会社で世話をしている胡蝶蘭が、
咲きました。
私は、その美しく咲いた様子を撮影し、
それを、実家の父さんにプリントしてほしいと頼んだのだ。
胡蝶蘭をプリントしてくれと頼んだだけなのだ。
なのに・・・
渡したUSBに保存されている、他の画像をプリントする父さん。
その写真を無言で手渡された母さんは、また無言でペンを走らせた。
「腹を痛めて、産んだ娘」
こんなんか?
私、こんな感じか、母さん?
酷くねーか、母さん?
写真に、変な線、描いちゃってるよな、母さん?
腹を痛めて産んだ娘に何をするんだ、母さん?
こうなると、母さんの絵心が止まらない。
「おたまとあや」
おたまを拾った時、母さんは言っていたよね。
この子は、長毛の白猫や。おかっぱがペルシャ猫を拾ったって。
友達に自慢して言いふらしてたもんね。
うちに、ペルシャの子猫が来たんやって。
その願望が今だ捨てきれず、絵に出ちゃってるんだね、母さん?
おたまとあやは、こんな感じだよ、母さん!
「おかっぱも負けじと描いた」
・・・・・やっぱり血は争えんな、母さん!
そして母さんは、さらに負けじとペンを走らせた。
「犬のジョン」
母さんは、若い頃、犬を飼っていた。
ヘルシーという名のコリー犬を飼っていた話はよく聞かされたが、
ジョンって、誰だい、母さん?
初耳だよ、母さん?
え?想像上の犬?
なぜこの期に及んで、実在したヘルシーを描かず、想像上の犬を、ジョンを?
という、ある日の朝の一コマであった。
おはようございます。
朝から何しているんでしょうね、この親子。
おい、君たち!
実写のおたまとあやは、何をしてるんだい?
ゆるく遊んでいるんだな?
ここから、どうなるんだい?
何もしないんだね、短毛のおたまよ!