[9月3日18:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
雨風が強くなってきた。
これでもまだ、台風の強風圏内だというから、暴風圏内に入ったら【お察しください】。
都内は夜半過ぎに暴風圏内に入るという。
そして、台風の目が通過するのが、翌朝。
大型で非常に強い台風は、速度もゆっくりである。
嫌味なことにこの台風、関東を通過したらガクンと勢力を落として、その分速度も速まり、東北地方は一気に通過していって、北海道に到達する頃には低気圧に変わるだろうとのこと。
まあ、“ベタな台風の法則”通りの台風なのかもしれない。
私は自室で、保険関係の書類とかをまとめていた。
相手方の保険会社から送られてくる書類などがあるので、それを作成しなければならない。
私の方は過失割合は0なのだが、それでも書類関係は面倒臭い。
それはそうと、隣のリサの部屋だが、絵画の制作をしていることもあり、結構静かである。
取り掛かる時に何だか盛り上がっていたようだが、いざ取り掛かれば静かなものである。
聞こえて来るのは、時折強く吹いて来る風の音くらい。
今回の台風は風台風なのか、風が強くて、まだそんなに雨は強くない。
いや、降ってはいるのだが。
と、その時、玄関のインターホンが鳴った。
どうやら、注文したピザが届いたらしい。
愛原:「はい、愛原です」
配達員:「ドミノピザでーす!」
愛原:「はいはい」
私は玄関のドアを開けた。
支払いは既にカードで済ませている。
愛原:「こんな天気の悪い中、すいませんね」
配達員:「いえ、ありがとうございました」
私が受け取ったのは、ピザが3枚。
うち1枚はLサイズである。
愛原:「おーい、ピザが届いたよ。夕食にしよう」
私はリサの部屋に向かって言った。
リサ:「はーい!」
中からリサの声がする。
といっても、キリの良い所でないとやめられないだろうから、少しは時間が掛かるか。
私はそれを見越し、テーブルにピザの入った箱を置き、皿を並べた。
冷蔵庫からは2リットルペットボトル入りの麦茶とオレンジジュースを置く。
因みに、私は缶ビール。
特に、飲酒は制限されていないため。
しばらくして、リサの部屋から2人の少女が出て来た。
リサは紺色のブルマを穿いていたが、一方の桜谷さんも東京中央学園の体操服とブルマを穿いていた。
(東京中央学園の体操服と、『事実上の廃止』前に着用されていたブルマはこんな感じ)
愛原:「何で桜谷さんもブルマなの?」
桜谷:「そ、その……」
桜谷さんは恥ずかしそうに、体操服の裾を引っ張って、ブルマを隠そうとした。
桜谷:「リサ様が、『この家では体操服にブルマが制服!協力しないと、私も絵のモデルにならない!』と……」
リサ:「むふー!」
愛原:「むふーじゃねーよ!桜谷さん、無理しなくていいからね!何なら、俺からリサに言っておくから!」
リサ:「い、いいんです!画家は、モデルさんの機嫌を損ねてはいけません!なるべく、モデルさんの希望に沿うようにしなければいけないんです!」
愛原:「そういうもんなの!?」
リサ:「そういうもの!」
リサが偉そうに言う。
私はそれを窘めながら……。
愛原:「でも、絵の制作は終わったんだろ?だったら、着替えてもいいんじゃない?」
桜谷:「いえ、まだ夜も描こうと思っていますので」
愛原:「熱心なのはいいけど、徹夜はダメだよ?」
リサ:「大丈夫。わたしかサクラヤのどちらかが眠くなったら、そこで終了にする」
愛原:「まあ、そういうことなら……」
桜谷さんは絵具が付かないよう、エプロンを着けていた。
体操服の上にエプロンは、何だかシュールである。
一応、エプロンだけは外した。
愛原:「まあ、とにかく夕食にしよう。コンビニで買ったもので良ければ、冷蔵庫にデザートもあるから」
リサ:「おー!サクラヤ、食べよう!甘い物は脳に良い!」
桜谷:「そうですね。頂きます」
『甘い物は脳に良い』という論法は理系の者が言いそうなイメージなのだが、『左脳限定』とは聞かないので、右脳にも良いのだろう。
ということは、右脳の方を良く使う芸術関係者でも良いわけだ。
ガタガタと窓が揺れる音がする。
リサ:「台風、近づいてる?」
愛原:「ああ。まさかとは思うが、停電になったら大変だな」
桜谷:「そうなったら、制作ができなくなります」
愛原:「一応このマンション、各部屋に蓄電池が備わっているんだ。外部からの電気が遮断されても、それで数時間は持つらしいが……」
桜谷:「そうですか」
愛原:「停電になったら、もう寝た方がいいかもな」
リサ:「エアコンも止まるから、暑くて寝れないよ」
愛原:「オマエ、暑いの平気じゃなかったのか?」
リサ:「ううん。サクラヤが」
愛原:「ああ。まあ、大丈夫だとは思うがな」
[同日21:00.天候:雨 同マンション]
更に雨風が強くなってくる。
さすがに強風が窓を揺らすだけでなく、大粒の雨がバチバチと窓ガラスに叩き付ける音も聞こえて来た。
夕食の後、デザートやコーヒーを飲み食いした後、少女達は絵画制作の続きを始めた。
何か……たまに変な会話が聞こえて来るのが気になったが。
いや、『絵の具の中に、わたしの血を混ぜるといい色合いが出る』とか、『わたしの寄生虫をすり潰して、抽出した体液を絵具に混ぜると良い』とか……。
絵の中のリサが、そこから飛び出して新たなBOWとなったら、大騒ぎである。
〔♪♪(湯沸完了チャイム)♪♪。お風呂が、沸きました〕
風呂が沸いたようだ。
先に、少女達に入ってもらおう。
愛原:「おーい。風呂が沸いたぞ。先に入ってこい」
今度はリサ達、すぐに出て来た。
リサ:「いいの、一番風呂で?わたしは先生の残り湯に浸かりたいのに」
愛原:「オマエは良くても、桜谷さんが嫌だろう。こんなオッサンの残り湯なんて……」
リサ:「ほお?本当か、サクラヤ?答えろ!」
リサはいきなり第1形態に戻ると、瞳を赤く光らせて桜谷さんを睨み付けた。
桜谷:「ひぅ……!」
愛原:「やめなさい、リサ!とにかく、桜谷さんに先に入ってもらうんだ。いいな?」
リサ:「先生の命令なら……。そうだ、サクラヤ。だったら、一緒に入ろう」
桜谷:「いいんですか?」
リサ:「その方が先生を待たせなくていい」
愛原:「俺は別にいいんだがな。ゆっくり入っていいぞ。仲良くしろよ?」
リサ:「分かってる。サクラヤ、そういうことだから」
桜谷:「は、はい。お供します」
2人の少女は、浴室に向かった。
リサ:「あ、そうだ、先生」
愛原:「何だ?絵なら触ったりしないよ」
リサ:「ううん。いつでも覗いていいからね?」
桜谷:「ええーっ!?」
愛原:「そこは、『覗かないでね』だろ!?」
このままでは、桜谷さんに誤解されてしまう。
台風直撃よりも、そっちの方が怖かった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
雨風が強くなってきた。
これでもまだ、台風の強風圏内だというから、暴風圏内に入ったら【お察しください】。
都内は夜半過ぎに暴風圏内に入るという。
そして、台風の目が通過するのが、翌朝。
大型で非常に強い台風は、速度もゆっくりである。
嫌味なことにこの台風、関東を通過したらガクンと勢力を落として、その分速度も速まり、東北地方は一気に通過していって、北海道に到達する頃には低気圧に変わるだろうとのこと。
まあ、“ベタな台風の法則”通りの台風なのかもしれない。
私は自室で、保険関係の書類とかをまとめていた。
相手方の保険会社から送られてくる書類などがあるので、それを作成しなければならない。
私の方は過失割合は0なのだが、それでも書類関係は面倒臭い。
それはそうと、隣のリサの部屋だが、絵画の制作をしていることもあり、結構静かである。
取り掛かる時に何だか盛り上がっていたようだが、いざ取り掛かれば静かなものである。
聞こえて来るのは、時折強く吹いて来る風の音くらい。
今回の台風は風台風なのか、風が強くて、まだそんなに雨は強くない。
いや、降ってはいるのだが。
と、その時、玄関のインターホンが鳴った。
どうやら、注文したピザが届いたらしい。
愛原:「はい、愛原です」
配達員:「ドミノピザでーす!」
愛原:「はいはい」
私は玄関のドアを開けた。
支払いは既にカードで済ませている。
愛原:「こんな天気の悪い中、すいませんね」
配達員:「いえ、ありがとうございました」
私が受け取ったのは、ピザが3枚。
うち1枚はLサイズである。
愛原:「おーい、ピザが届いたよ。夕食にしよう」
私はリサの部屋に向かって言った。
リサ:「はーい!」
中からリサの声がする。
といっても、キリの良い所でないとやめられないだろうから、少しは時間が掛かるか。
私はそれを見越し、テーブルにピザの入った箱を置き、皿を並べた。
冷蔵庫からは2リットルペットボトル入りの麦茶とオレンジジュースを置く。
因みに、私は缶ビール。
特に、飲酒は制限されていないため。
しばらくして、リサの部屋から2人の少女が出て来た。
リサは紺色のブルマを穿いていたが、一方の桜谷さんも東京中央学園の体操服とブルマを穿いていた。
(東京中央学園の体操服と、『事実上の廃止』前に着用されていたブルマはこんな感じ)
愛原:「何で桜谷さんもブルマなの?」
桜谷:「そ、その……」
桜谷さんは恥ずかしそうに、体操服の裾を引っ張って、ブルマを隠そうとした。
桜谷:「リサ様が、『この家では体操服にブルマが制服!協力しないと、私も絵のモデルにならない!』と……」
リサ:「むふー!」
愛原:「むふーじゃねーよ!桜谷さん、無理しなくていいからね!何なら、俺からリサに言っておくから!」
リサ:「い、いいんです!画家は、モデルさんの機嫌を損ねてはいけません!なるべく、モデルさんの希望に沿うようにしなければいけないんです!」
愛原:「そういうもんなの!?」
リサ:「そういうもの!」
リサが偉そうに言う。
私はそれを窘めながら……。
愛原:「でも、絵の制作は終わったんだろ?だったら、着替えてもいいんじゃない?」
桜谷:「いえ、まだ夜も描こうと思っていますので」
愛原:「熱心なのはいいけど、徹夜はダメだよ?」
リサ:「大丈夫。わたしかサクラヤのどちらかが眠くなったら、そこで終了にする」
愛原:「まあ、そういうことなら……」
桜谷さんは絵具が付かないよう、エプロンを着けていた。
体操服の上にエプロンは、何だかシュールである。
一応、エプロンだけは外した。
愛原:「まあ、とにかく夕食にしよう。コンビニで買ったもので良ければ、冷蔵庫にデザートもあるから」
リサ:「おー!サクラヤ、食べよう!甘い物は脳に良い!」
桜谷:「そうですね。頂きます」
『甘い物は脳に良い』という論法は理系の者が言いそうなイメージなのだが、『左脳限定』とは聞かないので、右脳にも良いのだろう。
ということは、右脳の方を良く使う芸術関係者でも良いわけだ。
ガタガタと窓が揺れる音がする。
リサ:「台風、近づいてる?」
愛原:「ああ。まさかとは思うが、停電になったら大変だな」
桜谷:「そうなったら、制作ができなくなります」
愛原:「一応このマンション、各部屋に蓄電池が備わっているんだ。外部からの電気が遮断されても、それで数時間は持つらしいが……」
桜谷:「そうですか」
愛原:「停電になったら、もう寝た方がいいかもな」
リサ:「エアコンも止まるから、暑くて寝れないよ」
愛原:「オマエ、暑いの平気じゃなかったのか?」
リサ:「ううん。サクラヤが」
愛原:「ああ。まあ、大丈夫だとは思うがな」
[同日21:00.天候:雨 同マンション]
更に雨風が強くなってくる。
さすがに強風が窓を揺らすだけでなく、大粒の雨がバチバチと窓ガラスに叩き付ける音も聞こえて来た。
夕食の後、デザートやコーヒーを飲み食いした後、少女達は絵画制作の続きを始めた。
何か……たまに変な会話が聞こえて来るのが気になったが。
いや、『絵の具の中に、わたしの血を混ぜるといい色合いが出る』とか、『わたしの寄生虫をすり潰して、抽出した体液を絵具に混ぜると良い』とか……。
絵の中のリサが、そこから飛び出して新たなBOWとなったら、大騒ぎである。
〔♪♪(湯沸完了チャイム)♪♪。お風呂が、沸きました〕
風呂が沸いたようだ。
先に、少女達に入ってもらおう。
愛原:「おーい。風呂が沸いたぞ。先に入ってこい」
今度はリサ達、すぐに出て来た。
リサ:「いいの、一番風呂で?わたしは先生の残り湯に浸かりたいのに」
愛原:「オマエは良くても、桜谷さんが嫌だろう。こんなオッサンの残り湯なんて……」
リサ:「ほお?本当か、サクラヤ?答えろ!」
リサはいきなり第1形態に戻ると、瞳を赤く光らせて桜谷さんを睨み付けた。
桜谷:「ひぅ……!」
愛原:「やめなさい、リサ!とにかく、桜谷さんに先に入ってもらうんだ。いいな?」
リサ:「先生の命令なら……。そうだ、サクラヤ。だったら、一緒に入ろう」
桜谷:「いいんですか?」
リサ:「その方が先生を待たせなくていい」
愛原:「俺は別にいいんだがな。ゆっくり入っていいぞ。仲良くしろよ?」
リサ:「分かってる。サクラヤ、そういうことだから」
桜谷:「は、はい。お供します」
2人の少女は、浴室に向かった。
リサ:「あ、そうだ、先生」
愛原:「何だ?絵なら触ったりしないよ」
リサ:「ううん。いつでも覗いていいからね?」
桜谷:「ええーっ!?」
愛原:「そこは、『覗かないでね』だろ!?」
このままでは、桜谷さんに誤解されてしまう。
台風直撃よりも、そっちの方が怖かった。