私の父は、
昔から、見るからに怖いイメージで、
実際、頑固一徹、亭主関白な気質を有した男。
のはずだった。
おはようございます。
しかし、選んだ女は、外見だけはそこそこ美しいが、
デート中に気に入らない事があれば、
バッグを捨てて、靴を脱ぎ捨て、
なんでもかんでも放り捨てながら走って行っちゃうような、
どうにもならない女だった。
しかし、道に捨てられた女の私物を拾いながら追いかけた甲斐あって、
2人の娘が誕生した。
長女は、どっちに似たの分からないが、やたら出来のいい娘で、
たまには、父の威厳で叱ってやろうと思っても、
まず叱られるような事をしない娘だった。
どうにもならないから、
「姉ちゃんは、俺に似てるからだ!」と自慢げに威張って見せた。
次女は、別の意味で、これまたどうにもならない娘だった。
言う事を聞かない罰として、ベランダに放り出してみれば、
泣いて謝るのを待ったが、
当の次女は体操座りで、静かに星を眺めていた。
反省など皆無の世界観を作り出していた。
鉄拳を食らわせれば、殴り返してきたし、
正座させて説教を聞かせる間、下を向いて笑っていた。
「なにが、おかしいんだ!」と叱れば、
「だって、ゴリラみたいなんだもん」と言い放った。
どうにもならない。
今では、
長女夫婦の間に生まれた2人の娘が、時々遊びに来るようになった。
この2人の娘は、平成生まれのぴちぴちギャルだ。
遊びに来ては、2人の孫のはしゃぐ姿を前に、
昭和初期に生まれし父には、
「落ち着け」と言う以外、言葉が見つからない。
やっぱり、どうにもならない訳だ。
出戻り次女は近所に越してきて、事あるごとに、
「あたしはね、嵐を巻き起こして、親のボケ防止に努めてんだ」と、
威張って吠えている。
単純に面倒をかけているだけ、なのにだ。
そのおかげという訳ではないが、
83歳の父は、割と、今でもしっかりしているのだが、
先日の夜中、母から電話があった。
「ジジーの咳が止まらんのや。
死ぬかもしれんから、救急車を呼んだほうがええんやないか?」と。
とりあえず、実家へ行ってみれば、
父さんの咳は、そこそこ止まっていた。
結局、様子をみて、翌日病院へ行く事になったが、
その間、私はガラケーで咳の止め方を検索しては、
まるで実験的に、次から次へと提示しては、母に用意させる。
こんな時だけ、やたら、よく働く母さんは、
私の号令のような「マスク!」という言葉に即座に反応して、
寝ている父に、まずマスクをかけた。
そして今度は、私の「はちみつー!」の号令に、
母は、マスクをちょろっとずらして、
厳かにはちみつを、ひとさじ、口へねじ込んだ。
次に、「大根おろし」の号令だ。
ちゃちゃっと大根をすり下ろす母の、なんと早い事か。
動きに一切の無駄がない。
しかし、そこでようやく、父は言った。
「もういい!」
うん、そうだな。
咳、最初っから、とっくに止まってるもんな。
そんなわけで、
我が家の女たちは、本当にどうにもならないって話だ。
しかし、やる時はやるのだ。
この間、実家に遊びに来た、我が姪っこが、
私のフェルト作品「ぺら雄さん」を見て感化されたようだ。
姪の処女作品
私を、大幅に追い越しやがった。
姪っ子のお言葉
「あのね、おかっぱおばちゃんはね、刺す作業が足らないの。
これ作り上げるのに、5時間は掛かったからね。
おばちゃんは、刺しが足らないの。わかった?頑張って!」
甘んじて受けますテンキュー!
そして、母さんとの約束もあった。
母の日に贈った品に難癖をつけた母さんに、
難癖返しとして、大きな大きな玉を作っておくれと
無茶ブリした結果・・・
「ガラケー比較」
特大、大、やや小の3個を仕上げてきた。
毛染め中のおかっぱ曰く、
じゃまくせーです!
さて、ただでさえ狭い部屋が、
さらに狭くなったところで、遊ぼう!
猫用LEDレーザー
おーい、普段は、ほとんど動かぬ、おたまー!
やるぞー!
お前も、たまにはやるのね!
きっと、すぐ飽きるだろうけどな・・・
おたま最愛の父さんは、風邪の咳だってさ。
大丈夫なんだってさ。
よかったな、おたま。