子供の頃は、
服といったら、
姉ちゃんのお下がりか、親戚のお姉ちゃんのお下がりか、
時には隣のお家のお姉ちゃんのお下がりばかりだった。
おはようございます。
パンツに至っては、母さんのお下がりだって履いていたんだ。
母さんに無断で、だ。
母さんのデカいパンツが、最高に履き心地が良かったんだ。
母さん、ごめん。
それが高校に入って、アルバイトをするようになり、
自分が稼いだお金で、初めて買った服は、
滅茶苦茶はじけたジャケットと、
滅茶苦茶はじけたブーツだった。
フリンジ祭りだった。
歩くたび、バサバサ音を立てるフリンジが、
精神衛生上、良くなかった。
フリンジ音で、常に心をかき乱されていたせいか、
正常な判断ができなかったがゆえ、
生れて初めてのデートに、この格好で行って、
真面目な好青年にドン引きされた。
その記念すべき、初デートの思い出は、
フリンジの奏でる音と、
フリンジが邪魔で、飯が食い辛かったこと、だけだ。
大人になって、
自分だけの物ばかりに囲まれるようになったが、
我が家の猫達は、上手い具合に、様々な物を共有している。
うんこのネズミさんは、
12年間、うんこだけの物だった。
一旦紛失して、皆様にもご心配をお掛けしたが、
紛失の原因は、おたまが隠してしまっていたからだった。
どういう訳か、気づけば、うんこのネズミは、
おたまのネズミさんにもなっていたって訳だ。
ネズミさんを持ってく、おたま。
おたま「おらのネズミさんだぞ」
違うぞ。
うんこのだろ?
うんこのネズミさんだもんな?
うんこ「はーはん、ふんはんへふひひーほ」
なんつった?
うんこ「母さん、うんちゃん、別にいいよって言ったの」
別にいいの?
うんこ「うん、いいよ。貸してあげてるの」
うんこ「貸してあげてるだけよ」
うんこ「母さんにも、貸してあげるわよ」
そっか。
うんこは、優しいんだな。
ネズミさんが紛失していた間、
私は、それに似せたネズミを作ってみた。
だけど猫達は、見向きもしない。
我が家のネズミさんは、1つだけで良いって事なんだな。
にせネズミ「わしの立場は?」
お前さ、白目がいけないんじゃない?
白目が・・・