報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「栗原家の情報」

2023-08-06 20:55:42 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月5日12時00分 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校→ウェンディーズ・ファーストキッチン上野浅草口店]

 何とか昼までに、リサの住所変更を行うことができた。
 学校は冬休みでも、教職員は出勤している。
 特に、こういった事務手続きをしてくれる事務職員は。

 愛原「ちょうどお昼だな。何か食べて帰ろうか」
 リサ「うん!」

 栗原重蔵氏には午後イチと伝えてあるので、それまでには戻らないといけない。
 まあ、急ぎになりそうだから、その時くらいはタクシーでもいいか。
 学校を出て上野駅に向かって歩く。

 愛原「安くて、手頃に食べられるものがいいな」
 リサ「じゃあ、ハンバーガー」
 愛原「ハンバーガー?マックなんてあったっけ?」
 リサ「ウェンディーズだよ」
 愛原「あ、ウェンディーズあんの!?」
 リサ「そこなら早いし、肉も食べれるし。肉も食べれるし」
 愛原「何で2回言うんだよ?」
 リサ「大事なことだから」
 愛原「みのもんたか!」

 とにかく、リサが食べたい店に行く。
 お昼時ということもあって、レジは混んでいたが、そこはファーストフードの店。
 案外、回転は速い。

 愛原「今はタッチパネルで注文するのか。マックとは違うな」
 リサ「だよねー。ケンタもそうなんだよ」
 愛原「そうなのか」

 どうしてそれを知っているのだろう?
 てか、リサはどうして慣れた様子で操作できるのだろう?

 リサ「先生は何にする?」
 愛原「俺はてりやきバーガーで。ポテトとドリンク付きで、ドリンクはホットコーヒー」
 リサ「はい。で、わたしは……ベーコネーターUSAダブルで……」
 愛原「ん?変わった名前のハンバーガーだな」
 リサ「鬼斬りセンパイに、昔奢ってもらったことあるんだー」
 愛原「そうなのか」

 で、出来上がったハンバーガーを見ると……。

 リサ「わぁい!」
 愛原「でけぇな!おい!どう見ても、でか過ぎるだろ!」

 私はつい、マックで売られているダブルチーズバーガーくらいだと思っていた。
 だが、そこはアメリカ規格。
 そもそものハンバーグの肉厚が厚いのだ。
 それは私が注文したてりやきバーガーもそう。

 リサ「これを食べれば、あの鬼兄妹にも勝てそう」
 愛原「そ、そうか。それなら……って、いやいや!」
 リサ「先生!早く行こう!」

 リサはトレイを持って、2階へと階段を駆け上って行った。
 私は後からついていく。
 その時、ふと気づいたことがある。

 リサ「ここにしよ!」

 テーブル席もあるが、あいにくと全部塞がっていた。
 カウンター席で、2つ並んで座れる席が空いていたので、そこに座る。

 愛原「リサ、スカート短いんだから、少し後ろ気にしろ。特にこういう建物の階段は急なんだから、油断してると……」
 リサ「トレイ持ってるから、両手が塞がっちゃうんだよー。てか、もしかして、見えた?」
 愛原「ちょっとだけ」

 今のリサはブルマ派であるが、明らかにブルマを穿いていない。
 私がそれを指摘すると……。

 リサ「久しぶりに制服着るから、穿くの忘れてたんだよ。最近のわたしの私服って、ショーパンだし。ショーバンじゃ、ブルマは穿かないし」

 紫に近い色のスポーツメーカーのショーツを穿いているのは分かった。
 まあ、まだ高校生だから、そんなに派手なショーツを穿く必要はないが、戦いに備えてとはいえ、実用性を少し気にし過ぎるきらいはあるな。

 愛原「盗撮とかされるなよ?何でも、鬼の男は、自分の目玉を飛ばして監視できるそうじゃないか」
 リサ「ああ、あれね。キショイ以外の何物でもないよ」

 とリサは言うが、第2形態以降に生やす触手も大概だと思う。
 マッサージの時に、指先から生やす無数の髪の毛よりも細い触手も、私はあまり見ないようにしている。
 足ツボをマッサージしてくれるのはありがたいが、リサはそこから触手を突き刺して、私の血中老廃物を啜る。
 で、ついでに血液まで啜ってくる。
 大した量じゃないので、大目に見てやっているが。
 また、デイライトもそのくらいまでならと、目を瞑ってくれている。

 リサ「あー……そっかぁ……」
 愛原「何だ?」
 リサ「先生、また今夜、マッサージさせてよ」
 愛原「また、俺の血か」
 リサ「うん。鬼の兄妹が強いのは、やっぱ人を食べてるからだと思うんだ。だけど、わたしは食べちゃダメでしょう?」
 愛原「当たり前だよ」
 リサ「しょうがないから、先生の血で強くなるしかないんだよね」
 愛原「あいつらを倒すのは、BSAAの仕事だよ。リサは、奴らにやられない程度でいい」
 リサ「そのBSAAって、今何してるの?」
 愛原「まあ、色々と動いてるんだろう。窓口のデイライトさんだって、色々と動いてるみたいだし」

 善場主任は、まだ京都にいるらしい。
 だいぶ情報が入っているのだろうか。

[同日12時50分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原学探偵事務所(新事務所)]

 昼食が終わって、私達は上野駅前のタクシー乗り場からタクシーに乗って事務所に帰所した。
 事務所の前の一方通行路を通り、事務所の前でタクシーが止まる。

 リサ「あれ?何か、高級車が止まってるよ?」
 愛原「ん?」

 事務所の駐車場には、リースで借りている商用バンが1台止まっている。
 その隣にもう1台駐車できるスペースがあるので、そこは来客用駐車場にするつもりだった。
 しかし、まだ案内していないにも関わらず、誰かがそこに止めている。
 しかもそれは、黒塗りのセンチュリーだった。

 愛原「もしかして、もう栗原さん来られてるのかな?」

 私は料金を払い、領収証をもらってタクシーを降りた。

 愛原「一応、リサは家の方に戻ってろ。もしかすると、リサも誤解されて退治されるかもしれない」
 リサ「分かったよ」

 センチュリーの方を見ると、運転席に運転手らしき者が乗っているのが分かった。
 私達は正面入口から中に入ると、目の前の階段を上った。
 リサは数段飛ばしでヒョイヒョイ階段を上って行ったが、またスカートの中が見えてしまっていた。
 私には見せても構わないと思っているので、わざとそうしているのだろう。
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“私立探偵 愛原学” 「新事務所始動に向けて」

2023-08-06 17:47:57 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月5日08時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 新・愛原家]

 愛原「今日は警察署とリサの学校に行ってくるから、高橋は区役所の方、頼む」
 高橋「分かりました」
 愛原「パールは事務所で事務作業よろしく。取りあえず今日は、PCの中に顧客データが入ってるから、それでクライアントさん達に『引っ越しのお知らせ』を葉書に印刷してくれ。で、それをポストに入れて送ってくれ」
 パール「かしこまりました」

 今日の予定はこれで決まり。
 朝食が終わったら、早速実行しよう。

[同日09時04分 天候:晴 同地区内 菊川駅前バス停→都営バス錦11系統車内]

 高橋とは駅前の交差点で別れた。
 高橋が向かう墨田区役所は、本所吾妻橋駅から徒歩圏内である。
 なので、菊川駅前から業10系統に乗れば良い。
 乗り換えは無しである。
 それに対して、私とリサが最初に向かう本所警察署は錦糸町駅でバスを乗り換える必要がある。

〔お待たせ致しました。この都営バスは、錦糸町駅前経由、亀戸駅前行きでございます。……〕

 まずは錦糸町駅に向かうバスに乗り込んだ。
 学生はまだ冬休みだが、社会人は正月三が日が終わって、通常の出勤体制になっている。
 なので、リサのような制服姿の高校生はまだ珍しかった。
 バスに乗り込んで、近くの吊り革に掴まる。
 まだ、朝ラッシュの余波が残っている為、バス車内に空席は無かった。
 それでもリサは私と2人で出掛けられるのが嬉しいのか、マスク越しにニコニコしていた。

〔発車致します。お掴まりください〕

 先に降車扉が閉まった後、しばらくしてから発車時刻になり、グライドスライド式の前扉が閉まった。
 そして、菊川駅前の大きな交差点を悠然と進む。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは、錦糸町駅前経由、亀戸駅前行きでございます。途中、お降りの方は、お近くのボタンを押してお知らせ願います。次は菊川三丁目、菊川三丁目でございます。……〕

 愛原「高橋が警察行きを嫌がらなきゃな、俺達が区役所に行ったのに……」
 リサ「区役所の方が楽だもんね」
 愛原「それと、蓮華の容態を聞きに行きたいという所もある」
 リサ「ふーん……」

 未だに蓮華の意識は戻っていないという。
 それまでリサは、鬼の男、大江山鬼之助とは互角の強さだと思っていた。
 だが、苦手意識のある栗原蓮華に対し、意図も容易く全身火傷を負わせたことで、自分より強いのではと思うようになっている。
 尚、リサは制服を着ているが、特に上にコートなどは着ていない。
 緑色のブレザーを着用し、その下にはニットのベストを着用している。
 そして、一応首にはネックウォーマーを着けているだけ。
 鬼型BOWは体温が高いこともあり、底冷えする冬の東京でも、そこまで寒さを感じないようだ。

[同日09時12分 天候:晴 東京都墨田区江東橋 錦糸町駅前バス停(南口)]

 菊川駅前を出た後は、特に渋滞にはまることもなく、無事に錦糸町駅前のバス停に着いた。
 ここは錦糸町駅南口。
 次のバスは北口から出るので、駅の横を通らないといけない。
 あいにくと錦糸町駅には南北自由通路が無い為、南北の移動はガードの下を潜って行うことになる。

 愛原「今日は風が強いな。寒い。リサは寒くないのか?」
 リサ「そこまでは寒くないかな。寒いんだったら、わたしが温めてあげる」

 リサは私の腕に絡みついてきた。

 愛原「こらこら。パパ活でもこんなことしないだろ?」
 リサ「パパ活じゃないもん。ガチのデートだもん」
 愛原「制服着てたら誤解されるから離れなさい」
 リサ「ちぇーっ」

 リサが制服を着ているのは警察署の後、学校に行くからである。

[同日09時25分 天候:晴 錦糸町駅前バス停(北口)→都営バス都08系統車内]

 北口に着いて、ロータリー前に停車している都営バスに乗り込む。
 今度は2人席に並んで座った。
 いつもの事だから気にしていなかったが、リサはスカートの下もストッキングを穿くことは無く、黒いソックスを履いているだけだった。

〔発車致します。お掴まりください〕

 バスは折り戸式の前扉を閉めると、定刻通りに発車した。
 だいたい殆どの座席が埋まっている状態であった。

〔ピンポーン♪ 毎度、都営バスをご利用くださいまして、ありがとうございます。このバスは、東武浅草駅前、竜泉経由、日暮里駅前行きでございます。途中お降りの方は、お近くのボタンを押して、お知らせ願います。次は錦糸公園前、錦糸公園前でございます。日蓮正宗本行寺と日蓮正宗常泉寺へおいでの方は、とうきょうスカイツリー駅入口で。日蓮正宗妙縁寺へおいでの方は、本所吾妻橋でお降りになると便利です。次は、錦糸公園前でございます〕

 バスは多くの人が行き交う駅前ロータリーを出発した。

 愛原「あー、そうか……」
 リサ「なに?どうしたの?」
 愛原「いや、学校に行ってから、栗原さんの御宅に行ってもいいんだよなぁ……」

 私は警察署からの道筋を考えていた。
 警察署の最寄りバス停からまたこの路線に乗り、東武浅草駅前で降りる。
 東武浅草駅前と言っても、地下鉄の浅草駅前でもあるので、そこから銀座線に乗り換えて上野に向かうということを考えた。
 その時、ふと思ったのが、その逆を行けば、本所吾妻橋にある栗原家を訪ねることができるのではないかということだ。
 もちろん、アポ無しで行くのは失礼である。
 リサの学校での住所変更手続きが済んだら、電話してみることにしよう。

[同日10時00分 天候:晴 東京都墨田区横川4丁目 警視庁本所警察署]

 と、思ったら、ちょっと予定が変わりそうだった。
 事務所の移転手続きをしていたら、留守番しているパールから電話が掛かって来たのである。
 幸い、まだ窓口の順番が来る前だから良かった。

 愛原「もしもし?どうした?」
 パール「愛原先生、ちょっといいですか?」
 愛原「何かあったのか?」
 パール「恐らく、クライアント様からの連絡だと思うのですが……」
 愛原「なに?もう仕事の依頼が来たのか?」

 まだ、事務所の移転が完了した旨のお知らせをしていないのにか。

 パール「恐らく、そうです」
 愛原「で、どちらさま?」
 パール「栗原様と仰います。栗原……ジュウゾウ様だったかと」
 愛原「栗原重蔵さん!?」

 蓮華の祖父である。

 パール「先生にお話があるそうで、お伺いしたいそうなのですが、今日は何時からが都合が良いかとのことです」
 愛原「そうなのか。まあ、余裕を見て午後からの方がいいな。多分、まだ新しい事務所の場所を知らないだろうから、ちゃんと住所を教えるんだぞ?」
 パール「かしこまりました」

 私は電話を切った。
 これから会おうと思っていた人物の方から来てくれるとは、これは好都合である。
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