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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

Australian Ballet 「眠れる森の美女」②

2007-07-19 05:10:37 | BALLET
2幕目は、オーロラ姫の16歳の誕生日。

宮廷はまるで仏壇のような(?)黒と金の装飾。そこに、目にも彩なアジア~中東の極彩色、グリーン、紫、フューシャ、オレンジ、赤、ロイヤルブルーなどの衣装に、タイ舞踊風のヘッドドレス姿の宮廷人の群舞が重なると・・・いつまでも見ていたいような、豪華でエキゾチックなシーンです。
オーロラに求婚する4人の王子も深みのある金の重厚な衣装でちょっぴり踊りにくそう?
4人が順に空中で回転して着地でひざまずくポーズをとるシークエンスで、着地が乱れて大きくぐらついた(その後しばらく脚をかばって踊っている風で心配しましたが、程なく回復されていたようで安心しましたが)王子一名。


オーロラ役のルシンダ・ダンは小柄でちょっとオデコさん。美女かというと微妙ですが、かえって、細面の美人揃いのOZバレエの中にあって異質な感じが個性的で、その他に埋没しない個性となっています。
この日の王子、マシュー・ローレンスとこの人は、前回の世界バレフェスにも出演しており、その安定したテクニックを披露してくれていましたが、バレフェス時には強烈な個性と魅力を放つ世界のTOPにオーラの点で見劣りがしてしまっていたように思いました・・・。
ただ、こうして本拠地のバレエ団の掌中に収めたプロダクションで踊ると、とりわけ得意なバランスの危なげなさといい、はずむようなほど良いバネ感のある動きと言い、安心して見ていられる主役。

このオーロラ、通常ですと糸紡ぎの針で指を刺して倒れる・・・となっているのですが、ウェルチ版では、カラボスの差し出す黒薔薇の棘で気を失う、とされています。
その場面が・・・。
ローズアダージョでは普通に捧げられた花を一輪ずつ受け取った上に、様々な色の花束を持つ女性たちも登場。
その中に黒いスパンコールのチャドルのような全身を覆う衣装を身に付け、顔を隠したカラボスが。
珍しい黒い薔薇に興味を惹かれたオーロラがねだっても、カラボスは勿体ぶって渡しません。
無理やり花束を奪う(ひッ!)オーロラ、早速薔薇の棘が痛いっと顔をしかめるや即、カラボスの両頬をビンタ(キャァアア!!)
お姫様、ですよねぇ、いやしくも。無理やりおねだりしておいて、勝手に乱暴にさわって棘が刺さったからと言って女性の頬を張りますか、普通?
わたくしの驚きをよそに、フラフラと眩暈を起こして倒れ、荊の精が膝まづく人間ベッドに横たえられるオーロラ。頬を張られても静かにほくそ笑むカラボス、で幕。



もう一つ??っと思ったのは、オーロラの誕生日に招かれた4人の婚約者候補の王子がそろい踏みしたところを見たオーロラがキャとばかりに、4人の女友達のところに飛んでいってイヤーンどうしましょうvという感じで楽しげに語らうシーン。
通常は一人でオーラを発しながらその場に登場したオーロラは孤高。一人で煌き、人々を魅了する存在のはず、ですが、オージー感覚の王女はもっとフレンドリーでお友達を大切にするみたい(笑)
まぁ、16歳の幼い王女が、100年の眠りから覚めた後、女性として大きく成長を遂げて婚礼に臨む、という解釈もありますから、これはその布石と言うことで・・・。

創作段階から、ウェルチのもとで深く関わったオーロラ役の一人、レイチェル・ローリンズによると、”自分に自信を持った、勝気な16歳の女の子が眠りから覚めた後は、人生に対する自覚を持ったひとりの女性に成長”しているという設定なのだそう。