報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 「暴走アンドロイドの影」

2016-09-09 21:14:19 | アンドロイドマスターシリーズ
[9月1日12:12.天候:晴 宮城県仙台市泉区 佐久間家]

 敷島達の前に止まった車。
 敷島はそれが覆面パトカーであるとすぐに分かった。
 運転席と助手席から降りて来たのは2人の男。

 刑事A:「泉北警察署の八木巡査部長です」
 刑事B:「同じく荒井警部補です」
 平賀:「警察がどうしてここに?」
 敷島:「……佐久間夫妻に何かあったか、あるいは……佐久間昭部長に何かありましたか?」
 八木:「お察しの通りです」

 20代後半の八木巡査部長が、提示した警察手帳をしまいながら頷いた。

 敷島:「ここでは何ですから、署の方まで来て頂けますか?……特に、ライフルを持っている方に」
 シンディ:「私……ですか?」
 敷島:「何か、シンディが疑われるような事件があったようですね。いいでしょう。私も一緒に行きましょう。平賀先生達は関係無いので、いいですね?」
 平賀:「うちのエミリーは、ライフルは搭載していない」
 荒井:「……銃火器を搭載しているということで、ついでにお話を伺ってもよろしいですか?」

 40代後半の荒井警部補が促した。

 平賀:「しょうがないですね」

[同日13:00.天候:晴 同区・宮城県警泉北警察署]

 敷島:「ここに入るのは久しぶりですよ」

 敷島は取調室に入ってから言った。

 荒井:「のぞみケ丘の研究所時代、色々とあったようですな」
 敷島:「ええ。もう、あれから10年……も経たないか。まあ、それくらいになるんですね。懐かしいなぁ」
 荒井:「この方はご存知ですね?」

 荒井が1枚の写真を出してきた。

 敷島:「ええ。佐久間昭部長です。四季エンタープライズ東北支社企画部長の」
 荒井:「実はほんの2時間ほど前に、自宅で死んでいるのが発見されました」
 敷島:「……そうですか。お亡くなりに」
 荒井:「あまり驚きませんね?」
 敷島:「いえ、そんなことないです。驚いてますよ。ただ、こうして警察の人が来て、うちのシンディを疑っていることから、何かあったなとは思いました。ライフルで殺されたってことですか?」
 荒井:「ええ。もちろん、猟銃としてのライフルではなく、本当に狙撃用の。当時、佐久間部長は自宅に1人でいたそうです」
 敷島:「夫婦共働きだということでしたね。そうですか。部長が1番遅く家を出てる人だったのか」
 荒井:「どうやら1人になったところを狙われたようです。遠くから、ライフルでね」
 敷島:「一撃、一発ですか?」
 荒井:「ええ。で、最近それと似た事件が発生していたのを思い出しまして」
 敷島:「東飯能(ひがしはんのう)駅前のあれですね。埼玉県警の管轄で起きた事件なのに、よく宮城県警で照会できましたね」
 荒井:「ええ、まあ、そこは……。で、その事件の犯人はまだ検挙されていません。もしかしたら、同一人物である可能性もあるわけです」
 敷島:「まあ、同一人物でしょうな。電ノコ男がルディだとするならば、ライフルの方はジャニスか……」
 荒井:「一応、こちらの方……といって良いのかどうかあれなんですが、ライフルを搭載していると聞いたもので……」
 敷島:「ああ、いいですよ。いくらでも調べてください。シンディ、見せてやれ」
 シンディ:「はい」

 シンディは右手をライフルに変形させた。

 荒井:「銃弾を出してもらえますか?」
 シンディ:「はい」

 シンディは装填している銃弾を全部出した。
 実弾も装填されてはいるが、これは国家公安委員会などの関係機関から超法規的措置として特認されているものである。
 当然、例え悪者であっても、実弾の発砲は許可されていない。
 その為、錦糸町駅前の銀行で遭遇した強盗事件にあっても、シンディは強盗犯に対し、実弾ではなく模擬弾1発の発砲で制圧している。

 敷島:「弾は足りていますよ。照会してください」

 敷島は手持ちのタブレットを取り出して、シンディと無線通信を行う。
 タブレットには、登録されている銃弾の種類と数が出て来た。
 シンディはライフルだけでなく、マシンガンとマグナムの弾も取り出した。

 荒井:「こんなに一杯……」
 敷島:「まあ、マルチタイプですからね。そういう用途にも使えるんですよ。もし機動隊でも対応できない事件があったら、うちのシンディをお貸ししますよ」
 荒井:「なるべくお借りしないで済みたいものですなぁ。……ん?マグナムの弾が足りない!?」
 敷島:「ああ。先日、使用しました。電ノコ男がホテル荒らしに来たもんで。おかげで宿泊客が1人巻き込まれて、亡くなってしまいましたね」
 荒井:「マグナムを使ったことは?」
 敷島:「もちろん、そこの警察に言ってあります。五橋警察署の広瀬警部補です」
 荒井:「……分かりました。それで、敷島社長方はあそこで何をしてらしたんですか?」
 敷島:「実は……」

 敷島は正直に話した。

 荒井:「困りましたね。そういうのは警察に任せてもらいませんと」
 敷島:「いやあ、申し訳無い。でも実際、御親族の方からは許可がもらえたわけですから、不法侵入ではありませんよ?」
 荒井:「そういうことじゃないんですよ」
 敷島:「でも、これであの家が怪しいことが分かりましたよ」
 荒井:「と、言いますと?」
 敷島:「佐久間部長は、本来この事件……つまり、ジャニスとルディの脱走事件や、空気感染するウィルス汚染の事件には関与していません。それなのに、殺されてしまった。それはつまり、それだけあの家を調べて欲しくないということなのではないでしょうか?」
 荒井:「社長は実際あの家に何があるとお考えですか?」
 敷島:「具体的には、まだ……。ただ、ロイドに対して、新型ウィルスを空気感染させる秘密があるのではないかと思っております。何故そんなものが、あの家にあるのかは分かりませんがね」
 荒井:「分かりました。とにかく、あとは警察の領域です。あとは警察にお任せください」
 敷島:「でもねぇ、早いとこ調べたいんですよ。殺されてしまいましたけど、親族の方からは立ち入りの許可は得てますし……」
 荒井:「ですからね、そこは……」
 シンディ:「!!!」

 その時、シンディはバッと、ある方向を向いた。

 敷島:「シンディ?どうした?」
 シンディ:「……まずい!あいつ……!あいつが!!」
 敷島:「あいつ!?あいつって誰だ!?」
 シンディ:「早く、あの家に行かないと!!」
 荒井:「そんな、取って付けたように言ったってダメですよ」
 敷島:「警部補、シンディは本当に何か異変を感じ取ったようです。今日のところは、この辺にしてもらってよろしいでしょうか?」
 荒井:「いや、まだ話は終わって……」
 シンディ:「ジャニスと同じ反応をしたヤツが、あの佐久間博士の家にいます!」
 敷島:「なに!?警部補、こんなことしてる場合じゃないって!先にシンディを行かせます!いいですね!?」
 荒井:「本当なんですか、それ!?」
 敷島:「GPSに反応してる!」

 敷島はタブレットを見せた。
 確かに佐久間家の所に、ジャニスと同じ反応をしたロイドがいることが分かった。

 荒井:「うーむ……」

 荒井は考え込んだ。
 そして……。

 1:敷島達の現場急行を許可した。
 2:敷島達の現場急行を許可しなかった。

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