fromイーハトーヴ ーー児童文学(筆名おおぎやなぎちか)&俳句(俳号北柳あぶみ)

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『緑のトンネルをぬけて』(岸史子)ー岩崎書店

2012年09月22日 | 本の紹介

                           

緑のトンネルをぬけて  小学校中学年から

 まゆは両親と弟のてつと現代の家族の象徴のような四人家族。両親の仲もよく、不登校の友人のことを話題にし、自分がもしそうだったら? と問いかけます。おとうさんは、ビールを飲みながらも「子どものそばに、とことんいてやりたい。それはかあさんも同じだと思うよ。いいか、まちがっても自殺なんかするなよ」と語りかけます。どこにでもいそうな普通の女の子の目を通して、お地蔵様がいる町での人間模様がくりひろげられます。お地蔵様の名前は、「やるき地蔵」。

 でもやるき地蔵は、やるきを出して頑張れと言っているわけではありません。それが、全編を伝わって読んでいる方に安心感を与えてくれる所以かなと思います。今回読み直して、やるき地蔵のことがそんなにたくさん描かれているわけではなかったことに驚きました。でもとても印象が強いのです。(私にとって)

 もう一つこの作品の中で好きなのが、学級委員の本田さんとまゆのやりとりです。私は子どものころは委員長とかってやるタイプではなく、いつもその役を務めている人は、近寄りがたいと思っていました。でも今になると、みんな本田さんみたいな気持ちだったのかもなあと思います。本田さんはマユに言います。「それからね。意見はゆっくりでも、最後までしっかり言えばいいんだよ。きっぱりした言い方をするだけで、みんななっとくするから。これ、学級委員をやっておぼえてコツ

 本田さん、ありがとう。

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 先日、横山大観記念館のことを書きましたが、10月は紅葉のすごい屏風が観られるという情報をいただきました。ありがとうございます。行きたいなあ。


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