湊 かなえ(著)
愛美は事故で死んだのではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです。
告白する人物が変わる度に物語の真相が明らかになっていきます。
登場人物の視点が異なると、こうも物事の捉え方が変わるのかと。
だから人間っておもしろい。
愛さずにはいられない。
楽しくわくわくしながら読みました。
そうそう、
今日の新聞に載っていた山崎豊子氏のコメントの中に、
「行政・司法・立法、と合わせて第4の権力、それがマスメディアだ」
とあり、これにはかなり共感しました。
好奇心を煽り立てるようなゴシップ記事や、
ダイエットに効く食品だとか、
被害者への不仕付けな質問攻撃だとか・・・
需要があるから供給してるんだ、と彼らは言うでしょう。
つまりそうした社会のバランスを巧に利用したのがマスコミだと思います。
私たち一人一人が正しい需要をしなくては、
この世の中は不適切な供給で溢れてしまう。
過剰な情報に踊らされることなく、本一冊にしても、映画一本にしても、
私たちの個人の心と目による取捨選択が必要なのだと。
堅苦しい話になりましたが、
日々私が感じていることを山崎氏が掘り起こしてくれましたので、この機会にと。
本屋さん大賞を受賞しただとか、
そんなマスメディアに振り回されずに読みたい一冊です。