報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「6番街の悪代官」

2020-05-21 19:56:05 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月6日22:30.天候:不明 アルカディアシティ6番街・下水道→代官屋敷]

 下水道を突き進む稲生達。

 盗賊団A:「げっ!?あいつらまだ追ってきやがる!」
 盗賊団B:「どこかで撒かねぇとヤベェ!」
 盗賊団C:「心配すんな!この先はスペシャルセキュリティエリアよ!」

 盗賊団達が駆け抜けると、水路からモンスターが飛び出して来て、稲生達の前に立ちはだかった。
 それは全身が青い鱗で覆われており、背中には背びれが付いていて、2足歩行のモンスターだった。
 手には鎗や銛を持っている。

 クリス:「サハギンだ!こんな所にいやがるのか!」

 クリスは背中の剣を抜いた。

 マリア:「確かサハギンも火に弱かった!勇太、援護を頼む!」
 稲生:「はい!」
 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。Fi ga!」

 マリアの杖から火炎放射器のように炎が飛び出してきて、サハギン達を襲う。

 稲生:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。ギラ!」
 クリス:「焼き魚にされたくないヤツは、私が解体ショーをやってやるよ!」

 サハギンは5匹ほど現れたが、稲生達の連携により全てを倒すことができた。

 マリア:「急ごう!」

 そして再び盗賊団が逃げた方向へ向かう。
 だが、途中に丁字路があった。

 稲生:「! どっちだ!?」
 マリア:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。盗賊団はどっちに行った?」

 マリア、交差点のど真ん中に魔法の杖を立てた。
 すると、杖はパタッと左に倒れた。

 マリア:「OK!Left!(よし、左だ!)」
 クリス:「そんなんでいいのかい!?」
 稲生:「い、いいんだ!マリアさんがいいって言ってるんだから!」

 マリアの杖の魔力を信じて、稲生達は左に曲がった。
 またしばらく進むと、広い空間に出た。

 盗賊団A:「げげっ!?オマエら!?」
 盗賊団B:「ど、どうする!?死んだフリするか!?死んだフリ!」
 盗賊団C:「バッカ!もうおせーよ!」
 クリス:「さあ、年貢の納め時だね。いい加減、アジトの場所を教えな!教えないと……」

 マリアは魔法の杖を突き出した。

 マリア:「黒焦げにする!」
 盗賊団A:「ピェッ!こ、この姉ちゃん達、怖ェ!」
 盗賊団B:「バッカ!俺達ゃ、盗賊団だぜ!?ナメられたら終わりだ!」
 盗賊団C:「あ、あたぼうよ!お、おい、姉ちゃん達!威張るのは、俺達を倒してからにしな!」
 クリス:「ほお……?」

 すると盗賊団A、ホイッスルを出してピィーッと吹いた。
 仲間の盗賊団がわらわらと現れるのだろうか?

 クリス:「烏合の衆が現れたところで、私達の敵では……」

 ズシン……!

 稲生:「んっ?」

 ズシン……!ズシン……!

 マリア:「な、なに?この振動?」
 イリーナ:「ははぁ……。質より量ではなく、一応、量より質作戦は使ってきたか……」

 ボコォッと壁に穴が空き、そこから巨大なサハギンが現れた。

 盗賊団A:「サハギン軍団のボス、サハギンキングよ!あとはよろしく頼むぜ!」
 サハギンキング:「ガァァァァッ!」
 稲生:「マジか。ここでボス戦か……」
 盗賊団B:「俺達ゃ、ズラかっていいのか?」
 盗賊団C:「バッカ。ナンボ何でも、このサハギンキングに勝てたヤツぁいねぇ。姉ちゃん達の死体の一部をお代官様に持って行けば、褒めてもらえるぜ」
 盗賊A:「オメェ、アタマいいなー!」
 稲生:「お代官?」
 マリア:「後で話は聞かせてもらうからな!」

 こうしてボス戦が始まった。

[同日23:00.天候:晴 アルカディアシティ6番街 代官屋敷]

 ガメツィン・シ・ミッターレ:「クフフフフ……。先般の党大会における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」
 ロッカータ・ニ・トッメーロ:「副理事殿、さすがは横田理事の御側におられるだけあって、モノマネが上手でいらっしゃいますなぁ……」

 ガメツィンは魔界共和党総務副理事である。
 ロッカータは6番街の統治を任された代官である。

 ガメツィン:「やはり何度も見ても、女戦士の下着は見物じゃのぅ」
 ロッカータ:「副理事殿。人間界ではあのような恰好のまま、走ったり跳んだりする競技があるとのことですよ。……あ、ワインをお注ぎします」
 ガメツィン:「何じゃと?あれは鎧の下に着る下着であろう?その姿のまま走ったり跳んだりする競技があるのか?ふーむ……是非とも我が国にも導入したいものだ」

 女子陸上競技のことである。

 ガメツィン:「して、あの服は何であろうか?」
 ロッカータ:「あれは人間界のティーンが学校に通う際に着る制服というものでございます。清楚ながらもその内より滲み出るエロティックさに、人間界の男は虜になる者が多いとのことです」
 ガメツィン:「うむうむ。やはり魔界の服より、人間界の服の方が洗練されておるのぅ。ワシの秘蔵コレクションが増えること、この上ない」
 ロッカータ:「何よりでございます。しかしそれも、私の副理事に対する忠誠あってのこと」
 ガメツィン:「分かっておる。今夏のボーナス査定は任せておけ。その後の人事考課についても、特に贔屓しようの」
 ロッカータ:「有り難き幸せ」
 ガメツィン:「下着の方は横田理事に賄賂として送っておけ。理事は服よりも下着に御執心だからな」
 ロッカータ:「かしこまりました。夏になれば、人間界の女子は水着なる物を着用します。人間界から持ち込む者も多い故、どうぞお楽しみに……」
 ガメツィン:「おお。期待に胸高鳴るのぅ。ヒヒヒ……」

 と、そこへ部屋の電話が鳴る。

 ガメツィン:「何じゃ?せっかく今、女服鑑賞会を楽しんでおったのに……」
 ロッカータ:「少々お待ちください」

 ロッカータが電話に出る。

 ロッカータ:「何だ?副理事殿はお楽しみの最中であるぞ!」

 しかし、ロッカータの耳に入って来たのはそれを疑う内容であった。
 震えながらその内容を何度も確認し、そして電話を切った。

 ガメツィン:「どうした?」
 ロッカータ:「ふ、副理事殿!た、大変です!この鑑賞会のことがバレました!」
 ガメツィン:「何じゃと!?」
 ロッカータ:「は、は、早く逃げましょう!」

 2人はドアから逃げようとしたが、それはできなかった。
 重厚とはいえ木製のドアを、長剣で切り裂いてぶち破ってきた女戦士がいたからだ。
 そして、その後ろには男1人と女が2人。
 悪代官と悪党幹部、ついに年貢の納め時であった。
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“大魔道師の弟子” 「盗賊団を追え」

2020-05-21 14:34:45 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[5月6日21:30.天候:晴 アルカディアシティ6番街 地下水道]

 稲生達はまず最初、ダクトを通って外に出てみた。
 するとその先にあるマンホールの蓋が少し開いており、結局盗賊団は下水道を通って逃走したと見られた。

 クリス:「私の名前はクリス。クリス・エバート。見ての通り、傭兵ギルドに所属しててサーシャ先生のジムの会員でもある。あんた達のことはエリック会長から聞いた。よろしく」

 ビキニアーマーの女戦士という点ではサーシャと共通点のあるクリスだが、サーシャが黒髪のポニーテールだったのに対し、こちらはベリーショートの茶髪である。

 稲生:「稲生勇太。よろしく」
 マリア:「マリアンナ・ベルフェゴール・スカーレット。よろしく」

 2人の魔道士がクリスを見上げながら握手したのに対し、イリーナだけは目線をほぼ水平にして挨拶した。

 イリーナ:「イリーナ・レヴィアタン・ブリジッドよ。盗賊団はほぼ力押しだろうから、戦士さんがいると心強いわ」
 クリス:「最近の盗賊団は魔法使いを雇うこともあるから、逆に戦士だけじゃ今は不安なこともある。協力して盗賊団をとっ捕まえよう」

 下水道の中を進む。
 下水道は真っ暗というわけではなく、作業員の為に所々明かりは点いていた。

 イリーナ:「凄い臭い……」
 クリス:「きれいとは言えないカブキンシタウンの、その下水道ともなれば尚更よ……」
 マリア:「さっさと盗賊団を見つけるぞ」

 だからというわけではないのだろうが、ここでも地下鉄トンネル同様、モンスターとエンカウントする。

 マウスマン:「ハハッ!ここは下水道なのに、どうして人がいるのかなっ!?」

 人間界の某ネズミの国の着ぐるみを着たモンスターが……。

 稲生:「だからやめなさいって、こういうネタ!」

 もちろん、手練手管の魔道士や戦士達の敵ではなかった。

 某進化したゴキブリA:「じょうじ?」
 某進化したゴキブリB:「じょうじょうじ」
 某進化したゴキブリC:「じょうじ」
 クリス:「でやぁーっ!」

 クリスは女戦士ということもあってか、男戦士のノランが持つような両手持ちの大剣は持てない。
 それでも、稲生には持てないと思われる長剣を持っていた。
 威吹の日本刀よりも重くて強そうだ。
 で、某進化したゴキブリ達を1人で容易く倒してしまった。

 クリス:「ちゃちゃちゃちゃーん、ちゃちゃ、ちゃっちゃちゃーん♪ってなもんよ」
 稲生:「クリス、もしかして人間界の生まれ?」
 クリス:「いや。生まれも育ちもこの国の東、山奥の町だよ」
 稲生:「確か、オーク・タ・マー郡辺りか」
 クリス:「そうそう!よく知ってるな!?」
 稲生:「昔、そこに飛ばされたことがある。1人で難儀していたところ、まだ現役の戦士だったサーシャに助けられたんだ」
 クリス:「! サーシャ先生が話してた魔道士さんって、あんたのことだったのか!こりゃついてるぅ!是非今度、その時の話聞かせてよ!サーシャ先生だけじゃなく、あんた視点の話も聞きたい!」
 稲生:「あ、ああ。そうだねぇ……」

 出てくる敵はネズミやゴキブリ、クモのモンスターばかり。
 盗賊団らしき者と遭遇することはなかった。

 イリーナ:「あなたは私達のこと、どう思ってるの?『魔法オタクで体力の無いヒヨっ子』だと思っているかい?」
 クリス:「! 何だい、いきなり……」
 イリーナ:「戦士達の中には、そうやって私達のことを小馬鹿にするのもいるからね」
 クリス:「あー……。まあ、そういう話は私も聞いたことある。だけど、それはうちのジムでは禁止されてるよ。私もサーシャ先生から直々に、『魔法使いをバカにしてはいけない。必ず痛い目を見る』って教わったからね」
 イリーナ:「なるほど。ちゃんとそこは徹底しているのね。さすがサーシャだわ」

 イリーナは目を細めた。

 クリス:「私も痛い目に遭ったヤツの話を先生から聞いている。だから、私も気をつけるようにしているんだ」
 イリーナ:「殊勝だわ。頑張ってね」

 しばらく進むと、大水路に到着した。
 ドドドと水が流れる音が聞こえる。

 稲生:「いくつも道が分かれてますよ?どうしましょう?」
 イリーナ:「しょうがない。臭くて集中できないけど、ちょっと占ってみましょう」

 イリーナが水晶玉を出した時だった。

 盗賊団A:「へっへっへっ!」
 盗賊団B:「よお、そこの姉ちゃん達!」
 盗賊団C:「ここを通りたかったら、身ぐるみ置いて行ってもらおうか!あぁ?」

 宿屋に現れた盗賊団と思しき3人組が現れた。
 手にはそれぞれ違う武器を持っている。
 Aは両側に刃の付いたバトルアックスを持っていて、Bはククリナイフを持っている。
 そしてCは青龍刀を持っていた。

 イリーナ:「あなた達ね?三星亭からこのコ達の服を盗んで行ったのは?」

 イリーナは少し目を見開いて盗賊団を見据えた。

 盗賊団A:「ミホシテー?ミホシテーって何だ?」
 盗賊団B:「バッカ!オメェ、そりゃあれだよ。ほら……その……」
 盗賊団C:「女達の服と赤い鳥を頂戴した所だぜ、きっと!」
 マリア:「犯行を認めたな。パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ!」

 マリアは魔法の杖を構えると呪文を唱えた。

 クリス:「マリアンナ!痛めつけるのはいいが、殺すなよ!場所を吐かせる!」
 マリア:「分かってる!Fi la!」

 マリアの杖から火炎放射器の如く、炎が飛び出る。

 盗賊団A:「あぢぢぢぢ!」
 盗賊団B:「おい!魔法使いが来るなんて、聞いてねーぞ!」
 盗賊団C:「ぐはぁっ!」

 稲生:「パペ、サタン、パペ、サタン、アレッペ。ウィ・オ!」

 チュドーン!

 盗賊団C:「いでっ!」
 盗賊団B:「おい、ズらかるぞ!」
 盗賊団A:「逃っげろーっ!」

 盗賊団、慌てて逃げ出す。

 マリア:「あっ、待て!」

 マリア、また魔法の杖を構える。
 だが、それをクリスが制した。

 クリス:「追うぞ!きっと奴ら、アジトへ逃げ帰る!そこまで案内させるんだ!」
 マリア:「そ、そうか!」

 盗賊団達の後を追う稲生達。

 稲生:(あの盗賊団は自分達がどこに盗みに入ったのか知らないのか?盗んだことは認めたけど、あれはきっと……)

 稲生は盗賊団を追いながら考えた。

 稲生:(誰かに頼まれて盗みに入った、ということか?)
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