[5月6日10:30.天候:晴 アルカディアシティ6番街 アルカディアメトロ6番街駅→地下鉄トンネル]
ノラン:「へえ~。人間界では疫病が蔓延してるんですか?」
稲生:「外国なんかじゃ、都市封鎖が行われているくらいだよ。日本ではそこまでは行われていないけどね」
ノラン:「ああ、それでですか」
稲生:「ん?」
ノラン:「いえね、稲生さん達が来る前に新聞に出てたんですが、『人間界からやってきた者は即拘束する』と政府発表があったんですよ」
稲生:「えっ!?」
ノラン:「でも、どうやら魔道士さん達は例外みたいですね。もしそうなら、さっきの乗り場の検問で拘束されてたはずです」
稲生:「それ以前に僕達、魔王城に行って、宮廷魔導師のポーリン先生に面会を求めたからね。もし魔道士も対象内だったら、その時に拘束されてるよ」
ノラン:「色々と魔道士さん達は特権があるみたいですね」
稲生:「どうだろう?」
マリア:「ま、あながち嘘ではない……かも」
稲生:「はあ……」
路面電車が6番街駅前に到着する。
稲生:「どうやって工事現場まで行くの?」
ノラン:「まずは駅の中に入りましょう」
階段を下りてコンコースに向かう。
改札口へは入らず、『関係者以外立入禁止』と書かれた鉄扉へと向かった。
その入口には自警団員と思しき男が猟銃を持って立っていた。
ノラン:「スターンさん、こんにちは」
スターン:「ノランか」
ノラン:「例の大蜘蛛、動きはどう?」
スターン:「人間が恐れをなして立ち去ったと見るや、工事現場に居座ってやがる。このままでは、駅の方までやってくるかもしれん」
ノラン:「じゃあ、早いとこ退治しないとね」
スターン:「ああ。このお二方が、今回の助っ人かい?」
ノラン:「素早い動きは魔法で封じ、あとは虫の弱点である炎の魔法で焼き殺す作戦よ」
スターン:「そりゃいい。俺達も虫は火に弱いってことは知ってて、火炎放射器を用意したんだが、いかんせんすばしっこい動きと糸のせいで近づけないんだ」
ノラン:「この人達がいれば、百人力ね」
スターン:「だが1つ、不穏な動きがある」
ノラン:「不穏な動き?」
スターン:「ここ数日、親蜘蛛が巣の中に入ったまま出て来なくなったらしい。作業員の目撃情報によると、卵嚢を見つけたとのことだ」
ノラン:「繁殖してる?」
スターン:「可能性はある。昨日の今日だから、まだ生まれていないかもしれないし、もし生まれたとしても子グモの状態だ」
稲生:「生まれる前に対処しましょう!今すぐに!」
ノラン:「そうね。善は急げと言うわ」
スターンは鉄扉の鍵を開けた。
スターン:「現場はこの先から行ける。くれぐれも電車に気をつけてな」
稲生:「運休はしてないんだ」
そこが日本との大きな違いであろう。
稲生達は鉄扉の中に入った。
しばらく行くと黴臭いコンクリートの壁が現れ、下への階段が現れた。
照明は所々にある蛍光灯が灯っているだけ。
その蛍光灯にも蜘蛛の巣が張っていたが、これは普通の蜘蛛だ。
別の蜘蛛の巣にはゴキブリが引っ掛かってしまい、それを蜘蛛が捕食している所を見ることができた。
どうやらエサはちゃんとあるようだ。
階段を下り切ると、もう1つドアがあった。
それは内側に開いた。
開けると、その先に線路があった。
稲生:「おっと!」
ゴォッ!と強い風と眩いヘッドライトがやってきて、電車が通過していった。
線路が見えたので電車が来る方向を確認したつもりだったが、反対側からやってきた。
それもそのはず。
アルカディアメトロの地下鉄は右側通行だからだ。
高架鉄道が左側通行なのとは対照的である。
ノラン:「工事現場は向こうよ」
マリア:「よし、行こう」
線路に降りて、駅とは反対方向に歩く。
今度は対向電車が通過していった。
そして途中に分岐があり、バリケードがされている。
ノラン:「工事現場は向こうよ」
稲生:「分かった」
バリケードを乗り越えると、左にカーブしている。
この辺りはもう新しいレールが敷かれていた。
稲生:「あれ?何か工事の音がする」
マリア:「本当だ」
ノラン:「例の大蜘蛛がいるのは特定の場所だからね。そうでない場所だけでも作業を進めようとしているのね」
稲生:「ふーん……」
地下トンネルは薄暗かったが、工事現場は明るかった。
重機などを見ていると、とてもここが剣と魔法のファンタジーの世界ではなく、現実世界のどこかの地下鉄だと思うくらいだ。
現場監督:「ん?あなた達は……」
ノラン:「自警団の者です。大蜘蛛を退治しに来ました」
現場監督:「おお、そうか。それは助かる。奴らはこの壁の向こうにいる。本当はあそこに出入口があったんだが、最近凶暴化してそのドアをぶち破ろうとしてきてね。コンクリートで固めてしまったんだ」
稲生:「え?それじゃ……」
現場監督:「別の入口がある。悪いが、そこから入ってくれないか。本線の線路沿いを少し歩いた先にある。これがそのドアの鍵だ。今のところ電車の運行に支障は無いが、いずれきっと事故を起こす。事故が起きてからじゃ遅いんだ」
マリア:「だからこそ、魔王軍が出張ればいいのに、体たらく」
ノラン:「ま、私達で頑張りましょう」
3人は来た道を引き返した。
稲生:「おっと!また電車だ!」
電車をやり過ごしてから線路に出る。
大ネズミ:「チュー!チュー!」
モンスターラットA:「チューチュー!」
モンスターラットB:「チュー!」
モンスターラットC:「ピ○チュー!」
マリア:「ネズミのモンスター!?」
ノラン:「地下鉄のトンネルには、たまにこういうヤツがいるって話だからね!」
稲生:「今、なんか違うネズミの鳴き声あげたヤツいなかった!?」
3人にとってはザコ同然。
しかし、ノランが1人で退治してしまった。
ノラン:「魔法使いさん達には魔力を温存してもらいたいですからね。ザコは私にお任せあれ」
マリア:「助かる」
テラ○フォーマーズA:「じょうじ?」
テラフォーマー○B:「じょうじじょうじ」
テラフォー○ーズC:「じょうじ!」
マリア:「今度は人型ゴキブリの化け物か!」
ノラン:「私に任せて!」
稲生:「いや、何か別の意味でヤバいモンスターばっかり出てるぞ!?」
稲生達は無事に大蜘蛛の場所まで辿り着けるのであろうか。
ノラン:「へえ~。人間界では疫病が蔓延してるんですか?」
稲生:「外国なんかじゃ、都市封鎖が行われているくらいだよ。日本ではそこまでは行われていないけどね」
ノラン:「ああ、それでですか」
稲生:「ん?」
ノラン:「いえね、稲生さん達が来る前に新聞に出てたんですが、『人間界からやってきた者は即拘束する』と政府発表があったんですよ」
稲生:「えっ!?」
ノラン:「でも、どうやら魔道士さん達は例外みたいですね。もしそうなら、さっきの乗り場の検問で拘束されてたはずです」
稲生:「それ以前に僕達、魔王城に行って、宮廷魔導師のポーリン先生に面会を求めたからね。もし魔道士も対象内だったら、その時に拘束されてるよ」
ノラン:「色々と魔道士さん達は特権があるみたいですね」
稲生:「どうだろう?」
マリア:「ま、あながち嘘ではない……かも」
稲生:「はあ……」
路面電車が6番街駅前に到着する。
稲生:「どうやって工事現場まで行くの?」
ノラン:「まずは駅の中に入りましょう」
階段を下りてコンコースに向かう。
改札口へは入らず、『関係者以外立入禁止』と書かれた鉄扉へと向かった。
その入口には自警団員と思しき男が猟銃を持って立っていた。
ノラン:「スターンさん、こんにちは」
スターン:「ノランか」
ノラン:「例の大蜘蛛、動きはどう?」
スターン:「人間が恐れをなして立ち去ったと見るや、工事現場に居座ってやがる。このままでは、駅の方までやってくるかもしれん」
ノラン:「じゃあ、早いとこ退治しないとね」
スターン:「ああ。このお二方が、今回の助っ人かい?」
ノラン:「素早い動きは魔法で封じ、あとは虫の弱点である炎の魔法で焼き殺す作戦よ」
スターン:「そりゃいい。俺達も虫は火に弱いってことは知ってて、火炎放射器を用意したんだが、いかんせんすばしっこい動きと糸のせいで近づけないんだ」
ノラン:「この人達がいれば、百人力ね」
スターン:「だが1つ、不穏な動きがある」
ノラン:「不穏な動き?」
スターン:「ここ数日、親蜘蛛が巣の中に入ったまま出て来なくなったらしい。作業員の目撃情報によると、卵嚢を見つけたとのことだ」
ノラン:「繁殖してる?」
スターン:「可能性はある。昨日の今日だから、まだ生まれていないかもしれないし、もし生まれたとしても子グモの状態だ」
稲生:「生まれる前に対処しましょう!今すぐに!」
ノラン:「そうね。善は急げと言うわ」
スターンは鉄扉の鍵を開けた。
スターン:「現場はこの先から行ける。くれぐれも電車に気をつけてな」
稲生:「運休はしてないんだ」
そこが日本との大きな違いであろう。
稲生達は鉄扉の中に入った。
しばらく行くと黴臭いコンクリートの壁が現れ、下への階段が現れた。
照明は所々にある蛍光灯が灯っているだけ。
その蛍光灯にも蜘蛛の巣が張っていたが、これは普通の蜘蛛だ。
別の蜘蛛の巣にはゴキブリが引っ掛かってしまい、それを蜘蛛が捕食している所を見ることができた。
どうやらエサはちゃんとあるようだ。
階段を下り切ると、もう1つドアがあった。
それは内側に開いた。
開けると、その先に線路があった。
稲生:「おっと!」
ゴォッ!と強い風と眩いヘッドライトがやってきて、電車が通過していった。
線路が見えたので電車が来る方向を確認したつもりだったが、反対側からやってきた。
それもそのはず。
アルカディアメトロの地下鉄は右側通行だからだ。
高架鉄道が左側通行なのとは対照的である。
ノラン:「工事現場は向こうよ」
マリア:「よし、行こう」
線路に降りて、駅とは反対方向に歩く。
今度は対向電車が通過していった。
そして途中に分岐があり、バリケードがされている。
ノラン:「工事現場は向こうよ」
稲生:「分かった」
バリケードを乗り越えると、左にカーブしている。
この辺りはもう新しいレールが敷かれていた。
稲生:「あれ?何か工事の音がする」
マリア:「本当だ」
ノラン:「例の大蜘蛛がいるのは特定の場所だからね。そうでない場所だけでも作業を進めようとしているのね」
稲生:「ふーん……」
地下トンネルは薄暗かったが、工事現場は明るかった。
重機などを見ていると、とてもここが剣と魔法のファンタジーの世界ではなく、現実世界のどこかの地下鉄だと思うくらいだ。
現場監督:「ん?あなた達は……」
ノラン:「自警団の者です。大蜘蛛を退治しに来ました」
現場監督:「おお、そうか。それは助かる。奴らはこの壁の向こうにいる。本当はあそこに出入口があったんだが、最近凶暴化してそのドアをぶち破ろうとしてきてね。コンクリートで固めてしまったんだ」
稲生:「え?それじゃ……」
現場監督:「別の入口がある。悪いが、そこから入ってくれないか。本線の線路沿いを少し歩いた先にある。これがそのドアの鍵だ。今のところ電車の運行に支障は無いが、いずれきっと事故を起こす。事故が起きてからじゃ遅いんだ」
マリア:「だからこそ、魔王軍が出張ればいいのに、体たらく」
ノラン:「ま、私達で頑張りましょう」
3人は来た道を引き返した。
稲生:「おっと!また電車だ!」
電車をやり過ごしてから線路に出る。
大ネズミ:「チュー!チュー!」
モンスターラットA:「チューチュー!」
モンスターラットB:「チュー!」
モンスターラットC:「ピ○チュー!」
マリア:「ネズミのモンスター!?」
ノラン:「地下鉄のトンネルには、たまにこういうヤツがいるって話だからね!」
稲生:「今、なんか違うネズミの鳴き声あげたヤツいなかった!?」
3人にとってはザコ同然。
しかし、ノランが1人で退治してしまった。
ノラン:「魔法使いさん達には魔力を温存してもらいたいですからね。ザコは私にお任せあれ」
マリア:「助かる」
テラ○フォーマーズA:「じょうじ?」
テラフォーマー○B:「じょうじじょうじ」
テラフォー○ーズC:「じょうじ!」
マリア:「今度は人型ゴキブリの化け物か!」
ノラン:「私に任せて!」
稲生:「いや、何か別の意味でヤバいモンスターばっかり出てるぞ!?」
稲生達は無事に大蜘蛛の場所まで辿り着けるのであろうか。