fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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水始めて涸る

2016年10月20日 | 日記
 七十二候のひとつ。

 10月始めくらいですが、そのころこれの説明をテレビでしているのを観て、え? 「田んぼの水を抜いて、稲刈りの時期」と。
 ええー? そお? 「水落とす」というのは秋の季語です。田んぼの水を落とす。

 とりあえず、ネットで調べると、同様のことが書かれています。
 岩手にいたので、手元にある歳時記を見てみました。

『カラー図説・日本大歳時記』(講談社)では、「秋分の第三候、陽暦十月三、四日にあたる。この頃水がやせた状態となり、涸れはじめることをいう。実際のことよりも、冬の水がれを想像させるような一種の感覚をいったものであろう」とあります。
 冬の季語に「水涸れる」があり、その前触れ的。私はずっとそっちだと思っていましたよ。
 初めてではなく、始めて なのですよね。そこがポイントかも。

 東京にもどり、『角川俳句大歳時記』を見てみたところ、やはり田んぼの田の字も出てきていません。「日本では『水涸る』は冬の季語であるので、日本の季感とは合致していない。(中略)現象の背後の観念をいい、水気が失せてゆくことを主に述べている」とあります。

 今度、句会できいてみよう。

  この景色って、芸術的

 この七十二候、水始めて涸る の次は、「雀大水に入りて蛤と為る」です。「雀は蛤に」なんて略すこともあるけど、俳句ではなかなか使いづらい。

 雀蛤となるや恋文代筆で  たなか迪子(『いちばんわかりやすい俳句歳時記』)