父さん、棒を。
私に棒をよこすんだ!
おはようございます。
父さんは、昔っから、よく棒をくれる。
背中を掻く棒、足の角質を削る棒、木刀に警棒、
長い棒のような巨大バサミ。
耳を掻く細い棒、綿棒に麺棒。
父さんは、本当に、よく棒をくれるんだ。
それなのに・・・。
一昨日の夕方、家に着くなり、携帯電話が鳴った。
父さんからだ。
「来たぞ、でっかい荷物が」
それそれ、待ってました~パーテーションだ!
しかし、父さんは、
「これは重すぎて、お前が運べる代物じゃないぞ」と神妙なトーンで言った。
昼間仕事に出かけている私は、
何か注文するたび、近所にある実家に配達をしてもらっている。
今回注文した物は、1部屋を真っ二つに割るためのパーテーション、3個。
急いで実家へと向かい、
段ボールの中身を確認すると、板と鉄の棒とに分かれて入っている。
いける。
でかいけど、ギリいける!
そう思った私は、おもむろに板(180㎝高)を1枚抱えようとした、
その時だ。
「無理だって。お前では運べん!」と父さんが大声を出す。
そう言われて、なぜだかやたら、イキがってしまった私は、
え?え?何が?
ぜーんぜん余裕なんですけど。
もうね、片手でひょいって持てるんですけど。
と笑いながら、右手でつまんで板を運び出した。
板を2枚つまんで運んだ時点で、右手は馬鹿になった。
仕方ないので、残りの1枚は後にして、
箸休め的に、鉄の棒(2m)を、取り敢えず4本運ぼうと思った。
運びやすいように、4本をガムテープでまとめていると、
突然、
「もう、やめてくれ」と、父さんが棒の端を持って私から奪おうとする。
どうしてだい、父さん?
棒を離してよ。
「こんな重いモン、何度も運ぶんは、きついやろ?」
何を言ってるんだい、父さん?
いいから、棒を渡してよ、父さん。
「何も一気にやらんでもいい。残りは、明日にしろ」
今日やるって言ったら、やるんだ。
だから、棒を、棒を私におくれよ。
「いや、あかん」
棒をくれよ、父さん。
「そんなに焦るな」
早く棒を、
私に棒をよこせ~!
そんな、可笑しなテンションで棒を引っ張り合う最中、
母さんは、菓子パンを食べながら、言った。
「ほんならよぉ、その段ボールで壁を作ったらどうや?」
んな事、するかい!
私と父さんは、声をそろえて、つっ込んだ。
そんな訳で、「きくのお部屋」作り、第2段です。
そもそも2部屋だった部屋を、
リフォームして壁をぶち抜き1部屋にした、
その部屋を再び2部屋に戻すという、
なんだか、元も子もないようなお部屋作りを致しました。
皆様には、パーテーションの寸法を心配して頂きましたが・・・
大変、申し訳ありません。
土下座を超えて、うつ伏せでお詫び致します。
寸足らずでした。
うんこ以外の猫ならば、いとも簡単にすり抜けられる隙間に、
丁度、家にあった突っ張り棒を立てました。
きくさん?
どう?どうなの?
きく「チラチラのぞかれて、うっとおしいわい!」
これね。こいつね。
棒に泣いて棒に笑う・・・そんな1日でした。