報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「蓬莱伝説」

2023-08-21 20:39:56 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月8日14時30分 天候:晴 静岡県富士宮市宮町 富士山本宮浅間大社]

 昼食はお目当て通り、富士宮焼きそばを食べた。
 普通の焼きそばよりも、麺がもちもちしているのが特徴のようだ。
 私とパールは焼きそばを単品で注文したが、リサと高橋はそれの定食を注文した。
 昼時を過ぎていたからか、店は比較的空いていた。
 真冬だと登山客もいないから、空いているのかもしれない。
 それでも浅間大社への参拝客はいるようで、食事を食べ終わった後は、まだ少し時間があったので浅間大社へ立ち寄ってみた。

 高橋「先生、ヨコシマな鬼がレーゲンアラタカな神社に入ってもいいんスか?」
 愛原「BOWの中には、宗教を運営していたのもいたって言うから大丈夫だろう」

 2004年、スペインの片田舎でバイオハザードを引き起こしたロス・イルミナドス教団とか、2005年に地中海でバイオテロを起こした宗教テロ組織ヴェルトロとか……。
 そういえば、結局ヴェルトロはどうしたのだろう?

 リサ「邪な鬼で悪かったね!」

 リサは頬を膨らませると、パーカーのフードを被った。
 ムカついたので、第1形態に戻ったのかもしれない。

 愛原「富士宮駅の前の駅名は大宮町。大宮とは、この浅間大社の事を指す。埼玉の大宮も、東口にある氷川神社のことを指すので、鉄道の駅名とは切っても切れないわけだ」
 高橋「探偵の知識っスね!メモっておきます!」
 愛原「いや、どちらかというと、鉄道の知識だからメモらなくてもいいよ」

 社務所にて……。

 パール「マサ、お守り買って行こう」
 高橋「今さら『交通安全』かぁ?」
 パール「いいじゃない」
 愛原「そうだぞ、高橋。お前の場合、そろそろ免取が近づいてるんだからな?気持ちの問題だぞ?」
 高橋「は、はい」
 パール「あとは『縁結び』と『安産祈願』」
 愛原「ええっ!?」
 高橋「中田氏してねーだろ!?」
 パール「……将来に備えてダヨ?」 
 リサ「わたしも買っとこうかなぁ……?」
 愛原「何が欲しいんだ?」
 リサ「『縁結び』」
 愛原「絵恋さんと買っただろうが。別の神社だけど」
 リサ「ううん。先生と」
 愛原「俺かよ!」
 高橋「くぉらっ!先生を食う気か!」
 リサ「別の意味で」
 愛原「オイオイ……」

 中学生みたいな見た目でも、もう高校2年生。
 いや、まもなく3年生になろうとしているのだから、大人びてきて当然か。
 ……ん、そういえばリサ、少し背が伸びたような?
 Gウィルスの影響で体の成長が阻害されているにしても、少しは成長するのだろうか。
 今なら高校1年生くらいとしても、普通に通じそうだ。

 リサ「あと、『安産祈願』」
 愛原「まだ早い!そういうのは妊娠してからにしなさい!」
 高橋「……だってよ、パール?」
 パール「……先生の仰る事は絶対ですからね」
 愛原「それにリサ、肝心なことを忘れてるぞ?」
 リサ「えっ?」

 私はリサに学業御守を見せた。

 愛原「オマエは学生なんだから、これだろうが」
 リサ「わたし、今のところ成績はいいけど?」
 愛原「だから、高橋の『交通安全』と同じだ。気持ちの問題なんだよ。しかるに……」
 巫女「お決まりになりましたか?」
 愛原「いやあ、霊験あらたかな神社に美人の巫女さん!来て良かったですなぁ!作者も『日都連正宗には美人の尼さんがいなくて寂しい』とか言ってるくらいなんです!どうです?是非ともあなたのご案内で、この神社の境内を……おおおおおっ!」

 バリバリバリバリバリバリ

 リサ「先生!

 リサの電撃が炸裂する。

 巫女「だ、大丈夫ですか?!」
 愛原「な、何のそのこれしき……」
 リサ「じゃあ、もう一回食らわせるっちゃ!」
 高橋「さ、サーセン!邪な鬼を境内に入れちゃって……。この御守、もらえますか?」

 高橋、キラキラしたホスト系イケメン顔を巫女に見せる。

 巫女「は、はい……
 高橋「先生の分も買っときますよ?」
 愛原「す、すまん……」
 パール「先生、取りあえずこちらに……」

 せっかくロックオンした巫女さんを、高橋に取られてしまった。
 くそっ、イケメンは得だな。

 リサ「パールさんは、お兄ちゃんが巫女さんと楽し気に話してるの、悔しくないの?」
 パール「あれくらいで、マサが逃げるわけないでしょ?」
 リサ「……!」

 愛原を介抱するメイドの目付きから、急に殺人鬼の目付きになったことで、リサは息を呑んだ。

 高橋「お待たせしました。御守、買ってきましたよ。あと、LINEも交換してきましたー」
 愛原「早っ!これだからイケメンは……。御両親に感謝しな」
 高橋「はい。さすがに邪な鬼がいちゃマズいみたいなんで、さっさとずらかりましょう」
 愛原「そうだな。バスの時間までに、リサのPasmoをチャージしておかないと……」

 私達がこれから乗るバスは浅間大社の前も通るので、効率的にはそこから乗った方が良いのだが、駅に立ち寄る必要があったので、私達は徒歩で富士宮駅に向かったのだった。

[同日15時20分 天候:曇 同市内中央町 JR富士宮駅→富士急静岡バスS121系統車内]

 案の定、駅の券売機でPasmoのチャージができた。
 その後で、バスプールに向かう。
 まだバスの発車まで時間があったので、ベンチに座ったり、トイレに行きたいリサはトイレに行ったり……。

 リサ「さっきは無駄に電撃を使ったり、大腸の中身いっぱい出したら、またお腹空いて来ちゃった……」

 バスプール内の公衆トイレから出て来たリサがそう言った。

 愛原「あのなぁ……。民宿の夕食は18時からだから、それまで我慢しろ」
 リサ「ええ~……」

 しばらくすると、5番乗り場にバスがやってきた。
 平日ダイヤでも本数の少ない路線であるが、土休日ダイヤはもっと少なくなる。
 新富士駅から乗ったバスと違い、こちらは中型の路線バスだった。
 乗り方は同じであるが。
 これは乗客が少ないということも去ることながら、郊外では道の狭い所を走るからである。
 再びバスに乗り込んだ私達は、また後ろの席に陣取ったのだった。

 愛原「さて、いよいよ民宿さのやへゴーだな」
 リサ「うん」
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“私立探偵 愛原学” 「蓬莱人形」

2023-08-21 15:42:20 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月8日12時45分 天候:晴 静岡県富士市川成島 JR新富士駅→富士急静岡バスS7系統車内]

 トイレやら一服やらを済ませ、私達はバス乗り場に向かった。
 富士宮市まで行くバスは、普通の一般路線用の大型バスである。
 終点が富士山世界遺産センターという、いかにも観光客向けの場所なのだが、乗客は少なかった。

 愛原「乗り方は埼玉のバスと同じだよ」
 リサ「すると、後ろから乗るわけだね」
 愛原「そう」

 たまに都営バスのように、前から乗る方式とごっちゃになることがある。
 埼玉のバスに乗ったことがあって正解だった。
 乗り込むと、後ろの席に向かった。

 愛原「民宿の近くまで行くバスは、富士宮駅から出てるんだ。だから、富士宮駅で降りた方が、乗り換えは楽だ」
 高橋「でしょうね」
 愛原「ところが、駅の周辺は意外と食べる所が無い。特に富士宮焼きそばに限定すると、片手で数えるほどしかない」
 高橋「そこでも別にいいのでは?」
 愛原「ただ、少し時間もある。どうせ、このバスの終点ってのは、富士宮駅の次なんだよ。場所柄、浅間大社の前でもあるから、そっちの方が店はある」
 高橋「すると、終点まで乗って行った方がいいわけですね?」
 愛原「そういうことだ」
 高橋「分かりました」

〔「お待たせ致しました。吉原中央駅、富士宮駅経由、富士山世界遺産センター行き、発車致します」〕

 バスには他に数人の乗客が乗っている。
 途中のバス停から乗り降りがあるのだろうが、それにしても空いていた。

〔発車します。お掴まりください〕

 発車の時間になり、引き戸式の中扉が閉まった。

〔「発車します。ご注意ください」〕

 バスは定刻通りに新富士駅前を発車した。

〔ピン♪ポン♪パーン♪ ご乗車、ありがとうございます。このバスはロゼシアター前、吉原中央駅、富士宮駅経由、静岡県富士山世界遺産センター行きです。【中略】次は塔の木、塔の木でございます〕

 バスは新富士駅前のロータリーを出ると、県道174号線に出た。
 名前を富士見大通りという。
 国道並みの幹線道路だが、県道である。
 その時、地元の県警のパトカーがバスを追い抜いて行った。
 別にサイレンを鳴らしているわけではなく、赤色灯も点けていない。

 リサ「おー、パトカーが護衛してくれてる」
 愛原「まさか。ただのパトロールだろう」

 確かに私達の動きは、GPSでデイライトやBSAAによって監視されているだろう。
 ただそれは、敵か味方か分からない“青いアンブレラ”にも監視されているということになる。
 それに、パトカーの護衛を付けるくらいだったら、普通の路線バスに乗せないで、このままタクシーか何かで直接向かわせようとするだろう。
 だから、ただの偶然だと思う。

 パール「この前、東名高速で高速隊を撒いたからじゃない?」
 高橋「それか!静岡県警だもんな!」
 愛原「お前ら、今すぐ出頭しろ。おまわりさーん」
 高橋「先生、冗談です!」
 パール「そもそも、高速隊と地元のパトカーじゃ、管轄が違いますし……」
 愛原「そういう問題じゃねぇ」

 高橋達にとってラッキーだったのは、最近のバスの窓は開口部が少ないことだ。
 ましてや、1番後ろの席の窓は開かなかった。

 愛原「残念だ。窓が開かないんじゃ、お巡りさんを呼ぶことはできないな」
 高橋「ホッ……」
 リサ「普通に通報すれば?」

 リサは自分のスマホを取り出した。

 高橋「くぉらっ!」
 愛原「楽しいバス旅になりそうだね」
 パール「全くで……」

[同日13時30分 天候:晴 静岡県富士宮市大宮町 静岡県富士山世界遺産センターバス停]

 バスは富士宮市内に向かうルートとして、基本的に県道414号線(富士富士宮線)を走行した。
 国道139号線の旧道のような感じもしたが、ちょっとそこはよく分からない。
 尚、途中に吉原中央駅というバス停があるが、別に鉄道の駅ではない。
 かといって、かつては鉄道の駅だったということもなく、いわゆる『バス駅』(バスターミナル)である。
 それがどうして駅を名乗っているのかというと、かつては鉄道のキップも取り扱っていたからだという。
 尚、この駅の前の交差点には、『宙に浮く信号機』がある。
 作者の実家の近所にもある古めかしいUFO型の信号機がアームで固定され……ではなく、本当に電線の途中にぶら下がっているという状況がシュールの普通の信号機である。
 ウィキペディアにもその写真は載っていて、その画像から見ると、結構昔からその信号機は存在しているようである。
 また、他にも『厚原東』というバス停があり、日蓮宗系の宗派で語り継がれている『熱原三烈士』の熱原とは、この厚原のことである。
 時代が変わって、地名の漢字も変わったようだ。
 乗客は観光客よりも、地元民の利用が多く、私達の他に7~8人ほどが乗っていたが、全員が富士宮駅のバスプールで降りて行った。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点、富士山世界遺産センターです。お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください」〕

 バスは浅間大社前の交差点を右折し、県道76号線上のバス停に停車した。
 尚、バス停名の頭に『静岡県』と付いているのは、山梨県にも同じ名前のセンターがあり、それと区別する為である。

 愛原「ちょうどあそこに、食堂がある。あそこでも、富士宮焼きそばは食べれそうだ。あそこに行ってみよう」

 私はバスを降りて、そう言った。

 パール「愛原先生。このバス代も、支給されるのでしょうか?」
 愛原「あー、そうだな。これも請求するから、取りあえず、次のバスと含めて皆、手持ちのICカードで乗ってくれ」
 高橋「分かりました」
 リサ「先生。わたし、残額残り少ない……」
 愛原「マジかよ」
 高橋「あーあ。オメーだけ、足りない分は自腹な?」
 リサ「むー!」
 愛原「まあまあ。富士宮駅の券売機で、チャージくらいできるだろ。そこでチャージしてやるよ」
 リサ「さすが先生!」
 愛原「それより俺も腹減った。早いとこ、昼飯にしよう」
 高橋「分かりました」

 私達はバス停のすぐ近くにある食堂に向かった。
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