fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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紅玉忌・『故郷』(偕成社)『風景』(岩崎書店)ー後藤竜二

2012年07月21日 | 雑感など

 本日「季節風」では、〈紅玉忌〉が行われます。前季節風代表後藤竜二が亡くなられたのは7月3日ですが、毎年〈紅玉忌〉として後藤竜二作品の研究会が開かれます。今年は『故郷』と『風景』。どちらも自伝的小説です。

      高学年~大人向け

 北海道美唄のりんご農家の次男として生まれた後藤竜二は、反骨の固まりのような子ども時代を過ごしています。

 私は数多い作品の中で、やはりこの2作が飛び抜けて好きです。東京にいたら絶対参加していたのですが、残念。また竜二忌ではなく、「紅玉忌」と名づけたのは、こちらも代表作に『紅玉』という作品があるからです。本当のことを言うと、俳人的には、紅玉という秋のものを7月に亡くなった方の忌日名としてつけることにかなり抵抗がありました。例えば太宰は6月が命日で『桜桃』という作品があり、桜桃の時期だから「桜桃忌」、芭蕉は11月が命日で「時雨」という季語が好きで、時雨の時期だから「時雨忌」、子規は9月が命日で絶筆となった3句が「糸瓜(へちま)の句だから「糸瓜忌」と、どれもその時期のものをつけています。困ったなあと思っていたのですが、例外がないか調べました。すると、子規忌には「獺祭忌(だっさいき)」というのもあり、これは子規が自分で「獺祭書屋主人」と名乗っていたことからきています。ところが「獺の祭」というのは2月のもの。カワウソは、とった魚を供物のように川縁に並べるという伝説からきています。獺祭は、転じて詩文を作る時に多くの書物をひろげちらかすことも意味しているそうです。「獺魚を祭る」というのが、2月春の季語としてあるので、それを確認してなんだか勝手にほっとしたものでした。

 『紅玉』に関してはもう一つ思い出があります。生前、一度だけ講演会を聴きに行きました。その講演の最後、後藤さんは自ら『紅玉』を朗読。そのときの「明白(ミンパイ・わかった)」という声が未だに耳の奥に残っています。 (新日本出版社) 絵本ですが高学年から大人向け。表紙の絵はいずれもお兄様の高田三郎さんです。あのとき遠かったのですが、行ってよかった。

 秋田でご盛会をお祈りしております。


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