[2月25日14時前後 天候:曇 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅→仙山線3839M列車最後尾車内]
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の7番線の列車は、14時4分発、快速、山形行きです。この列車は、4両です。……〕
昼食も食べ終わり、私達は仙台駅へと向かった。
愛原学「まだ市街地は雪は積もってないけど、向こうは積もってるのかな?」
愛原父「そりゃあ向こうは山の中だし、昔はスキー場もあったくらいだから、積もってるんじゃないか?」
学「それもそうか」
愛原母「早く旅館に入って、温泉に浸かりたいねぇ。せっかくラーメン食べて温まったのに、これじゃまた冷えちゃう」
午後になってから少し風が出て来た。
仙石線や地下鉄と違って、それ以外のホームは地上にある為、寒風が吹くともろに当たる。
〔まもなく7番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。折り返し、14時4分発、快速、山形行きとなります。この列車は、4両です。……〕
仙石線を除く仙台駅の在来線ホームの自動放送は、首都圏のそれと殆ど同じである。
言い回しから声優まで同じ。
但し、首都圏と同じ輸送システムを導入しているわけではない。
しばらくすると、下り方向から眩いヘッドライトの光を灯して、4両編成の電車がやってきた。
E721系と呼ばれる、仙台地区では新型の部類に入る車両だ。
2両編成と4両編成があり、2両編成を2編成繋いだものではなく、4両で1編成の電車だった。
確か、1000番台と言ったか。
他の2両編成と違い、ワンマン運転には対応しておらず、外装にもピンク色のラインが入っているのが特徴である。
〔せんだい、仙台。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
終点である為、ここで大勢の乗客達が降りて来る。
それから私達は先頭車だった車両に乗り込んだ。
つまり、これから最後尾になるということ。
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ボックスシートを1つ確保したが、高橋とパールはその横、つまりドア横の2人席に腰かけた。
そこで良いのだろうか?
両親達には窓側に座ってもらい、私とリサは通路側に向かい合って座った。
私が後ろ向きにしておく。
最後尾に乗ったのは、そこから乗務員室の窓越しに、後部視界を見る為だった。
『本当の通は1番後ろ』と、鉄ヲタの友人が豪語していたのを思い出す。
〔この電車は仙山線、快速、山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順です〕
父は窓際のテーブルの上に、缶ビールを置いた。
母「昼間から飲むなんて」
父「いいじゃないか。今日は温泉旅行だ。それに、車だったら飲めないぞ。いい機会じゃないか。なあ、学?」
学「そ、そうだね」
そういう私も、父から缶ビールを受け取った。
母「呆れた」
父「お前も飲めよ」
母「私は夕食の時とかでいいわよ」
父「ノリ悪いな」
母「そういう問題じゃないって。だいたい、通院中なんだから無茶しないの」
学「そうか。お父さん、大学病院に通院中だったもんね。大丈夫なの?」
父「おかげさんで、今は落ち着いてるよ。病院の中の食堂の飯も美味くてな、今度一緒に連れて行ってやろう」
学「そ、そうなの」
リサ「お肉料理ありますか!?」
父「おー。トンカツ定食とかカツカレーとかあったぞ」
リサ「おー!」
学「フツーの飯だなw」
母「食欲があるうちはいいんだけどねぇ……。リサちゃん、私達は普通のお茶とかにしておきましょ。これで、そこの自販機で好きなの買ってきていいから」
リサ「わっかりましたー!」
リサは母親からイクスカを渡された。
これは仙台市交通局が発行している交通系ICカードのことである。
Pasmoと同様、仙台市地下鉄やバスだけでなく、JRも乗車可能である。
リサは降りると近くの自販機に行き、お茶と自分の飲むジュースを買って来た。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。7番線に停車中の列車は、14時4分発、快速、山形行きです。次は、北仙台に、停車します〕
リサ「お待たせしましたー」
母「ありがとう」
リサは母にペットボトル入りのお茶を買って来て、自分はりんごジュースを買ってきた。
〔「14時4分発、仙山線、快速列車の山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順に停車致します。停車駅にご注意ください。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
父「駅からはどうやって行くんだ?」
学「旅館が送迎バスで迎えに来てくれることになってるよ」
父「そうか」
買って来た飲み物で過ごしていると、ホームから発車メロディが聞こえて来た。
“すずめ踊り”の祭囃子調の発車メロディである。
〔7番線から、快速、山形行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。駆け込み乗車は、おやめください〕
車掌が最後に笛を鳴らすと、ドアチャイムが鳴る。
首都圏の電車だと一気に閉まるが、こちらの場合、閉まり切る前に一旦ドアの動きが止まって、一呼吸置いてから閉まり切るという変わった動きをする。
それから電車は、ゆっくりと走り出した。
仙台駅構内のポイントを渡って、仙山線本線に出る。
実は途中の小田原地区(駅弁業者のこばやし本社がある辺り)までは東北本線と仙山線は並行しており、ダイヤによっては、双方の列車が並走することもあった。
今でもそういうシーンがあるのかは不明だが、首都圏などの大都市圏以外でそのようなシーンが見られるのは貴重だと思う。
〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は仙山線、快速、山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順です。【中略】次は、北仙台です〕
父「ほれ、食うか?つまみ」
父はビニール袋の中から、あたりめの袋を取り出した。
学「ありがとう」
父「ビーフジャーキーは……」
リサ「わたしが頂きます!」
父「そ、そう?キミはお肉が好きなんだねぇ?」
リサ「はい!先生のお肉が1番大好きです!」
学「コラ!」
父「こ、こんなバカ息子の肉で良かったら、いつでも食ってくれ」
学「父さん!」
母「そうねぇ……。こんな可愛い女子高生を誑かせるなんて、バカ以外の何者でもないわ」
学「だから、霧生市で助けたんだってば」
リサ「先生。お父さん達の許可が取れたから」
リサはビーフジャーキーを齧りながら、私に牙を見せた。
学「それはカンベンしてくれ……」
さすがに食い殺されるのはカンベンだな。
せっかく、霧生市で生き延びたというのに……。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。今度の7番線の列車は、14時4分発、快速、山形行きです。この列車は、4両です。……〕
昼食も食べ終わり、私達は仙台駅へと向かった。
愛原学「まだ市街地は雪は積もってないけど、向こうは積もってるのかな?」
愛原父「そりゃあ向こうは山の中だし、昔はスキー場もあったくらいだから、積もってるんじゃないか?」
学「それもそうか」
愛原母「早く旅館に入って、温泉に浸かりたいねぇ。せっかくラーメン食べて温まったのに、これじゃまた冷えちゃう」
午後になってから少し風が出て来た。
仙石線や地下鉄と違って、それ以外のホームは地上にある為、寒風が吹くともろに当たる。
〔まもなく7番線に、当駅止まりの列車が参ります。危ないですから、黄色い点字ブロックの内側まで、お下がりください。折り返し、14時4分発、快速、山形行きとなります。この列車は、4両です。……〕
仙石線を除く仙台駅の在来線ホームの自動放送は、首都圏のそれと殆ど同じである。
言い回しから声優まで同じ。
但し、首都圏と同じ輸送システムを導入しているわけではない。
しばらくすると、下り方向から眩いヘッドライトの光を灯して、4両編成の電車がやってきた。
E721系と呼ばれる、仙台地区では新型の部類に入る車両だ。
2両編成と4両編成があり、2両編成を2編成繋いだものではなく、4両で1編成の電車だった。
確か、1000番台と言ったか。
他の2両編成と違い、ワンマン運転には対応しておらず、外装にもピンク色のラインが入っているのが特徴である。
〔せんだい、仙台。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました。お忘れ物の無いよう、ご注意ください〕
終点である為、ここで大勢の乗客達が降りて来る。
それから私達は先頭車だった車両に乗り込んだ。
つまり、これから最後尾になるということ。
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ボックスシートを1つ確保したが、高橋とパールはその横、つまりドア横の2人席に腰かけた。
そこで良いのだろうか?
両親達には窓側に座ってもらい、私とリサは通路側に向かい合って座った。
私が後ろ向きにしておく。
最後尾に乗ったのは、そこから乗務員室の窓越しに、後部視界を見る為だった。
『本当の通は1番後ろ』と、鉄ヲタの友人が豪語していたのを思い出す。
〔この電車は仙山線、快速、山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順です〕
父は窓際のテーブルの上に、缶ビールを置いた。
母「昼間から飲むなんて」
父「いいじゃないか。今日は温泉旅行だ。それに、車だったら飲めないぞ。いい機会じゃないか。なあ、学?」
学「そ、そうだね」
そういう私も、父から缶ビールを受け取った。
母「呆れた」
父「お前も飲めよ」
母「私は夕食の時とかでいいわよ」
父「ノリ悪いな」
母「そういう問題じゃないって。だいたい、通院中なんだから無茶しないの」
学「そうか。お父さん、大学病院に通院中だったもんね。大丈夫なの?」
父「おかげさんで、今は落ち着いてるよ。病院の中の食堂の飯も美味くてな、今度一緒に連れて行ってやろう」
学「そ、そうなの」
リサ「お肉料理ありますか!?」
父「おー。トンカツ定食とかカツカレーとかあったぞ」
リサ「おー!」
学「フツーの飯だなw」
母「食欲があるうちはいいんだけどねぇ……。リサちゃん、私達は普通のお茶とかにしておきましょ。これで、そこの自販機で好きなの買ってきていいから」
リサ「わっかりましたー!」
リサは母親からイクスカを渡された。
これは仙台市交通局が発行している交通系ICカードのことである。
Pasmoと同様、仙台市地下鉄やバスだけでなく、JRも乗車可能である。
リサは降りると近くの自販機に行き、お茶と自分の飲むジュースを買って来た。
〔本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。7番線に停車中の列車は、14時4分発、快速、山形行きです。次は、北仙台に、停車します〕
リサ「お待たせしましたー」
母「ありがとう」
リサは母にペットボトル入りのお茶を買って来て、自分はりんごジュースを買ってきた。
〔「14時4分発、仙山線、快速列車の山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順に停車致します。停車駅にご注意ください。発車までご乗車になり、お待ちください」〕
父「駅からはどうやって行くんだ?」
学「旅館が送迎バスで迎えに来てくれることになってるよ」
父「そうか」
買って来た飲み物で過ごしていると、ホームから発車メロディが聞こえて来た。
“すずめ踊り”の祭囃子調の発車メロディである。
〔7番線から、快速、山形行きが発車致します。ドアが閉まります。ご注意ください。駆け込み乗車は、おやめください〕
車掌が最後に笛を鳴らすと、ドアチャイムが鳴る。
首都圏の電車だと一気に閉まるが、こちらの場合、閉まり切る前に一旦ドアの動きが止まって、一呼吸置いてから閉まり切るという変わった動きをする。
それから電車は、ゆっくりと走り出した。
仙台駅構内のポイントを渡って、仙山線本線に出る。
実は途中の小田原地区(駅弁業者のこばやし本社がある辺り)までは東北本線と仙山線は並行しており、ダイヤによっては、双方の列車が並走することもあった。
今でもそういうシーンがあるのかは不明だが、首都圏などの大都市圏以外でそのようなシーンが見られるのは貴重だと思う。
〔今日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございます。この電車は仙山線、快速、山形行きです。停車駅は北仙台、国見、陸前落合、愛子、作並、山寺、羽前千歳、北山形、終点山形の順です。【中略】次は、北仙台です〕
父「ほれ、食うか?つまみ」
父はビニール袋の中から、あたりめの袋を取り出した。
学「ありがとう」
父「ビーフジャーキーは……」
リサ「わたしが頂きます!」
父「そ、そう?キミはお肉が好きなんだねぇ?」
リサ「はい!先生のお肉が1番大好きです!」
学「コラ!」
父「こ、こんなバカ息子の肉で良かったら、いつでも食ってくれ」
学「父さん!」
母「そうねぇ……。こんな可愛い女子高生を誑かせるなんて、バカ以外の何者でもないわ」
学「だから、霧生市で助けたんだってば」
リサ「先生。お父さん達の許可が取れたから」
リサはビーフジャーキーを齧りながら、私に牙を見せた。
学「それはカンベンしてくれ……」
さすがに食い殺されるのはカンベンだな。
せっかく、霧生市で生き延びたというのに……。