報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「京王高尾温泉」

2025-03-09 23:14:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月16日15時45分 天候:曇 東京都八王子市高尾町 京王高尾山温泉極楽湯]

 https://www.youtube.com/watch?v=Y7OpZ1DV6zQ(BGM)

 

 駅から戻ったリサ達は、早速駅前の温泉施設に入った。
 愛原の説明によると、比較的新しい建物だが、かつては国民宿舎が建っていた跡地に建設されたものとのこと。
 温泉は国民宿舎時代からあったのか、それとも極楽湯建設時に掘削されたものなのかは不明。
 国民宿舎時代は宿泊できただろうが、極楽湯となっては宿泊施設は無い。
 中に入ると、まずは靴を脱いで上がる。
 券売機で入場券などを買う。

 愛原「帰りの電車に乗り遅れないようにしないと。17時15分の電車に乗るから」
 美樹「ンだら、5時くらいにここを出る感じでいいってことスか?」
 愛原「そうだな。それで頼む」
 美樹「ンで分かりました」

 レンタルタオルなどをフロントで受け取り、2階の大浴場へ……。

 

 リサ「先生もこっちに来る?」
 愛原「えっ!?」

 リサは女湯へ愛原を手招きした。

 美樹「ヒャハッ!混浴だべしゃねェ!」
 愛原「何言ってるんだ!貸切風呂じゃあるまいし!」

 そう言って愛原は、さっさと男湯の方に行ってしまった。

 リサ「あーあ……言っちゃった」
 美樹「ここは貸切風呂は無ェのけ?」
 リサ「無いんじゃない?どこにも書いてないし」
 美樹「ふーん……。そンじゃ、しょーが無ェべね」

 美樹はそう言って、女湯の脱衣所に入った。

 リサ「この前行った群馬のペンション、貸切風呂があるって聞いたなぁ……」
 美樹「ペンション!洋風の民宿だべ?まだ泊まったこと無ェべし、1度泊まってみてェんだ」
 リサ「わたしが泊まった所は、洋館風のホテルみたいな所だったよ。まあ、あんまり、もう1回行きたいとは思わないけどね」

 リサはロッカーの扉を開けるとバッグを入れ、服を脱ぎ始めた。
 Tシャツの下は、黒のカルバンクラインのブラを着けていた。
 下のショートパンツも脱ぐと、同じ色のショーツが出てくる。

 リサ「美樹もこういうの着けてるの?」
 美樹「今日は山登りって聞いたかンね」

 美樹はミズノのスポブラとショーツを着けていた。
 しかし、そうではないかわいい下着も持って来ていることをリサは知っている。

 美樹「道も舗装されてて、案外楽な山登りだったけどしゃ」
 リサ「先生には、それでもキツかったみたいだけど」

 2人の鬼娘は下着も取って一糸纏わぬ姿になると、大浴場に向かった。

 美樹「鬼が風呂好きだなんて、人間が聞いたら、大体が不思議そうな顔するんたべしゃ」
 リサ「意外なのかもね」

 先に洗い場に行って体を洗う。

 美樹「そうそう。さっきの貸切風呂の話なんだけどしゃ……」
 リサ「なに?」
 美樹「うちの村にも、そういうのあンだ」
 リサ「美樹の家のお風呂……というか、村中で温泉引いてるんでしょ?」
 美樹「いや、これとは別に共同風呂もあるし、旅館もある。で、そういう所さ、貸切風呂もあるんだなや」
 リサ「ふーん……。それって、家のお風呂的な?」
 美樹「五右衛門風呂みてェな感じだ」
 リサ「ゴエモンブロ?」
 美樹「でっかい桶みたいな風呂だ」
 リサ「ふーん……。! そのお風呂って、2人で入れるの?」

 リサはニッと笑って聞いた。
 人間形態でありながら、牙が覗く。

 美樹「もちろん。そんくれェの大きさはあるべ」
 リサ「おお~!愛原先生と入りたい!」
 美樹「うちの村さ遊びさ来てけたら、案内すっぺしゃ」
 リサ「むふー!」
 美樹「リサ、ちょっと興奮したか?少し、角が見えてっぺ」
 リサ「おっと!」

 鬼は人間に化けることはできるが、興奮したりすると、その拍子に正体がバレてしまうことがある。

 美樹「リサは本当に愛原先生のことば好きなんだべね」
 リサ「うん!わたしのダーリン!」
 美樹「それは……愛原先生が稀人だからだべか?」
 リサ「それは後の理由だよ。もちろん、今はそれもあるんだけど」
 美樹「他にも理由が?」
 リサ「ある」

 体や髪を洗い終わると、2人の鬼娘は内湯の檜風呂に入った。

 リサ「先生がいなかったら、私はこの世にいなかった。要は、先生はわたしの命の恩人なの」
 美樹「……そうか。愛原先生は、強い人なんだねェ……」
 リサ「そうだよ!」
 美樹「羨ましいけンど、勿体無ェとも思うな」
 リサ「わたしには勿体ないって言うの!?」
 美樹「いンや、そういうことでねェ。せっかくの稀人の血肉を食わねェのは勿体無ェって話だ」
 リサ「食べたいけど、食べないよ」
 美樹「何で?リサも人ば食いてェべしゃ?」
 リサ「食べたら、それで終わりだから。それじゃ、あの上野利恵みたいになっちゃう」
 美樹「ああ!栃木のホテルの女将さん!あの人も、稀人食ったんけ!?」
 リサ「いや、そこまでは知らないけど。でも、ダンナを食い殺したって話だよ?」
 美樹「ふーん……。それで、次の『ダンナ』に、愛原先生を狙ったっつーわけか」
 リサ「そういうこと。もちろん、わたしが全力で阻止したけどね」
 美樹「はは!うちの村では、座敷牢行きだべ、その女将さん」
 リサ「座敷牢なんてあるんだ」
 美樹「ある。たまに、村の男が悪さして、そこさ入れられてるところ、見たことあるんだ」
 リサ「ナンパされても、わたしは断るよ」
 美樹「好きにしていいよ、そごは」
 リサ「それと……。前々から気になってたんだけど……」
 美樹「何だべ?」
 リサ「お前……何人か、人間の肉を食ってるだろ?」
 美樹「ほお……」
 リサ「殺して食ってるのか?」
 美樹「そう、思うのけ?」
 リサ「愛原先生とかは誤魔化せても、わたしだって鬼。臭いで分かるよ。お前からは、上野利恵以上に人間を食った臭いがする。利恵が食ったのは1人。だから、オマエは2人以上食ってることになる」

 美樹は周りを見渡した。
 他にも利用者がいる。

 美樹「こごだとマズいな。外で話すっぺし」
 リサ「んん?」
 美樹「露天風呂の方が、声が響かねェべ」
 リサ「隠そうとしているということは、否定しないということか。BSAA案件かな?それとも警察……」
 美樹「いいがら、ちょっと向こうで話すべ」

 美樹は檜風呂から出た。
 明らかにリサのよりも豊かな旨がプルンと振るえた。

 リサ「チッ……!」
コメント
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