[3月1日08時00分 天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
正門前に掲げられた『卒業式』の看板。
今日は3年生の卒業式である。
もしも東京中央学園大学に進学する場合、入学式は基本的に4月1日だから、1ヶ月の春休みとなる。
今年は4月1日は土曜日、2日は日曜日だから、3日に入学式となるか。
リサが登校したのは、在校生側の参加者に登録されていたからだ。
本来、栗原蓮華を送る為に登録した。
互いに憎まれ口を叩いて、一時の別れとなるはずだった。
今ここに、栗原蓮華はいない。
鬼化してしまい、実家もその捜査によるゴタゴタで混乱していた。
休学という扱いになっているが、留年してまで復学することがあるのかどうかは望み薄だ。
レイチェル「リサ、おはようでス」
リサ「ああ、おはよう」
レイチェルも『送る側』に参加した。
留学生として、日本の卒業式がどんなものなのかを見たいというものだった。
因みにレイチェルもまた、来年度までここにいる予定。
養成学校は日本の高等専門学校と同様の5年間なので、ここを卒業した後、また養成学校の今度は『本科』に戻らなくてはならない。
『予科』の内容は、殆どハイスクールと変わらない為に。
『本科』を卒業すれば基本的にBSAAに配属されるが、卒業時の成績と希望によっては、アメリカの国防大学への編入も認められるという。
ただ、そこまで進学してしまうと、BSAAよりは合衆国軍に配属されることが多い。
リサ「今日は3年生の卒業式だ。本当は鬼斬りセンパイを送ってやるはずだった」
レイチェル「安心してくだサイ。警備は万全です」
リサ「ん!?」
レイチェルは学校の制服を着つつも、ブレザーの下にはアーミーナイフやハンドガンを隠し持っていた。
レイチェル「元人間のBOWは、ふとしたことから人間だった頃の記憶が戻ると言います。また、その時の習慣も戻ると言われています。このセレモニーのことを思い出したBOWが、ここに現れないとも限りません」
リサ「なるほど。でも、今の蓮華は夜しか行動できないはずじゃ?」
レイチェル「夜にしか移動していないということから、そう思われてるだけで、実際そうなのかは不明です」
リサ「そ、それもそうか」
レイチェル「それに、例え昨日まではそうだったとしても、今日から昼間も行動できるようになっているかもしれません。蓮華は今でも人食いをしています。リサも知っての通り、人食いを続ければ、変化も常に起こります」
リサ「確かにそうだね」
リサは人食いはしていない。
だが、愛原などから血中老廃物や血液の摂取はしている。
愛原の味に飽きたら、他の女子生徒を捕まえては『捕食』するのがリサのやり方だ。
そういうガス抜きを行っていることで、リサの場合は食人衝動を抑えている状態だが、皆が皆そんな器用なことができるわけではない。
というか、リサが器用過ぎるだけなのだ。
やはり普通は、BOWといったら、人食い生物兵器なのである。
何が言いたいかというと、器用に人間の血液関係の物だけを摂取しているとはいえ、それだけでもやはり変化は起きるというわけだ。
その程度の摂取だから大きな変化は無いのだが、小さな変化はよく起こっている。
髪の色が変わったり、爪の色が変わったり、瞳の色が変わったりなど。
[同日09時00分 天候:晴 同学園 体育館]
〔「卒業生、入場です」〕
卒業式が開催される。
リサは栗原蓮華の席が空席になっているのを確認した。
当然、保護者席を見ても、栗原家からは誰1人来ていない。
来賓席を見たが、PTA会長代行たる愛原は来ていなかった。
どうも愛原は鬼の女にモテるらしく、愛原が来ることで、栗原蓮華が来てしまうことを避ける為であった。
その為、PTA会長の挨拶は副会長が行った。
本来のPTA会長たる斉藤秀樹はロシアへ逃亡。
何故かその代行に抜擢された愛原も欠席という異例の事態であった。
とはいえ来年度、愛原は正式にPTA会長に任命される見込みである。
副会長は他のクラスの男子生徒の母親であったが、どこかの会社の役員であり、卒業式には来賓として参加したが、やはり今日は平日ということもあって、会社を抜け出して来ている状態なのだという。
恐らく、卒業式が行われる午前中だけ半休扱いにしているのだろう。
来客用駐車場を見ると、何台か黒塗りの高級車が止まっているので、そのうちの1台が会社役員たる副会長の役員車であると思われる。
リサは制服の左腕に、『生徒会』の腕章を着けてはいるが、正式な生徒会役員ではなく、ただの手伝いである。
そういった意味では、レイチェルも左腕に同じ腕章を着けている。
リサの役割はただの雑用であるが、もう1つの役割は、BSAA隊員同様、栗原蓮華の来襲を同じ鬼型BOWとして警戒すること。
もし万が一の時は、ここで戦うことになる。
BSAAは援護射撃兼校内の避難誘導が主な役割である。
一同「君が代は♪千代に八千代に……」
私立の学校ながら宗教系ではない為、ちゃんと国歌斉唱は行われる。
ミッション系スクールでは、歌われないことも多い。
その代わり、聖歌を何曲も歌うという。
[同日12時00分 天候:晴 同学園・体育館]
レイチェル「何も起こりませんでしたね」
卒業式は無事に終わり、リサ達は後片付けに追われていた。
設営や撤収を行うのは、もちろん在校生達である。
リサ「やっぱあいつ、夜にならないと行動できないんだよ。吸血鬼みたい」
レイチェル「……か、もしくは人間だった頃の記憶や習慣が完全に失われたかのどちらかですね」
リサ「そうかもね。お腹空いたから、さっさと片付けて帰ろう」
リサは1人で演壇をヒョイと持ち上げた。
リサ「まだ持てるから、この上に椅子乗っけてー」
レイチェル「リサは人間形態でも、力はBOWのままなんですネ」
リサ「ある意味便利」
レイチェル「知らない人が見たらビックリするので、やめた方がいいですよ」
リサ「いやー、わたしの方がまだマシだと思うよ」
レイチェル「どうしてですか?」
リサ「だって……」
リサとレイチェルは演壇などを片付ける為に、ステージの上に乗っている。
そこから、椅子が並べられている方を指さした。
BSAA隊員A「この椅子はどちらに!?」
生徒会役員「そ、それは、向こうの備品庫に……」(;゚Д゚)
BSAA隊員B「楽器の移動、音楽準備室へ完了しました!」
吹奏楽部員「あ、ありがとうございます!」(`・ω・´)ゞ
リサ「軍服姿の軍人さん達が撤収手伝う方が、皆ビックリすると思うよ?しかも全員、何故か日本語ペラペラの北米支部だし」
レイチェル「皆、日本の学校の卒業式がどんなものなのか興味があったんですよ」
新聞部員「あの、レイチェルさん。BSAAの軍用車の写真、撮ってもいいですか?」
レイチェル「外側だけOKです。内側はNGです」
リサ「なに、しれっと軍機探ろうとしてんの!」
リサは知り合いの新聞部員を窘めた。
リサ「それとレイチェル、後で話が……」
レイチェル「Oh!体育館裏に呼び出しですか?」
リサ「古い!“花子さん”の世代じゃあるまいし!むしろわたし達の世代はトイレに来てもらう……じゃなくて!うちのシャワールーム設置の話!ほら、BSAAが設置してくれるって話!」
レイチェル「あの話ですか!愛原先生、興味を持ってくれましたか?」
リサ「そのことについて話があるって言ってんの、アメリカ人!」
レイチェル「分かりました。それじゃ、ランチを食べながら話をしましょう。駅前でハンバーガーでも食べながら」
リサ「そ、そうだね」
正門前に掲げられた『卒業式』の看板。
今日は3年生の卒業式である。
もしも東京中央学園大学に進学する場合、入学式は基本的に4月1日だから、1ヶ月の春休みとなる。
今年は4月1日は土曜日、2日は日曜日だから、3日に入学式となるか。
リサが登校したのは、在校生側の参加者に登録されていたからだ。
本来、栗原蓮華を送る為に登録した。
互いに憎まれ口を叩いて、一時の別れとなるはずだった。
今ここに、栗原蓮華はいない。
鬼化してしまい、実家もその捜査によるゴタゴタで混乱していた。
休学という扱いになっているが、留年してまで復学することがあるのかどうかは望み薄だ。
レイチェル「リサ、おはようでス」
リサ「ああ、おはよう」
レイチェルも『送る側』に参加した。
留学生として、日本の卒業式がどんなものなのかを見たいというものだった。
因みにレイチェルもまた、来年度までここにいる予定。
養成学校は日本の高等専門学校と同様の5年間なので、ここを卒業した後、また養成学校の今度は『本科』に戻らなくてはならない。
『予科』の内容は、殆どハイスクールと変わらない為に。
『本科』を卒業すれば基本的にBSAAに配属されるが、卒業時の成績と希望によっては、アメリカの国防大学への編入も認められるという。
ただ、そこまで進学してしまうと、BSAAよりは合衆国軍に配属されることが多い。
リサ「今日は3年生の卒業式だ。本当は鬼斬りセンパイを送ってやるはずだった」
レイチェル「安心してくだサイ。警備は万全です」
リサ「ん!?」
レイチェルは学校の制服を着つつも、ブレザーの下にはアーミーナイフやハンドガンを隠し持っていた。
レイチェル「元人間のBOWは、ふとしたことから人間だった頃の記憶が戻ると言います。また、その時の習慣も戻ると言われています。このセレモニーのことを思い出したBOWが、ここに現れないとも限りません」
リサ「なるほど。でも、今の蓮華は夜しか行動できないはずじゃ?」
レイチェル「夜にしか移動していないということから、そう思われてるだけで、実際そうなのかは不明です」
リサ「そ、それもそうか」
レイチェル「それに、例え昨日まではそうだったとしても、今日から昼間も行動できるようになっているかもしれません。蓮華は今でも人食いをしています。リサも知っての通り、人食いを続ければ、変化も常に起こります」
リサ「確かにそうだね」
リサは人食いはしていない。
だが、愛原などから血中老廃物や血液の摂取はしている。
愛原の味に飽きたら、他の女子生徒を捕まえては『捕食』するのがリサのやり方だ。
そういうガス抜きを行っていることで、リサの場合は食人衝動を抑えている状態だが、皆が皆そんな器用なことができるわけではない。
というか、リサが器用過ぎるだけなのだ。
やはり普通は、BOWといったら、人食い生物兵器なのである。
何が言いたいかというと、器用に人間の血液関係の物だけを摂取しているとはいえ、それだけでもやはり変化は起きるというわけだ。
その程度の摂取だから大きな変化は無いのだが、小さな変化はよく起こっている。
髪の色が変わったり、爪の色が変わったり、瞳の色が変わったりなど。
[同日09時00分 天候:晴 同学園 体育館]
〔「卒業生、入場です」〕
卒業式が開催される。
リサは栗原蓮華の席が空席になっているのを確認した。
当然、保護者席を見ても、栗原家からは誰1人来ていない。
来賓席を見たが、PTA会長代行たる愛原は来ていなかった。
どうも愛原は鬼の女にモテるらしく、愛原が来ることで、栗原蓮華が来てしまうことを避ける為であった。
その為、PTA会長の挨拶は副会長が行った。
本来のPTA会長たる斉藤秀樹はロシアへ逃亡。
何故かその代行に抜擢された愛原も欠席という異例の事態であった。
とはいえ来年度、愛原は正式にPTA会長に任命される見込みである。
副会長は他のクラスの男子生徒の母親であったが、どこかの会社の役員であり、卒業式には来賓として参加したが、やはり今日は平日ということもあって、会社を抜け出して来ている状態なのだという。
恐らく、卒業式が行われる午前中だけ半休扱いにしているのだろう。
来客用駐車場を見ると、何台か黒塗りの高級車が止まっているので、そのうちの1台が会社役員たる副会長の役員車であると思われる。
リサは制服の左腕に、『生徒会』の腕章を着けてはいるが、正式な生徒会役員ではなく、ただの手伝いである。
そういった意味では、レイチェルも左腕に同じ腕章を着けている。
リサの役割はただの雑用であるが、もう1つの役割は、BSAA隊員同様、栗原蓮華の来襲を同じ鬼型BOWとして警戒すること。
もし万が一の時は、ここで戦うことになる。
BSAAは援護射撃兼校内の避難誘導が主な役割である。
一同「君が代は♪千代に八千代に……」
私立の学校ながら宗教系ではない為、ちゃんと国歌斉唱は行われる。
ミッション系スクールでは、歌われないことも多い。
その代わり、聖歌を何曲も歌うという。
[同日12時00分 天候:晴 同学園・体育館]
レイチェル「何も起こりませんでしたね」
卒業式は無事に終わり、リサ達は後片付けに追われていた。
設営や撤収を行うのは、もちろん在校生達である。
リサ「やっぱあいつ、夜にならないと行動できないんだよ。吸血鬼みたい」
レイチェル「……か、もしくは人間だった頃の記憶や習慣が完全に失われたかのどちらかですね」
リサ「そうかもね。お腹空いたから、さっさと片付けて帰ろう」
リサは1人で演壇をヒョイと持ち上げた。
リサ「まだ持てるから、この上に椅子乗っけてー」
レイチェル「リサは人間形態でも、力はBOWのままなんですネ」
リサ「ある意味便利」
レイチェル「知らない人が見たらビックリするので、やめた方がいいですよ」
リサ「いやー、わたしの方がまだマシだと思うよ」
レイチェル「どうしてですか?」
リサ「だって……」
リサとレイチェルは演壇などを片付ける為に、ステージの上に乗っている。
そこから、椅子が並べられている方を指さした。
BSAA隊員A「この椅子はどちらに!?」
生徒会役員「そ、それは、向こうの備品庫に……」(;゚Д゚)
BSAA隊員B「楽器の移動、音楽準備室へ完了しました!」
吹奏楽部員「あ、ありがとうございます!」(`・ω・´)ゞ
リサ「軍服姿の軍人さん達が撤収手伝う方が、皆ビックリすると思うよ?しかも全員、何故か日本語ペラペラの北米支部だし」
レイチェル「皆、日本の学校の卒業式がどんなものなのか興味があったんですよ」
新聞部員「あの、レイチェルさん。BSAAの軍用車の写真、撮ってもいいですか?」
レイチェル「外側だけOKです。内側はNGです」
リサ「なに、しれっと軍機探ろうとしてんの!」
リサは知り合いの新聞部員を窘めた。
リサ「それとレイチェル、後で話が……」
レイチェル「Oh!体育館裏に呼び出しですか?」
リサ「古い!“花子さん”の世代じゃあるまいし!むしろわたし達の世代はトイレに来てもらう……じゃなくて!うちのシャワールーム設置の話!ほら、BSAAが設置してくれるって話!」
レイチェル「あの話ですか!愛原先生、興味を持ってくれましたか?」
リサ「そのことについて話があるって言ってんの、アメリカ人!」
レイチェル「分かりました。それじゃ、ランチを食べながら話をしましょう。駅前でハンバーガーでも食べながら」
リサ「そ、そうだね」