報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“アンドロイドマスターⅡ” 「イベント最後の日」

2019-05-14 08:54:38 | アンドロイドマスターシリーズ
[5月5日08:00.天候:晴 宮城県仙台市青葉区 ホテル法華クラブ仙台]

 敷島:「いよいよ、今日はアリーナでライブだ……」
 アリス:「きっとアリーナが吹っ飛ぶわよ」
 敷島:「お前、他人事みたいに言うなよ!」

 ホテルの朝食会場。
 ベタな法則でバイキングである。
 そこには料理を山盛りにしているアリスの姿があった。

 アリス:「他人事じゃないよ。整備担当も同じ会場にいるんだから、爆弾テロの被害に遭うのは同じよ」
 敷島:「分かってるのに、あの言い方……」
 アリス:「こっちにはシンディがいるからね」
 シンディ:「お任せください。必ずお守り致します」
 敷島:「エミリーやシンディにできるのは、身辺警備だけだぞ?会場ごと爆破された日には……」
 アリス:「それじゃ中止にする?」
 敷島:「興行収入の関係上、それはできん」
 アリス:「だったら男らしく腹くくりなさいよ!」
 トニー:「エミリー、ウィンナーもっと取って!」
 エミリー:「かしこまりました」
 トニー:「ベーコンも!」
 エミリー:「油脂成分が多いので、野菜もその分盛らせて頂きます」
 トニー:「えーっ!?シンディ!エミリーに『ピーマンはダメ』って言って!」
 シンディ:「ご安心ください。ピーマンではなく、パプリカですわw」
 トニー:「おお〜!」
 敷島:「『おお〜!』じゃねーよ。色違いなだけじゃねーか」

 敷島が呆れていると、エミリーが敷島にコソッと耳打ち。

 エミリー:「まだまだですね」
 敷島:「分かってるよ!」

 敷島は『息子さんじゃ、ありがたみがありませんね』と言われたような気がした。
 このままでは、エミリーまで人類をナメて反旗を翻してしまう。
 最高位機種のエミリーが従っているから、まだ他の下位機種も従っているのだ。

 敷島:(何とかトニーに、2代目になってもらうように教育するか、或いは他の候補者を探すか……)

 人間なら世襲でも受け入れざるを得ないだろうが、ロイドはそんなの関係無い。
 世襲だろうがそうでなかろうが、実力があるかどうかで決まる。

[同日10:00.天候:晴 同ホテル→東北工科大学]

 ホテルをチェックアウトした敷島達は、ボーカロイド達を乗せたワンボックスと合流した。

 平賀太一:「それでは敷島さん、会場に向かいましょう」
 敷島:「よろしくお願いします」
 平賀奈津子:「トニー君はうちでお預かりしますので」
 敷島:「ああ、すいません。よろしくお願いします」

 南里研究所時代の面々(アリスを除く)。
 平賀奈津子だけ別の車で来ている。

 トニー:「ゲームあるー?」
 奈津子:「VRのFPSでFFAなんか……」
 敷島:「平賀先生?!子供に何ちゅう……」
 平賀:「VR買ってやったら、いつの間にかそれやり始めてて……」
 トニー:「七海もおっぱい大きいねー!」
 奈津子:「ええ。ある人がそういうサイズを基本設計にしたからね」
 平賀:「ね、姉ちゃんが巨乳だったもんで……」

 メイドロイド七海の容姿は、今は亡き平賀の姉をモデルにしている。
 敷島は当時の写真を見せてもらったことがあるのだが、確かに貧乳ではないものの、ずば抜けて巨乳というほどのものでもないような印象を受けた。
 だが、子供から見ればそういう風に見えたのかもしれない。

 平賀:「ささっ、敷島さん。早いとこ行きましょう」
 敷島:「はあ……」

 敷島は助手席に乗り込むと、平賀は逃げるように車を走らせた。

 鏡音リン:「MEIKOりんとルカ姉はどっちが大きいの?」
 KAITO:「こら。こういうのは聞いてはダメだ」
 初音ミク:「ルカは公式設定90cmだけど、MEIKOさんは公式設定無いですね」
 MEIKO:「ま、お察しくださいってとこね」

[同日12:00.天候:晴 宮城県宮城郡利府町 セキスイハイムスーパーアリーナ]

 敷島:「平賀先生、そろそろこの辺りで昼食にしましょう」
 平賀:「そうですね」

 頼んでいた弁当が届いただけであったが。

 敷島:「アリスも飯にしようぜ」

 アリスは何故かシンディの整備をしていた。

 アリス:「OK.ちょうど終わった」
 敷島:「何やってるんだよ?」
 アリス:「爆弾の探知能力を上げていたの」
 敷島:「そう上手くいくのか?」
 アリス:「何でもやってみるものよ」
 敷島:「うちの家訓みたいなこと言いやがって……」

 敷島は苦笑いをした。
 控え室で弁当を食べていると、敷島のスマホが鳴る。

 敷島:「はい、もしもし?」
 鷲田:「私だ」
 敷島:「綿志田さんですか?」
 鷲田:「誰がワタシダだ!どこかの探偵小説みたいなフリを……!」
 敷島:「冗談ですよ。それで、何の御用ですか?」
 鷲田:「吉塚家の関係者の足取りが分かった」
 敷島:「ええっ?」
 鷲田:「富士宮で吉塚博士の実家が爆破され、集まっていた親戚一同が亡くなったわけだが……」
 敷島:「そうですね」
 鷲田:「全く無傷の者が1人いた!」
 敷島:「ええっ、あの爆発で!?」
 鷲田:「正確に言えば爆発には巻き込まれていない」
 敷島:「ん?」
 鷲田:「同じくあの家に向かおうとしていたのだが、バスが渋滞に巻き込まれ、大幅に遅れていたことが分かった。それにその関係者が乗っていたのだ」

 その会話を聞いていたエミリーは、あることを思い出した。
 大石寺第二ターミナルのタクシー乗り場から、敷島とエミリーは新富士駅に取って返したわけだが、タクシーと入れ替わるようにして1台の路線バスが入ってきたこと。
 そしてそのバスを見たタクシー運転手が、「今日はヤケに遅れたな」と、呟いていたこと。
 あの『ヤケに遅れた』バスの中に、エミリーが発見した『対象者』がいたのだ!

 敷島:「そ、それで?」
 鷲田:「その関係者が仙台に向かったという目撃情報が入ったんだ。東京駅の監視カメラを見せてもらったが、確かに東北新幹線に乗った。多分今、そちらに向かっているはずだ」
 敷島:「ということは?」
 鷲田:「ヤツの行く先でまた爆弾テロが起こるぞ!」

 何故か新幹線は襲われないから、その関係者が降りた先で爆発するだろう。
 問題はそれがどこかということだ。

 敷島:「分かりました。こちらで何とかしましょう」

 敷島は電話を切った。

 敷島:「エミリー、シンディ!大至急、お前達がトレスできる範囲のメイドロイド、バージョン・シリーズの全機に命令を出せ!」
 エミリー:「命令の内容は?」
 敷島:「爆弾を取り付けている者または爆弾を取り付けられた者は、直ちに申し出ろと!」
 エミリー:「かしこまりました」
 シンディ:「了解!」

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