うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

ネコは、泣いた

2016年07月17日 | きくの事

拝啓

極楽の住み心地はいかがですか。

そちらには、季節はありますか。

花は咲きますか。

風は、吹くのでしょうか。

 

この世は、貴方が苦手だった、暑い夏になりました。

貴方もよくご存じの通り、私は相変わらずケチですが、

ちゃんとクーラーを使っています。

そうしないと、おたまが溶けて無くなりそうなので、気を付けています。

あやは、暑いとか寒いとか、そういう感覚を持っていないと思うんです。

もう少し、大人しくして欲しい位、元気です困っています助けてください。

うんこは、少しほっそりして、動きが若干軽やかになりました。

リバウンドを目論んで、おやつをねだってきますが、

私は負けません。

おじさんが全敗です。罰を当ててやってください、ぜひ。

よねは、動かないから、多分としか申せませんが、元気です。

動かないせいなのか、ちょっと夏太りした模様です。

あっちが痩せれば、こっちは太る。

二進も三進もいきません。

そして、

きくも元気ですと、ようやく貴方に伝える事ができますね。

 

貴方が旅立った、あの日、きくは一度も声を出さなかった。

普段は騒がしいきくが、他のネコに唸り声をあげる事も、

何かを要求して大きな声で鳴く事もなかった。

この部屋が、珍しく静かだった。

 

そして、箱に入れられた亡骸に、きくは縋った。

用心深いきくが、

見慣れない箱の中の貴方の上に乗ってまで縋っていた。

きくは、静かに泣いていた。

 

貴方の亡骸さえも無くなった日から、

きくはこれまで以上に騒がしく鳴くようになった。

夜中だろうが、朝だろうが、

まるで、貴方を探すように鳴き続けた。

他のネコ達が、視界に入る事すら許さず、

私の声も耳に入らず、延々鳴いていた。

泣いていたんだ、ずっと。

 

元々細いきくの体は、

気付けば、酷くやせ細っていた。

このままでは、きくが壊れてしまう。

そう思い、様々な対策を試みたが、すべて徒労に終わった。

 

ある日、私は貴方の匂いを消してしまおうとした。

もう帰ってくる事はないのだと、きくに解って欲しかった。

うめの使った毛布も、

うめが食べていた皿も、

すべて捨ててしまおうと。

 

まずは、貴方の薬箱を開けてみた。

その中に、未開封の容器があった。

貴方が酷い認知症に陥った時に貰ったサプリメントの容器だ。

不安や緊張を和らげるためのサプリメント。

貴方はこれを飲む事なく、逝ってしまった。

きくに打ってつけの物を置いて、逝った。

 

きくは、それを飲みながら、移ろう時の中で、

貴方がいない今を、ゆっくりと受け入れている。

貴方のお気に入りだった毛布の上で。

貴方のお気に入りだった机の上で。

貴方の匂いが消えていく、この家で、

きくは、以前より少し強くなりました。

 

きく「私は、もう大丈夫よ」

 

 

きく「こんな毛むくじゃら、どってことないわ」

 

 

きく「あなたのように、振る舞えばいいのよね」

 

 

きく「おい、メス豚ゴリラ!なんとかしろって言えばいいのよね」

言わないから。うめさんは、私の事、ゴリラって言わないから!

ん?

うめさんも言っていたの?こっそり?

うめさんめ~~!?

かしこ。