退していたわけだから」
もちろん、余裕で勝っていたわけではない。
イギリスを拠点にしているベイカー組が来日した際、眷属達からの銃撃を受け、弟子を2人亡くしている。
マリア:「魔界に行って、理由が分かるといいですね」
イリーナ:「そうね」
朝食を終えた後、この3人はホテルをチェックアウトし、魔界に向かうことになる。