fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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宮川健郎先生の講演会に出かけてきました。

2022年10月10日 | 日記
 ネットで見つけて、聴いてみたいと思い電話したときは、もう定員に達していました。一応キャンセル待ちとして電話番号を伝えていたら、数日前に連絡があって、びっくり。よかった。
 演目は、「『大きな国』と『小さな国』-小川未明と戦争、児童文学と戦争-」 です。宮川先生は、児童文学の評論家です。

 小川未明が100年前に書いた「野ばら」という童話は、大きな国とそれより少し小さい国の国境を守る老人と青年の物語。ウクライナへのロシアの進軍の後、新聞等で取り上げられているのだそうです。普遍的な戦争批判(批判というほどでもないけど)になっているというように。
 先生のお話はでも、小川未明が第二次世界大戦の最中に書いた「僕も戦争に行くんだ」(これは戦意高揚の物語)という童話にも触れ、戦後は批判されたことにも及びます。
 「野ばら」は、野ばらが枯れたことが象徴的に書かれている。その象徴性の強みが出たのが、今(ロシアとウクライナの両国を思い起こさせる)。象徴性の弱さが「僕も戦争に行くんだ」を書かせたと。
 児童文学は、文化を子どもに伝達する手段だという言葉が残りました。
 ところが、今その文学がないがしろにされていて、果たしてちゃんと伝わっているのかと私は怖いのです。
 国語では物語が少なくなり、図書に予算が回されません。
 「野ばら」は、最初先生が朗読してくださったときには、ああ、美しく悲しい話だなあとじんとしましたが、講座の最後の頃には、戦争批判としてはやはり弱いように思えていました。真綿にくるまれている感じがしました。きれいに書かれているから。バラが枯れるけれ、青年は死んだだろうとわかります。でも青年の痛みは伝わってこない。
 すっきりと自分の意見が整理できてないのですが、講座をお聴きできてよかった。
 
 こういう講座にちょっと行ける。これが東京のよさだなあとも思ったことでした。行きたい展覧会もあります。

 とはいえ、こんなところの近くに住んでるのですが。