・『いとの森の家』 東なおこ ポプラ社
東なおこさんは、歌人。おそらくかなり自伝的なのでは? と思われました。転校したクラスで流行っていた虫を使った遊びなど、想像だけでは書けないでしょう。死刑囚に慰問に行っているおばあさんとの交流があるのですが、その部分が浮いてしまっているような、でもそこがなければサラリとしすぎているかも、というところ。
・『学校のセンセ』 飛鳥井千砂 ポプラ社
主人公が学校の先生というのは、あまりないような気がします。先生も人間というあたりをうまく書いていると思いました。
・『家族シアター』 辻村深月 講談社
辻村深月ファンとしては、読み始めたときは(これは半年のこれにはあがらないかな)と思ったのです。短編連作なのですが、ひとつひとつの物語の登場人物に感情移入ができなくて。(他の辻村作品は、それが強いので)でも、最後の1編がとてもよかったので、やっぱり、これは入ります。
・『神様たちのあそぶ庭』 宮下奈都 光文社
エッセイです。一年間北海道十勝郡のど真ん中の山の中に山村留学をした宮下家の記録。最初は一年間かあ、それはいいとこ取りでずるいかなとも思いました。でも、ご本人がそれをちゃんとわかっている様子もあり、それをさっ引いても、その暮らし(自然、不自由な環境・・スーパーもレンタルビデオショップも30キロとか離れている)を楽しんでいる姿がとてもとてもいい。3人の子ども達は、小中合わせて10人ちょっとの学校で、それぞれいきなり生徒会長になったりもするわけで、そこに関わってくる先生や大人達の真剣さをきちんと感じているところも、いい。クスリ、フフッという部分も多く、とてもとてもよかったです。
・『放射線を浴びたX年後』 伊東英朗 講談社
テレビのドキュメンタリーから映画になり、各地で上映会が行われています。それを書籍化したもの。
被爆した人たちが住んでいるのは、広島長崎、そして福島だけではなく、土佐もだということ。かつてビキニ沖でアメリカが原爆実験をしたときのマグロ船に乗っていた方たちを追ったものです。癌の原因が全て放射能ということは確定できないので、どこかうやむやになってしまうけれど、数十年後福島で被爆した人達の健康被害が怖い。マグロの口からきのこ雲が出ている表紙が不気味。
おっと、忘れちゃいけない。
・『かくかくしかじか』 東村アキコ 集英社
がありました。これは以前の記事で感想を書いたので。
今年も、明日で半分ですね。