お着物を愛でる会、で8月23日に訪れた国立新美術館で開催中の
「生誕150年 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」
Rene Lalique A Retrospective
会期終了が迫っていますね。9月7日(月)が最終日ですが、
金曜日は20時まで夜間開館もしていますので、
まだご覧になっていらっしゃらない方は是非!
繊細な工芸品としてのジュエリーを製作していたルネ・ラリック(1860-1945)が、
アールデコのガラス工芸の第一人者として、その範疇をファッションからインテリア、
そして屋外のオブジェまでその視野を広げ、影響力を拡大していく姿をあぶりだす、
年代を追った丁寧な展示。
アール・ヌーヴォーの作家、そしてアール・デコの代表的な推進者の一人として
時代に大きな影響を与えた様が、質・量ともに充実した400点の作品を追うことで見事に蘇ってきます。
間、間でご紹介した画像は、
上から◆ハット・ピン《ケシ》 ※東京会場のみ出品 1897年 オルセー美術館蔵
◆ブローチ《ケシに囲まれた女の胸像》 1900-1901年頃カルースト・グルベンキアン美術館蔵
◆香水瓶《シダ》※ジュエリー時代初期のオリジナル香水瓶の代表作1912年 個人蔵
これらの作品を手がけた時代のラリックは30歳の頃に出会った、アリス・ルドリュをミューズとして
実に繊細な美しい作品を手がけていて、わたくし自身はこの時代の作品群が一番、観ていて
心躍る思いが致しました。
アリスとともに、ラリックの製作に多大な影響を与えた人物として、
この展覧会でスポットが当てられていたのは、イスタンブール出身の実業家でもある美術品コレクター、
カルースト・グルベンキアン氏。
1899年、世紀末のロンドンで出会った彼は、すでに古今東西の考古史料や美術品の
コレクションを持っており、古典に題材を得たもの、エキゾチックな香りのする作品など、
その影響は如実に作品に現れています。
上は、◆ティアラ《雄鶏の頭》 1897-1898年頃 カルースト・グルベンキアン美術館蔵
下は◆テーブルセンターピース《二人の騎士》 1920年 北澤美術館蔵
ジュエリー時代から、ガラスを積極的に取り入れていたラリックは、
香水のコティからの依頼をきっかけに、ガラスの量産に取り組みます。
このあたり、アーティストとしての側面と実業家としてのセンス、スケールは
アーツ&クラフツ運動のウィリアム・モリスを髣髴とさせますね。
時代が芸術に及ぼす影響、ということを思わずにはいられません。
光、をテーマにしたガラス工芸品にフォーカスした作品を次々に発表したラリックの
ある種一つの頂点を示しているのが、1925年の「アール・デコ博覧会」を彩ったモニュメントの数々。
上のレトロな写真は、
◆アール・デコ博覧会絵葉書 噴水塔《フランスの水源》 1925年 ギャルリーグリシーヌ蔵
会場に設けられたモニターで、様々な写真を映し出しているのですが、
この展覧会に出展された日本館の写真が、個人的には興味深かったです。
全くの木造の和風建築なのですが、周囲のアールデコのモニュメントやパビリオンとは
全く異なる存在で、さぞ異彩を放っていたことかと思われます。
パリの人々はバレリュスなど、エキゾチックな香りのする芸術に熱狂していた頃ですから
この日本館も関心を集めたことでしょう・・・。
◆カーマスコット《ロンシャン》第1モデル ※秩父宮雍仁親王英国土産
1929年 東京国立近代美術館蔵
常に時代とともにあったラリックが手がけたのは、豪華客車の内装から
高級車の飾り、カーマスコットなど。
古代帆船の船首飾りを思い起こさせますね。
生誕150年、ということで彼の偉業を時代を追って、見せてくれる展示、
ガラス工芸家、としてのスポット的な作品展はよく催されますが、
ここまで、総括的にアーティストの生涯を追った形での展示はちょっと珍しいかも。
今の時代に、彼が生きていたならば、何を手がけていたかしら・・・
と、つい夢想してしまいます・・・
「生誕150年 ルネ・ラリック 華やぎのジュエリーから煌きのガラスへ」
Rene Lalique A Retrospective
会期終了が迫っていますね。9月7日(月)が最終日ですが、
金曜日は20時まで夜間開館もしていますので、
まだご覧になっていらっしゃらない方は是非!
繊細な工芸品としてのジュエリーを製作していたルネ・ラリック(1860-1945)が、
アールデコのガラス工芸の第一人者として、その範疇をファッションからインテリア、
そして屋外のオブジェまでその視野を広げ、影響力を拡大していく姿をあぶりだす、
年代を追った丁寧な展示。
アール・ヌーヴォーの作家、そしてアール・デコの代表的な推進者の一人として
時代に大きな影響を与えた様が、質・量ともに充実した400点の作品を追うことで見事に蘇ってきます。
間、間でご紹介した画像は、
上から◆ハット・ピン《ケシ》 ※東京会場のみ出品 1897年 オルセー美術館蔵
◆ブローチ《ケシに囲まれた女の胸像》 1900-1901年頃カルースト・グルベンキアン美術館蔵
◆香水瓶《シダ》※ジュエリー時代初期のオリジナル香水瓶の代表作1912年 個人蔵
これらの作品を手がけた時代のラリックは30歳の頃に出会った、アリス・ルドリュをミューズとして
実に繊細な美しい作品を手がけていて、わたくし自身はこの時代の作品群が一番、観ていて
心躍る思いが致しました。
アリスとともに、ラリックの製作に多大な影響を与えた人物として、
この展覧会でスポットが当てられていたのは、イスタンブール出身の実業家でもある美術品コレクター、
カルースト・グルベンキアン氏。
1899年、世紀末のロンドンで出会った彼は、すでに古今東西の考古史料や美術品の
コレクションを持っており、古典に題材を得たもの、エキゾチックな香りのする作品など、
その影響は如実に作品に現れています。
上は、◆ティアラ《雄鶏の頭》 1897-1898年頃 カルースト・グルベンキアン美術館蔵
下は◆テーブルセンターピース《二人の騎士》 1920年 北澤美術館蔵
ジュエリー時代から、ガラスを積極的に取り入れていたラリックは、
香水のコティからの依頼をきっかけに、ガラスの量産に取り組みます。
このあたり、アーティストとしての側面と実業家としてのセンス、スケールは
アーツ&クラフツ運動のウィリアム・モリスを髣髴とさせますね。
時代が芸術に及ぼす影響、ということを思わずにはいられません。
光、をテーマにしたガラス工芸品にフォーカスした作品を次々に発表したラリックの
ある種一つの頂点を示しているのが、1925年の「アール・デコ博覧会」を彩ったモニュメントの数々。
上のレトロな写真は、
◆アール・デコ博覧会絵葉書 噴水塔《フランスの水源》 1925年 ギャルリーグリシーヌ蔵
会場に設けられたモニターで、様々な写真を映し出しているのですが、
この展覧会に出展された日本館の写真が、個人的には興味深かったです。
全くの木造の和風建築なのですが、周囲のアールデコのモニュメントやパビリオンとは
全く異なる存在で、さぞ異彩を放っていたことかと思われます。
パリの人々はバレリュスなど、エキゾチックな香りのする芸術に熱狂していた頃ですから
この日本館も関心を集めたことでしょう・・・。
◆カーマスコット《ロンシャン》第1モデル ※秩父宮雍仁親王英国土産
1929年 東京国立近代美術館蔵
常に時代とともにあったラリックが手がけたのは、豪華客車の内装から
高級車の飾り、カーマスコットなど。
古代帆船の船首飾りを思い起こさせますね。
生誕150年、ということで彼の偉業を時代を追って、見せてくれる展示、
ガラス工芸家、としてのスポット的な作品展はよく催されますが、
ここまで、総括的にアーティストの生涯を追った形での展示はちょっと珍しいかも。
今の時代に、彼が生きていたならば、何を手がけていたかしら・・・
と、つい夢想してしまいます・・・
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