報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「高橋の退院祝い」 2

2022-12-22 20:17:28 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月9日18:00.天候:晴 東京都墨田区江東橋 テルミナ3 牛角]

 錦糸町駅からテルミナ3へ移動したリサ達。
 途中、飲食店が軒を連ねる所を通り、そこから建物内に入る。
 予約していたこともあり、リサ達はテーブル席に通された。

 リサ:「肉のいい匂い……!」

 リサは涎で、マスクが濡れてしまうほどであった。

 愛原:「先に飲み物から注文しよう。俺はやっぱりビールだな」
 高橋:「俺もビールでオナシャス」
 リサ:「わたしもビールでオナシャス」
 愛原&高橋:「くぉらっ!」
 リサ:「……オレンジジュースで」
 愛原:「既にコースは予約してある」
 高橋:「さすが先生です」
 愛原:「今日は高橋の退院祝いだからな。それと、高橋の救出に助力したリサへの慰労もある」
 リサ:「あれは恥ずかしかったからね……」

 注文した肉が運ばれてくる。

 リサ:「いただきまーす!」
 愛原:「こら!生のままで食べるんじゃない!」
 リサ:「えー……血が滴るから美味しいのに……」
 高橋:「人肉でやるんじゃねーぞ」
 リサ:「それは、先生の為だし……」

 それがリサの思考。
 他の日本版リサ・トレヴァーには、『誰かの為に』暴走を抑える思考など無かった。

 愛原:「ロースステーキもあるぞ」
 リサ:「食べる!」
 高橋:「ていうか、先生」
 愛原:「何だ?」
 高橋:「俺の退院祝いであると同時に、先生の快気祝いでもあるんじゃ?先生、抜糸でしたよね?」
 リサ:「馬刺し食べたい!」
 高橋:「馬刺しじゃねぇ!抜糸だ!」
 愛原:「それもそうだな」

 正確にはホッチキスの針を抜いたので、抜糸というよりは抜針という方が正しいかもしれない。
 尚、馬刺しは無いが、桜ユッケならある。
 が、これは食べ放題メニューには入っていない。

 愛原:「食べ放題メニューとは別に頼んでいいから」
 リサ:「おー!」

 たまには生肉も食べさせないと暴走することを恐れたからか、一品だけならと、愛原に注文を許可されたリサだった。

[同日19:30.天候:晴 同場所]

 最後にデザートを注文する。
 そうして、退院祝い・快気祝い・慰労会は終了した。

 愛原:「クーポン使います。あと、支払いはカードで」
 店員:「はい、ありがとうございます」

 愛原は20%割引クーポンを使ったあと、カードで支払った。
 それで溜まったボイントも、ちゃんと使用するつもりである。

 リサ:「ちょっとトイレ」
 愛原:「あ、俺も行こう」
 高橋:「お供します!」
 愛原:「そんな大声で言わんでいいw」

 リサは当然の如く、女子トイレに入った。

 リサ:(はは……ちょっと服が臭ってる)

 焼肉を食べたら、あるあるである。
 もちろん、服は明日洗濯するつもりだ。
 制服のスカートも、今や洗濯機で洗えるものなので楽だ。

[同日20:04.天候:晴 同地区 錦糸町駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 トイレも済ませてテルミナ3を出た3人は、帰りのバスに乗るべく、バス停に向かった。
 3人の乗るバスも、そんなに本数は多くない。
 それはつまり、乗客数が少ないことを意味する。
 やってきたバスは亀戸駅始発。
 その為か、既に先客が何人か乗っているのだが、下車客がいるようで、中扉も開いた。
 前扉からバスに乗り込み、空いている1番後ろの座席に3人並んで座った。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは大体の席が埋まった状態で発車した。
 2人席は、通路側が何ヶ所か空いているといった感じ。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用頂き、ありがとうございます。このバスは、浜町中の橋、茅場町経由、築地駅前行きでございます。次は錦糸堀、錦糸堀。……〕

 リサ:「先生、明日と明後日、何か予定ある?」
 愛原:「明日は事務所を開ける予定だけど?」
 リサ:「明後日は?」
 愛原:「特に無いな。まあ、まだ傷痕が残っている状態だから、家でゆっくりするつもりだけど……。どこか行きたいのか?」
 リサ:「明日は絵のモデルの仕事があるから、学校に行く」
 愛原:「そうか。学校に行くだけなら、特に事前申請は要らないだろう」

 制服を着て、通学定期を菊川駅の改札機に通せば、それだけでリサの『監視』は『監視』のままである。
 もしも『無断単独行動』となったら、BSAAが出動してくる。

 愛原:「日曜日は?」
 リサ:「『四天王』の皆が遊びに来る」
 愛原:「そうなのか」
 高橋:「おい、マジかよ。カンベンしてくれよ~!うるせぇじゃん!」
 愛原:「高橋。オマエの方がうるさい」
 高橋:「さ、サーセン!」
 愛原:「オマエはオマエで、買い物とか、やることがあるだろ?」
 高橋:「そ、そうでした」
 リサ:「遊びに来るというか、四天王会議をやる」
 高橋:「四天王会議……」
 高橋:「何だぁ?勇者対策か?それとも、どこぞの村を滅ぼす計画か?」
 愛原:「ガチのRPGか!まだ、リサの部屋でやるだけマシじゃん。高橋のチームなんか、廃墟のドライブインで集会だろ?」
 高橋:「うっス!」
 愛原:「それと比べたら、リサの四天王会議なんてかわいいもんさ」
 高橋:「先生、何気にディスってません!?」
 愛原:「お~、いい所に気づいたね~」
 高橋:「先生!」
 愛原:「違法改造バイクや車で爆音鳴らしながらの集会よりは静かだろうが」
 リサ:「そーだよ」

[同日20:15.天候:晴 東京都江東区森下三丁目 菊川一丁目バス停→ローソンストア100]

〔「菊川一丁目です」〕

 リサ達は最寄りのバス停でバスを降りた。
 それから、明日の朝食などを買いに、すぐ近くのコンビニに入った。
 ローソンストア100なら、生鮮食品なども購入できる。

 高橋:「明日の朝飯、何にします?早速明日から、作らせてもらいますよ?」
 愛原:「悪いね。まあ、明日は洋食でいいか。トーストとか、ベーコンエッグとか……」
 高橋:「了解です」

 リサはリサで、女の子ならではの商品を探していた。
 生理用品とか、化粧水とか……。

 愛原:「雑貨もそろそろ無くなってるヤツは、ついでに買って行こう」
 高橋:「はい。俺はタバコも買い足しておきます」
 愛原:「さすがに、入院中にやめることはしなかったか」
 高橋:「もちです」
 愛原:「リサ、重い物持ってくれ」
 リサ:「りょ」

 リサは2リットルペットボトルが何本か入った袋を軽く持ち上げた。
 水やらお茶やらジュースやら……。
 リサが買った物は、リサの通学鞄に入る程度であった。

 愛原:「これで、明日の飯は大丈夫だな」
 高橋:「そうっスね。明後日以降は、俺がスーパーで買ってきます」
 愛原:「ああ、頼む。リサは明日、昼飯はどうするんだ?」

 学食は平日しか営業していない。

 リサ:「パンとかの自販機で買うしかないねぇ……」

 購買部では食品衛生の観点から、あまり食品を置かなくなったという。
 代わりに学園側では、自販機の設置を進めている。
 これなら衛生的だし、商品管理も業者が代わりにやってくれる。

 リサ:「今は色々あるから。……あ」
 愛原:「どうした?」
 リサ:「う、うん……。そうなんだよねぇ……」
 愛原:「???」

 リサは気づいた。
 リサもよく利用しているパンやお菓子、そしてアイスクリームの自販機。
 これらの設置を学園側に掛け合ったのは、生徒会であったことを……。

 リサ:(月曜日に晒し物にしてやるつもりだったけど、その前に、一度だけチャンスをあげてもいいのかもしれない……)
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“愛原リサの日常” 「高橋の退院祝い」

2022-12-22 16:12:14 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[9月9日17:39.天候:晴 東京都千代田区外神田 JR秋葉原駅→総武線1792B電車1号車内]

 秋葉原で山手線を降りたリサは、その足で交差する中央・総武線ホームに向かった。
 ここから1人である。
 BSAAとの取り決めでは、通学ルート以外を単独行動をすることは認められていないが、そのルートが人身事故などで使用できないことがある。
 その為、事後報告で良いので、代替ルートの自己選択は認められていた。
 かつてはそれすらも認められていなかったことを考えると、リサもだいぶ信用されてきているということだ。

〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の6番線の電車は、17時39分発、各駅停車、西船橋行きです。次は、浅草橋に、停車します〕

 リサは先頭車の来る乗車位置に並び、自分のスマホで専用アプリを開いた。
 通常ルートから外れる旨を、BSAAが開発したアプリを使って、リサ自身が報告できるようになっている。
 もしもリサがウソを付いたらどうするのかという懸念もあるが、そもそもこんなことをさせるのは、リサが暴走したりしていないかを監視する為である。
 もし暴走したのなら、そもそもこんなアプリを開いて、報告内容を入力……なんてことはできないだろう。
 ウソを付いているかどうかは、そもそもGPSでバレる。

 リサ:(『秋葉原』→『錦糸町』。『中央・総武線(各駅停車)』。『先頭車』。17時39分発。『愛原先生達と焼肉を食べに行くため』)

〔まもなく6番線に、各駅停車、西船橋行きが参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックまで、お下がりください。次は、浅草橋に、停車します〕

 内容を入力していると、もう電車がやってきた。
 尚このアプリ、ワザとリサに意地悪する項目がある。
 恐らくそれは、BSAAがなるべくリサに単独行動をさせない為の物なのだろうと愛原は言っていた。
 それは……『列車番号は?』というもの。
 そう、冒頭に表示してあるアルファベット付きの数字のことである。
 『「列車番号」の入力は必須です。入力できない場合、単独行動は認められません』と出て来てしまう。
 路線バスに乗る場合はその系統番号、タクシーに乗る場合はその車番(ナンバープレートではなく、そのタクシー会社の管理番号)を入力しなければならない。
 飛行機の場合は便番号と座席番号、船舶や高速バスの場合も同様である。

 リサ:(1792B……!)

 
(リサが乗車した中央・総武線各駅停車に使用されているE231系電車。向かって左上のLED表示の数字とアルファベットが列車番号である。リサが単独行動をする際に入力するアプリには、必須項目として、この列車番号がある)

 先頭車を狙えば、乗車位置に来る頃、電車は停車しかかっているので、確認はしやすくなる。
 例え最後尾でも、リサの視力なら確認はできるが。

〔あきはばら~、秋葉原~。ご乗車、ありがとうございます。次は、浅草橋に、停車します〕

 中央・総武線には先代の山手線電車も多数運転されているが、リサが乗ったのはオリジナルの車両。
 夕方ラッシュが始まっているということもあってか、さすがに着席はできず、リサは運転室の後ろに立った。
 まだ外が明るいからか、ブラインドは閉められていない。
 発車メロディが流れるが、他の駅でも聴けるファンファーレのような曲調。
 曲名を『教会の見える駅』という。

〔6番線、ドアが閉まります。ご注意ください。次の電車を、ご利用ください〕

 電車のドアが閉まる。
 中央・総武線ホームには、特急列車も停車するからか、ホームドアが設置されていない。
 なので、電車のドアが閉まり切れば、すぐに発車する。
 と、同時に、リサのスマホにも着信がある。
 アプリの方で、リサの入力内容が認められた旨のお知らせだった。
 あとはBSAAの方で、GPSと照らし合わせて、リサがウソを付いていないか、監視されるわけである。

〔次は浅草橋、浅草橋。お出口は、左側です。都営地下鉄浅草線は、お乗り換えです〕

 普段利用している都営地下鉄新宿線では、なかなか電車の前方を見ることはできない。
 リサはそれを時々見ながら、スマホの方でもLINEとTwitterをやった。
 『魔王軍』の『四天王』から、そろそろリサの生徒会対策計画を教えて欲しいという話が出ている。

 リサ:(そうだなぁ……)

 リサは首を傾げた。
 『四天王』だけには話そうか、或いはやっぱり当日まで黙ってておくか、少し迷ったのである。

[同日17:46.天候:晴 東京都墨田区江東橋 JR錦糸町駅→テルミナ3]

〔まもなく錦糸町、錦糸町。お出口は、右側です。総武快速線と、地下鉄半蔵門線はお乗り換えです〕

 リサを乗せた電車は、無事に錦糸町駅に到着した。
 もし途中で止まるようなことがあったら、リサの機嫌は一気に悪化したことだろう。

〔きんしちょう、錦糸町。ご乗車、ありがとうございます。次は、亀戸に、停車します〕

 ここでの乗降客も多い。
 リサはその波に乗って電車を降りた。

 リサ:(南口……)

 階段を下りて、南口改札に向かう。
 すると……。

 リサ:「いた!」

 リサの瞳が一瞬、金色に光る。
 改札口の外側には、愛原と高橋がいた。
 急いで手持ちのPasmoで、改札口を通過する。
 ピピッという音がして、キップ運賃であれば160円分が引かれた。
 地方から見れば、やはり運賃は安い。

 リサ:「先生!お兄ちゃん!」
 愛原:「よお、帰って来たな」
 リサ:「ちゃんと1人で来れたよ」
 高橋:「高校生にもなって何言ってやがんだ」
 リサ:「わたしは監視付きだけど、お兄ちゃんは職質付きでしょ?」
 高橋:「ンだと、テメ?コノヤロー」
 愛原:「さすがだ、リサ。この錦糸町では、高橋みたいなのは警戒されやすいらしく、さっきもお巡りさんが……」
 高橋:「先生!それはナシでオナシャス!」
 愛原:「ん、そうか?」
 高橋:「それより先生。予約は18時なんで、早いとこ行きましょう」
 愛原:「それもそうだな」
 リサ:「おー!予約!」

 リサは愛原達と合流すると、錦糸町駅ビルのテルミナ3に向かった。
 テルミナは3棟に分かれているが、南口には1と3があり、3人の目的の店は3にあった。
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