K-20 怪人二十面相・伝 K-20:Legend of the Mask Trailer
先日、「感染列島」を見たばかりであるが、またまた映画を見てきた。これもどうしても見たかった映画である。少年時代、江戸川乱歩の少年探偵シリーズで明智小五郎と怪人二十面相の戦いに心躍らせた自分としては、非常に興味があった映画である。このシリーズを読み出して本の面白さに惹かれたといってもいい。
さて、このお話は江戸川乱歩の小説をモチーフに、北村想が書いた『完全版 怪人二十面相・伝』を原作とした佐藤嗣麻子監督・脚本の映画である。北村想という作家も佐藤嗣麻子という監督のことも良く知らなかったが、映画は2時間17分ほどの長さにもかかわらず、最初から最後まで飽きることなく楽しめた。まさに娯楽の王道を行ったといってもいい映画だ。この監督は女性ながら、よほど映画の好きな人らしい。あらゆる映画からの見覚えあるシーンが幾つも出てくる。まったくのまねでもないし、パロディでもないが、あの映画のシーンをこの場面で使ってるなというのが、一杯あった。どの場面が何の映画と似ているかなと探し出すのが楽しくなる映画である。
まずは、この映画の背景を説明してみよう(ウィキペディアより)
舞台は帝国陸海軍とアメリカ・イギリス軍との平和条約が締結され、第二次世界大戦が「回避」された1949年の東京である。作中では帝都と呼ばれており、19世紀から続く華族制度により、帝都の富の9割がごく一部の特権階級に集中している極端な貧富の差が生じている身分制度社会となっている。戦争がなかった架空世界のため実際の歴史とも少し違うところがあり、例えばTVの放送が始まっていることや、警察車両などの外国語表記に英語ではなくドイツ語が用いられている(これは、戦前の日本がドイツの影響を大きく受けており、実際は戦後日本はアメリカに占領されたため、アメリカの影響を大きく受けたが、もし戦争がなかったらドイツの影響を受け続けていただろうとの考えから)等が挙げられる。
そしてストーリーはこんな感じである。
1949年の架空都市<帝都>。19世紀から続く華族制度により、極端な格差社会が生じる日本で、世間を脅かしている強盗がいた。“怪人二十面相”と呼ばれるその強盗は、富裕層だけをターゲットとし、美術品や骨董品を魔法のようなテクニックで、次々と盗み出すというのだ。頭脳明晰でこれまでも数々の事件を解決してきた探偵、明智小五郎は、サーカスの人気曲芸師、平吉が謎の怪人二十面相<K-20>だと疑い、捜査を始めるが…。
キャストは、
遠藤平吉:金城武、羽柴葉子:松たか子、明智小五郎:仲村トオル、源治:国村隼、源治の妻・菊子:高島礼子、小林芳雄(少年探偵団):本郷奏多、シンスケ:今井悠貴、浪越警部:益岡徹、謎の紳士:鹿賀丈史、嶋田久作、松重豊等
この映画は、タイトルに「怪人二十面相」がうたわれているが、実際の主人公は怪人二十面相に騙されて、怪人二十面相に仕立てられたサーカスの芸人の遠藤平吉である。また、我らが明智小五郎もどっちかというと脇役である。しかも明智小五郎は名探偵というよりも富裕階級の名士といった立場で、財閥の令嬢、羽柴葉子との婚約シーンから映画が始まるのだ。そこから、遠藤平吉がどう絡み、怪人二十面相というタイトルに結びついていくかは見てからのお楽しみである。この映画のネタはあえて明かさないほうがいい。ネタを明かせば皆さんに叱られそうである。とにかく面白い映画であることは間違いない。最近見た映画では一押しだ。
参考に見覚えのあるシーンを幾つか紹介しておく。
1.ナチスドイツを彷彿する軍警と主人公の逃走シーンは「インディー・ジョーンズ」を思い起こす。
2.主人公とヒロインは、特殊ワイヤーを使い「スパイダーマン」のようにビルの間を飛びながら追っ手から逃げる。
3.嶋田久作も登場しており「帝都物語」のイメージも意識しているのを感じる。
4.ヘリコプターで逃げるシーンは、「天空の城 ラピュタ」のイメージが重なった。
5.主人公を助ける源治は、まるで007の小道具を作る「Q」みたいな役割だ。
6.絵に隠された秘密を解き、お宝を見つけ出すシーンは「トゥーム・レイダー」や「ナイルの宝石」などのアドベンチャー物の雰囲気がある。
7.帝都の風景や乗物などは「スカイキャプテン」でも見たような感じがした。
8.孤児たちだけで生活している様は「マッドマックス サンダードーム」でも見たことがある。
9.泥棒長屋は時代劇映画では良く出てきそうだ。また、源治の妻役の高島礼子は任侠映画でもお似合いである。
10.少年探偵団のお約束のBDバッジが映されていたのはご愛嬌である。
こんなところであるが、他にもまだまだあるかもしれない。また、続編が作られてもいいような終わり方であった。まだ見てない方はお早めにどうぞ。そろそろ公開が終わってしまいそうである。