とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画「エヴェレスト 神々の山嶺」

2016-03-19 22:40:03 | 映画


《ストーリー》
夢枕獏のベストセラー『神々の山嶺』を岡田准一、阿部寛、尾野真千子ら豪華キャストの共演で映画化した感動の超大作。『愛を乞うひと』『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男-』などの平山秀幸が監督を務め、エヴェレストに魅せられたふたりの男の交錯する人生を軸に、命懸けで山に挑む姿と、彼らを取り巻く人々の想いを壮大なスケールで描く。(ぴあ映画生活より)

原作を読んだとき、これは映画化が難しいだろうと思っていたが、まさかの映画化が決まり、ずっと楽しみにしていた。12日の公開日には行けなかったが、昨夜見に行くことが出来た。金曜日の夜だから、それなりに混んでいるのかと思ったが、ビックリするほどガラガラで拍子抜けという感じだった。ガチガチの山岳映画というイメージもあって山好きの中高年の年代層しか集まらなかったのだろうか。

原作本は、1000ページを超える大作で、これだけの内容を2時間ほどの映画で描き切ることができるのだろうかと心配だった。映画の前半は、登山家のジョージ・マロリーが、エヴェレスト山頂を目指したものの頂上付近で行方不明となり、彼が世界初の登頂を果たしたか否かを解き明かそうとするミステリー調の出だしだ。ジョージ・マロリーといえば、「なぜ山に登るのか?」と問いかけられたとき、「そこに山があるから」と答えたことで知られている。そんな有名な登山家の謎を探るストーリーなのかと思っていると、それで終わってしまう訳ではない。次第に羽生丈二という孤高の登山家の生き様と、彼を追ってエヴェレストに挑むカメラマンの深町誠の登山の様子が迫力ある映像で描かれ、『前人未到のエヴェレスト南西壁冬期無酸素単独登頂という無謀とも思える挑戦を何故命を懸けてまで行うのか?』『何故、山に登るのか?』『何故、生きるのか?』という人間の深い心の奥底を考えさせられるストーリーに変わっていく。

実際にエヴェレストの標高6000m近いところまで行って撮影したという事で、映像は迫力あるものに仕上がっている。氷壁をピッケルとアイゼンでよじ登って行くシーンなど圧巻である。阿部寛や岡田准一の演技もひげ面で精悍な面構えとなり、過酷な環境でよくやり遂げたものだと感心した。しかし、原作を読んでいたものにとっては、あまりにも淡々としたストーリー展開に物足りなさを感じた。何か、登場人物の心情をうまく描ききれていないという感じである。羽生が、何故過酷で誰も成し遂げたことないルートでエヴェレストを目指そうとしたのか、深町はジョージ・マロリーの謎を解き明かすことより、孤高の登山家羽生を、命を懸けてまで何故追う必要があったのかというのが、今一つ分かりにくい。原作を読んでいない人には、薄っぺらいストーリーに思えたのに違いない。やはり、2時間で納まる内容ではない。前編、後編に分けて作るくらいでよかったのではと思えた。

最後に、深町が羽生をエヴェレスト山頂近くで発見するシーンは、それまでの映像と比べるとあまりにもリアルさが欠けていた。たぶんセットを作って屋内で撮影したのではないだろうか。しかも、羽生のセリフがナレーションで流れるのにはいささか演出過剰だ。リアルさを出すためには、状況を映像で表現するだけで良かったと思う。そして、違和感を感じたのは、深町が帽子をとって8000m近い山から下山していくシーンだ。頂上まで行ってないにせよ、8000mの山の上で頭を保護しないで下山できるなんて考えられない。しかも無酸素でだ。大変な苦労をして撮影したことはわかるが、最後の最後でリアルさがなくなってしまっていた。重厚なストーリーだっただけに、最後の詰めが甘かったのが非常に残念だ。

映画『007 スペクター』

2016-01-07 23:22:59 | 映画


内容(TOHOシネマズより)
少年時代を過ごした「スカイフォール」で焼け残った写真を受け取ったボンド。その写真に隠された謎に迫るべく、Mの制止を振り切り単独でメキシコ、ローマへと赴く。そこでボンドは悪名高い犯罪者の美しい未亡人ルチア・スキアラと出逢い、悪の組織スペクターの存在をつきとめる。その頃、ロンドンでは国家安全保障局の新しいトップ、マックス・デンビがボンドの行動に疑問を抱き、Mが率いるMI6の存在意義を問い始めていた。ボンドは秘かにマネーペニーやQの協力を得つつ、スペクター解明の鍵を握る旧敵、Mr.ホワイトの娘であるマデレーン・スワンを追う。ボンドは追い求めてきた敵と自分自身との恐るべき関係を知ることになる――!

スター・ウォーズと007が公開されていたこの時期、やはりスター・ウォーズを優先して見に行ってしまったが、50年前から続く超大作007シリーズも見ておかないわけにはいかない。そろそろ終わってしまうのではないかと思っていたが、まだ公開中なのでやっと見に行った。上映時間は、2時間30分とかなり長い作品だったが、相変わらずアクションシーン満載で飽きることはなく見ていられた。

この作品は、007シリーズの原点に戻ったという事が一番のポイントのようだ。オープニングタイトルではお馴染みのテーマ曲が流れて、ジェームズ・ボンドが歩いてきて銃を撃つシーンと女性が艶かしく踊るシルエットが重なり、これぞ007と俄然盛り上がってくる。怪しげなタコの映像も意味深だ。

007は最初から派手なアクションで始まるのが通例だが、今回はメキシコの「死者の日」の祭典が行われている最中の上空で繰り広げられるヘリコプターアクションだ。ほとんどCGだと思うが、数千人もの群衆の真上で旋回し墜落しそうになるヘリコプターが果たしてどうやって群衆を避けるのかが気になってハラハラしてしまった。冒頭から、観客をハラハラさせるのがこの作品のスタイルであり、原点回帰であることは間違いない。

その後も、メキシコからローマ~ オーストリア~モロッコ~ロンドンと世界中を駆け巡って派手なアクションが繰り広げられる。東京での会議シーンなどもあって日本人へのサービスも忘れてはいない。また、列車内でのアクションや雪山でのアクションも昔見たシーンを彷彿させ、過去の作品へのオマージュを忘れてはいない。ただ、サブ悪役として登場する巨漢の「Mr.ヒンクス」は、何度も倒されても再登場する不死身の男だが、第10作「007/私を愛したスパイ」などに登場したジョーズと比べると、いまいちキャラクター的には物足らなかった。

やはり原点に帰った大きなポイントは、悪の組織「スペクター」の登場という点だろう。とはいえ、悪の組織という割には砂漠の基地は、なんだかしょぼい。しかもスペクターのボス「ブロフェルド」が、自らボンドを拷問するなんて安っぽい感じがしてならなかった。「ブロフェルド」は猫を抱いて命令するだけでいいのだ。

お約束のボンドガールは、"イタリアの宝石"と称されるモニカ・ベルッチと、『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で美しすぎる殺し屋を演じたレア・セドゥ。歴代ボンドガールの中で最高の豪華キャストと言われているそうだ。私の好み的には、アクションもしっかりこなすレア・セドゥが魅力的だった。どことなくスカーレット・ヨハンセンと感じが似ているところも気に入った。

MI6チームのMやQ、マネーペニーも登場し、007ファンにとっては嬉しいキャストが勢ぞろいだが、ストーリー的にはありきたりの内容だ。お約束のストーリーで派手なアクション満載の映像とボンドガールに魅了されるのが007映画なのだと思えばいいのである。

映画「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」

2015-12-21 22:50:56 | 映画


解説(映画.comより)
2005年の「スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐」で新3部作が完結してから10年ぶりに製作・公開されるSF映画の金字塔「スター・ウォーズ」のシリーズ7作目。オリジナル3部作の最終章「ジェダイの帰還」から約30年後を舞台に描かれると言われる、新たな3部作の第1章。テレビシリーズ「LOST」や「スター・トレック」シリーズなどで知られるヒットメーカーのJ・J・エイブラムス監督がメガホンをとり、脚本にはオリジナル3部作の「ジェダイの帰還」「帝国の逆襲」も手がけたローレンス・カスダンも参加。音楽はおなじみのジョン・ウィリアムズ。無名から大抜てきされた新ヒロイン、レイ役のデイジー・リドリーのほか、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザック、ドーナル・グリーソンといった新キャストに加え、マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャーらオリジナル3部作のメインキャストも登場する。

18日から全世界同時公開となった「スター・ウォーズ / フォースの覚醒」を早速見てきた。平日だというのに、映画館内はほぼ満員に近く、流石に人気ある作品だと思い知らされた。スター・ウォーズシリーズは、全9作からなり、今回はエピソード7に当たり、残り2作で完結の予定という息の長い作品だ。前作のエピソード3から10年も経っており、多くのファンが待ち望んでいた待望の新作でもある。

内容について、あまり詳しく語ることは差し控えたい。内容が分かってしまうと、これから映画を見る人の楽しみが半減してしまうからである。今までのファンとしては、懐かしのハン・ソロや、ルーク・スカイウォーカー、レイア姫、チューバッカなどのキャラクターが登場していることだ。しかも、嬉しいことにその全てがハリソン・フォードやマーク・ハミル、キャリー・フィッシャーなどオリジナルキャストが演じていることでもある。ただ、30年という時の流れは大きい。皆さんそれなりに歳を重ね、今作では渋みのある重厚な雰囲気を感じさせてくれた。また、あの人気ドロイドのコンビR2-D2とC-3POも登場して前作との繋がりもしっかり出来ている。

今回の作品は、「エピソード6/ジェダイの帰還」の約30年後を舞台にしたもので、“全く新しい愛と戦いの物語”が描かれるという。新しいキャラクターとして登場するストームトルーパーの脱走兵フィン、砂漠で家族を待つレイ、十字型の赤いライトセーバーを操る悪役カイロ・レンが今後のメインキャラクターになっていくようだ。特に新ヒロイン“レイ”の存在感は大きい。彼女の出生は明らかでなく、謎のヒロインなのだが、今後の作品できっと明らかになっていくのだろう。

今回の作品では、スター・ウォーズサーガの登場人物たちの関係が、少しずつ明らかになっていく。後半では“何で!”と思わされるシーンもあり、ビックリさせられた。そして、悲しいシーンもあり、ショックでもあった。しかし、新キャラクターとして登場するドロイドBB-8は、動きが可愛いすぎる。今後は、R2-D2、C-3POの人気を凌いでしまうのではないだろうか。

また、ポスターには登場していなかったルーク・スカイウォーカーがどのタイミングで登場するかも見所の一つだ。後半から、ぐっとストーリーに引き込まれていった。スター・ウォーズシリーズは、今後2019年公開予定のエピソード9まで続く。途中スピンオフ作品の公開予定もあり、まだ数年は、スター・ウォーズブームが続くことは確かだ。

映画『天空の蜂』

2015-10-02 21:55:23 | 映画


チェック:人気作家・東野圭吾が原子力発電所を題材に1995年に発表した傑作小説を、堤幸彦監督が映画化した社会派サスペンス。最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。困難な直面に立ち向かうヘリコプター設計士を江口洋介、原子力機器の設計士を本木雅弘が演じ、初めての共演を果たす。東日本大震災による原発事故を経験した日本において、改めて社会と人間の在り方を問う衝撃作。(シネマトゥデイより)

ストーリー:1995年夏、愛知県の錦重工業小牧工場から防衛庁へ納品する最新の設備を搭載したヘリコプターが、正体不明の人物によって奪われてしまう。やがて遠隔操作されたヘリは稼働中の高速増殖炉の上空でホバリングを開始し、テロリストが日本全国の原発停止を求める犯行声明を出す。さらに、ヘリ内に子供がいることがわかり……。(シネマトゥデイより)

東野圭吾作品の映画化である。もう何年か前に読んだ作品だが、その時もヘリコプターが乗っ取られ、原発の下に落下させるという内容が、まさに9.11のテロを予想させる内容だけに、さすが東野圭吾は先見性のある凄い作家だと思ったものだった。ただ、ヘリに残された少年の救出シーンやヘリが原発の上でホバリングしているシーンなど、作品が出た当時は映画化が難しいとされていただけに、今回出版されてから20年ぶりに映画化されたという点は感慨深い。

この作品では、稼働している原発に航空機やヘリが墜落したときの危険性がどれだけのものなのかという事、テロリズムに対する日本の危機管理は大丈夫なのかという事、技術者は、ただ技術の向上を目指すだけでどんな事に使われるかということは考えなくていいのかという事、わかっていても声を上げない一般市民の事、親と子供の関係はどうあるべきなのかという事など、いろんなテーマが含まれ、一級のエンターテイメント作品になっていた。

前半は、ヘリに残された少年を救うために、自衛隊員が空中で決死の救出作業を行うシ-ンにハラハラドキドキする。この辺は、特に映像化が難しかったシーンだったのだろう。そして後半は、タイムリミットを迎えヘリが原発の真下に落下していくシーンだ。果たしてどうなるのか(原作読んで知ってはいるが…)?とにかく、最後までハラハラドキドキさせてくれた。

キャストは、江口洋介と本木雅弘のダブル主演といってもいい。この二人の年齢を重ねた渋みが一段と作品の重みを感じさせてくれる。また、脇を固める國村隼、柄本明、石橋蓮司、佐藤二朗、光石研、竹中直人、仲間由紀恵などのベテラン俳優も多数出演している。そして、最近売り出しの綾野剛や向井理なども重要な役で出演しており、豪華キャストが勢ぞろいしている。久々に、見に行ってよかったと思える邦画作品だった。


最近見た映画

2015-08-29 22:44:24 | 映画
8月は話題の映画が多く、気になる作品も多かったのでいくつか見に行った。しかし、過去にヒットした作品の焼き直しをしただけの作品が多く、CGの凄さばかりが目につくだけで、内容的には厚みのないつまらない作品ばかりだった。

映画『ターミネーター:新起動/ジェニシス』予告編


シュワちゃんがいいオジサンになって登場するのが、何だか痛々しい。第1作、第2作のハードな雰囲気が全くなくなって残念だった。今でも第1作を見た時の衝撃を忘れることはできない。これ以上の続編は、作って欲しくないという感じだ。

映画「進撃の巨人」予告篇


コミックスが大人気というので、16巻まで読んでみたが、未だにその面白さがわからない。謎の部分が多すぎるし、絵も稚拙だ。映画版で、コミックスをどんなふうにまとめるのか興味があって見た。ストーリーの展開が早く分かりやすかった部分もあるが、余分なエピソードを詰め込みすぎだった。後編で、どんなふうに完結させるのかが気になるところだ。面白かったのは、巨人の顔が、日本のお笑い芸人だったりして、巨大な口で人間を食べるシーンがシュールだったことだ。

映画『ジュラシック・ワールド』予告編


ジュラシックパークで、恐竜が逃げ出し大変な被害を出したはずなのに、またもやさらに最悪な公園を作ってしまった人間の愚かさを感じさせる。遺伝子操作などという技術は、人間が使いこなせるものではないのだという事を教えさせられる映画だ。これも、第1作の「ジュラシックパーク」を見てしまった今となっては、CGの凄さはわかるが、それほどの感動はない。

映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』

2015-07-09 23:24:36 | 映画


チェック:ロバート・ダウニー・Jr演じるアイアンマンをはじめキャプテン・アメリカやハルクなど、マーベルコミックスのヒーローが一堂に会するアクション巨編の第2弾。アイアンマンことトニー・スタークが完成させた人工知能“ウルトロン”の暴走に端を発する、ヒーローたちによる愛する者たちを救うための戦いをダイナミックに描く。監督は、前作でもメガホンを取ったジョス・ウェドン。共演にはスカーレット・ヨハンソンら続投組のほか、ジェームズ・スペイダーらが新キャストとして参加。ヒーローたちのバトルやドラマに引き込まれる。(シネマトゥデイより)

ストーリー:人類の危機的状況を何度も打破してきたアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、平和維持システムとしての人工知能“ウルトロン”を誕生させる。人類を脅威から守るために完成させたウルトロンであったが、平和を脅かす唯一の存在は人類だと結論付け、抹消しようとする。(シネマトゥデイより)

お馴染みマーベルコミックのヒーロー勢ぞろい映画の第2弾だ。今回登場するヒーローたちは、アイアンマン、ソー、ハルク、キャプテン・アメリカ、ブラック・ウィドウ、クイックシルバー、スカーレット・ウィッチ、ヴィジョンともうやたらに多い。これらのヒーロー、ヒロインが入り乱れて人工知能“ウルトロン”と対決するストーリーである。最初から最後まで、ド派手なアクションシーン満載で、何だか音がやたらに大きく、もの凄いCG映像をこれでもかこれでもかと見せつけられたような感じだった。特に、都市が丸ごと地上から浮き上がっていくシーンなどを見ると、もう何でもありなのだと思い知らされた。昔は、実写では不可能と思われた映像も、今は簡単に作れてしまうのだ。だんだんCGの映像に慣れてしまうと、感激もしなくなってしまうのが恐ろしい。

ストーリー自体は単純なもので、人類を抹殺しようとする人工知能に、アベンジャーズのメンバーが協力して立ち向かいやっつけてしまうというだけの話だ。それぞれのヒーロー、ヒロインは個々で主役をはれるキャラクターばかりで、全員揃ってしまうと、それぞれの魅力が薄まってしまうような気がする。オールスター登場で喜ぶ人もいるだろうが、個人的には、特定のヒーロー、ヒロインに焦点を当てたストーリーのほうが好きだ。どちらかというと、スカーレット・ヨハンセン演じるブラック・ウィドウとハルクの関係を焦点にした作品を見てみたいと思った。

見ていて気になったのは、大きな都市のなかでハチャメチャに行われる戦闘シーンだ。アイアンマンやハルクが大暴れする度にビルや橋、車、列車が滅茶苦茶になっていく。被害にあった一般市民を救助に向かうシーンが出てくるが、あれだけ街が破壊された後で助けに行っても、既に多くの市民に犠牲が出ていてもおかしくない。ヒーローといっても、実際は破壊者と変わりないのである。悪いやつをやっつければハッピーエンドでめでたしめでたしというのが納得いかない。最近のアメリカ映画は、大雑把すぎて映像の凄さだけが突出して、内容があまりないというのが多くなったようだ。このシリーズも続編があるようだが、続編も同じようなものになってしまうのだろう。

映画「愛を積むひと」

2015-06-21 22:01:22 | 映画


チェック:エドワード・ムーニー・Jr.の小説を基にしたヒューマンドラマ。北海道で第二の人生を過ごそうとする夫婦が、改めて自分たちの愛情や絆を見つめ直す姿を追い掛けていく。メガホンを取るのは『釣りバカ日誌』シリーズなどの朝原雄三。佐藤浩市と樋口可南子が主人公の夫婦にふんし、その脇を『悪夢ちゃん』シリーズなどの北川景子、『日々ロック』などの野村周平らが固める。温かな物語に加え、北海道の大自然と美しい四季の移ろいを捉えた映像も必見。(シネマトゥデイより)

ストーリー:東京の下町で営んでいた工場を閉鎖し、残りの人生を北海道で過ごそうと決意した篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦。かつて外国人が暮らしていた家を手に入れて暮らす二人だが、仕事一筋だったゆえに篤史は手持ちぶさたになってしまう。そんな彼のために良子は、家を囲む石塀作りを頼む。しかし、良子が以前から患っていた心臓病を悪化させて他界してしまう。深い悲しみに沈む篤史だったが、石塀作りを手伝う青年・徹(野村周平)との交流や、娘・聡子(北川景子)との再会を経て、前を向くようになる。(シネマトゥデイより)


今年5月に美瑛に行ったばかりだが、その時泊まったペンションでこの映画のことを教えて貰った。ロケ地も、そのペンションの近くだったと聞き、どんな映画なのか公開を待ちわびていたが、20日から公開が始まり、早速見てきた。

年配の夫婦が、東京から家を畳んで老後の生活を北海道の美瑛でのんびり過ごそうと、引っ越してきてからの物語だ。夫婦愛、若い恋人たち、父と娘の関係など、どくにでもありがちな出来事を、美しい美瑛の自然と共にじっくり丁寧に描いており、タイトルの「愛を積む」という意味が、見終わってからあらためて分かった気がする。

やはり、主演の淳史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)の夫婦は、とても良かった。特に佐藤浩市はやはりうまい。ダンディーな俳優だが、不器用でうまく言葉を伝えられない夫と父の姿を見事に演じていた。妻の死後、生前に書かれた妻の手紙を読み、妻の思いをやり遂げようとしていく姿に泣けてしまった。家の周りに作りかけてあった石塀を、毎日少しずつ積み上げて完成させる事が、夫婦の愛を積み上げてきた事と同じなのだという事に気づかされる。

また、良子役の樋口可南子は、相変わらずきれいな女優さんだ。ソフトバンクのCMでよく見ているから、歳を重ねてきても、イメージが損なわれることはない。ますます円熟味を増した役柄で、暖かい気持ちにさせられた。そして、石塀造りを手伝う徹(野村周平)と恋人の花(杉咲花)の若い二人が初々しく、これからの苦労に立ち向かっていこうという姿が気持ちよかった。

後半から、篤志の娘役の北川景子が登場する。仲たがいしてしまった父と娘の関係も良くありがちな話だが、やはり本音はどちらも仲を戻したい。娘にプレゼントを持って仲直りしたいと会いに行ったが、うまく渡せずに帰ってしまう。父が怪我をした時、家に戻った娘は、持ち帰ったプレゼントを見つけ父の思いを初めて知る。これも一つ一つ愛を積み上げていった結果である。

ドラマチックにストーリーが変化していく訳ではないが、少しずつ積み重ねられていくお話にじわじわと泣かされた。どうも、この手の映画を見ると最近は涙が止まらなくなってしまう。映画館では、やはり年配の夫婦しき人たちが多かったが、若いカップルでもきっと心を揺さぶられるはずである。美瑛の美しい風景に合ったいい映画であった。

因みに、1時間20分くらい経った頃、篤史と徹が石を積んでいるシーンで私が泊まったペンションが左側に映っていたのがわかった。ペンションのオーナーが遠景に映っているかもしれませんと言っていたが、その通りだった。

おまけ:劇中効果的に流れる Nat King Cole の「Smile」


映画『ふしぎな岬の物語』

2014-10-30 23:51:41 | 映画


チェック:人気作家・森沢明夫の小説を基に、のどかな里で小さな喫茶店を営む女店主と、店に集う人々との心温まる交流を描いた人間ドラマ。日本映画界を代表する女優・吉永小百合が『八日目の蝉』などの成島出監督と共同で、映画人生で初めて企画に挑戦。主演の吉永とは初共演となる阿部寛、『おとうと』などの笑福亭鶴瓶、『ストロベリーナイト』シリーズなどの竹内結子ら実力派が脇を固める。原作のモデルとなった喫茶店が実在する千葉県明鐘岬を中心にロケを敢行した景色も魅力。(シネマトゥデイより)

ストーリー:海と花畑に囲まれた心休まる里、その岬の突端にあるカフェ「岬カフェ」には、店主の柏木悦子(吉永小百合)がいれるコーヒーを目当てに里の住人たちが集まってくる。店の隣に住むおいの浩司(阿部寛)は、何でも屋を営みながら悦子を献身的に見守ってきた。そんな穏やかな日々が営まれていたある日、常連客の娘で音信不通だったみどり(竹内結子)が数年ぶりに帰郷するが……。(シネマトゥデイより)

森沢明夫原作「虹の岬の喫茶店」の映画化作品である。
吉永小百合プロデュース&主演作で、先日の第38回モントリオール世界映画祭で審査員特別賞グランプリを受賞した事もあり、
原作を読んでから映画もどうしても見たかった。
泣けたり、笑えたりするシーンもいくつかあったが、ものすごく感動したとか面白かったという感覚はあまりなかった。
何気ない日常の一シーンをいろんなエピソードを紡ぎ合わせて、ほっこりした温かい映画に仕上げたという感じだ。

キャストは、吉永小百合を筆頭に、笑福亭鶴瓶、阿部寛、竹内結子、笹野高志、米倉斉加年、小池栄子、吉幾三等豪華キャストが勢ぞろいしている。
また劇中歌を歌うバンドメンバーが、 杉田二郎、堀内孝雄、ばんばひろふみ、高山巌、因幡晃というからこれもまた凄い。
まさに、吉永小百合の下に豪華メンバーが結集し、いつまでたっても年齢を感じさせない彼女の魅力を改めて感じさせてくれた映画だったといえる。
特に、吉永小百合が「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ」とおまじないをかけて淹れてくれたコーヒーはさぞ格別の味がするだろうなと思った。

原作では、エピソードごと悩める登場人物に合わせた音楽が選曲されるのだが、映画ではまったくなかったのが少し残念。
また、「案内犬」のコタローも出てこなかった。浩司のバンドの話もカットされてしまったようだ。
ただ、虹を追う親子や泥棒の話、悦子に思いを寄せるが結局は思いを告げずに去っていくタニさんの切ないシーンは良かった。

この映画のモデルとなった喫茶店は、実在するそうだ。
海の向こうに富士山を望むのどかな岬の突端にある喫茶店「岬カフェ」で、店主の淹れたコーヒーと素敵な音楽を聞きながら、
ゆっくり時が流れていくと、ほっこりと温かい気持ちになるかもしれない。
機会があれば、そんな喫茶店にいってみたいものだ。

映画『LUCY/ルーシー』

2014-09-09 23:33:26 | 映画


ごく普通の生活を送っていたルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、ある日マフィアの闇取引に巻き込まれ、下腹部に新種のドラッグの入った袋を埋めこまれる。だが体内でドラッグが漏れ出すアクシデントによって、彼女の脳は突如覚醒し始める。「頭脳拡張20%」――驚異的なスピードで言語をマスター、「頭脳拡張40%」――目に見えない電波をコントロール……。脳科学者ノーマン博士(モーガン・フリーマン)が見守る中、ルーシーは次々と人智を超えた能力を発揮するが、同時に人間性が失われていき、自身でさえもコントロール不能な状態となって暴走を始めるのだった。やがて、彼女の脳は100%覚醒へと近づいていく……。(Movie Walkerより)

映画館の予告編でずっと気になっていた「ルーシー」を見てきた。人は、脳の10%しか使っていないというが、100%使えるようになったらどうなるのかという話である。監督は、あのリュック・ベッソンであるというのも期待が持てた。そして、ヒロインは、「アベンジャーズ」でブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフを演じたスカーレット・ヨハンソンである。彼女は、アベンジャーズで並み居る大男たちを手玉に取る役を演じ、強烈なイメージが印象に残っていた。『トゥームレイダー』のアンジェリーナ・ジョリーや『バイオハザード』の ミラ・ジョヴォヴィッチを彷彿させる強い女として大いに期待していた女優だ。

人間の脳が覚醒すると、信じられない能力が目覚め、目に見えないはずの電波が見えてきたり、人間の体を透視したり、サイコキネシスの力まで持ってしまう。そしてやがては、時間までも操ってしまうのである。この辺りは、人間の脳が覚醒して本当にこんなことが出来るのかと笑ってしまうのだが、映画的には、面白いテーマを扱ったものだといえる。

扱ったテーマが面白いが、この映画の最大の魅力は、スカーレット・ヨハンソンの演技に尽きる。最初は、マフィアの薬物運びに巻き込まれてしまい、脅されてビクビクしながら涙を流している様子が実に痛々しく見ているのが辛くなるくらいだった。しかし、殴られて体内に縫い込まれた薬物が漏れ出し、薬物の反応で次第に脳が覚醒していく。脳が覚醒されるにしたがって、凛々しく格好良く魅力的になっていく。まさに。スカーレット・ヨハンソンの魅力全開の映画になっていった。

内容的には、突っ込みどころがいろいろあるが、人間が脳を100%使えるようになったらどんな人間が誕生するのだろうか?映画では、その答えが用意されているが、それは映画を見てからのお楽しみだ。100%覚醒したルーシーのその後を見てみたい気がするが、続編はあるのだろうか?

映画『GODZILLA ゴジラ』

2014-08-19 22:27:26 | 映画


解説(シネマトゥデイより)
怪獣映画の傑作として映画史に名を残す『ゴジラ』を、ハリウッドが再リメイクした超大作。突如として出現した怪獣ゴジラが引き起こすパニックと、ゴジラの討伐に挑む人類の姿を壮大なスケールで活写する。メガホンを取るのは、『モンスターズ/地球外生命体』のギャレス・エドワーズ。キャストには『キック・アス』シリーズなどのアーロン・テイラー=ジョンソン、『ラスト サムライ』などの渡辺謙ら実力派が結集。ゴジラの暴れぶりもさることながら、凶悪度の増したデザインに息をのむ。

あらすじ(シネマトゥデイより)
1999年、日本。原子力発電所で働くジョー(ブライアン・クランストン)は、突如として発生した異様な振動に危険を感じて運転停止を決意。だが、振動は激しさを増して発電所は崩壊し、一緒に働いていた妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)を亡くしてしまう。それから15年後、アメリカ軍爆発物処理班の隊員である、ジョーの息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本で暮らす父を訪ねる。原発崩壊事故の原因を調べようと侵入禁止区域に足を踏み入れた二人は、そこで思いも寄らぬ光景を目にする。


なかなか映画を見に行くときがなかったが、やっと今話題の『GODZILLA ゴジラ』を見に行くことが出来た。見た感想は、はっきりいってガッカリだ。60年前に初めて製作された「ゴジラ」をリブートした作品という触れ込みでかなり期待していたのだが、やはりハリウッドで作られた映画は、日本人の感性とはかけ離れた作品になっていたようだ。

とにかく突っ込みどころ満載で、どこが良かったというより、どこが酷かったという事しか思い浮かばない。まず、最初に出てくる日本にある原子力発電所のある場所の風景だ。後方には、雪を抱いた富士山がしっかり映っている。そして、実際に事故があったスリーマイル島の原子力発電所を想起させるすり鉢状の原子力発電所があり、そこで異常が発生し原子力発電所が崩壊するというシナリオである。世界遺産である富士山の裾野で原子力発電所の事故が起きるなんて設定は、どうも嫌な感じだ。富士山があれば日本という事がわかるだろうという、安直なシナリオとしか思えない。

そして、原子力発電所に隠されていた秘密は、ゴジラの敵となるムートーという怪獣が眠っていたという点である。このムートーという怪獣は、かなりグロテスクだ。エイリアンとコウモリを掛け合わせたような怪獣で、かなり不気味である。なにか地獄から這い出てきたようなイメージさえあり、ここまで気持ち悪い怪獣を作らなくてもいいだろうにとも思ってしまった。

のっけから怪しい怪獣が出てきて、ゴジラはどうなんだと思っていると、何やら思わせぶりに前半の早いうちに登場する。初代ゴジラは、かなり焦らされて登場するが、このゴジラはそれほど焦らされた気はしない。しかし、突然正面が映った段階で、これは何だ!ゴジラではないと思った。首がほとんどなく頭から胴体までそのままズドーンと繋がっている不細工なゴジラだった。ハリウッド版ゴジラの第1作は、トカゲのようなゴジラで、これまた酷かったが、今回は、逆にクマが巨大化したような姿に唖然とする。せめてゴジラのスタイルは、日本版に合わせてほしかった。

もともと「ゴジラ」という映画は、核実験の放射線で恐竜が変異した生物であると解説されており、科学の暴走で、あってはならない恐ろしいものを生み出してしまった人類へのアンチテーゼ的な作品だった。しかし、アメリカで作られた作品であり、やはりそんなメッセージ的なものは何もない。ゴジラは、人類を救うヒーロー的な扱いであり、敵となるムートーは徹底的に叩きのめすが、空母、駆逐艦、戦車、戦闘機にはまったく戦いを仕掛けない。海兵隊もゴジラに、戦いを仕掛けようともしない。「ゴジラ」というタイトルを付けるとしたら、人類対ゴジラという構図でなければならない。他の怪獣は必要ないのだ。ゴジラは、人類がいくら頑張っても倒すことのできない神のような存在であり、人類への警鐘を促すようなテーマ性を前面に打ち出してほしかった気がした。

ゴジラやムートーのリアルな映像は、たしかに目を見張るものだった。さすがCGの進歩は凄いものだとは思ったが、その中で登場する人物たちは、今一つ共感を覚えない人ばかりだ。主役は、海兵隊の一兵士とその家族であるが、いてもいなくてもいいような役どころで、パニックになっているさなか子供をほったらかしにして仕事に行ってしまう母親や父親は何だろうと思ってしまう。最後に核爆弾の起動タイマーは止められたのだろうか。そのあたりが良く分からないうちに、物語は終わってしまった。

一番可哀想なのは、芹沢博士役の渡辺謙だ。彼も、はっきりいって大した役どころではない。ほとんど唖然とした顔でゴジラやムートーを見つめているだけである。ゴジラやムートーに対する対策について的確なアドバイスをして軍隊に協力するわけでもない。「ゴジラ」というセリフを言うためだけに登場したのではないかと思ってしまう。ハリウッド映画に登場する日本人は、いつもこんな扱いで登場するのが関の山である。

という訳で、期待していただけあってその落差は大きく辛辣な批評になってしまった。やはり日本でリブートすべき映画だった。