報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鉄路の探偵」

2021-01-04 21:53:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日08:11.天候:晴 栃木県宇都宮市 JR宇都宮駅]

〔まもなく終点、宇都宮、宇都宮。お出口は、左側です。新幹線、日光線と烏山線はお乗り換えです。今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕

 私達を乗せた宇都宮線電車は、快調に走行していた。
 この前の東武線だと、最新型BOWエブリンの影がちらついたりしていたが、JRではそのようなことは無かった。
 やはり善場主任の目論見通り、栃木県の東武線沿線に何かあるのだろうか?
 あれ以来、何も情報は無いが……。
 途中でリサがトイレに立ったりしたが、リサは首を横に振るだけだった。

〔「……日光線下り、鹿沼、今市方面、普通列車の日光行きは、5番線から8時40分の発車です。……」〕

 愛原:「乗り換え時間、凡そ30分ってとこだな」
 高橋:「結構長いですね」
 愛原:「その代わりこういう場合、入線時間が長いんだ。さっさと乗って、席確保しようや」
 高橋:「はい」

 もっとも、ロングシートの通勤電車っぽいのが来るだろうけどな。
 そこにお情けでトイレが付いているということくらいか?

〔うつのみや、宇都宮。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕

 電車が駅に到着すると、私達は電車を降りた。
 日曜日なので乗客は少なかったが、それでも学生の姿がチラホラ見えた。

 リサ:「高校生は授業時間足りなくて、土日も潰してるんだ……」

 リサが呟いた。

 愛原:「そうなのか?」
 リサ:「そう思った。うちの学園も、高等部は時々土曜休みを潰してるんだって」
 愛原:「ふーん……」

 義務教育である中学校の方が切実のように思えるが、授業自体は高校の方が多いからか。

 愛原:「取りあえず、5番線に向かおう」

 私達は階段を登ってコンコースに向かった。

 高橋:「先生、ちょっと便所いいっスか?」
 愛原:「ああ。行ってこい」
 高橋:「先生は?」
 愛原:「俺はさっき電車のトイレ使ったから」
 リサ:「ねー?」

 そこへリサが人懐こい顔で私に合わせて来た。
 私がトイレから出ようとしたら、リサがドアの真ん前に立っていたのでビックリした。
 昼間の電車でそう感じるのだから、これが夜の薄暗いトイレとかだとホラーものである。
 もっとも、リサはホラーを演出する側なのである。
 本人にその自覚があろうと無かろうと。

 リサ:「先生、あそこのNEWDAYSでお菓子買ってきていい?」
 愛原:「いいけど買い過ぎるなよ?」
 リサ:「分かったー」

 リサはNEWDAYSに向かった。
 先に戻って来たのは高橋。

 高橋:「お待たせしました。……って、リサは?」
 愛原:「あそこで食料補給中」
 高橋:「またっスか。あれだけ食って、よく太らないもんスね」
 愛原:「余剰エネルギーは変化の際に消費されるんだろう。むしろ変化の際に使うエネルギーの量が多過ぎて、それでBOWというのはいつでも空腹なんだそうだ」

 実はリサ、第1形態より第0形態の方が空腹を訴えやすい。
 これは今のリサにとって、人間の姿の方が『化けている』状態だからである。
 鬼のような姿をした第1形態の方が普通の姿である。
 もっとも、いざ食べる時の量はどちらも同じ。

 リサ:「お待たせー」

 リサが戻って来た。
 その手にはポッキーが握られていた。

 愛原:「ポッキーか」
 リサ:「うん。先生となら、一緒にポッキーゲームするよ?」
 愛原:「……う、うん。『前向きに検討します』」
 リサ:「あーっ!する気無いでしょ!」
 愛原:「前向きに善処します」
 リサ:「絶対しない!」
 愛原:「可及的速やかに対処します」
 リサ:「全然しない!」

 昔の国会議員のセリフだな、こりゃ。

[同日08:35.天候:晴 JR宇都宮駅日光線ホーム→日光線833M列車4号車]

〔まもなく5番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。この列車は、4両です。折り返し、8時40分発、普通、日光行きとなります〕

 発車の5分前に電車が入線してきた。
 それは205系という通勤電車であったが、入線してきた車両はそれを改造した観光列車であった。
 種車は武蔵野線や京葉線で運用されていた、ヘッドライトとテールライトが横並びになった『メルヘン仕様』と呼ばれるタイプであるが、内装がボックスシート付きの観光仕様に改造されていた。

 

 愛原:「あ、こんなのあったんだ!」
 高橋:「良かったっスね」

 私達は早速、ボックスシートに座った。
 席順は宇都宮線と同じ。
 座るとリサは買ったポッキーを開けて食べ始めた。

 愛原:「でもさすがにテーブルは無いか」

 205系は4ドア車であるが、この“いろは”と呼ばれる観光仕様は中ほどの2つのドアを埋めてそこに座席を設置している。
 片道1時間も無いせいか、トイレも付いていない。

 愛原:「何か、このまま温泉旅行に行きそうな雰囲気だな」

 日曜日なのに観光客が少なく見えるのは、コロナ禍で観光客が減っているのと、そもそも東武日光線が観光客のメインルートだからだろう。
 JR日光線は地元民の地域輸送に甘んじていたが、少しは観光客も呼び込もうと努力しているようだ。

 高橋:「行きますか?」
 愛原:「行って何も無かったらな」

 わざわざ私達を送り込むのだ。
 何も無いとは思えない。
 東京中央学園上野高校だって、一応、隠し通路は見つけたのだ。
 今回も最低限、それくらいは見つけないといけない。
 例え現物は無理だとしても、痕跡くらいは見つけないと、クライアントたる斉藤社長に顔向けできないだろう。

〔「8時40分発、日光線下り、鹿沼、今市方面、普通列車の日光行き、まもなく発車致します」〕

 あっという間に発車時間がやってきて、ホームから発車メロディが聞こえてくる。
 日曜日の朝昼は人身事故も少ないので、だいたい定刻通りに走ってくれる。

〔5番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車をご利用ください〕

 電車は定刻通りに発車し、一旦逆方向に走り出す。
 そして、進路を西に変えて進むのだが、終点は寒そうだ。
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“私立探偵 愛原学” 「JR宇都宮線2521M列車の旅」

2021-01-04 16:21:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[12月13日06:54.天候:晴 埼玉県さいたま市大宮区 JR大宮駅→宇都宮線2521M列車1号車内]

〔まもなく9番線に、当駅始発、普通、宇都宮行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。この列車は、10両です。グリーン車が付いております。……〕

 私達はこれから栃木に向かう為、電車を待っている。
 宇都宮線下りホームで待っていると、上野方向から電車がゆっくりと入線してきた。
 行き先表示がフルカラーLEDのE233系である。
 どちらかといえば高崎線の運用に入ることの多いE233系が宇都宮線の運用に入る場合、行き先の駅名は緑色で表示される。
 これは幕式時代の115系や211系からの名残だ。
 何でも、高崎線と同じ運用の車両の為、誤乗を防ぐ為、色分けしているのだそうだ。

〔「9番線に到着の電車は、6時54分発、普通列車の宇都宮行きです。高崎線には参りませんので、ご注意ください。まもなくドアが開きます。乗車口までお進みください」〕

 

 ドアが開いて1番後ろの車両に乗り込む。
 E233系だと1号車と2号車、それに9号車と10号車にボックスシートがある。
 そこを狙ったものだ。
 もっとも、似たような構造ながら、東北地区のそれと比べれば、首都圏のボックスシートは狭い。

 

〔この電車は宇都宮線、普通電車、宇都宮行きです〕

 先頭車ではなく最後尾にしたのは、これがE231系の場合、10号車がロングシートであることがあるからだ(横浜支社所属を除く)。
 10号車がロングシート車だとそこにトイレが無く、代わりに6号車にあったり、10号車にボックスシートがある車両だとそこにトイレがあって、6号車には無いというややこしさ。
 確実なのは1号車と2号車なのである。
 因みに1号車にトイレがあるのは鉄板。
 リサは窓側に座ったが……。

 愛原:「リサ、いいのか?そこだと逆向きだぞ?」
 リサ:「うん、大丈夫。後ろも見えるから」
 愛原:「ん?ああ」

 乗務員室の窓越しに、後ろの景色も見えるということか。
 最後尾で車掌が乗務する乗務員室では、基本的にブラインドが閉められることはない。
 買った飲み物は窓の桟に置く。
 東北地区や東武鉄道の車両だとテーブルがあるのだが、首都圏のJR車両ではそれが無い。

〔「6時54分発、宇都宮線の普通列車、宇都宮行き、まもなく発車致します」〕

 ホームから発車メロディが聞こえてくる。
 意外と停車時間は少ない。
 リサは斉藤家のメイドさんに作ってもらったサンドイッチを頬張った。
 ベタなBLTサンドだが、リサのは特にベーコンが山盛りである。

〔9番線の宇都宮線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の列車をご利用ください〕
〔「9番線、ドアが閉まります。ご注意ください」〕

 ジリジリベルが聞こえて来て、ドアが閉まった。
 大宮駅の中距離電車ホームは駅員が客終合図を出す方式になっているので、さっきのジリジリベルは客扱い終了合図だろう。
 新幹線ホームもそうだが、そこだと甲高いブザーになる。
 電車がゆっくりと走り出した。
 さっき入ってくる時もそうだが、出る時もゆっくりなのは、駅の前後にポイントがあるからである。
 宇都宮線ホームは副線上にあるからだ。
 これは大宮駅に先に乗り付けたのが高崎線で、宇都宮線は後から開通したからである。
 鉄道の世界というのは、先に開通した方が優先なのである。

〔JR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は宇都宮線、普通電車、宇都宮行きです。4号車と5号車は、グリーン車です。車内でグリーン券をお買い求めの場合、駅での発売額と異なりますので、ご了承ください。次は、土呂です〕

 高橋:「先生、ここから宇都宮までどのくらい掛かりますか?」
 愛原:「時刻表だと、8時11分に着く」
 高橋:「1時間20分くらいですか……」
 愛原:「そんなところだ」
 高橋:「で、そこから乗り換えて……?」
 愛原:「日光駅には9時23分に到着する」
 高橋:「そうなんですか。で、そこからは?」
 愛原:「タクシーで行くよ。そんなに時間は掛からないみたいだ」
 リサ:「実際、合宿に行く運動部員達は駅から歩くみたいだよ。歩いて30分掛かるんだって」
 高橋:「マジかよ。スポ根ってヤツだな」

 もちろん私達は合宿に行く運動部員ではないので、駅からタクシーで行く。

 愛原:「何かさ、これから行く合宿所ってアレだろ?結構曰く付きなんだろ?」
 リサ:「あの合宿所、よく高等部が使ってるんだけど、色々あるみたいだよ。ボクシング部で合宿中に死者が出たとか、男子バレー部が合宿の後に幽霊を連れて来ちゃったとか」
 愛原:「マジかよ……」
 リサ:「男子サッカー部が合宿中に『逆さ女』と遭ったとか……」
 愛原:「なに?逆さ女いんの!?」
 高橋:「先生、それサスペンデッドですよ。……あっ、そういうことか!『逆さ女』→サスペンデッド→サッカーですよ!」
 愛原:「だから何だ?」

 サスペンデッドとはサッカーの一時停止試合のことではない。
 リッカーというゾンビが変化したクリーチャーがいる。
 そこから更に変化したヤツをサスペンデッドという。
 何故か生前女性だった者がそうなる確率が高く、天井にぶら下がって攻撃してくることから、私は勝手に『逆さ女』と呼んでいる。
 リッカーだと生前の面影は全く無いのだが、サスペンデッドだと面影が残る。
 その為、女性か男性かの区別は付くのだ。

 高橋:「あっ、いや、その……」
 リサ:「でもその後、合宿所は普通に開いてたから、ただの噂だと思う」
 愛原:「だよなぁ……」

 外観の写真をグーグルマップで見たが、木造モルタル2階建てであることが分かる。
 かなり年季の入った建物である。
 これでは好奇心旺盛な中高生が、怖い話の噂にしそうなものだなと思った。
 しかし、元々学校として運営されていた建物を、どうして日本アンブレラは買い取ったのだろう?
 そして、再びまた別の学校法人に売り払った訳とは?
 都合良くそれが分かればいいのだが、今のところはまだ何の確証も無い。
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“愛原リサの日常” 「ここで主人公交代」

2021-01-04 10:25:17 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[年月日不明 時刻不明 天候:不明 場所不明(どこかの廃墟)]

 リサ:「こ、このっ……!」

 リサは大ダメージを受け、地面に這いつくばっていた。
 どうにか起こした上半身だが、上から覗き込む者が1人。
 斉藤絵恋だった。

 絵恋:「ゴメンなさいね、リサさん。あなたのことは大好きだったけど、やっぱり私、イチカさんのことが好きなの」
 リサ:「イチカって、誰……?」

 そこへ白い仮面を着けて、聖クラリス女学院の制服を着た『1番』が現れる。

 『1番』:「残念でした、『2番』さんw あなたの獲物は、私が頂くね?」
 リサ:「い、『1番』……!」

 そんなリサを足で仰向けに蹴飛ばす者がいた。
 そして、馬乗りになって顔を覗き込む。
 リサと同じく日本人離れした、彫りの深い顔立ちの少女だった。
 すぐにそれはエブリンだと分かった。

 エブリン:「これで分かった?お姉ちゃんは決して最強のBOWじゃないんだよ?本当の最強は私。最新型BOWのエブリンなの。旧型は旧型らしく、ザコに成り下がりなさい」
 リサ:「……!!」

 エブリンは右手を黒いサンダーの刃ように変化させた。
 そして、それを回転させてリサの頭を……。

[12月13日02:00.天候:晴 埼玉県さいたま市中央区 斉藤家3F絵恋の部屋→2Fシャワールーム]

 リサ:「……はっ!」

 リサはそれで飛び起きた。

 絵恋:「どうしたの、リサさん……?」

 横には絵恋が寝ていた。
 どうやら夢だったようだ。

 リサ:「な、何でも無い」
 絵恋:「怖い夢でも見たの?汗びっしょりだよ?」
 リサ:「……オマエに裏切られる夢だ」
 絵恋:「ええっ!?そんな!」
 リサ:「『1番』なんかに裏切りやがって……!」
 絵恋:「だから私、知らないよ!?」
 リサ:「イチカって『1番』の名前?それともエブリンの本名?」
 絵恋:「だから知らないって!」
 リサ:「……シャワー使わせてもらえる?」
 絵恋:「う、うん。2Fの廊下にあるから……。そ、そうだ。浴衣の替えも用意させるからね」
 リサ:「よろしく」

 リサははだけた浴衣を着直して、部屋を出た。
 そして階段を下り、シャワールームに向かう。
 しかし、シャワールームには明かりが点いていた。

 斉藤:「誰よ?こんな時間にシャワー使ってるの……」
 リサ:「ついて来たのか、オマエは!?」
 斉藤:「何か私が夢の中でリサさんのことを裏切ったみたいだから、お詫びにリサさんの体、洗ってあげるわね?」
 リサ:「別にいいよ。さっさと寝てなよ」
 斉藤:「いいからいいからぁ」

 と、その時、シャワールームのドアが開いた。

 愛原:「お、リサ」
 リサ:「先生!?どうしたの?」
 愛原:「いや、変な夢見ちゃって目が覚めたんだよ。変な汗かいちゃったもんだから、ちょっとシャワー使わせてもらってた。オマエもか?」
 リサ:「うん、そう。サイトーに裏切られて、『1番』とエブリンに殺される夢」
 斉藤:「ごめんなさ~い……」
 愛原:「そうなのか。俺はオマエが暴走する夢だったよ」
 リサ:「え?」
 愛原:「で、絵恋さんを真っ先に食い殺してた」
 リサ:「お、おかしいな?私はサイトーは『デザート』で、後で食べるはずなんだけど……」
 絵恋:「リサさん、私を『メインディッシュ』に昇格してーっ!」
 リサ:「ダメだ。『メインディッシュ』は、あくまでも愛原先生」
 絵恋:「そんなぁ……」
 愛原:「まあ、どうせただの夢だ。気にすることないよ」

 愛原はリサの右肩をポンと叩いて、部屋に戻っていった。

 リサ:「この肩……しばらく洗わない」
 絵恋:「いや、洗いましょうよ!?」

[同日06:30.天候:晴 さいたま市大宮区 JR大宮駅]

 それからリサ、愛原、高橋の3人は朝になると、新庄の運転する車で大宮駅西口に到着した。

 新庄:「到着しました」
 愛原:「ありがとうございます」

 3人なので、白塗りのガリューで乗り付ける。

 愛原:「こんな朝早くから申し訳ないですねぇ」
 新庄:「構いませんよ」
 愛原:「本当なら、斉藤社長のゴルフの送迎をされる日なんですよね?」
 新庄:「さようでございます。ただ、ここ最近はコロナ禍でゴルフ接待も憚れるということで、最近は無いのですよ」
 愛原:「なるほどな」

 ゴルフならクラスター発生の要素は無さそうに思えるが、コースはともかく、クラブハウス辺りは微妙なところか?

 新庄:「それでは、行ってらっしゃいませ」
 愛原:「社長によろしくお願いします」

 リサ達は車を降りると、エスカレーターで2階コンコースに上がった。

 高橋:「リサ、制服で来て大丈夫なのか?」
 リサ:「うん。今度行く場所はうちの学校の合宿所だから、一応私も学校関係者として」
 愛原:「なるほどな」

 ついでにリサはスクールバッグの中から白い仮面を取り出した。

 リサ:「私もリサ・トレヴァーとして、戦う時はこれを着ける。これは制御装置でもあるから、これを着けていれば多分暴走しない。最初は気休め程度だと思ってたけど、意外とそうでもないような気がしてきた」
 愛原:「そうか。なるべくなら、それを着けなくても暴走しないようにしないとな。オマエはこれから人間に戻るんだから」
 リサ:「うん……」

 2Fコンコースに行き、改札口をPasmoで通過する。

 リサ:「先生、飲み物買っていい?」
 愛原:「いいよ。俺も買う」
 高橋:「寒いんで、温かい缶コーヒーが欲しいっスね」
 愛原:「いや、全く。段々と冷え込んで来るよ」

 ましてやリサ達は、これからもっと寒い所へ向かうのだ。
 こういう時、寒さに滅法強いBOWが羨ましくなってしまうことがある愛原。
 愛原はコート、高橋もジャンパーを着込んでいるというのに、リサだけは冬制服のブレザーだけだ。
 もちろん首にはマフラーを巻いて、ブレザーの下にはニットのベストを着てはいるが。

 愛原:「6時54分発、宇都宮行き、あれに乗るぞ」
 高橋:「まだ少し時間ありますね」
 愛原:「そうだな。今のうちトイレ行くなり何なりしておこう」

 因みに朝食は、斉藤家のメイドさん達がサンドイッチを作ってくれていた。
 これを使い捨ての容器に入れ、持って来た。
 駅弁代わりに食べればいいだろう。
 リサは早く食べたくてしょうがないが、いかんせん電車が来ないことには無理だろう。
 
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